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自動車用プラスチック新材料の開発と展望 (普及版)
¥4,950
2011年刊「自動車用プラスチック新材料の開発と展望」の普及版!自動車の軽量化において、高品質を誇る日本の自動車部品・材料のプラスチック化の話題とパーツごとの独自の進化を解説!!
(編集:シーエムシー出版 編集部)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
倉内紀雄 倉内技術経営ラボ
箱谷昌宏 ジャパンコンポジット(株)
岡本正巳 豊田工業大学
北野彰彦 東レ(株)
藤田祐二 三菱化学(株)
新井雅之 日本ポリプロ(株)
菅原 誠 SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社
伊東禎治 ダイセル・エボニック(株)
帆高寿昌 帝人化成(株)
柳井康一 日本ゼオン(株)
常岡和記 三菱自動車工業(株)
寺澤 勇 三菱自動車工業(株)
白石信夫 (株)白石バイオマス
松坂康弘 三井化学(株)
太田 実 フドー(株)
小山剛司 フドー(株)
井上 隆 山形大学
堺 大 クオドラント・プラスチック・コンポジット・ジャパン(株)
金澤 聡 日本ポリエチレン(株)
林七歩才 (株)クラレ
藤田容史 ポリプラスチックス(株)
吉村信宏 東洋紡績(株) 総合研究所
澤田克己 ダイセル・エボニック(株)
出口浩則 出光興産(株) 機能材料部
岡田明彦 出光興産(株) 機能材料部
広野正樹 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
芹澤 肇 ポリプラスチックス(株)
加藤清雄 旭化成ケミカルズ(株)
松田孝昭 旭化成ケミカルズ(株)
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<<目次>>
第1章 自動車樹脂部品の動向と将来展望
1 自動車樹脂化の流れ
2 次世代自動車の動向
3 次世代自動車と高分子材料
4 新素材・新技術の例
4.1 次世代自動車を支える軽元素
4.2 重要なナノテクノロジーの例
5 まとめ
第2章 ボディー
1 外装・外板
1.1 低密度クラスA-SMC
1.1.1 はじめに
1.1.2 低密度クラスA-SMCの開発動向
1.1.3 低密度クラスA-SMCによる軽量化効果
1.1.4 低密度クラスA-SMCの適用例
1.1.5 おわりに
1.2 ナノコンポジット材料
1.2.1 はじめに
1.2.2 ナノコンポジットの種類とナノフィラー
1.2.3 用途分野
1.2.4 新規な3次元ナノ多孔体
1.2.5 展望
1.3 炭素繊維複合材料の自動車ボディへの適用
1.3.1 はじめに
1.3.2 海外の適用状況
1.3.3 国内の適用状況
1.3.4 まとめと今後の展望
1.4 バンパー材としてのPPの技術開発
1.4.1 はじめに
1.4.2 PPの特徴
1.4.3 PPバンパーの歴史
1.4.4 PPバンパー材開発のための要素技術
1.4.5 おわりに
1.5 フェンダー用樹脂材料の開発―Noryl GTX樹脂―
1.5.1 はじめに
1.5.2 フェンダーの樹脂化とメリット
1.5.3 フェンダー用樹脂材料と要求性能
1.5.4 Noryl GTX 樹脂と特徴
1.5.5 フェンダー樹脂化の課題と対応
1.5.6 樹脂フェンダーの今後
1.5.7 おわりに
1.6 ポリメタクリルイミド(PMI)硬質発泡材 ロハセルの自動車への展開
1.6.1 はじめに
1.6.2 ロハセルとは
1.6.3 ロハセルの特長
1.6.4 サンドイッチ構造におけるロハセル
1.6.5 ロハセルの加工方法
1.6.6 ロハセルの性能vsコスト
1.6.7 ロハセルの自動車向け用途例
1.6.8 おわりに
2 窓
2.1 ポリカーボネート樹脂製の自動車窓
2.1.1 樹脂グレージングを支える新素材技術
2.1.2 樹脂グレージングを支える新加工技術
2.1.3 実用化技術例(J-X3αテクノロジーによる窓とボディの一体化成形技術)
2.1.4 今後の展望
3 内装
3.1 インストルメントパネル表皮用パウダースラッシュ材料
3.1.1 はじめに
3.1.2 インストルメントパネルの基本構造
3.1.3 インストルメントパネル表皮の成形方法
3.1.4 パウダースラッシュ材料
3.1.5 おわりに
3.2 液状化木材フェノール樹脂成形品
3.2.1 液状化木材フェノール樹脂の概要
3.2.2 成形材料の製造工程
3.2.3 自動車用カップ型灰皿の要求性能
3.2.4 成形材料の性能
3.2.5 今後の課題
3.2.6 まとめ
3.3 植物由来ポリウレタン
3.3.1 はじめに
3.3.2 植物素材の選定
3.3.3 植物由来ポリウレタン
3.3.4 まとめ
3.4 バイオマスフェノールコンパウンド
3.4.1 はじめに
3.4.2 バイオマスフェノール樹脂
3.4.3 バイオマスフェノールコンパウンド
3.4.4 今後の展開
4 構造部品
4.1 耐衝撃性・耐熱老化性PLAアロイ
4.1.1 はじめに
4.1.2 PLAのゴム補強
4.1.3 結晶性プラスチックとのアロイ化による靭性向上
4.1.4 耐衝撃性・耐熱老化性PLAアロイ
4.1.5 靭性発現機構
5 アンダーボデーシールド
5.1 GMTコンポジット材料の展開
5.1.1 はじめに
5.1.2 GMTの特徴と用途事例
5.1.3 GMTex?の特徴と用途事例
5.1.4 SymaLITE?とその用途事例
5.1.5 アンダーボデーシールド材としてのGMT
5.1.6 一般乗用系車種のアンダーボデーシールドに求められるニーズ
5.1.7 これからの自動車設計において
第3章 燃料システム
1 燃料タンク
1.1 HDPE樹脂
1.1.1 ポリエチレン燃料タンク
1.1.2 ポリエチレン燃料タンクのメリット
1.1.3 ポリエチレン燃料タンクの多層化
1.1.4 多層ポリエチレン燃料タンクの層構成と使用材料
1.1.5 多層ポリエチレン燃料タンク用材料
1.1.6 溶着部品用材料
1.1.7 アドブルー(尿素水)タンク用材料
1.1.8 今後の展望
1.2 EVOH系燃料タンクとバイオ燃料への対応
1.2.1 はじめに
1.2.2 EVOH樹脂
1.2.3 EVOH系燃料タンク
1.2.4 おわりに
2 燃料系部品
2.1 POM樹脂(フューエルポンプモジュール)
2.1.1 はじめに
2.1.2 燃料系部品の校正
2.1.3 燃料系部品における樹脂材料
2.1.4 フューエルポンプモジュール
2.1.5 バイオ燃料への対応
2.1.6 おわりに
第4章 機構部品
1 エンジン系部品
1.1 ポリアミド樹脂
1.1.1 はじめに
1.1.2 自動車部品に採用されている樹脂とポリアミド樹脂の位置づけ
1.1.3 具体的な開発例
1.1.4 おわりに
2 駆動系部品
2.1 PEEK樹脂
2.1.1 はじめに
2.1.2 PEEKの歴史,需給動向
2.1.3 ベスタキープの商品群と主な特長
2.1.4 各産業分野におけるベスタキープ(自動車分野以外)
2.1.5 自動車分野
2.1.6 各種加工法におけるベスタキープ
2.1.7 べスタキープの技術開発動向について
2.1.8 おわりに
2.2 炭素繊維複合材料のプロペラシャフトへの適用
2.2.1 国内の適用状況
2.2.2 CFRP製プロペラシャフトの特長
第5章 電装部品・ランプ
1 電装部品
1.1 SPS樹脂のHV車への応用
1.1.1 はじめに
1.1.2 SPSとは
1.1.3 SPSの特徴
1.1.4 HV車分野への応用展開
1.1.5 おわりに
1.2 ジアリルフタレート樹脂成形材料
1.2.1 ジアリルフタレート樹脂とは
1.2.2 プレポリマーの製造と特徴
1.2.3 ジアリルフタレート樹脂成形材料(ダポール)の特徴と用途
2 ランプ
2.1 ヘッドランプレンズ(PC樹脂)
2.1.1 ポリカーボネート樹脂(PC)製ヘッドランプの特徴とPC化のメリット
2.1.2 ヘッドランプに要求される性能
2.1.3 ハードコート技術と塗膜性能
2.1.4 ヘッドランプグレード「ユーピロンMLシリーズ」
2.1.5 ヘッドランプ周辺技術
2.1.6 今後の材料系の課題
2.2 COC樹脂
2.2.1 はじめに
2.2.2 COCの特長
2.2.3 期待される用途
2.2.4 まとめ
第6章 タイヤ―省燃費タイヤトレッド用変性S-SBRの開発動向―
1 まえがき
2 環境との調和と省燃費性
3 タイヤの転がり抵抗の低減
4 転がり抵抗とブレーキ性能の制御と評価技術
5 S-SBRのポリマーデザイン
6 今後の材料開発の動向
第7章 自動車用プラスチックの開発状況―主要樹脂別使用実態と開発の方向・話題―
1 PE樹脂
2 PP樹脂
3 ABS樹脂
4 PMMA樹脂
5 PC樹脂
6 PBT樹脂
7 ポリアミド樹脂
8 ポリアセタール(POM)樹脂
9 PPS樹脂
10 LCP樹脂
11 PEEK樹脂
12 PPE樹脂
13 バイオマスプラスチック
14 ポリアミド(バイオポリアミド)
15 次世代自動車(HEV,EV)向けプラスチック
16 ポリアミド(バイオポリアミド)
17 次世代自動車(HEV,EV)向けプラスチック -
月刊バイオインダストリー 2021年1月号
¥4,950
<著者一覧>
矢澤一良 早稲田大学
孫 輔卿 東京大学
飯島勝矢 東京大学
葛谷雅文 名古屋大学
鈴木隆雄 桜美林大学
大澤俊彦 愛知学院大学
長竹貴広 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
國澤 純 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
山口浩平 東京医科歯科大学
戸原 玄 東京医科歯科大学
香川靖雄 女子栄養大学
功刀 浩 帝京大学
田中友規 東京大学
安藤 進 IMS グループ クローバーのさと
大渕修一 (地独)東京都健康長寿医療センター研究所
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【特集】抗フレイルと予防医学
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抗フレイルと予防医学~特集にあたって~
Anti-Frail for Preventive Medicine
1 はじめに
2 ロコモティブシンドロームからフレイルへ
3 ロコモ,フレイル対策としての運動系・抗疲労系機能性食品素材の有効活性
4 抗疲労系機能性食品と「筋肉・脳相関」
5 おわりに
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フレイル対策の実践
Combined Practces for Frailty Prevention
フレイルは健康状態と要介護状態の中間的な段階であり,可逆性があるため,適切なタイミングでの予防・対策により健康な状態に戻れる概念である。フレイル予防・介入には,「運動」「栄養・口腔」,「社会参加」の3 本柱が重要とされている。そのなか,「運動」と「栄養・口腔」は身体的フレイルの予防・介入の中核となる。加齢による骨格筋量の減少や食欲不振による慢性的な低栄養は相互に影響し,さらに悪循環となり,心身機能の低下を加速させることからもサルコペニアと低栄養に対する予防・介入はフレイル予防対策の大きな部分を占めている。現在,フレイルの予防・介入策は確立されているとは言い難いが,アジア太平洋のフレイル管理の診療ガイドラインでは,フレイル管理の原則として,「フレイルはサルコペニアと重複する。そのため管理の原則は両者間で同一になりうる」と述べられている。日本サルコペニア・フレイル学会の「サルコペニア診断ガイドライン2017 年版」においても,栄養と運動がサルコペニアの発症を予防・抑制できるかについて,強く推奨すると示している(表)。
実際,フレイル高齢者における運動や栄養の介入効果については多数報告されている。「運動」や「栄養」単独の効果だけではなく,組み合わせによる増大効果(augment effect)に関してもランダム化介入試験などによる検討が行われ,効果検証されるようになってきた。このような動向からも,フレイルの予防・介入策は「運動」,「栄養・口腔」,「社会参加」をどのように組み合わせて,相乗効果をもたらすか,また続けられる組み合わせはなにかが重要になっている。最近の知見をあげながら,その組み合わせの例を紹介する。
【目次】
1 運動:種類の組み合わせ効果
2 栄養:運動や口腔との組み合わせ効果
3 ウイズ・ポストコロナ社会における「社会参加」の創意工夫
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フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームの概念
The Concept of Frailty, Sarcopenia, and Locomotive Syndrome
フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームは昨今健康寿命延伸との関連性で良く聞かれるタームである。ただ,それぞれの正確な定義,診断法などは意外と周知されていない。本章ではそれぞれの概念,診断,相違点,地域高齢者の有病(症)率などについて言及する。
【目次】
1 はじめに
2 フレイルの概念
3 サルコペニア
4 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
5 フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームとの相互関係
6 さいごに
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フレイルと認知症
Frailty & Dementia
わが国の超高齢社会における高齢者の健康の大きな課題となっているフレイルと認知症について両者の概念,疫学的データを述べた。特に認知的フレイルの特徴や,認知症の前段階とも考えられる軽度認知障害(MCI)における認知症予防対策に関する科学的根拠の構築状況についても実験例を中心として紹介した。
【目次】
1 フレイルと予防対策
2 認知的フレイルについて
3 認知症予防としての軽度認知障害の重要性
4 BDNFと脳機能
5 わが国の地域在宅高齢者を対象としたBDNFに関する研究の紹介
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フレイルとフリーラジカル障害
Frailty and Free Radical Damage
高齢期では加齢に伴ない「フリーラジカル・活性酸素」の過剰な産生が「酸化ストレス障害」を生じ,「フレイル」の大きな原因となっている。本稿では,「酸化ストレス障害」のメカニズムを概説し,「植物エクオール」や「アスタキサンチン」,「レモンフラボノイド」などの「抗酸化物質」による「フレイル」予防の可能性を紹介する。
【目次】
1 「フレイル」と「サルコペニア」
2 「酸化ストレス障害」はなぜ生じるか?
