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  • シーエムシー出版
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  • 27MB
  • 2021/03/12

月刊バイオインダストリー 2021年3月号

シーエムシー出版

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<著者一覧>

井上國世 京都大学名誉教授
菅原卓也 愛媛大学
酒井康行 東京大学
チェ・ヒョンジン 東京大学
ファド・ガンジー・トリザール 東京大学
堀口一樹 東京大学;大阪大学
西川昌輝 東京大学
藤田泰毅 (株)大塚製薬工場
西村益浩 (株)大塚製薬工場
小森奈月 (株)大塚製薬工場
上田忠佳 DS ファーマアニマルヘルス(株)
松村昌典 北見工業大学
吉原利忠 群馬大学
田上友季也 福岡大学
上原吉就 福岡大学;福岡大学病院


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【特集】動物細胞培養における培地および培養系の工夫

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特集にあたって
Introduction

 本特集号では,動物細胞培養における培地,培養系,培養方法などのハード面における変遷と現状および解決すべき問題点を中心に,活発に研究されておられる先生方に執筆していただいた。ご多忙のところ,快く執筆してくださった先生方にあつく御礼申し上げる。動物細胞培養の研究においては,生産物の生理機能や応用性に関心が向くのは当然のこととしても,細胞を安全かつ簡便,安価に培養するための科学・技術にも,重要でかつ困難な課題が含まれている。本特集号の情報が,日々,細胞培養に取り組んでおられる研究者,学生諸氏にとり,タイムリーで有用なものであることを期待したい。

【目次】
1 バイオテクノロジー(BT)の要素技術には細胞融合・細胞培養が含まれる
2 BTは科学技術の延長線上で取り扱うことができる
3 石油ショック時代のBTから脱CO2時代のBTへ 
4 半世紀にわたるNBTの進歩
5 動物細胞培養の流れ:ワクチン開発,モノクローナル抗体(MAb),多能性幹細胞
6 動物細胞培養と故・村上浩紀教授

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ハイブリドーマの培養に適した無タンパク質無ホルモン培地(PHFM)の開発と応用および多能性幹細胞用培地における最近の進展
Development of a Protein- and Hormone-free Medium(PHFM)Applicable to Hybridoma Culture and Recent Progress of Culture Media for Pluripotent Stem Cells.

 モノクローナル抗体(MAb)は,各種生理活性物質の検出や分析,精製及び臨床診断や治療薬(抗体医薬)として広く用いられている。ハイブリドーマのinvitro 培養は,当初,ヒトMAb の生産を目的として,ヒト-ヒト(H-H)ハイブリドーマの培養に応用された。一方,マウスMAb についても,従来のマウス-マウス(M-M)ハイブリドーマをマウス腹水で培養する方法(腹水法)に代わり,invitro 培養での生産が広く行われている。本稿では,ハイブリドーマのin vitro 培養に向けた培地の開発の歴史を縦覧し,筆者らが開発に関わった無タンパク質無ホルモン培地(Protein- and hormone-free medium, PHFM)を紹介し,さらに本培地でのハイブリドーマ培養とMAb 生産について述べる。また,多能性幹細胞の無血清培養開発の最近の展開に関して概括し,ハイブリドーマ培養との関連を考察する。

【目次】
1 はじめに
2 動物細胞培養と合成培地
2.1 動物細胞培養黎明期
2.2 EarlのBSS,EagleのBMEとMEM,DulbeccoのDMEM
2.3 血清添加の問題点
3 無血清培地(Serum-free medium)と成長因子ITES
4 ハイブリドーマ無血清培養用基礎培地eRDFの開発
4.1 ITES添加eRDF培地の有用性
4.2 ITES添加eRDFによるハイブリドーマ培養
5 その他の成長因子の検索
5.1 ニワトリ卵黄リポタンパク質(Yolk lipoprotein, YLP)
5.2 ホスファチジン酸(phosphatidic acid, PA)
5.3 コラーゲン(Col)
5.4 ラクトフェリン(LF)
5.5 イムノグロブリン産生促進因子(IPSF)
6 無タンパク質無ホルモン培地(PHFM)の開発
6.1 PHFM開発の背景
6.2 PHFMの組成
6.3 PHFMでのハイブリドーマの培養
6.4 PHFM中でのハイブリドーマからのMAb生産
6.5 PHFMで培養したハイブリドーマ培養上清のSDS?PAGE
6.6 大量ハイブリドーマ培養によるMAb生産
7 ヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の培地
7.1 ゼノフリー・フィーダーフリー培養用の完全合成培地が望まれている
7.2 ヒトES/iPS細胞用無血清培地
7.3 FGF-2及びTGF-βに代わる増殖因子の探索
7.4 ES/iPS細胞の浮遊培養
8 おわりに  

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動物細胞の生産性を向上する培地添加因子
Production Stimulating Factors for Animal Cell Culture

 動物細胞が産生する物質は生物製剤,特に近年では抗体医薬として様々な疾病の治療に用いられている。動物細胞による物質生産の効率化には,大量培養や高密度培養などの培養工学的手法,強力なプロモーター遺伝子の導入などによる分子生物学的手法がある。また,生理学的手法による生産性向上として,本稿では,ハイブリドーマのモノクローナル抗体産生やマクロファージのサイトカイン産生を促進する因子を紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 コラーゲンによる抗体生産性の改善
3 コラーゲンの作用機構
4 マクロファージに対するコラーゲンの促進効果
5 塩基性タンパク質の抗体産生促進効果
6 おわりに

