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  • シーエムシー出版
  • ¥4,950
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  • 2017/04/12

月刊バイオインダストリー 2017年4月号

シーエムシー出版

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<<著者一覧>>
佐藤香枝 日本女子大学
太田庸介 京都府立医科大学
鈴木孝禎 京都府立医科大学
田澤 大 岡山大学大学院
大西哲平 岡山大学大学院
香川俊輔 岡山大学大学院
中村修治 (株)林原
藤原俊義 岡山大学大学院
松永行子 東京大学
野村広之進 みずほ証券(株)
前野一雄 NPO 法人「全世代」;地域医療機能推進機構(JCHO)


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BIO R&D

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遺伝子転写量および遺伝子変異の細胞内蛍光検出技術
Fluorescence Imaging for specifi c mRNA Detection in Cells

 遺伝子転写量および遺伝子変異を細胞内で見る試みは, 近年, 高感度化や高性能化され発展を遂げている。細胞の形状を保ったまま分析することで, 組織内での遺伝子変異のある細胞の分布が明らかになり, がん診断などの場で役立つものと期待されている。RNAscope法は1980年代に開発されたFISH法を複数のプローブを組み合わせることで高感度にしたものであり, 一分子の検出も可能である。一塩基の違いを見分ける精度を持つ方法としては, Padlock probeを用いた方法が開発されている。一方, SmartFlare法という低侵襲で生きた細胞のmRNAの発現を蛍光で検出する革新的なプローブも開発されている。本稿では, 近年開発されたそれぞれの方法の原理と利点について述べる。

【目次】
1 はじめに
2 ISH・FISH法
3 RNAscopeによる検出
4 Stellaris RNA FISH法による検出
5 in situ Padlock/RCA法による検出
6 マイクロデバイスを用いた細胞内遺伝子検出技術
7 SmartFlare RNA検出プローブ
8 まとめ

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LSD1阻害を引き金に抗がん剤を放出する小分子型DDSの開発
Development of a small molecule-based DDS:LSD1 inhibition-triggered release of anticancer agents

 薬物の体内動態を制御する技術であるDDSは, 薬理作用の向上や副作用の低減が期待され, がん等をはじめ多くの疾患で応用されている。一方で, これまでのDDSは高分子を基にしたものであり, 投与方法が制限される等課題も残される。本稿では最近, 筆者らが開発したLSD1を利用した新規小分子型DDSについて紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 LSD1を標的とした小分子型DDS
2.1 LSD1とLSD1阻害薬
2.2 LSD1阻害を引き金に薬物を放出するPCPA-薬物複合体
2.3 PCPA-タモキシフェン複合体
3 おわりに

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HOZOT 細胞を用いた腫瘍融解ウイルス製剤のDDS
Drug delivery system of oncolytic virus using HOZOT cells

 新たながん治療法として腫瘍融解ウイルスを用いたウイルス療法が開発されている。腫瘍融解ウイルスはがん選択的に増殖してがん細胞を破壊するが, ウイルスのがん選択的な運搬技術の開発が大きな課題である。本稿では, 筆者らが開発した細胞内侵入能を有するHOZOT細胞を用いたウイルス運搬技術について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 テロメラーゼ依存的に増殖する腫瘍融解ウイルス製剤「Telomelysin」
3 テロメラーゼ依存的に増殖する蛍光発現腫瘍融解ウイルス製剤「TelomeScan」
4 腫瘍融解ウイルス製剤「Telomelysin」の臨床開発
5 腫瘍融解ウイルス製剤の全身投与における問題点
6 がん選択的な細胞内侵入能を有するHOZOT細胞
7 HOZOT細胞を用いたウイルス運搬技術の開発
8 まとめ

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血管の破綻および正常化のみえる化―in vitro三次元微小血管モデルを用いた血管透過性評価系の構築―
Visualization of vascular dysfunction and vascular normalization: Development of method to evaluate vascular permeability using an in vitro 3D microvessel model