3 「フレイル」の予防における「酸化ストレス障害バイオマーカー」の開発への期待
4 「フレイル」予防における「抗酸化物質」への期待
5 抗酸化評価系のヒト臨床への応用
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加齢による免疫フレイル・炎症・脂質代謝
Frailty in Immune System:Ageing, Inflammation and Lipid Metabolism
加齢は感染症への罹患や重症化のリスク因子であり,その背景には免疫老化や炎症制御機構の破綻が考えられる。本項では,免疫老化におけるT 細胞の質的変容や,胸腺や二次リンパ組織の構造変化,ワクチン応答の差,また筆者らが最近見出した抗炎症性脂質代謝物に関する知見を交えて最近の話題を提供する。
【目次】
1 はじめに
2 加齢による胸腺の退縮とT細胞の変容
3 加齢による二次リンパ組織の変容とワクチン応答の減弱
4 炎症制御における脂質代謝の重要性
5 ω3脂肪酸代謝物による新たな炎症制御機構
6 おわりに
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口から始める,フレイル予防
Frail Measures Starting From the Oral Cavity
オーラルフレイルは,口腔機能の軽微な低下から心身の機能低下に至るまでの一連の現象および過程を指す。フレイルは健常と障害の中間に位置するため,適切な介入による予防効果は高い。口腔・嚥下機能向上には,口腔だけでなく,身体へのアプローチも重要である。フレイル対策には,口腔・嚥下,運動,栄養などが一体化したプログラムの構築が必須であり,同時に対象者を適切に動機付けすることも重要である。
【目次】
1 オーラルフレイルとは?
2 オーラルフレイル理解の第一歩,口腔機能って何??
2.1 口腔乾燥
2.2 口腔衛生環境
2.3 舌圧
2.4 咬合力
2.5 咀嚼能力
2.6 嚥下機能
3 オーラルフレイルの勘所 口腔と全身の関連について
4 オーラルフレイルを広げるために~高齢者のニーズを捉える~
5 まとめ ~オーラルフレイルからの抗フレイル~
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抗フレイルのための栄養学
Nutrition to Prevent Frail
フレイル予防の基本は全ての栄養素を揃える食品多様性である。特にサルコペニアを予防する蛋白質摂取量は1.2~1.5 g/ 体重kg/ 日を3 食に等しく分け,消化能と同化能の低下に半消化態蛋白質,ロイシン,HMB 等を使う。さらに炎症性老化を防ぐ食事炎症指数の低い食事とし,老化で拡大する個人差の原因である遺伝子多型に対応した食事が望ましい。
【目次】
1 フレイル検診
2 心身活動と食事多様性で予防
3 低栄養とサルコペニアの予防
3.1 三大栄養素の最適な割合
4 フレイル予防のビタミン・ミネラル
5 炎症性老化を防ぐ食事
6 フレイルからの回復運動
7 遺伝子対応抗老化栄養
8 おわりに
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フレイルと老年期の精神疾患:うつ病,認知症との関連を中心に
Frailty and Elderly Psychiatric Disorders:Focus on Depression and Neurocognitive Disorders
フレイルと関連する精神疾患として,老年期うつ病や認知症との関連がよく検討されている。うつ病はフレイルの危険性を高め,フレイルはうつ病の危険性を高める。認知症も同様であり,特に歩行速度の低下や筋力低下は認知症発症のリスクとなる。これらの3 病態は互いに関連しており,老年期の健康維持において極めて重要な要因となる。日常的な運動習慣は,これらの病態の予防に重要である。
【目次】
1 はじめに
2 うつ病とフレイル
3 認知機能障害とフレイル
4 抗フレイル対策
5 おわりに
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社会的フレイル
Social Frailty
フレイルの社会的側面(社会的フレイル)は,外出・生活範囲,社会的ネットワーク(人とのつながり),社会的サポート,社会的脆弱な状況(一般・医療資源へのアクセス,経済的困窮など)が絡み合うため,慎重に見極め,介入する必要がある。社会的フレイル対策は貧困対策や生活支援は全体に講じつつも,社会参加や人とのつながりの醸成には性差を加味することが留意点である。
【目次】
1 フレイルとは?
2 社会的フレイルとは?
3 社会的フレイル対策はなぜ必要か?
4 社会的フレイルに性差はあるのか?
5 社会的フレイル対策「人とのつながり」の重要性
6 さいごに
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後期高齢期に要介護にならないために
To Avoid The Requirement of Nursing Care in Late Old Age
後期高齢期に入ると健康上の不具合が多くなる。平均寿命に対して健康でいられる期間はおよそ10 年短いといわれる。介護保険の世話にならないためには第1 に認知症にならないことである。認知症予防を目指す臨床試験の現状を述べる。第2に高齢者は感染症に罹りやすい問題である。免疫力の低下に帰せられるが,特に感染阻止の自然免疫力を高める重要性を述べる。
【目次】
1 はじめに
2 認知症を回避する試み
2.1 中枢神経系の老化─シナプス老化から説明
2.2 中枢神経機能の改善─シナプス機能の改善から
2.3 高次脳機能を向上させる─脳可塑性の賦活によって
2.4 認知症のリスク要因─疫学研究からわかってきたこと
2.5 認知症予防─臨床試験の現状から
3 免疫系の賦活
3.1 免疫系の老化─高齢者の易感染性の理由
3.2 免疫力を高める方法─自然免疫力を高めるのがベターか
3.3 ビタミンD(VD)による感染症流行の抑え込み─有望な臨床効果
4 おわりに
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フレイルと高齢者スポーツ
Sports Participation Preventing Frailty Among Old Persons
超高齢社会に於いては,疾病の予防にくわえて加齢に伴う心身機能,並びに社会機能の低下を予防していく必要がある。この加齢に伴う心身機能や社会機能の低下のうち可逆的なものを日本老年医学会はフレイルと定義した。要介護状態となる原因は疾病よりフレイルが多い。高齢期の生活の質を高めるためにもフレイル予防が大切となる。
本稿では,このフレイル予防に有効と考えられる介入をレビューし,これらの要素を持つスポーツについて論じたい。
【目次】
1 はじめに
2 介入
3 スポーツ
3.1 運動機能低下
3.2 認知機能低下
3.3 口腔機能低下
4 おわりに
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計測・モニタリング技術―化学計測・計装の最先端とその応用―(普及版)
¥5,060
2011年刊「計測・モニタリング技術―化学計測・計装の最先端とその応用―」の普及版!化学分析技術、プロセス産業におけるシステム技術と様々な分野における実際の計測・モニタリングの応用事例を紹介!!
(監修:山下善之)
<a href="http://www.cmcbooks.co.jp/products/detail.php?product_id=5333"target=”_blank”>この本の紙版「計測・モニタリング技術 ―化学計測・計装の最先端とその応用―(普及版)」の販売ページはこちら(別サイトが開きます)</a>
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
山下善之 東京農工大学
榊原 潤 筑波大学
井藤浩志 (独)産業技術総合研究所
久保真治 (独)日本原子力研究開発機構(JAEA)
長家康展 (独)日本原子力研究開発機構(JAEA)
船津公人 東京大学
金子弘昌 東京大学
加納 学 京都大学
鄭 立 (株)山武
笹岡英毅 (株)山武
源吉 聡 横河電機(株)
喜多井剛志 (株)山武
米山 徹 千代田化工建設(株)
久保内昌敏 東京工業大学
山下 亨 出光興産(株)
寒川誠二 東北大学
高見昭憲 (独)国立環境研究所
大原寿樹 横河電機(株)
佐藤義雄 荏原実業(株)
勝木雅人 横河電機(株)
三澤健太郎 東京工業大学
藤井正明 東京工業大学
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<<目次>>
第1章 総論
1 はじめに
2 センシング・分析技術
3 システム化技術
4 計測・モニタリング技術の応用
5 おわりに
第2章 先端計測分析技術
1 レーザ誘起蛍光法による水の温度と濃度の計測
1.1 はじめに
1.2 蛍光強度
1.3 濃度の計測
1.4 蛍光染料の最適濃度
1.5 消光について
1.6 温度の計測
1.7 二色LIF法への発展
1.8 その他の応用例
2 原子間力顕微鏡による精密ナノ計測
2.1 原子間力顕微鏡装置の特徴
2.2 原子間力顕微鏡装置
2.3 形状測定のためのカンチレバー選択と測定モード
2.4 測定例
2.5 液中アプリケーション
2.6 ナノ物性計測とカンチレバー
2.7 おわりに
3 放射線によるオンライン組成計測
3.1 化学プロセスシステムにおける放射線利用計測
3.1.1 化学プロセスシステムにおける組成計測
3.1.2 放射線を利用する計測の特徴
3.2 放射線源と検出器
3.2.1 放射線の種類
3.2.2 放射性同位体
3.2.3 密封線源
3.2.4 放射線の検出器
3.3 放射線と物質との相互作用
3.3.1 光子と物質との相互作用
3.3.2 中性子と物質の相互作用
3.4 放射線による組成計測方法
3.4.1 放射線密度計による組成計測
3.4.2 厚さが一定でない試料の組成計測
3.4.3 放射線透過によるイオウ成分計測
3.4.4 石油・水・ガス混合物の成分比率計測
3.4.5 試料のかさ密度を補正する中性子線源による水分量計測
3.4.6 熱化学水素製造プロセスに用いる溶液の組成計測
第3章 システム技術
1 ソフトセンサー―測定困難な対象を高精度で推定する技術―
1.1 ソフトセンサーとは
1.2 ソフトセンサーの役割
1.3 ソフトセンサーの課題
1.4 ソフトセンサーの研究例
1.5 おわりに
2 多変量統計的プロセス管理
2.1 はじめに
2.2 主成分分析
2.3 主成分分析に基づく多変量統計的プロセス管理
2.4 寄与プロットによる異常原因の特定
2.5 動特性の取り扱い
2.6 バッチプロセスの管理
2.7 品質変数の取り扱い
2.8 様々な運転条件への対処
2.9 独立成分分析の利用
2.10 おわりに
3 プロセス・オートメーション用センサー・ネットワーク
3.1 はじめに
3.2 プロセス・オートメーション用センサー・ネットワークとは
3.3 プロセス・オートメーション用センサー・ネットワークへの技術要求
3.3.1 通信信頼性
3.3.2 実時間性
3.3.3 通信距離
3.3.4 防爆・防水対応
3.3.5 消費電力
3.3.6 長期安定供給
3.4 プロセス・オートメーション用センサー・ネットワークの分類
3.4.1 4~20mA電流ループ
3.4.2 フィールドバス
3.4.3 HART通信
3.5 プロセス・オートメーション用ワイヤレス・センサー・ネットワーク
3.5.1 ワイヤレス・センサー・ネットワークのアプリケーション
3.5.2 ワイヤレス・センサー・ネットワークの技術要素
3.5.3 ワイヤレス・センサー・ネットワークの標準化動向
3.6 おわりに
4 プラント時系列データ解析
4.1 はじめに
4.2 時系列データ解析
4.3 時間周波数解析
4.4 ウェーブレット変換とは
4.5 ウェーブレット変換の定義
4.6 ウェーブレット変換によるプラント時系列データの解析
5 計測・制御システムと運転監視
5.1 はじめに
5.2 DCSのアーキテクチャ
5.3 DCSのコントローラ概要
5.3.1 制御演算
5.3.2 コントローラの入出力部
5.4 DCSのHMI(Human Machine Interface)概要
5.4.1 計器画面
5.4.2 グラフィック監視画面
5.4.3 アラームサマリ画面
5.4.4 トレンド監視画面
5.5 高度アラーム監視
5.5.1 複数プロセス値の相関関係を監視(領域監視)
5.5.2 統合アラーム管理
5.6 DCSの課題と今後の展開
6 無線計装システム
6.1 はじめに
6.2 無線計装システムと無線通信技術
6.2.1 無線LAN
6.2.2 無線PAN
6.2.3 共存
6.3 無線計装システムの導入事例
6.3.1 防火用水タンクレベル監視
6.3.2 低温貯蔵庫内温度監視・ドア密閉状態監視
6.3.3 ガス漏洩検知
6.4 無線計装システムへの期待
6.5 おわりに
7 プロセス安全計装システム
7.1 はじめに
7.2 機能安全規格
7.3 安全とリスク
7.4 安全計装システムのライフサイクル
7.5 安全計装システム設計
7.5.1 プロセス危険解析(PHA: Process Hazard Analysis)
7.5.2 必要安全度水準の決定(SIL Assignment)
7.5.3 安全計画(Safety Plan)
7.5.4 構成ループの評価検討(SIL Verification)
7.5.5 ハードウェアデザイン
7.6 改訂IEC 61508
7.7 おわりに
第4章 応 用
1 装置材料の腐食モニタリング
1.1 はじめに
1.2 化学装置内部の腐食モニタリング