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多能性幹細胞の大量培養法の現状と問題点および将来
Status and Future Perspectives of Large-scale Culture of Pluripotent Stem Cells

 iPS 細胞などの多能性幹細胞をヒトの再生医療に用いるためには,細胞を移植に必要な数まで大量培養し,かつ必要な臓器細胞へと分化誘導することが必須である。このためには,バイオ医薬品製造のための細胞大量培養技術を基礎としながらも,多能性幹細胞培養の特有の課題を克服し,適切な手法を構築する必要がある。本稿では,多能性幹細胞の大量培養技術を概観した後,そこで課題となる細胞凝集現象の制御と,コストダウンのための高密度培養に対する筆者らの最近の研究成果を紹介し,将来を展望してみたい。

【目次】
1 はじめに
2 大量培養法
2.1 2つの培養形式
2.2 iPS細胞の凝集・増殖プロセス
2.3 iPS細胞の凝集体浮遊培養の種類
2.4 攪拌翼を用いる動的浮遊培養
2.5 容器振盪型の動的浮遊培養
3 凝集の制御
3.1 添加剤による凝集制御
3.2 容器形状による凝集制御
4 透析と高密度化
5 おわりに

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細胞懸濁保存液セルストアS 及び細胞洗浄保存液セルストアW によるヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の保存
Preservation of Human Adipose Tissue Derived Mesenchymal Stromal Cells with The Cell Suspension and Preservation Solution (Cellstor-S) and The Cell Wash and Preservation Solution (Cellstor-W)

 抗炎症や免疫調節といった機能を有している間葉系幹細胞は,様々な疾患への適応が期待され,数多くの臨床研究が進められている。承認された間葉系幹細胞製品では,凍結保存や常温保存が選択されている。本稿では,筆者らが開発した細胞保存液によるヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の保存の実例について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 冷蔵保存及び常温保存条件での使用例
3 細胞濃度の均一性の維持
4 凍結保存液の基液としての使用例
5 セルストアS及びセルストアWの製造原料について
6 凍結解凍の影響について
7 結語

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動物細胞用培養液の基礎と特長
Basic and Features of Animal Cell Culture Medium

 動物細胞の培養にとって培養液は必要不可欠なものであるが,培養液の特長や注意点などは意外と知られていない。そのため,本来,緩衝系に炭酸ガスを必要としない培養液を炭酸ガスインキュベータで使用するなど,誤った使用方法も増えつつある。そこで,本章では汎用されている動物細胞用培養液について,その特長と注意点等を解説したい。

【目次】
1 組織培養と培養液の歴史
2 培養液の基本的な組成
2.1 無機塩類
2.2 アミノ酸
2.3 ビタミン
2.4 糖など有機化合物
2.5 微量元素(Trace Element)
2.6 脂肪酸,脂質
2.7 ホルモン,タンパク質
3 主な基礎培養液
3.1 199
3.2 BME
3.3 Alpha-MEM 
3.4 D-MEM
3.5 RPMI1640
3.6 F10
3.7 F12
3.8 L158
3.9 McCoy
3.10 MEM
3.11 DF12
3.12 MCDB
3.13 混合培養液
4 血清の役割と無血清培養液
5 無血清培養液
6 無血清培養液の分類
6.1 血清代替品添加培養液1 
6.2 Defined培養液,Chemically Defined培養液
6.3 Xeno-Free培養液
6.4 Animal?Free培養液 
7 培養液の今後について

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BIO R&D

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血管のようなヌルヌル柔軟弾性管と簡単・瞬時に着脱できるコネクタの開発
Development of Connectors that can Easily and Instantly ConnectFlexible and Elastic Tubes

 生体管にカテーテルのようなチューブを接続するコネクタには,多くの課題がある。例えば,血管のような生体管は,ヌルヌルして滑りやすく,管壁が薄くて弾力があるため,カテーテルを確実かつ簡便で迅速に着脱することが難しく,しかもコネクタの装着が生体管に物理的損傷を与えることもある。本稿では,このような課題を解決するために開発されたコネクタを紹介する。

【目次】
1 開発経緯
2 ヌメリのある柔軟弾性管用コネクタに関する課題と技術的要求事項
3 バルーンカテーテルを応用したコネクタの開発
4 外筒内壁面形状と抜けにくさ
5 おわりに

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蛍光性脂質滴プローブを用いた細胞および組織内脂質滴のライブイメージング
Live Imaging of Intracellular and in vivo Lipid Droplet Using Lipid Droplet-specific Fluorescent Probe

 脂質滴は,細胞内において脂質をエネルギー源とする代謝過程や,脂肪肝などの病態と深く関与している。本稿では,細胞から小動物臓器内の脂質滴のイメージングを可能とする蛍光性脂質滴イメージング試薬,およびそれを用いた細胞内脂質滴の形成過程やin vivoにおける脂質滴イメージングについて紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 脂質滴イメージングのための蛍光性試薬
3 蛍光性脂質滴プローブの光物理特性
4 PC6Sを用いた細胞内脂質滴イメージング
5 PC6Sを用いた脂質滴のin vivoイメージング
6 おわりに

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BIO ENGINEERING

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心拍の揺らぎに含まれる自律神経成分を活用した新たな運動強度判定法の試み
Novel Evaluation Method of Exercise Intensity Using Autonomic Nervus Components Contained in Heart Rate Variability

 運動が健康増進に効果的であることはよく知られており,その効果を高めつつ安全に運動を実施するためには適切な運動強度の設定が重要である。本稿では,筆者らが研究を進めている心拍変動を活用した新たな運動強度判定法について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 心拍変動測定における運動中の自律神経評価
3 心拍変動を活用した新規の運動強度判定法

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