 血管は体中にネットワークを形成し, 各種臓器のおよび生体の恒常性を担っている。血管の内層を構成する内皮細胞間の接着の破綻による血管透過性の亢進は, 様々な疾患の発症と密接に関係している。このため, 血管透過性を抑制し血管の正常化を目的とした薬剤の開発と利用が注目されている。本稿では, in vitro三次元微小血管モデルを用いた, 血管透過性の評価系構築に関する筆者らの最近の取り組みについて述べる。

【目次】
1 血管新生阻害療法におけるin vitro血管モデルの必要性
2 血管のバリア機構
3 三次元微小血管モデルの基本構造と特徴
4 in vitro三次元微小血管モデルを用いた血管透過性評価法の構築
4.1 共焦点レーザー顕微鏡による蛍光透過性評価法
4.2 EDTA前処理がトロンビンによる透過性亢進を向上させる
4.3 007による血管透過性抑制の評価
5 おわりに

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BIO BUSINESS

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日本と世界の再生・細胞医療産業化
Industrialization of Regenerative Medicine and Cell Therapy in Japan and the world

 「再生・細胞医療」やその「産業化」というキーワードがにわかに注目されているが, 再生・細胞医療の初の製品が約30年前に誕生して以降, その産業化はほとんど失敗してきた事実は, あまりよく知られていない。足下の取り組みと過去の失敗は何が違うのか, 特に日本での産業化には何が必要かについて, 事例を交えつつ一定の見方を示したい。

【目次】
1 強い成長へのコンセンサス
2 足元の世界市場は一時的にやや縮小傾向
3 現在は再生・細胞ベンチャー企業も十分な収益を上げられていない
4 再生・細胞医療の歴史 ~産業化を阻んできた3つのハードル~
5 今後の再生・細胞医療はこれまでと何が違うか?
6 日本で再生・細胞医療が発展するために必要なこと

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産業用酵素の市場動向
Market trend of Industrial Enzymes

 産業用酵素は, 食品やトイレタリーなどの身近な生活製品から, 繊維, タンパク, 油脂, 醸造, 異性化糖向けなどの各種加工製品において, 日常不可欠なものとなっている。こうした既存分野に対して新規の酵素を導入する動きも続いており, 高齢者用の食品加工など新たな技術応用も始まっている。このような市場環境の中, 遺伝子組換え技術によるGMO酵素が環境問題や原料高騰の流れを受けて市場展開の拡大を続けている。また, 産業用酵素の利用分野では, エコロジー分野, エネルギー分野, ファインケミカル分野に伸びが期待され, 洗剤用酵素は近年の液体洗剤へのニーズの高まりによって需要が増大している。エネルギー分野では, バイオエタノールの開発が依然として注目を集めているものの, やや落ち着いた動きとなっている。エネルギー産業への展開は, 国内の産業用酵素市場における飽和状態にインパクトを与える好材料であり, 今後はこうした高付加価値の機能向上品の用途開発を進めることにより, さらなる新規需要も期待される。

【目次】
1 酵素の分類と市場概況
2 産業用酵素の市場
3 メーカー動向
(1) ノボザイムズジャパン
(2) 天野エンザイム
(3) ナガセケムテックス
(4) 新日本化学工業
(5) ヤクルト薬品工業
(6) 三菱化学フーズ

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《BIO PRODUCTS》

ソーマチン(Thaumatin)

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《BIO POLICY PROPOSAL》

医療と保育のインテグレーション
~病院の職員の子ども達だけに利用されている全国2,700の病院内保育所を, 地域住民に開放するプロジェクト~
Integration of Medical Care and Child Care

 先が読めない混沌とした時代。しかし不透明な現状を嘆くだけでは解決策は見つからない。主権者である国民はもっと発言する責任があり, 実際の政治, 行政に反映させていく社会的システムの構築が必要ではないか。一昨年9月発足したNPO法人「全世代」はいわば巷(ちまた)から未来の社会づくりに関わる参加型市井会議を目指している。

【目次】
1 はじめに
2 できることから力を合わせて解決していきたい
3 「待機児童」問題が解消できない理由
4 「病院内保育所」がもつ可能性
5 モデルケースで地域開放に向けた具体的流れをつくる
6 クラウドファンディングの実施
7 病院内保育所の地域開放に前向きな病院が多数ある
8 「子育て支援が日本を救う」
9 病院内保育所以外の取り組み