1.2.1 UT法による腐食モニタリング
1.2.2 物理的,化学的手法による腐食モニタリング
1.2.3 電気化学的腐食モニタリング
1.2.4 電気化学ノイズ法の概要
1.3 大気腐食モニタリング
1.3.1 ACMセンサの概要
1.3.2 大気腐食モニタリングの鋼構造物への適用例
1.3.3 大気腐食モニタリングのCUIへの適用例
1.4 有機材料の腐食モニタリング
1.4.1 環境液浸透をモニタリングする試み
1.4.2 樹脂劣化反応をモニタリングする試み
1.5 おわりに
2 石炭ボイラ内部の燃焼・灰溶融状態のモニタリングと運転管理
2.1 はじめに
2.2 高温炉内監視カメラの仕様・特長
2.3 ボイラへの設置方法
2.3.1 簡易設置
2.3.2 遠隔操作回転システム
2.4 実機ボイラ設置事例
2.4.1 コーナー燃焼方式
2.4.2 対向燃焼方式
2.5 おわりに
3 プラズマプロセスダメージリアルタイムモニタリング
3.1 はじめに
3.2 オンウェハプラズマモニタリングセンサ
3.2.1 電荷蓄積量センサ
3.2.2 紫外線照射損傷センサ
3.2.3 センサシステムイメージ
3.3 おわりに
4 大気エアロゾルのモニタリング
4.1 はじめに
4.2 大気エアロゾルの動態
4.2.1 発生
4.2.2 輸送
4.2.3 反応
4.2.4 消失
4.3 エアロゾル質量分析計とその観測結果の解析
4.3.1 エアロゾル質量分析計の構造と測定法
4.3.2 観測例とその解釈
4.4 おわりに
5 近赤外分光分析によるモニタリング
5.1 はじめに
5.2 近赤外線とは
5.3 単位について
5.4 近赤外分光分析計について
5.5 近赤外分光分析法について
5.6 近赤外分光分析における定量法
5.7 オンライン測定への応用例
5.7.1 調合・調製プロセス
5.7.2 バッチ反応の終点モニタへの応用例
5.7.3 不純物監視
5.7.4 混酸の測定
5.7.5 エチレンプラントのモニタリング
5.7.6 ブチルゴム製造プロセスへの応用
5.8 おわりに
6 多項目オンライン自動計測システムによる水処理プロセスの効率運用と安全管理
6.1 はじめに
6.2 装置の概要
6.3 本計測システムの特徴
6.4 測定原理
6.4.1 光学式検出器(spectro::lyser)
6.4.2 電気化学式検出器
6.4.3 蛍光式検出器(oxi::lyser)
6.4.4 演算・表示器(con::stat)
6.5 光学式検出器(spectro::lyser)の校正について
6.6 プロセス・水質の異常監視
6.6.1 プロセスおよび処理排水の水質の異常監視
6.6.2 地下水の水質異常監視
6.7 下水処理施設における効率運用
6.8 オンライン計測
6.9 おわりに
7 生産エネルギーの見える化―生産ラインにおけるエネルギー無駄ゼロへ導くIT活用―
7.1 はじめに
7.2 FEMSの位置付け
7.3 工場の省エネ活動の課題
7.4 省エネ活動の体制構築
7.5 工場におけるエネルギーの「見える化」
7.6 EMS(Energy Management System)
7.7 省エネ事例
7.7.1 見える化から実現した省エネ効果事例
7.7.2 大手化学メーカーの製造エネルギーの把握から明らかになった省エネ事例
7.8 おわりに
8 燃焼排出ガス中の有害物質のリアルタイム濃度計測
8.1 はじめに
8.2 REMPI法とは
8.3 REMPI法の原理
8.4 超音速ジェット
8.5 装置構成
8.5.1 レーザー部
8.5.2 真空装置部
8.6 実際の分析例
8.7 さらなる応用 -
月刊バイオインダストリー 2020年10月号
¥4,950
<著者一覧>
小川 順 京都大学
安藤晃規 京都大学
奥田知生 京都大学
菊川寛史 静岡県立大学
阪本鷹行 徳島大学
櫻谷英治 徳島大学
岸野重信 京都大学
藤原昂平 慶應義塾大学
磯部洋輔 (国研)理化学研究所
有田 誠 慶應義塾大学
竹田浩章 (国研)理化学研究所
和泉自泰 九州大学
馬場健史 九州大学
守口 徹 麻布大学
原馬明子 麻布大学
石田 渓 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
長竹貴広 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
國澤 純 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
小倉正恒 国立循環器病研究センター研究所
後藤 剛 京都大学
岩瀬麻里 京都大学
川原崎聡子 京都大学
高橋春弥 京都大学
野村 亘 京都大学
井上和生 京都大学
河田照雄 京都大学
河島 洋 サントリーグローバルイノベーションセンター㈱
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【特集】ω-3脂肪酸
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特集にあたって
-ω-3 脂肪酸をつくる・理解する・展開する-
Introduction -Producing, Understanding, Developing ω-3 Fatty Acids-
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油糧微生物による種々のω3 脂肪酸含有油脂の発酵生産
Production of Various ω3-polyunsaturated Fatty Acid-containing Lipids by Oleaginous Microorganisms
オメガ3 高度不飽和脂肪酸(ω3-PUFA)は近年多彩な生理機能や有効性が報告され,健康維持に欠かせない食品成分として認知されつつある。ω3-PUFA のうち,ドコサヘキサエン酸(DHA),エイコサペンタエン酸(EPA)などは,魚油が主要な供給源となっているが,今後の需要の増加への対応や安定供給のために代替供給源の開発が活発化している。本稿では,DHA やEPA に加え,天然では希少なω3-ドコサペンタエン酸(ω3-DPA),エイコサテトラエン酸(ETA)を含有する油脂の微生物生産を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 Crypthecodenium sp. D31株によるDHA高含有油脂の発酵生産
3 Aurantiochytrium sp. T7株によるω3-DPA高含有油脂の発酵生産
4 Mortierella alpinaの分子育種株によるEPA高含有油脂の発酵生産
5 Mortierella alpina S14の分子育種株によるETA高含有油脂の発酵生産
6 おわりに
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腸内細菌によるω3 脂肪酸代謝と代謝物の生理機能
Omega 3 Fatty Acid Metabolism in Gut Microorganisms and Metabolite Biofunction
食事由来の主なω3 脂肪酸,α-リノレン酸,EPA,DHA が,宿主の酸化的代謝により生理活性脂質メディエーター等へ変換されるのみならず,腸内細菌による還元的代謝をうけ,水酸化脂肪酸,共役脂肪酸などの多様な代謝物に変換されることが明らかになってきた。その腸内細菌代謝の詳細と代謝物の生理機能を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 水和化代謝
3 飽和化代謝
4 ω3脂肪酸の腸内細菌代謝物の生理機能
4.1 抗炎症作用
4.2 抗酸化作用
4.3 脂肪酸合成抑制効果
4.4 消化促進作用
5 おわりに
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ω3 脂肪酸から生じる脂質メディエーターの生理機能と代謝経路
Physiological Function and Metabolic Pathways of Lipid Mediators Derived from ω3 Fatty Acids
生体内には多様な脂肪酸分子種が存在し,それらは代謝されることで様々な生理機能をもった脂質メディエーターに変換される。特にω3 脂肪酸由来の脂質メディエーターは炎症の制御や組織恒常性維持に関与することが近年報告されている。本稿ではω3 脂肪酸由来の脂質メディエーターの生理機能とその代謝経路について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ω3脂肪酸由来の炎症収束性メディエーター(Specialized pro-resolving mediator;SPM)の生理機能
2.1 EPA由来の脂質メディエーター
2.2 DHA由来の脂質メディエーター
2.3 DPA由来の脂質メディエーター
3 ω3脂肪酸の機能性発現に関わる代謝経路
4 おわりに
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ω-3 脂肪酸含有脂質を識別する定量リピドーム解析技術
Quantitative Lipidome Analysis for Separating Lipids with ω-3 Fatty Acids
生体内には脂肪酸と極性基の組み合わせにより膨大な種類の脂質分子が存在し,脂肪酸側鎖が異なる構造異性体やその結合位置が異なる位置異性体など,個々の脂質分子の識別には高度な計測技術が必要となる。しかし,個々の脂質分子を高精度に識別かつ定量が可能な技術基盤は未だ十分に構築されていない。本稿では,こうした課題を克服するために取り組んできた超臨界流体クロマトグラフィー質量分析を用いた定量リピドーム解析技術について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 リピドーム解析の現状
3 超臨界流体クロマトグラフィーを用いた脂質クラスの分離
4 構造異性体を識別する質量分析計の選択
5 定量分析技術の開発と応用
5.1 三連四重極型質量分析計を用いた脂質分子の定量分析
5.2 荷電化粒子検出器を用いた脂質クラスの定量分析
5.3 生体試料への適用例
6 おわりに
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成長発達期における多価不飽和脂肪酸の相互作用
Interaction of Polyunsaturated Fatty Acids During Growth and Development Period
Δ6 不飽和化酵素欠損マウスの生後2 日齢から,人工哺乳法により多価不飽和脂肪酸のバランスを調整した人工乳を与え,成長発達期における各脂肪酸の機能性とその相互作用について検討した。 その結果,身体成長にはARA が,脳機能を含む身体の発達にはDHA が必須であることがわかった。
【目次】
1 脳神経組織の発達
2 早産児,正期産で出生しても体重の低い新生児
3 マウス,ラットの人工哺育法
4 多価不飽和脂肪酸の代謝とω3系脂肪酸の必要性
5 食餌性ω3系脂肪酸欠乏マウスの作製
6 Δ6不飽和化酵素欠損(D6D-KO)マウス
7 多価不飽和脂肪酸のそれぞれの働きについて
7.1 身体形成における多価不飽和脂肪酸の働き
7.2 脳機能における多価不飽和脂肪酸の働き
7.3 脳組織の多価不飽和脂肪酸組成
8 多価不飽和脂肪酸の摂取バランスについて
9 おわりに
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ω3 脂肪酸代謝物に見出された新たな抗炎症・抗アレルギー作用
Emerging Roles of ω3 Fatty Acid Metabolites in the Regulation of Allergic and Inflammatory Diseases
ω3 脂肪酸の抗炎症作用は古くより知られていたが,その作用機序についての全容は明らかではなかった。本稿では,ω3 脂肪酸の「代謝」に着目することで見えてきたω3 脂肪酸代謝物によるアレルギー・炎症性疾患に対する抑制作用とそのメカニズムについて概説する。
【目次】
1 はじめに
2 ω3脂肪酸の代謝
3 EPA代謝物17,18-EpETEに見出された食物アレルギー抑制効果
4 17,18-EpETEのアレルギー性皮膚炎に対する有効性と作用機序の解明
5 17,18-EpETEの立体異性体に着目した構造活性相関
6 EPA代謝物15-HEPEによるアレルギー性鼻炎抑制効果
7 ω3 DPA代謝物14-HDPAによる母乳を介した仔マウスの接触皮膚炎の軽減
8 おわりに
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ω3 脂肪酸と動脈硬化予防
Do Omega-3 Fatty Acids Prevent Atherosclerotic Cardiovascular Disease?
ω3 脂肪酸はω6 脂肪酸とは対照的に血中トリグリセリド値を低下させ,抗炎症または炎症収束的に働き,さらに血小板凝集抑制作用も有することから動脈硬化予防に有用と考えられてきた。しかし,ω3 脂肪酸を用いた臨床試験の結果は一定せず,メタ解析結果は否定的である。ω3 脂肪酸の動脈硬化予防効果について,その是非や今後の課題について概説した。
【目次】
1 はじめに
2 ω3 脂肪酸の脂質代謝への影響
2.1 血中脂質の量に及ぼす影響
2.2 血中リポタンパクの質に及ぼす影響
3 動脈硬化性疾患予防のエビデンス
3.1 魚食習慣と心血管イベント
3.2 心血管リスクマーカーとしてのEPA/AA比
3.3 介入試験による心血管イベント抑制効果
3.4 なぜω3脂肪酸と心血管イベントの関連は一定しないか?
