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  • 22MB
  • 2017/03/10

月刊バイオインダストリー 2017年3月号

シーエムシー出版

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【特集】オリゴ糖の機能性開発

<<著者一覧>>
新井紀恵 (株)林原
宮坂清昭 三井製糖(株)
重久 晃 (株)ヤクルト本社
金井晴彦 ヤクルト薬品工業(株)
関 信夫 森永乳業(株)
山本采佳 焼津水産化学工業(株)
田中智子 江崎グリコ(株)
木下佳昭 学習院大学
内田就也 東北大学
中根大介 学習院大学
西坂崇之 学習院大学
山本朗仁 名古屋大学大学院
下島千明 名古屋大学大学院 
竹内英之 名古屋大学環境医学研究所

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【特集】オリゴ糖の機能性開発

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トレハロースの特性を活かした機能性素材としての開発~エネルギー源, ストレス応答, オートファジー~
Development as a functional material making full use of trehalose characteristics ~Energy source, stress response, autophagy~

 トレハロースは, 食品加工をはじめとする様々な分野で利用されている。ここでは, トレハロースの生物学的意義, 動物やヒト試験で認められた種々の生理作用の他, トレハロースが持つ生理作用がオートファジーと関連することを示唆する最近の知見を紹介し, 機能性素材としての今後の展望について記述する。

【目次】
1 はじめに
2 自然界に存在するトレハロースの生物学的意義
3 トレハロースの生理作用
3.1 トレハロース経口摂取が腸管に与える影響
3.2 トレハロースの骨吸収に対する影響
3.3 血糖やインスリンに与える影響
3.4 トレハロースの生活習慣病予防に対する効果
4 オートファジーとトレハロース
5 おわりに

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パラチノース(R)(イソマルツロース)
Palatinose(R)(Isomaltulose)

 パラチノース(R)(イソマルツロース)はスクロースの構造異性体であり, 消化吸収が穏やかな二糖類である。他の糖質に由来する血糖上昇を抑え, 非う蝕性, 内臓脂肪蓄積抑制, 脳機能持続等の機能特性が報告されている。パラチノースは30年以上にわたる食経験があり, 特定保健用食品の関与する成分として認められた実績がある等, 安全性は確認されている。

【目次】
1 緒言
2 安全性
3 構造・代謝特性
4 血糖上昇抑制効果
5 内臓脂肪蓄積抑制効果
6 非う蝕・抗う蝕効果
7 脳機能維持・向上効果
8 用途展開及び実用例
9 おわりに

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ガラクトオリゴ糖
Galacto-oligosaccharides

 ガラクトオリゴ糖は, 基本骨格であるラクトースにガラクトースが結合したオリゴ糖であり, 最も多用されるプレバイオティクスの一つである。本稿では, ガラクトオリゴ糖の合成や開発について説明するとともに, 近年明らかになった生理効果や作用機序についても概説する。

【目次】
1 概要
1.1 ガラクトオリゴ糖とは
1.2 GOSの合成反応
1.3 グルコシドヒドラーゼ(以下, GH)
1.4 市販されているGOS
1.5 高純度GOSの開発
2 オリゴメイトの機能性(ガラクトオリゴ糖の生理機能や作用機序の知見)
2.1 プロバイオティクスとの併用による感染防御効果の促進
2.2 腸内腐敗産物産生の抑制
2.3 皮膚症状の改善効果
2.4 育児粉乳で哺育される乳児への効果
2.5 ビフィズス菌によるGOS代謝メカニズム
2.6 これからの生理機能や作用機序の解析

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ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)の機能性
Functionality of lactulose( Milk oligosaccharide)

 ラクチュロースはヒトに消化, 吸収されることなく大腸に到達し, プレバイオティクスとしてビフィズス菌に利用され, 腸内フローラを改善する。世界中で健康食品, 医薬品などに利用されている。また, ラクチュロースは腸管壁のバリア性の評価などにも用いられている。今後, ラクチュロースを関与成分とした機能性表示食品が開発されていくと考えられる。

【目次】
1 はじめに
2 ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)とは
3 ラクチュロースの生理機能
3.1 資化性
3.2 ビフィズス菌増殖作用
3.3 カルシウム, マグネシウム吸収促進作用
3.4 血糖値への影響
4 医薬品としての利用
4.1 便秘薬としての利用
4.2 高アンモニア血症改善薬
5 ラクチュロースを用いた検査
5.1 腸管壁バリア機能の測定
5.2 呼気水素試験
6 安全性
7 加工特性
8 おわりに