3.5 ω3脂肪酸の腸内細菌代謝物の研究
4 おわりに
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脂肪酸および脂肪酸代謝物が褐色脂肪組織機能に及ぼす影響 ~ω-3 脂肪酸を中心に~
The Effects of Dietary Fatty Acids and Their Metabolites on The Function ofBrown Adipose Tissue ~Based around Omega-3 Fatty Acids~
褐色脂肪組織はミトコンドリア内膜中に存在する脱共役タンパク質1 の機能を介して高い熱産生能を有する組織である。褐色脂肪組織の活性は肥満や肥満に伴う代謝異常症の発症と逆相関し,肥満関連疾患の予防・改善における新たな標的組織として注目されている。いくつかの食品成分が褐色脂肪組織の活性化能を有することが示唆されており,その有効活用が期待されている。本稿では,ω -3 脂肪酸をはじめとする脂肪酸およびその代謝物による褐色脂肪組織機能制御に関する知見について,筆者らの研究結果を含めて紹介する。
【目次】
1 褐色脂肪組織の機能
2 ω-3脂肪酸・その代謝産物による褐色脂肪組織機能亢進とそのメカニズム
2.1 ω-3脂肪酸摂取による褐色脂肪組織機能の活性化
2.2 ω-3脂肪酸摂取時の褐色脂肪組織機能亢進のメカニズム
3 その他の脂肪酸・脂肪酸代謝産物による褐色脂肪組織機能調節
4 おわりに
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ω-3 脂肪酸の食品への応用
Application of Omega-3 Fatty Acids to Functional Foods
日本では2015 年から機能性表示食品制度が始まったが,ヒトにおける様々な機能性が知られているω-3 脂肪酸はその主役の一つである。ここでは,機能性表示食品を中心にω-3 脂肪酸を用いた食品について概観するとともに,ヒトにおけるエビデンスの最近の動向を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ω-3 脂肪酸を用いた食品
2.1 DHA, EPA を用いた食品
2.2 α-リノレン酸を用いた食品
3 栄養素としてのω-3脂肪酸
3.1 摂取状況
3.2 目安量と目標量
4 ω-3脂肪酸と機能性表示食品制度
4.1 機能性表示食品制度の概要
4.2 DHA, EPAを機能性関与成分とする食品
4.3 α-リノレン酸を機能性関与成分とする食品
5 ω-3脂肪酸の機能性に関する最新の動向
5.1 機能性表示制度とω-3脂肪酸の機能性
5.2 循環器疾患リスクに関する最新情報
6 おわりに
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-
月刊バイオインダストリー 2016年10月号
¥3,960
<<著者一覧>>
舩本誠一 東京医科歯科大学
木村 剛 東京医科歯科大学
岸田晶夫 東京医科歯科大学
田川大輔 森下仁丹(株)
高橋宏明 ユシロ化学工業(株)
白川瑛規 ユシロ化学工業(株)
加藤秀典 黒金化成(株)
牧昌次郎 電気通信大学
長岡 功 順天堂大学
華 見 順天堂大学
坂本廣司 順天堂大学
蓬田 伸 東北薬科大学
奥津徳也 栗田工業(株)
Liesbet Lagae imec
<<総目次>>
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BIO REVIEW
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生物由来材料を使った人工血管の開発動向
An overview of artificial blood vessels prepared by biological materials
これまで, 生物由来材料とはコラーゲン, ゼラチンなどの精製タンパク質あるいは化学架橋された動物由来組織を指していた。近年, 新しい加工プロセスである脱細胞化や生体内で素材を構築する技術が提案され, 生物由来材料の考え方が大幅に広がっている。本稿では人工血管に焦点を絞り, 最近の生体由来材料の応用について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 生物由来材料の最近の動向
2.1 脱細胞化生体組織
3. 生物由来材料を用いた人工血管
3.1 シルク
3.2 細胞・生体を用いて調製した細胞外マトリックス
3.2.1 細胞および生体反応を用いて調製したECMによる人工血管
3.2.2 生体組織を用いて調製したECMによる人工血管
4. 生物由来材料と人工材料の複合化の試み
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シームレスカプセルの開発と応用展開
Seamless capsule of the development and application
【目次】
1. はじめに
2. 森下仁丹シームレスカプセルの製造方法
3. 森下仁丹シームレスカプセルの機能と特性
4. 生きた乾燥ビフィズス菌末のカプセル化
5. バイオカプセルの開発
6. シームレスカプセルの機能
6.1 遮蔽効果
6.2 リリースコントロール
6.3 物質吸収
6.4 マイクロリアクター
7. シームレスカプセルの応用
7.1 レアメタル・貴金属回収カプセルの開発
7.2 環境浄化カプセルの開発
7.3 シロアリ駆除剤カプセルの開発
8. 最後に
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BIO R&D
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自己修復性ポリマーゲルの紹介
The introduction of self-healing polymer gel
【目次】
1. はじめに
2. 自己修復の技術動向
2.1 工学的な手法
2.2 物理的な手法
2.3 化学的な手法
3. 「ウィザードゲル」について
3.1 分子構造とホスト-ゲスト相互作用
3.2 耐乾燥性能
3.3 自己修復性能
3.4 その他の性能
4. おわりに
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深部観察用発光試薬の開発
Innovation of NIR luciferin analogue for in vivo imaging
光イメージングは, RIのように特別な施設を必要とせず, かつ空間分解能が高い精密計測ができることで知られているが, 生体内深部可視化が世界的課題であった。ホタル生物発光型近赤外発光材料を創製し実用化することで, 生体計測に新しい方法を提案することができた。再生医療の実用化研究には, 中・大型動物の経時精密計測が必要となる。近赤外イメージング技術は正に, このニーズに最適な技術である。発がんやがん転移の可視化にもこの技術は活用できるであろう。
【目次】
1. はじめに
2. ニーズと背景
3. 技術開発
4. 工業化について
5. 市場
6. 展望
7. おわりに
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グルコサミンの抗血小板凝集作用と抗動脈硬化作用
Anti-Platelet Aggregation and Anti-atherosclerotic Actions of Glucosamine
【目次】
1. はじめに
2. 血小板凝集抑制作用
3. 血管内皮細胞の活性化抑制
4. グルコサミンの抗動脈硬化作用
5. おわりに
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塩素化エチレン分解能を有する
嫌気性微生物群の大量培養
Large-scale production of anaerobic bacterial consortia containing the genus
著者は, 塩素化エチレン汚染地下水の微生物浄化技術に関連し, 中間生成物であるクロロエチレンを確実に無害化できるDehalococcoides属細菌を含む, 嫌気性微生物群の大量培養方法を開発した。本報では, 200L容量の発酵槽を用いた嫌気性微生物群の大量培養方法とその培養液をもちいた実汚染地下水における浄化事例について述べる。
【目次】
1. はじめに
2. 揮発性有機塩素化合物の分解機構
3. Dehalococcoides属細菌の特徴
4. Dehalococcoides属細菌を含む嫌気性微生物群の大量培養
5. 培養液の品質確認
6. バイオオーグメンテーションの現場実証試験
6.1 サイト概要
6.2 施工およびモニタリング
6.3 不飽和帯における気相中PCE 濃度の推移
6.4 施工結果
7. おわりに
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干し草の山の中の針でも見つける(またはそれを調べる)ことが出来るチップ
This chip can find the needle in a haystack( and examine it)
【目次】
1. introduction(はじめに)
2. Scanning everything from tumor cellsto stem cells
(腫瘍細胞から幹細胞まですべてをスキャン)
3. A concept comes alive(コンセプトが現実となる)
4. A smart combination of silicon technology, lens free microscopy and ultrasmall steam bubbles
(シリコン技術とレンズフリー顕微鏡法と超マイクロ水蒸気泡の賢い組み合わせ)
5. The power of parallelization(並列化の力)
※英論文に日本語を併記しております。
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BIO BUSINESS
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バイオポリアミド
Bio-polyamide
【目次】
1. 概要
2. 生産量
3. 用途
4. ポリアミド関連企業動向
5. 価格
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BIO PRODUCTS
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コラーゲン
Collagen
【目次】
1. 概要
2. 毒性
3. 製法
4. 生産
5. 需要
6. 価格・荷姿
7. 市場予測
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ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ナトリウム)
Sodium hyaluronate
【目次】
1. 概要
2. 毒性
3. 製法
4. 生産
5. 需要
6. 価格・荷姿
7. 市場予測 -
月刊バイオインダストリー 2015年12月号
¥3,960
【特集】環境ストレス耐性作物の開発に向けて
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特集にあたって
Introduction
篠崎和子 (東京大学)
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企業における環境ストレス耐性作物の開発の現状
―乾燥耐性トウモロコシを例として―
Current Status of Development of Stress Tolerant Crops in Industry
― Case of Drought Tolerant Corn―
山根精一郎 (日本モンサント(株))
地球温暖化に伴う環境ストレスの中でも, 干ばつは収穫量への影響が大きく, その対策の一環として遺伝子組換え技術を利用した乾燥耐性作物が開発されている。モンサント・カンパニーが商品化した遺伝子組換え乾燥耐性トウモロコシは効果が高く, 生産者から支持を得ている。今後, 農業生産を維持・拡大する環境ストレス耐性技術の研究開発が期待される。
【目次】
1. はじめに
2. 環境ストレス耐性作物の開発
3. DroughtGard(R)トウモロコシ(MON87460)の乾燥耐性効果
4. DroughtGard(R)トウモロコシの乾燥耐性のメカニズム
5. アフリカにおける乾燥耐性トウモロコシ
6. おわりに
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統合オミックス情報解析と作物育種への利用
Effective Application of Large-Scale Omics Data and Knowledge-Based Information on Crop Plants
工藤 徹 (明治大学)
寺島 伸 (明治大学)
矢野健太郎 (明治大学)
ゲノムやトランスクリプトームなどの大規模オミックス情報の蓄積に伴い, 有用遺伝子の探索と高度利用化の促進などが期待される。ここでは, 大規模な遺伝子発現情報に基づく遺伝子探索手法やWeb データベース・知識ベースの活用法, 圃場情報(フェノームなど)とオミックス情報の統合データベース整備について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 遺伝子発現情報解析
3. CAに基づく遺伝子発現ネットワーク構築
4. 高信頼度な遺伝子機能アノテーション情報の整備と活用
5. 圃場情報管理システムの整備
6. おわりに
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植物ゲノム編集技術の現状と作物育種への利用
Development and Application of Genome Editing for Molecular Breeding in Plants
雑賀啓明 (農業生物資源研究所)
土岐精一 (農業生物資源研究所)
ゲノム編集技術は標的遺伝子を効率良く改変できる変異導入技術である。この技術は遺伝子の機能解析などの基礎研究のみならず, 植物の分子育種などの応用研究にも広く利用され始めている。ゲノム編集技術自体の開発も加速度的に進んでおり, 今後の進展が期待される。
【目次】
1. はじめに
2. 人工制限酵素
3. ゲノム編集技術
3.1 標的変異(targeted mutagenesis)
3.2 標的組換え( 遺伝子ターゲッティング, gene targeting[GT])
4. 植物研究へのゲノム編集の利用
5. おわりに
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植物の乾燥・高温応答の解明と耐性作物の開発に向けて
Analysis of Drought and Heat Stress Response in Plant for Developing Stress-Tolerant Crops
佐藤 輝 (理化学研究所)
篠崎和子 (東京大学)
近年, 植物の環境ストレス応答の詳細な分子メカニズムが明らかにされつつある。その中で乾燥や高温ストレス耐性作物を開発するための重要な知見も得られており, 地球温暖化が進む中で環境変動による作物の減収を防ぐことが期待されている。本稿では, 環境ストレス耐性作物の開発に関わる知見や, 課題, その解決策などについて紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 環境ストレス耐性向上の効果とその汎用性の考察
3. 環境ストレス耐性向上に付随する問題
4. 環境ストレス耐性向上の制御
4.1 プロモーター開発によるストレス条件限定的な制御
4.2 化学物質添加による条件限定的な制御
4.3 ストレス条件限定的な機能を持つ共役因子の開発
4.4 環境ストレス耐性と生長の複合的な制御
5. おわりに
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大型台風にも負けない強稈性を持つ耐倒伏性イネの開発
Development of Lodging Resistant Rice with a Strong Culm for Overcoming Large Typhoons
大川泰一郎 (東京農工大学)
地球温暖化に伴う集中豪雨, 台風の大型化などによりイネの倒伏被害が拡大している。将来の食料, 飼料増産, バイオマスエネルギー原料としてイネを利用する場合, 重い穂, 地上部バイオマスを支える強健な稈に改良する必要がある。現在, イネゲノム情報を利用したマーカー選抜により効率的に耐倒伏性イネを開発できるようになってきた。
【目次】
1. はじめに
2. 強稈イネ品種の持つ特徴とその原因遺伝子
3. 強稈準同質遺伝子系統とそれらの集積による強稈コシヒカリの開発
4. 低リグニン性と強稈性を両立するイネの開発とその形質解明
5. 大型台風に負けない極強稈性イネの開発に向けて
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光障害を防ぐ植物ビタミンC トランスポーターの発見
Identification of a Vitamin C Transporter Required for Photoinhibition Tolerance
宮地孝明 (岡山大学)
森山芳則 (岡山大学大学院)
ミトコンドリアで作られたビタミンCは葉緑体に運ばれ光障害を防ぐために使われている。一連の輸送過程は光障害の防御に重要であるが, よくわかっていなかった。著者らは, この過程を司るビタミンCトランスポーターを同定した。ビタミンCが光ストレスを軽減する分子機構の一端が解明された。
【目次】
1. はじめに
2. ビタミンCの役割
3. ビタミンCの輸送機構
4. 新しい輸送活性測定法の開発
5. ほ乳類のトランスポーター研究から得たヒント
6. 植物のビタミンCトランスポーターの発見
7. おわりに
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ナトリウム排除能が高いヨシ根におけるナトリウム下方移動の証明
Evidence for Na+ Exclusion to the Direction of Root Tips in Common reed
樋口恭子 (東京農業大学)
藤巻 秀 (日本原子力研究開発機構)
筆者らは放射性Naと非破壊的画像化技術, および新たなデータ解析手法を用いて, ヨシの根では侵入したNaが地上部に到達する前に回収され根の先端に向かって送り返されていることを証明した。これは新たな耐塩性作物を作出する端緒となるとともに, 本法が植物生理学および農学に対して新たな展開をもたらすことを示している。
【目次】
1. ナトリウムに対する中生植物の応答
2. 植物体内でのナトリウム輸送・分配の観察
3. 生きた植物体内での物質移動の観察―PETIS―
4. ヨシ根におけるナトリウム下方移動の証明
5. 今後の展望
5.1 ナトリウム排除能の高いイネの作出に向けて
5.2 「核農学」の確立
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効率的な窒素栄養吸収を可能にする根-葉-根間長距離シグナル伝達
Effective Nitrogen Uptake Controlled by Root-to-Shoot-to-Root Long-Distance Signaling
田畑 亮 (名古屋大学)
松林嘉克 (名古屋大学)
土壌中の硝酸イオンの分布は不均一であるため, 植物は個体全体として硝酸イオン取り込み量を最適に保つように, 根-葉-根間の情報伝達を介して, それぞれの根において取り込み量を変化させるシステムを保持している。本稿では, この全身的な硝酸イオン取り込み制御機構において, ペプチドホルモンCEP を介した長距離シグナルが果たす重要性について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. CEPファミリーペプチド
3. CEP受容体の同定
4. CEP受容体の二重変異体における硝酸イオントランスポーターの発現量低下
5. 窒素欠乏によるCEPファミリーペプチドの発現量上昇
6. 全身的窒素要求シグナリングにおけるCEPの役割
7. CEPR受容体はCEPペプチドを地上部で認識している
8. CEPおよびCEP受容体を介した全身的窒素要求シグナリング
9. おわりに
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BIO R&D
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CHO細胞培養におけるIgG モノクローナル抗体の酸性電荷バリアントに対する温度シフトの影響
Effect of Temperature Shift on Levels of Acidic Charge Variants in IgG Monoclonal Antibodies in CHO Cell Culture
岸下昇平 (中外製薬(株))
青柳秀紀 (筑波大学)
Chinese Hamster Ovary(CHO)細胞による抗体生産において, 酸性電荷バリアント(ACV)は抗体の重要な品質特性の一つであるが, その有効な制御に着目した培養法はこれまで報告されていない。臨床開発中の抗体の生産性向上をめざし, 製法改良を行ったところ, ACV 量の増加が認められた。この問題を解決するために, Failure Modes and Effects AnalysisとPlackett-Burman計画を活用したスクリーニングを試みた結果, ACV量の制御に有効な培養パラメーターを効率的かつ客観的に見出すことができ, その有用性が示唆された。得られた知見に基づき, 培養温度を低温にシフトさせることで, CHO細胞による抗体生産においてACV 量を低下させることに成功した。
【目次】
1. はじめに
2. Plackett-Burman計画による培養の制御パラメーターのスクリーニング
3. 培養温度シフト(シフト温度・シフトタイミング)が酸性電荷バリアントへ及ぼす影響の解析
4. おわりに
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TOPICS
応用脳科学の産業分野への利用拡大
Industrial Innovation by Applied Neuroscience
萩原一平 ((株)NTT データ経営研究所)
小俣貴宣 ((株)NTT データ経営研究所)
茨木拓也 ((株)NTT データ経営研究所)
山崎和行 ((株)NTT データ経営研究所)
脳科学の産業応用は人工知能分野への脳科学研究成果の活用が行われるようになり, 急速に顕在化している。しかし, 欧米では, 以前より, IT分野に限らず, あらゆる産業分野において, 人間の脳活動, とりわけ無意識に行われる意思決定や, ダイナミックな脳システムに関する研究成果がビジネスに活用されている。本稿では, その一部を紹介しつつ, 全体的な動向を概観する。
【目次】
1. なぜ今脳科学なのか
1.1 企業が生み出すものは満足した顧客の脳
1.2 選好に関する神経科学的研究の背景
2. 新商品開発における神経科学の知見と技術の応用
2.1 脳のメカニズムに根差した商品設計
2.2 新商品が市場で消費者にどのように捉えられるかを神経科学関連技術で評価
2.3 商品・サービスの魅力を実際に消費者に訴求していく際の, 広告効果の予測や改善
3. 香りを活用したビジネスの拡がり
3.1 フレグランスの心理的効果と活用
3.2 フレーバーの心理的効果と活用
3.3 香りを活用した商品開発のトレンド
3.4 香りを活用した商品開発をサポートする共用データベースの開発
4. ニューロエコノミクス研究が示す応用脳科学の将来 -
月刊バイオインダストリー 2016年7月号
¥3,960
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【特集】微細藻類が生み出すオイル/成分の産業展望
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リン欠乏応答性プロモーターを利用したナンノクロロプシス油脂合成の改変
A Phosphorus Starvation-inducible Promoter is Effective in Manipulating TAG Synthesis in Nannochloropsis
岩井雅子 (東京工業大学)
太田啓之 (東京工業大学)
近年, 藻類油脂の産業利用が話題になっているが, 藻類では栄養欠乏時に油脂などが大量に細胞内に蓄積することが知られている。最近我々は, 特に植物で研究を行ってきたリン欠乏時における膜脂質転換の仕組みを藻類に活用することで, 藻類の油脂蓄積の改変に成功した。本稿では研究の現状と今後の展望についてモデル藻類であるクラミドモナスと油脂高生産藻であるナンノクロロプシスを中心に述べる。
【目次】
1. 植物における油脂代謝改変研究
2. 藻類における油脂代謝研究
3. クラミドモナスを用いた油脂蓄積
4. ナンノクロロプシスを用いた油脂蓄積の応用
5. 今後の展望
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海洋微細藻類によるグリーンオイル生産における屋外大量培養技術開発
Development of Outdoor Mass Cultivation for Green Oil Production Using Marine Microalgae
松本光史 (電源開発(株))
野島大佑 (国立大学法人 東京農工大学)
田中剛 (国立大学法人 東京農工大学)
微細藻類によるグリーンオイル生産技術では, 安定的に屋外で微細藻類を培養・生産する技術の確立が一貫生産プロセスを構築する上で非常に重要となる。さらに, 生み出されたグリーンオイルがしっかりとしたCO2削減効果を有する価値のあるものとするには, プロセス全体のエネルギー収支, CO2バランスが取れたプロセス技術としなければならない。本稿では, 特に屋外培養技術を中心にし, 上述した点について議論したい。
【目次】
1. はじめに
2. 微細藻類によるグリーンオイル生産一貫プロセスに求められるもの
3. グリーンオイル年間生産に向けた屋外培養技術
3.1 年間生産のハードル
3.2 ソラリス株, ルナリス株による年間を通じた屋外培養
3.3 屋外培養におけるグリーンオイル蓄積条件
3.4 培養規模の大型化と天然海水利用
4. ソラリス株におけるオイル蓄積機構の解明
5. ソラリスオイルのブランド化
6. まとめ
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微細藻類の大量培養システムの開発
Large-Scale-Culture Systems Development of Microalgae
増田篤稔 (玉川大学)
微細藻類は, 食品添加剤から試験薬の原材料まで利用されている。新規産業用の有用物質探査や燃料用途の研究などが継続的に行われており, 産業利用可能な有用物質も発見されるなど注目のバイオマス資源である。しかし, 産業化するためには, 低コストで安定的な生産技術が求められている。室内大量培養システム開発方法を解説し, 屋外培養での留意点を述べる。
【目次】
1. はじめに
2. 微細藻類培養装置開発に関する基礎的知見
2.1 培養槽における環境制御項目
2.2 光環境
2.3 溶存ガス環境
3. 設計における環境因子の定量方法
3.1 培養槽外郭周辺の光環境設計計算
3.2 培養槽内の光環境計測と培養器形状
3.2.1 光透過測定装置と結果
3.2.2 解析
3.2.3 考察
3.3 培養内におけるガス挙動
3.3.1 培養槽内における溶存酸素濃度動態について
3.3.2 培養槽を用いた溶存酸素動態の検討事例
4. 実用プラントにおける餌料用微細藻類培養システム開発
4.1 培養槽条件と設計と性能
4.2 実用プラントシステム
5. 屋外培養についての留意点
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微細藻類収穫用分離板型遠心分離機「三菱ディスクセパレータ」
Disc Type Centrifuge“Mitsubishi Disc Separator”for Harvest of Microalgae
加治圭介 (三菱化工機(株))
三菱化工機(株)は, 産学協同の一社藻類産業創成コンソーシアムに参画し, 「福島県再生可能エネルギー次世代技術開発事業」に採択された福島藻類プロジェクトで活動してきた。本稿では, 福島藻類プロジェクトの藻類バイオマス生産開発拠点で微細藻類の収穫・濃縮用として稼動する分離板型遠心分離機「三菱ディスクセパレータ」について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 三菱ディスクセパレータの特徴と構造
2.1 微細藻類の収穫・濃縮方法
2.2 分離板型遠心分離機の分離理論
2.3 排出機構
3. 微細藻類の収穫・濃縮工程の実証結果
3.1 藻類培養液
3.2 微細藻類の収穫率
3.3 濃縮液の濃度
4. おわりに
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金属触媒を用いた藻類オイルの軽質化
Production of Lighter Compounds from Algal Oils using Metal Catalysis
冨重圭一 (東北大学大学院工学研究科)
中川善直 (東北大学大学院工学研究科)
田村正純 (東北大学大学院工学研究科)
藻類が産生する重質な炭化水素を液体燃料として有用度の高い軽質なオイルへ変換して利用する方法について, オイルの炭化水素分子の骨格構造を維持したまま炭素―炭素結合を水素化分解する方法について紹介する。この方法は石油精製産業で用いられている固体酸触媒と金属触媒の二元機能型触媒と異なり, 藻類オイルが持つ構造的特徴を活かした生成物の利用を志向するものである。
【目次】
1. はじめに
2. 触媒の活性金属スクリーニング
3. Ru/CeO2触媒を用いたスクワランの水素化分解反応試験結果と従来触媒系との比較
4. Ru/CeO2触媒上の水素化分解反応を用いたスクワランの軽質化
5. Ru/CeO2触媒の構造的特徴
6. まとめ
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藻類を利用した持続可能な油脂原料の開発
Development of Sustainable Raw Materials of Fats and Oils using Microalgae
萩原浩 (花王(株))
筆者が所属する花王(株)は“社会のサステナビリティヘの貢献”を目的に, バイオマスの高度利用を中心とした先進的な環境技術研究を進めている。本稿では, 界面活性剤の原料である天然油脂の主成分「中鎖脂肪酸」を多く蓄える藻類の獲得, および「中鎖脂肪酸」の生成に寄与する酵素類を藻類より初めて見出すことに成功したので紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. ラウリン酸生産藻類の探索
3. 培地・培養条件の改良によるラウリン酸の生産性向上
4. 藻類由来の中鎖脂肪酸特異的Acyl-ACP thioesterase(TE)の発見
5. 藻類由来の中鎖脂肪酸特異的β-Ketoacyl ACP synthase(KAS)の発見
6. 最後に
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ヘマトコッカス藻から得られるアスタキサンチンの食品への展開
Food Application of Astaxanthin Derived from Haematococcus Algae
清水稔仁 (オリザ油化(株))
単少桀 (オリザ油化(株))
下田博司 (オリザ油化(株))
抗酸化作用を有するカロテノイドの一種であるアスタキサンチンは, ヘマトコッカス藻を産業的に培養し製造している。アスタキサンチンには多岐にわたる機能性が見出されており, 食品への応用も盛んである。本稿ではそのヘマトコッカス藻由来アスタキサンチンの安定性, 安全性, 機能性について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. アスタキサンチン
3. アスタキサンチンの安定性
4. アスタキサンチンの安全性
5. アスタキサンチンの機能性
6. おわりに
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BIO R&D
加熱変性リゾチームの抗ノロウイルス性とこれを含むアルコール系製剤の開発
Research of Anti-Norovirus Activity of Heat Denatured Lysozyme and Development of Alcohol Based Disinfectant Containing it
武内章 (キユーピー(株))
東京海洋大学食品微生物学研究室との共同研究により, リゾチームを加熱変性したものに抗ノロウイルス活性があることが判った。この加熱変性リゾチームを含み, これ1本でノロウイルス・食中毒菌リスクを軽減できるアルコール系製剤を開発した道筋をご紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. ヒトノロウイルスの代替ウイルスを評価系として使用する際の問題点
3. リゾチーム溶液の加熱変性条件とMNV感染価の低下の関係
4. 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたウイルス粒子の観察
5. PMAを使用するqRT-PCR法によるMNVとヒトノロウイルスのカプシド蛋白の破壊の確認
6. ウイルス不活性化を起こすアミノ酸配列領域の決定
7. 学術研究の成果を中核とした新規商材の商品開発戦略
8. 加熱変性リゾチーム含有アルコール製剤「リゾパワーNV」の開発
9. 本製剤と各種抗ノロウイルス剤との比較
10. 本製剤のタマゴアレルゲン
11. 本製剤の使用例
12. 今後の展望
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BIO BUSINESS
バイオポリエチレン(バイオPE)の市場
Market of Bio-based Polyethylene
【目次】
1. はじめに
2. PE の生産量と需要
2.1 低密度ポリエチレン
2.2 高密度ポリエチレン
3. バイオPE 関連企業動向 -
月刊バイオインダストリー 2022年6月号
¥4,950
<著者一覧>
植田充美 京都大学
髙橋美帆 同志社大学
田中一晶 京都工芸繊維大学
古旗祐一 (国研)産業技術総合研究所
加藤義雄 (国研)産業技術総合研究所
草田裕之 (国研)産業技術総合研究所
玉木秀幸 (国研)産業技術総合研究所
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BIO ENERGY
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バイオエネルギー研究の進展状況
Current Studies on Bioenergy
バイオエネルギー研究は,デンプンやバイオマス由来のバイオエタノールが中心であるが,技術と実装にギャップがある。今後,ブルーリソースの活用が必要になる。一方,バイオディーゼル燃料の活用は進んでいる。地球温暖化防止・カーボンニュートラルにより,空中CO2固定は最重要課題であり,水素やアンモニアのカーボンフリー燃料への指向も大きな動きである。
【目次】
1 現況認識
2 食糧とエネルギーの非競合共役増産
3 前処理法の開発?バイオマスの完全糖化システムの合成生物学的創製
4 低炭素社会の新しいプラットフォーム:シュガープラットフォームとフェノールプラットフォームの形成
5 脱炭素エネルギーへの転換
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BIO REVIEW
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志賀毒素による細胞内小胞輸送制御がアミロイドβ産生を抑制する