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機能性食品素材「キチンオリゴ糖」の応用
Application of chitin oligosaccharides as a functional food material

 キチンオリゴ糖はカニ, エビなどの甲殻に含まれる高分子多糖類のキチンを部分加水分解することによりつくられるオリゴ糖である。多くの研究の結果, キチンオリゴ糖を含む様々な糖質は生体調節機能を有することが明らかとなってきた。焼津水産化学工業(株)では, キチンの高度利用を目指し, 食品用キチンオリゴ糖「NACOS-Y」を製造, 販売している。本稿では, キチンオリゴ糖の機能性食品素材としての特性, 機能性, および利用の現状について紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 製造方法
3 特性
3.1 味質と甘味度
3.2 溶解度
3.3 水分活性
3.4 pH安定性
3.5 着色性
3.6 難消化性
3.7 腸内細菌資化性
4 安全性
5 免疫賦活作用・抗腫瘍作用
5.1 免疫賦活作用(リンパ球を用いた検討)
5.2 免疫賦活作用(マウス単球細胞 RAW264.7を用いた検討)
5.3 抗腫瘍作用(マウスを用いた検討)
6 免疫調節作用
7 その他の利用
8 おわりに

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リン酸化オリゴ糖カルシウムの機能性食品への応用
Application of Phosphoryl Oligosaccharides Calcium for Functional Foods

 口腔の健康は生活の質を左右する重要な決定要因の一つある。健康寿命を寿命により近づけた長寿化社会を実現するためには, むし歯をはじめとする口腔疾患が原因の, 歯の喪失を防ぐことが重要な取り組みである。そこで我々は高水溶性カルシウムであるリン酸化オリゴ糖カルシウムを開発し, だ液の機能性強化によるう蝕予防に有効な手段を開発した。歯質の必須ミネラルであるカルシウム, リン酸, に加えて, 強化剤のフッ化物を唾液に安定的に溶かし込み, 歯質への浸透性を高めて結晶再生を促す技術開発に成功した。本稿では, その技術開発と特定保健用食品への利用研究までを概説する。

【目次】
1 はじめに
2 口腔ケアとリン酸化オリゴ糖カルシウム
3 う蝕(むし歯)と糖質
4 リン酸化オリゴ糖カルシウムの特性
5 オーラルケア食品の設計
6 唾液を介した歯エナメル質結晶の回復検証
7 特定保健用食品の取得
8 おわりに

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BIO R&D

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アーキアべん毛作動機構解明のための精密顕微測定技術
Imaging techniques for elucidation of motility mechanisms of archaella

 自然界には化学エネルギーを力学的な仕事に変換する, 生体分子モーターと呼ばれるタンパク質が存在する。生体分子モーターの形や作動機構は生物種により様々であるが, 人類が生み出した機械を超越した精巧な仕組みで働く。本稿では光学顕微鏡下での精密測定により明らかとなった, アーキアが有する生体分子モーターの仕組みを紹介する。

【目次】
1 生体分子モーター
2 分子モーター研究を支えるイメージング技術
3 アーキア
4 1細胞レベルで詳細な運動を画像化する
5 まるで時計の針の様に規則正しく動くモーター
6 数値計算による遊泳運動の再現
7 おわりに

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歯髄幹細胞培養上清による多発性硬化症改善効果
Conditioned Medium from the Stem Cells of Human Exfoliated Deciduous Teeth Ameliorates Experimental Autoimmune Encephalomyelitis

 再生医学(幹細胞移植療法)による多発性硬化症の治療が期待されている。しかしながら, 移植細胞の品質, 腫瘍形成や免疫拒絶の危険性など, 臨床応用には課題が多い。本稿では幹細胞が分泌する組織再生因子群を無血清培養上清として回収し, 多発性硬化症の治療法開発に応用した我々の研究を概説する。

【目次】
1 はじめに
2 再生医療の細胞源としての歯髄幹細胞の特性
3 歯髄幹細胞CMによる神経再生療法の開発
4 歯髄幹細胞CMによる新しいMS治療法の開発の可能性
5 まとめ

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≪BIO PRODUCTS≫

ポリ酸無水物(Polyanhydrides)