Shiga Toxin Suppresses the Production of Amyloid β by Altering the Intracellular Transport of Amyloid Precursor Protein
アルツハイマー病の発症に関与すると言われるアミロイドβ(Aβ)は,その前駆体タンパク質APPが細胞内小胞輸送される過程でタンパク質分解酵素により切断され産生される。筆者らは,志賀毒素が小胞輸送されるに伴い,APPのリソソームへの輸送が亢進し,その結果Aβ産生が減少することを見出した。本稿では本知見について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 APPの細胞内輸送
3 Stxと細胞内輸送
4 StxとAPPの細胞内局在性
5 mStx2によるAβ産生の変化
6 おわりに
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ビデオ通話相手の身体を実体化するロボティックテレプレゼンスの開発
Development of Robotic Telepresence Systems That Physically Embodies the Video Call Partner’s Body Part
近年,ビデオ通話等のテレプレゼンスの需要が高まっている。しかしながら,ビデオ通話で創出できる空間共有感(相手と同じ空間で対面している感覚)は十分ではなく,様々な社会問題が生じている。本稿ではそれらの問題が生じる原因について考察すると共に,ロボットで相手の身体を実体化することでビデオ通話における空間共有感を高めるロボティックテレプレゼンスについて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 指示ジェスチャの実体化
3 身体接触の再現
3.1 人の手の触感を再現するロボットハンドの開発
3.2 ビデオ通話+身体接触のインタフェースデザイン
4 まとめ
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植物細胞に対するタンパク質導入
Protein Delivery into Plant Cells
近年ゲノム編集を初めとする多様なバイオテクノロジーの発展に伴い,機能性タンパク質を細胞内に導入することの重要性が高まっている。本稿ではまず,導入標的としての植物細胞の特徴と従来の導入技術について概説する。続いて特にタンパク質の直接導入に焦点を当て,実例を交えながら従来技術と比較,解説する。
【目次】
1 はじめに
2 導入標的としての植物細胞
3 導入分子の形態
4 植物におけるDNA導入
5 植物におけるタンパク質導入
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耐熱性プロバイオティクス乳酸菌由来の新規な耐熱性胆汁酸塩加水分解酵素の発見
Isolation of a Highly Thermostable Bile Salt Hydrolase from a Thermotolerant Probiotic Lactic Acid Bacterium
胆汁酸塩加水分解酵素は,乳酸菌の腸内定着性の向上やヒトのコレステロール低減などに関わる重要なプロバイオティクス酵素である。近年,筆者らは耐熱性乳酸菌から単離した新規な胆汁酸塩加水分解酵素が極めて高い耐熱性と安定性を有することを発見した。本稿では,特に産業利用の観点から筆者らの研究の意義やインパクトについて概説する。
【目次】
1 はじめに -プロバイオティクス乳酸菌と胆汁酸耐性-
2 胆汁酸耐性を有する新種Lactobacillus属乳酸菌の発見
3 胆汁酸塩加水分解酵素遺伝子の機能解析
4 LapBSHが高い耐熱性を有することを発見
5 L. paragasseriにも高い耐熱性があることを発見
6 BSHの新機能を発見
7 まとめと今後の展望
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BIO BISINESS
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再生医療
経済産業省の算出によると,再生医療の周辺産業まで含めた市場規模は,2012年の260億円から急速に拡大し,2030年には1.6兆円に達すると予測されている。2014年には再生医療推進に向け新たな法律も施行され,早期承認への道筋がつけられたほか,これまでは医療機関に限られていた細胞培養加工等の外部委託が可能となり,周辺産業も含めた市場の活性化が期待されている。
【目次】
1 概要
2 関連制度と体制
3 研究開発動向
4 メーカー動向
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健康食品・機能性食品工業
2021年の特定保健用食品(トクホ)市場規模は5,800億円(前年比104%)と推定され,市場は縮小に転じた。新型コロナウイルスへの抵抗力向上目的で乳酸菌関連が,また外出自粛により生活習慣病関連商品の需要が高まったが,全体としては新製品開発の停滞,機能性表示食品への移行等がマイナスに影響した。一方,機能性表示食品の市場規模は3,300 億円(前年度比120%)と推定され,前年に引き続き市場は大きく拡大した。コロナ禍の影響により,生活習慣病対策関連や抗ストレス・睡眠改善関連商品が市場をけん引した。2020年度は全体的な届出件数の増加に加え,「健康な人の免疫機能の維持」ほかいくつかの新規機能性の届出が認可され,トクホに代わり機能性表示食品を活用する動きはさらに加速している。
【目次】
1 健康食品と機能性食品
2 トクホ市場動向
3 機能性表示食品市場動向
4 健康食品の機能別市場動向
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食品添加物工業
高齢化や人口減少が進むわが国において,食品添加物市場は成熟化が進んでおり,近年横ばいに推移している。消費者の健康・安全への関心の高まりから一部の食品添加物に対しては忌避傾向がみられる一方,健康志向の高まり,高齢者や共働きの増加,日本食ブーム,インバウンド需要,アルコール離れ,災害用備蓄などの時勢の変化に対応した商品群は市場を拡大しており,これらに関連する食品添加物の需要は堅調に推移している。食品添加物公定書第9 版が2017 年11 月30 日に告示された。2007 年の第8 版発行から約10年ぶりの改定となり,この間に指定された89品目が新たに収載された。2021年6月,指定添加物472品目,既存添加物357品目,天然香料609品目が指定されている。
【目次】
1 概要
2 需給動向
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香料工業
2020年の国内生産量は前年比96.4 %の6万4,583トンと減少した。生産金額は前年比104.0%の1,856 億7,000万円となり,前年実績を上回った。香料には大きく分けて食品香料(フレーバー)と香粧品香料(フレグランス)があり,海外では同程度の市場を持っているが,国内ではおよそ7:1 で食品香料市場の方が大きい。2019 年の世界の香料売上高は,約265 億ドルと推定される。これはドルベースであり,現地通貨ベースでも増加している。特に中国,東南アジア市場の成長が大きい。香料は極めて嗜好性,快楽性の強い製品であるため,地域の気候,文化による差が大きく,それに対応した開発能力が求められている。
【目次】
1 需給動向
2 輸出入動向
3 安全問題への対応
4 メーカー動向
5 製品開発動向
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産業用酵素工業
産業用酵素は食品,洗剤,医薬,試薬など広範な分野で利用されている。その市場規模を正確に把握することは非常に難しいとされているが,2020年の世界市場は推計で6,900億円と推計される。さらに2025年には9,500億円へと,年6.5%の成長が予測されている。このような市場環境の中,わが国でも遺伝子組換え技術によるGMO 酵素が,環境問題やバイオエタノール需要の増加などの流れを受けて拡大を続けている。産業用酵素の利用分野では,エコロジー,エネルギー,ファインケミカル,食品・飲料分野などでの伸びが今後も期待され,洗剤用酵素も液体洗剤へのニーズの高まりから引き続き需要が増大するものと思われる。
【目次】
1 酵素の市場概況
2 産業用酵素の市場
3 メーカー動向
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BIO PRODUCTS
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アスパルテーム(Aspartame)
リゾチーム(Lysozyme)
D-アミノ酸(D-amino acid)
L-リジン塩酸塩(L-Lysine monohydrochloride)
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月刊バイオインダストリー 2018年4月号
¥4,950
<<著者一覧>>
大日向耕作 京都大学
水野賀史 福井大学医学部附属病院
島田浩二 福井大学
滝口慎一郎 福井大学医学部附属病院
友田明美 福井大学
渕脇雄介 (国研) 産業技術総合研究所
若井 暁 神戸大学
長瀬健一 慶應義塾大学
関根秀一 東京女子医科大学
清水達也 東京女子医科大学
金澤秀子 慶應義塾大学
岡野光夫 東京女子医科大学
Seung Jin Lee Ewha Womans University
大和雅之 東京女子医科大学
高橋宗尊 (株)島津製作所
田島健次 北海道大学
小瀬亮太 東京農工大学
石田竜弘 徳島大学
松島得雄 草野作工(株)
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BIO R&D
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食品と神経系の新しい相互作用と腸−脳連関
~経口投与で有効なストレス緩和および意欲向上作用を示す中分子ペプチドの発見~
Novel Interactions Between Foods and the Nervous System via the Gut-brain Communication
膨大な分子種からなる食品成分と生体の相互作用について新しい方法論による解明を目指した。食品タンパク質の酵素消化物の一斉分析情報および構造−活性相関情報 (生理活性を示すペプチドの構造上のルール) を活用し一群の新規ペプチドを発見した。これらの中には10アミノ酸残基前後と比較的分子量が大きいにも関わらず経口投与で医薬品以上の強力な効果を示す場合がある。従来の吸収を前提とした作用機構とは異なり, 腸−脳連関を介した作用であることが明らかとなった。今回, 経口投与で精神的ストレス緩和作用や意欲向上作用を示す大豆や緑葉タンパク質由来ペプチドを中心に紹介する。
【目次】
1 はじめに
1.1 食品タンパク質に由来する生理活性ペプチド研究のはじまり
1.2 食品由来ペプチドの神経系との相互作用
2 構造−活性相関および一斉分析による生理活性ペプチドの効率的探索
2.1 生理活性を示すペプチドの構造上のルール解明
2.2 牛乳由来のストレス緩和ペプチドYLGの発見
2.3 大豆由来のストレス緩和ペプチドβCGα(323−333)の発見
3 腸−脳連関を介した経口投与で有効な機能性ペプチドの発見
3.1 Soy−deprestatin:大豆由来の意欲向上ペプチド
3.2 Soy−ghretropin:大豆由来のグレリン分泌ペプチド
3.3 Lacto−ghrestatin:牛乳由来のグレリン分泌抑制ペプチド
4 環境負荷低減を目指した緑葉の利用
4.1 RuBisCO Anxiolytic−Like Peptides (rALPs) :緑葉由来のストレス緩和ペプチド
5 今後の展望
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ADHDにおける遺伝子と脳画像の関連解析
Imaging Genetics in Children with ADHD
注意欠如・多動症 (ADHD) は不注意・多動性−衝動性を主徴とした神経発達症であり, これまで多くの遺伝子, 脳画像研究が行われてきた。本稿では, それらの研究について簡潔に概説した上で, 近年盛んに行われるようになってきているADHDのimaging genetics (画像遺伝学, 遺伝子と脳画像の関連解析) について, 著者らの研究を中心に紹介する。
【目次】
1 ADHDとは?
2 ADHDの脳画像研究
2.1 脳形態研究
2.2 Task-fMRI研究
2.3 安静時fMRI (resting state fMRI) 研究
3 ADHDの遺伝子研究
4 ADHDにおけるimaging genetics
5 おわりに
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「紙」を利用したその場簡易検査デバイス
Paper-Based Test Strip for Point-Of-Care Diagnostics
高齢化社会の到来に伴い「治療」から「予防」に向けて誰でもその場で手軽に検査が行える技術が望まれている。Point Of Care Testingはセンサの使い捨てが前提となるため, 安価で扱いやすい「紙」を利用した検査技術に対する期待は大きい。本稿では「紙」を利用した最近の診断薬や技術情報, 最先端の研究論文も交えて, その場簡易検査デバイスを実用化していくためのポイントや技術動向について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 簡易な検査デバイスの市場
3 薬毒物検査
4 尿検査
5 先端研究
5.1 紙を利用した化学分析
5.2 統合部材と紙を利用した化学分析
6 まとめ
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加熱で活性型になるバイオサイド
Novel Biocide Activated by Heating
シェールガス・オイル開発で現在も多用されているグルタルアルデヒドは, 生物毒性が高く, 作業者への暴露リスクや安定性の問題点がある。本稿で紹介するグルタルアルデヒド類縁体は安定性が高く, 生物毒性が低いことに加えて, 加熱による加水分解でバイオサイドとして活性型になるユニークな特徴を有している。
【目次】
1 はじめに
2 シェール開発
3 バイオサイド
4 従来型バイオサイド:グルタルアルデヒドの殺生効果と性質
5 新規バイオサイド:グルタルアルデヒド類縁体
5.1 グルタルアルデヒド類縁体の特徴
5.2 グルタルアルデヒド類縁体の殺生効果
6 鉄腐食性微生物に対する効果
6.1 微生物腐食を誘導する微生物
6.2 鉄腐食性微生物の腐食に対する効果
6.3 加熱後薬剤を使用した腐食抑制試験
7 MGTLの特性とバイオサイドしての新用法
8 おわりに
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積層化細胞シートの移植効率向上を目的とした細胞増殖因子徐放ファイバーマットの開発
Cell Growth Factor Releasing Fiber Mats for Effective Transplantation of Stacked Cell Sheets
細胞シート移植における積層化心筋細胞シートでは, 移植可能な心筋細胞シートの積層枚数に限界がある。そこで, 血管内皮細胞増殖因子を徐放するファイバーマットを開発し, 積層化心筋細胞シートと同時に移植すると, 積層化心筋細胞シート内に血管が構築され, 従来よりも多くの積層枚数の心筋細胞シート移植が可能になった。
【目次】
1 はじめに
2 細胞シートの特性
3 細胞増殖因子徐放ファイバーマットによる移植効率化
4 VEGF徐放ファイバーマットによる積層化心筋細胞シートへの血管導入
5 終わりに
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BIO ENGINEERING
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乳房専用PET 装置の開発と今後の期待
Development of Dedicated Breast PET System and the Future Direction
乳がんは女性のがんの中で, 罹患率では第一位, 死亡率では第五位である。しかしその一方で, 早期に発見し早期に治療すれば, 完治する可能性も高い。この20年ほどで急速に普及してきたPET装置は各種がん診断には有効だが, 乳がんの早期診断にはさらに高い解像力が要求される。当社はこれまでの長いPET 開発技術の歴史を基礎として, より性能の高い乳房専用PET 装置を開発したので, ここに概要を紹介する。
【目次】
1 乳がんの背景
2 国内外のPET装置開発の歴史
3 乳房専用PET装置の開発経緯
4 有用性と今後の期待
5 まとめ
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発酵ナノセルロース (NFBC) の大量生産とその医療応用
Large Scale Production of Nano-fibrillated Bacterial Cellulose(NFBC) and Its Medical Application
フルーツから分離したセルロース合成酢酸菌 (Gluconacetobacter intermedius NEDO-01) を用いて発酵ナノセルロース (ナノフィブリル化バクテリアセルロース (NFBC) ) の大量生産を行った。砂糖・糖蜜を原料として200L スケールのジャーファーメンターを用いることにより, 収量5.56g/LでのNFBCの大量生産に成功した。得られたNFBCの医療応用への可能性を調べるために, 胃がん由来腹膜播種に対する腹腔内化学療法への適用を試みた。
【目次】
1 はじめに
2 バクテリアセルロース (BC)
3 酢酸菌におけるセルロース合成
4 発酵ナノセルロース (NFBC) の創製
5 発酵ナノセルロース (NFBC) の大量生産
6 NFBCにおける医療応用の試み
7 まとめ
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《BIO BUSINESS》
脂肪酸工業
Fatty Acid Industry
脂肪酸は脂質を構成するほか, 生体内のエネルギー源にもなる。その工業面での用途は, ゴム工業, 塩ビ安定剤, 金属石けん, 界面活性剤などの多岐にわたっている。わが国の脂肪酸工業は2011年に発生した東日本大震災やそれに続く原子力発電所の稼働停止に加えて, 油糧種子生産国における異常気象の頻発, 原油価格の高騰, 欧州債務危機による世界経済への影響, 円高の長期化などの要因により長く低迷していた。2013年には立ち直りの兆しが見え, 生産, 販売実績ともに大幅な改善を示したが, それ以降はほぼ横ばいで推移している。
【目次】
1 需要概要
1.1 直分脂肪酸, 硬化脂肪酸
1.2 分別・分留脂肪酸
2 輸出入動向
3 原料動向
4 メーカー概要
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《BIO PRODUCTS》
ヨウ素(Iodine)
スクワレン・スクワラン(Squalene・Squalane) -
FORUMeBook No.1 新規難燃剤の開発と特性
¥1,832
【高分子難燃化技術の現状と難燃性評価試験法―難燃規格,難燃機構と難燃化技術を中心に―】
西澤仁(西澤技術研究所)
1 はじめに
2 難燃化技術の最近の動向
2.1 難燃性製品規格と要求される難燃性
2.2 難燃機構の基本と課題,最近の研究
2.3 難燃化技術の最新動向
3 難燃性評価試験法
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【新規リン系難燃剤ファイヤガード® FCX-210】
山中克浩(帝人)㈱
1 はじめに
2 リン系難燃剤の種類
3 高分子材料の燃焼機構と難燃機構
4 ファイヤガード® FCX-210 の特徴
5 ファイヤガード® FCX-210の難燃効果
6 今後の展開
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【新規ホスホン酸エステル難燃剤の開発と特性】
小林淳一(丸菱油化工業㈱)
1 はじめに
2 リン系難燃剤の難燃化機構
2. 1 一般的なリン系難燃剤の難燃化機構と問題点
2. 2 リン酸エステル類のドリップ促進による難燃化機構
3 新規ホスホン酸エステル難燃剤 ノンネン73 の特徴
3. 1 ノンネン73 の設計コンセプト
3. 2 一般性状および溶解度・相溶性
3. 3 揮発性
3. 4 耐熱性
4 適用例
4. 1 種々の合成樹脂への適用
4. 2 ポリオレフィンへの適用
5 おわりに -
月刊バイオインダストリー 2017年3月号
¥4,950
【特集】オリゴ糖の機能性開発
<<著者一覧>>
新井紀恵 (株)林原
宮坂清昭 三井製糖(株)
重久 晃 (株)ヤクルト本社
金井晴彦 ヤクルト薬品工業(株)
関 信夫 森永乳業(株)
山本采佳 焼津水産化学工業(株)
田中智子 江崎グリコ(株)
木下佳昭 学習院大学
内田就也 東北大学
中根大介 学習院大学
西坂崇之 学習院大学
山本朗仁 名古屋大学大学院
下島千明 名古屋大学大学院
竹内英之 名古屋大学環境医学研究所
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【特集】オリゴ糖の機能性開発
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トレハロースの特性を活かした機能性素材としての開発~エネルギー源, ストレス応答, オートファジー~
Development as a functional material making full use of trehalose characteristics ~Energy source, stress response, autophagy~
トレハロースは, 食品加工をはじめとする様々な分野で利用されている。ここでは, トレハロースの生物学的意義, 動物やヒト試験で認められた種々の生理作用の他, トレハロースが持つ生理作用がオートファジーと関連することを示唆する最近の知見を紹介し, 機能性素材としての今後の展望について記述する。
【目次】
1 はじめに
2 自然界に存在するトレハロースの生物学的意義
3 トレハロースの生理作用
3.1 トレハロース経口摂取が腸管に与える影響
3.2 トレハロースの骨吸収に対する影響
3.3 血糖やインスリンに与える影響
3.4 トレハロースの生活習慣病予防に対する効果
4 オートファジーとトレハロース
5 おわりに
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パラチノース(R)(イソマルツロース)
Palatinose(R)(Isomaltulose)
パラチノース(R)(イソマルツロース)はスクロースの構造異性体であり, 消化吸収が穏やかな二糖類である。他の糖質に由来する血糖上昇を抑え, 非う蝕性, 内臓脂肪蓄積抑制, 脳機能持続等の機能特性が報告されている。パラチノースは30年以上にわたる食経験があり, 特定保健用食品の関与する成分として認められた実績がある等, 安全性は確認されている。
【目次】
1 緒言
2 安全性
3 構造・代謝特性
4 血糖上昇抑制効果
5 内臓脂肪蓄積抑制効果
6 非う蝕・抗う蝕効果
7 脳機能維持・向上効果
8 用途展開及び実用例
9 おわりに
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ガラクトオリゴ糖
Galacto-oligosaccharides
ガラクトオリゴ糖は, 基本骨格であるラクトースにガラクトースが結合したオリゴ糖であり, 最も多用されるプレバイオティクスの一つである。本稿では, ガラクトオリゴ糖の合成や開発について説明するとともに, 近年明らかになった生理効果や作用機序についても概説する。
【目次】
1 概要
1.1 ガラクトオリゴ糖とは
1.2 GOSの合成反応
1.3 グルコシドヒドラーゼ(以下, GH)
1.4 市販されているGOS
1.5 高純度GOSの開発
2 オリゴメイトの機能性(ガラクトオリゴ糖の生理機能や作用機序の知見)
2.1 プロバイオティクスとの併用による感染防御効果の促進
2.2 腸内腐敗産物産生の抑制
2.3 皮膚症状の改善効果
2.4 育児粉乳で哺育される乳児への効果
2.5 ビフィズス菌によるGOS代謝メカニズム
2.6 これからの生理機能や作用機序の解析
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ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)の機能性
Functionality of lactulose( Milk oligosaccharide)
ラクチュロースはヒトに消化, 吸収されることなく大腸に到達し, プレバイオティクスとしてビフィズス菌に利用され, 腸内フローラを改善する。世界中で健康食品, 医薬品などに利用されている。また, ラクチュロースは腸管壁のバリア性の評価などにも用いられている。今後, ラクチュロースを関与成分とした機能性表示食品が開発されていくと考えられる。
【目次】
1 はじめに
2 ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)とは
3 ラクチュロースの生理機能
3.1 資化性
3.2 ビフィズス菌増殖作用
3.3 カルシウム, マグネシウム吸収促進作用
3.4 血糖値への影響
4 医薬品としての利用
4.1 便秘薬としての利用
4.2 高アンモニア血症改善薬
5 ラクチュロースを用いた検査
5.1 腸管壁バリア機能の測定
5.2 呼気水素試験
6 安全性
7 加工特性
8 おわりに
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機能性食品素材「キチンオリゴ糖」の応用
Application of chitin oligosaccharides as a functional food material
キチンオリゴ糖はカニ, エビなどの甲殻に含まれる高分子多糖類のキチンを部分加水分解することによりつくられるオリゴ糖である。多くの研究の結果, キチンオリゴ糖を含む様々な糖質は生体調節機能を有することが明らかとなってきた。焼津水産化学工業(株)では, キチンの高度利用を目指し, 食品用キチンオリゴ糖「NACOS-Y」を製造, 販売している。本稿では, キチンオリゴ糖の機能性食品素材としての特性, 機能性, および利用の現状について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 製造方法
3 特性
3.1 味質と甘味度
3.2 溶解度
3.3 水分活性
3.4 pH安定性
3.5 着色性
3.6 難消化性
3.7 腸内細菌資化性
4 安全性
5 免疫賦活作用・抗腫瘍作用
5.1 免疫賦活作用(リンパ球を用いた検討)
5.2 免疫賦活作用(マウス単球細胞 RAW264.7を用いた検討)
5.3 抗腫瘍作用(マウスを用いた検討)
6 免疫調節作用
7 その他の利用
8 おわりに
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リン酸化オリゴ糖カルシウムの機能性食品への応用
Application of Phosphoryl Oligosaccharides Calcium for Functional Foods
口腔の健康は生活の質を左右する重要な決定要因の一つある。健康寿命を寿命により近づけた長寿化社会を実現するためには, むし歯をはじめとする口腔疾患が原因の, 歯の喪失を防ぐことが重要な取り組みである。そこで我々は高水溶性カルシウムであるリン酸化オリゴ糖カルシウムを開発し, だ液の機能性強化によるう蝕予防に有効な手段を開発した。歯質の必須ミネラルであるカルシウム, リン酸, に加えて, 強化剤のフッ化物を唾液に安定的に溶かし込み, 歯質への浸透性を高めて結晶再生を促す技術開発に成功した。本稿では, その技術開発と特定保健用食品への利用研究までを概説する。
【目次】
1 はじめに
2 口腔ケアとリン酸化オリゴ糖カルシウム
3 う蝕(むし歯)と糖質
4 リン酸化オリゴ糖カルシウムの特性
5 オーラルケア食品の設計
6 唾液を介した歯エナメル質結晶の回復検証
7 特定保健用食品の取得
8 おわりに
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BIO R&D
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アーキアべん毛作動機構解明のための精密顕微測定技術
Imaging techniques for elucidation of motility mechanisms of archaella
自然界には化学エネルギーを力学的な仕事に変換する, 生体分子モーターと呼ばれるタンパク質が存在する。生体分子モーターの形や作動機構は生物種により様々であるが, 人類が生み出した機械を超越した精巧な仕組みで働く。本稿では光学顕微鏡下での精密測定により明らかとなった, アーキアが有する生体分子モーターの仕組みを紹介する。
【目次】
1 生体分子モーター
2 分子モーター研究を支えるイメージング技術
3 アーキア
4 1細胞レベルで詳細な運動を画像化する
5 まるで時計の針の様に規則正しく動くモーター
6 数値計算による遊泳運動の再現
7 おわりに
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歯髄幹細胞培養上清による多発性硬化症改善効果
Conditioned Medium from the Stem Cells of Human Exfoliated Deciduous Teeth Ameliorates Experimental Autoimmune Encephalomyelitis
再生医学(幹細胞移植療法)による多発性硬化症の治療が期待されている。しかしながら, 移植細胞の品質, 腫瘍形成や免疫拒絶の危険性など, 臨床応用には課題が多い。本稿では幹細胞が分泌する組織再生因子群を無血清培養上清として回収し, 多発性硬化症の治療法開発に応用した我々の研究を概説する。
【目次】
1 はじめに
2 再生医療の細胞源としての歯髄幹細胞の特性
3 歯髄幹細胞CMによる神経再生療法の開発
4 歯髄幹細胞CMによる新しいMS治療法の開発の可能性
5 まとめ
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≪BIO PRODUCTS≫
ポリ酸無水物(Polyanhydrides) -
月刊バイオインダストリー 2020年11月号
¥4,950
<著者一覧>
宮崎 均 筑波大学
浅野敦之 筑波大学
國府大智 筑波大学
安井貴之 筑波大学
中島 章 東京工業大学
砂田香矢乃 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
永井 武 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
石黒 斉 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
高橋弘毅 関西医科大学附属病院
梶野健太郎 関西医科大学附属病院
佐々木健一 関西医科大学
鈴木啓章 山梨大学
川原敦雄 山梨大学
松岡浩司 埼玉大学
島村宗尚 大阪大学
中神啓徳 大阪大学
冨永昌人 佐賀大学
坂本憲児 九州工業大学
大野宏毅 産業医科大学
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BIO R&D
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機能性作物未利用部位の生殖障害改善への有効活用
Effective Utilization of Unused Parts of Functional Crops for Improving Rreproductive Failure
機能性作物は通常特定の部位のみが利用され残りは廃棄される。未利用部位を有効活用することは,農作物に新たな付加価値を与え儲かる農業に繋がるだけでなく,安価な原材料として,人だけでなく家畜への応用など様々な可能性を生み出す。本稿では,昨今問題となっている人や家畜のストレスによる生殖障害に焦点を当て,著者らが構築した生殖障害改善評価系を用いて明らかとなった未利用部位の有用性を紹介する。
【目次】
1 機能性作物の未利用部位の有効活用とは
2 人および家畜の生殖障害の現状
3 機能性作物の未利用部位を用いたストレス依存的な生殖障害改善の具体例
3.1 オリーブ葉の有効活用
3.2 アシタバの茎の有効活用
3.3 シャクヤクの葉の有効活用
3.4 コーヒーチェリー残渣の有効活用
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抗菌・抗ウイルス活性を有する撥水性複合酸化物
Hydrophobic Complex Oxides with Antiviral and Antibacterial Activities
昨年末に発生した新型コロナウイルスは,未だ世界中で猛威を振るっている。感染の「予防」や「拡大抑制」の技術や知識は「ワクチンや治療法の開発」と同様に,極めて重要である。本稿では最近筆者らが見出した,抗ウイルス作用を有する新しい撥水性無機複合酸化物についてその開発の経緯と作用について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 無機抗ウイルス材料
3 撥水性と抗ウイルス性
4 自己撥水性を有する希土類酸化物
5 撥水性と抗菌・抗ウイルス性を併せ持つモリブデン酸ランタン(LMO)
6 活性向上・機能性付与の試み
7 終わりに
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点滴開始までの時間短縮を可能とした新たな点滴キットの開発
A New Intravenous Drip Infusion Kit Shortening The Time for Preparation.
点滴を開始するまでに点滴セットを組み立てる必要があり,少なくとも数十秒から数分の時間を要する。医療現場では点滴開始までの時間短縮と労力の軽減が求められている。点滴開始までの時間を大幅に短縮し,労力不足の解消に繋がる新たな点滴キット開発について報告する
【目次】
1 はじめに
2 点滴の必要性
3 点滴の構造について
4 点滴の作成
5 現行の問題点
6 新たな点滴キットについて
7 期待できる用途や効果
8 終わりに
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ゲノム編集技術を活用した有害外来魚の戦略的な駆除
Strategic Extermination of Harmful Non-native Fish Using Genome Editing Technology
琵琶湖ではブルーギルやオオクチバスなどの外来魚による在来魚の食害が問題となっている。ゲノム編集技術はピンポイントでゲノム改変を誘導できる発生工学的手法であるが,生殖発生に関与する遺伝子をゲノム編集技術で破壊した有害外来魚を作製し,それらを湖沼に放流することで標的とした有害外来魚を選択的に駆除する戦略が考えられている。我々は,孵化腺に特異的な発現を示す遺伝子をゲノム編集技術で破壊したゼブラフィッシュが孵化不全を伴う胚性致死となることを見出したので,この知見が生殖発生の制御だけでなく孵化不全を誘導することで有害外来魚の個体数を制御できるのではないかと考えている。
【目次】
1 はじめに
2 klf17遺伝子破壊ゼブラフィッシュの孵化不全の表現型
3 klf17遺伝子破壊ゼブラフィッシュにおける孵化腺細胞の欠損
4 オオクチバスにおけるklf17遺伝子の破壊を基盤とする個体数の制御
5 おわりに
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糖-タンパク質相互作用解析への分子間FRETの活用
Intermolecular FRET can be applied for Evaluation of Carbohydrate-protein Interactions.
糖-タンパク質間の相互作用は弱いため,糖鎖クラスター効果を利用して親和力の向上を行った。また,本論文では,その解析法において,主として蛍光分光法の利用について述べる。糖鎖は蛍光発光しないため,レクチン由来の蛍光発光や蛍光発色団を導入した基質を合成するなど,種々の対応を行ってきたのでその一端を紹介する。
【目次】
1 研究背景
2 糖-タンパク質相互作用解析における最近の例
3 まとめ
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RANKL部分ペプチドMHP1による炎症性疾患の治療法開発
Development of Parial Peptide of RANKL, MHP1, for Treatment of Inflammatory Diseases
炎症制御は脳梗塞や乾癬,多発性硬化症などの様々な炎症に関連する疾患において重要な課題である。本稿では,TLR関連炎症を抑制する新たな機能性ペプチドであるRANKL部分ペプチドMHP1について,これらの疾患への治療応用の可能性について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 脳梗塞後炎症の制御に関わるRANKL/RANKシグナルの発見
3 破骨前駆細胞に作用しないRANKL部分ペプチドMHP1の開発
4 MHP1による脳梗塞治療
5 乾癬および多発性硬化症への応用可能性
6 MHP1の新たな作用機序と今後の課題
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酵素バイオ発電・酵素バイオセンサのための電極設計技術
Electrode Design Technology for Electricity Generation and Biosensors Utilizing Enzyme
近年,超低消費電力・低電圧で動作可能な超小型パッケージICが開発されたことにより,ポータブル血糖値センサに続く,酵素を用いたデバイス開発が新しいフェーズを迎えている。本校では,筆者が研究を進めてきた酵素バイオ発電開発のための電極設計について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素と電子コミュニケーション
3 酵素の配向制御
4 ウェアラブル型酵素バイオ発電
5 おわりに
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BIO ENGINEERING
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生活習慣病予防のための体液粘度測定装置
Body Fluid Viscosity Measuring Device for the Prevention of Lifestyle-related Diseases
体液粘度は,生活習慣病をはじめとする多くの疾患のマーカーとなる可能性が指摘されている。しかし現在,微量の体液粘度測定に特化した測定装置は存在しない。九州工業大学と産業医科大学は体液粘度測定を目指した粘度測定装置の共同開発を進めている。その内容について報告する。
【目次】
1 はじめに
2 マイクロ流体チップを用いた粘度測定手法
3 毛細管を用いた粘度測定手法
4 非ニュートン流体への適用
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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保湿用化粧品に使われる生薬・薬用植物の市場
1 α-トコフェリルレチノエート
2 ベタイン
3 大豆タンパク分解物
4 デオキシリボ核酸(DNA)
5 ポリアスパラギン酸ナトリウム
6 納豆抽出物
7 大豆抽出物
8 水溶性コラーゲン
9 乳酸菌発酵代謝液
10 キトサンおよびその誘導体
11 ヒアルロン酸ナトリウム
12 トレハロース
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世界のバイオプラスチックの市場
1 市場規模
2 地域別動向
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月刊バイオインダストリー 2020年3月号
¥4,950
<著者一覧>
久保田博南 ケイ・アンド・ケイジャパン(株)
三木則尚 慶應義塾大学
竹井邦晴 大阪府立大学
鈴木博也 (株)テクノメディカ
前中一介 兵庫県立大学
太田裕貴 横浜国立大学
浅野康一郎 東京大学
南木 創 東京大学
南 豪 東京大学
成瀬 康 (国研)情報通信研究機構
池田四郎 (株)ガステック
井上賢紀 広島大学
山本屋 武 広島大学
浅野知一郎 広島大学
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【特集】ウェアラブル医療・ヘルスケア機器
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ヘルスケアを支える生体情報モニタリング
Health Care Supported by Vital Sign Monitoring
ヘルスケアを目的とした健康機器の基礎技術は,医療のための生体情報モニタが基礎になっている。近年では,これにIT 関連技術が加わり,スマホで自分の健康状態をチェックできるようになってきた。測定項目には大きな変化が見られないが,日常の体調チェックが行えるような小型で持ち運び可能な機器に変貌しつつある。
【目次】
1 単能機器によるモニタリングの現況
1.1 スタートは歩数計から
1.2 体重計から体脂肪計へ
1.3 現在の代表格は脈波数モニタリング
1.4 ヘルスチェックのための心電図モニタなど
1.5 パルスオキシメータの役割増加
1.6 血圧モニタリングへの各社の競争
2 複合機器を含む市場開拓の動き
3 医療機器から一般ヘルスケア機器への移行動向
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インプラント人工透析システム
Implantable Dialysis System
国内33 万人の透析患者は,週3 回の通院や週12 時間の急峻な治療,太い注射針による毎回の血管穿刺などQOL が決して高いとは言えない。我々は,患者の通院負担,ならびに血管穿刺回数を低減するなど患者QOL を劇的に向上するインプラント人工透析システムの研究開発を行っている。本稿ではこれまでの成果と,課題について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 インプラント人工透析システム
3 インプラント人工透析システムの界面技術
4 インプラント人工透析システムの実用化に向けて
5 インプラント人工透析システム研究開発における課題
6 おわりに
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皮膚表面から健康管理する貼付型フレキシブルセンサシート
Attachable Flexible Sensor Sheet for Healthcare from Skin Surface
常時健康管理に向けた新たな取り組みの一つとして貼付型のフレキシブルセンサシートが注目を集めている。本項では,そのフレキシブルデバイスとして,活動量,心電図,皮膚温度,そして汗の化学物質を計測するセンサシートについて紹介する。また精度高く計測する方法についても簡単に議論する。
1 はじめに
2 多種物理センサを集積したフレキシブルセンサシート
2.1 印刷形成した3軸加速度センサ
2.2 ウェアラブル健康管理パッチ
2.3 その他フレキシブル物理センサ
3 汗成分計測用フレキシブル化学センサ
4 対象温度(皮膚温度)の高精度計測
5 結言
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検査分散・データ中央管理型診断機器
Central Management System for Clinical Data at In Vitro Diagnostic Devices
ヘルスケアデバイス,ウェアラブルデバイスには,検査データをはじめとしたデバイス管理のためのデータ一元管理と運用が必要である。臨床検査領域の検査データ管理の在り方を起点としてヘルスケア,ウェアラブルデバイスのデータ管理について考察し,著者らが取り組んでいるヘルスケアデバイス,ウェアラブルデバイスへの通信機能の搭載とデータの一元管理について解説したい。
【目次】
1 はじめに
2 臨床検査分野のデータ管理トレンド
3 ヘルスケア分野のデータ管理システム
4 IoT機能搭載のPOCT機器の一例
5 ウェアラブルで用いられる検査装置について
6 最後に
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身体密着型生体活動モニタリングシステムの開発
Development of Adhesive Type Human Monitoring Systems
身体に貼り付ける,あるいは密着させるタイプの生体モニタリングシステムについて述べる。このような形態のモニタリングシステムは,体躯の向きや動きを精度良く検出でき,また心電,筋電,脈波,血圧,(深部)体温など基本的バイタル量を計測しやすいという特徴を持ち,確度の高い見守りシステムに最適である。本稿では具体的なシステム例をいくつか示し,それらの内容を簡単に説明する。
【目次】
1 はじめに
2 生体活動モニタリングの形態
3 身体貼り付け型モニタリングシステム
3.1 絆創膏型実証モデル
3.2 柔軟センサとの組み合わせ
3.3 VitalgramII
3.4 Vitalgram CT
3.5 アクティブ筋電電極
4 おわりに
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周産期新生児医療のIoT 化に向けたウェアラブル黄疸計測デバイスの開発
Wearable Jaundice Device for Perinatal and Neonatal Medicine
近年,様々な現場でIoT 化が進んでいる。重要な現場の一つに周産期新生児医療がある。本研究では,当研空室で開発中の新生児用ウェアラブル黄疸計に関して論ずる。新生児黄疸は新生児の80%以上で検出される現象であるとともに処置が遅れると重篤な後遺症につながる症例である。本論のデバイスは,その診断・治療とIoT 技術の懸け橋となるデバイスである。
【目次】
1 はじめに
2 新生児黄疸
3 新生児黄疸の検出方法
4 ウェアラブル黄疸計測デバイス
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有機トランジスタ型化学センサの開発動向
Recent Trends in Development of Organic Transistor-based Chemical Sensors
有機電界効果トランジスタ(OFET)型化学センサは,分子認識情報の読み出しを可能とする有機デバイスの1 種である。本稿では,マイクロ流路と接合した延長ゲートOFET と,より高集積化を指向した電解質ゲートOFET を用いたそれぞれの化学センサによる標的種の検出例をもとに,人工レセプタを導入したOFET型化学センサのウェアラブルデバイスへの応用可能性について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 マイクロ流体デバイスを接合した延長ゲート有機トランジスタ型化学センサの開発
3 電解質ゲート有機トランジスタ型化学センサによるヒスタミン検出
4 まとめ
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ウェアラブル脳波計の開発
Development of Wearable EEG System
近年の脳波計測技術の進歩により,簡易に計測が可能なウェアラブル脳波計が実現されつつある。脳波計測を行うことでてんかんや認知症などの脳疾患の情報を得ることができる。現状では,長時間の装着が難しいなどの課題があるが,今後,よりよいウェアラブル脳波計が開発された場合,新たなるヘルスケアの創出につながると考えられる。
【目次】
1 はじめに
2 簡単に脳波計測が可能なウェアラブル脳波計の開発
2.1 一般的な脳波計測手法
2.2 導電性ジェルが不要で簡単に脳波が測れる技術の開発
2.3 ウェアラブル脳波計の為の小型脳波計とヘッドギアの開発
2.4 開発したウェアラブル脳波計の評価
2.5 日常での常時脳波計測を目指して
3 おわりに
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パッシブインジケータ法での皮膚アンモニア測定によるストレスの見える化
Visualization of Mental Stress by Measurement of Ammonia Emanated fromHuman Skin Using Passive Indicator
気象などわたしたちを取り巻く環境や社会的価値観の変化に伴い,体臭がこれまでと異なるとらえられ方をするようになり注目を集めている。一方,からだから発せられるにおいをさまざまな化学物質の集合体ととらえ,生体から放たれる情報として活用しようとする研究分野もある。皮膚表面から放散される微量な化学成分(皮膚ガス)について,皮膚ガスとは何か? から,最新の研究により日進月歩で明らかになっている皮膚ガスの利用価値,また皮膚アンモニアを利用したストレス診断に向けた取り組みについて,実測例も含めて解説する。
【目次】
1 なぜいま皮膚ガスが注目されるか
2 皮膚ガス測定でわかる生体情報
2.1 皮膚ガスとは
2.2 皮膚ガス測定により得られる情報
3 皮膚アンモニアとストレス
3.1 ストレスと心拍変動
3.2 皮膚アンモニアの生成と放散
3.3 皮膚アンモニアの測定方法
4 簡易ストレス測定キット
4.1 パッシブインジケータ法および測色
4.2 ストレス検出用の測定キットの開発
5 おわりに
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BIO R&D
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肥満から生活習慣病が生じるメカニズムの解明とその治療戦略
Mechanisms for the Treatment of Lifestyle-related Diseases fromObesity and Their Treatment Strategies
高カロリーの食事や運動習慣の欠如によって生じる肥満は糖尿病や非アルコール性脂肪肝(NAFLD)などの様々な生活習慣病を引き起こす。本稿では,肥満によって生じる生活習慣病の発症メカニズムについて各臓器で生じる分子シグナリングの変化に着目して,その治療戦略とともに解説する。
【目次】
1 はじめに
2 肥満とインスリン抵抗性
3 各臓器で引き起こされる肥満による変化
3.1 肥満による腸管炎症
3.2 肥満による肝臓での炎症と脂肪蓄積
3.3 肥満による脂肪組織のリモデリング
3. 4 肥満による筋肉の変化
4 肥満と生活習慣病を克服する治療戦略
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《BIO PRODUCTS》
γ-オリザノール(γ-Oryzanol)
アルギン酸ナトリウム(Sodium alginate) -
月刊バイオインダストリー 2018年9月号
¥4,950
≪著者一覧≫
酒井芳紀 大阪大学
森山麻里子 近畿大学
赤木淳二 小林製薬(株)
北郡秀晃 小林製薬(株)
森山博由 近畿大学
山本哲史 大成建設(株)
井上大介 大阪大学
斎藤祐二 大成建設(株)
清 和成 北里大学
池 道彦 大阪大学
川崎 了 北海道大学
加藤好一 佐竹化学機械工業(株)
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BIO REVIEW
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セルフリーな再生医療製剤の開発
Development of Cell Free Regenerative Medical Formulation
自己単核球細胞や筋芽細胞等による細胞を用いた再生医療の作用機序として, 各種体内再生因子誘導によるパラクリン効果が報告されている。我々は, 低分子合成化合物による各種体内再生因子誘導剤として, YS−1301を新しく見出し, 各種DDS(Drug Delivery System)製剤を作製した。これらの製剤は, 疾患局所にて自然治癒力を模倣した各種体内再生因子誘導により血管新生作用, 抗線維化作用, 抗アポトーシス作用及び間葉系幹細胞(MSC)動員・集積作用等により疾患部位を治癒する新しいセルフリー(細胞を用いない)な再生医療製剤になり得る。
【目次】
1 はじめに
2 新しいセルフリーな再生医療等製品
3 YS−1301の体内再生因子誘導作用
4 YS−1301内包4週間徐放性マイクロイスフェアー製剤(YS−1402)
5 YS−1301内包リポソームナノスフェアー(LipoNS)製剤
6 YS−1301は, 体内再生因子誘導剤である
7 肝細胞増殖因子(HGF)は疾患部位でのみ作用する
8 おわりに
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BIO R&D
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アロエベラ液汁による紫外線ダメージ軽減効果
Protective Effect of Aloe Vera Gel Against Ultraviolet Radiation Damage to the Skin
熱帯地方で育つアロエベラの葉肉には, ビタミン類, ミネラル類, 酵素類, 多糖類, アミノ酸などの成分が豊富に含まれており, 民間薬, 化粧品や食品として古来より世界中で利用されている。アロエベラの多岐にわたる効能のうち, 本稿ではアロエベラ液汁のもつヒト皮膚の恒常性維持に寄与する効果について, 特に皮膚が日常的に暴露されている紫外線ダメージからの回復および軽減効果などに焦点をあてた筆者らの研究成果を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 紫外線による皮膚への影響について
3 アロエベラ液汁の表皮に対する効果
3.1 表皮ケラチノサイトの紫外線ダメージ抑制作用
3.2 表皮浸透促進作用
4 おわりに
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高効率1,4−ジオキサン分解菌Pseudonocardia sp. N23 株の排水処理への応用
Application of Very Effective 1,4−Dioxane−degrading Bacterium, Pseudonocardia sp. Strain N23, to 1,4−Dioxane−containing Wastewater Treatment
1,4−ジオキサンは発がん性の疑いが指摘され, 先進各国において環境汚染物質として認知されている。近年, 我が国では水環境に係る各種基準項目に1,4−ジオキサンが追加され, 実効性の高い処理技術が求められている。本稿では, 1,4−ジオキサン分解菌N23株の優れた特長を概説するとともに, これを用いた排水処理技術を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 1,4−ジオキサン分解菌について
3 構成型資化菌N23株を用いた排水処理技術
3 1 構成型資化菌N23株の特長
3.1.1 1,4−ジオキサンの極低濃度化
3.1.2 酸性域での高い1,4−ジオキサン分解活性
3.2 処理プロセスの確立と実排水への適用性
3.2.1 N23株を用いた排水処理プロセス
3.2.2 実排水への適用性
4 終わりに
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BIO ENGINEERING
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バイオセメンテーションを用いた地盤固化技術
Ground Solidification Technologies Using Biocementation
これまで微生物とは無縁と思われていた地盤工学や地盤環境工学の分野において, 微生物を用いた地盤固化技術に関する研究開発が国内外で活発化している。本稿では, 低環境負荷のセメント成分である炭酸カルシウム, シリカ, リン酸カルシウムを用いた地盤のバイオセメンテーションに関する研究事例について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 炭酸カルシウムによるバイオセメンテーション
3 シリカによるバイオセメンテーション
4 リン酸カルシウムによるバイオセメンテーション
5 おわりに
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【連載】細胞培養装置の開発と産業化
第3回(最終回) スケーラブル撹拌培養装置の産業化
Practical Use of Scalable Bioreactor
【目次】(第2回より続き)
4 スケーラブル撹拌培養装置の産業化
4.1 スケーラブル検討事例の紹介
4.2 産業化に向けたCFD数値シミュレーションの活用
4.3 CFD数値シミュレーションの注意事項
5 おわりに
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《BIO PRODUCTS》
ドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid, DHA) -
食のバイオ計測の最前線 (普及版)
¥6,050
2011年刊「食のバイオ計測の最前線―機能解析と安全・安心の計測を目指して―」の普及版!難しかった食品の機能や安全性を、バイオ計測を使い、数値化して客観的に評価する解析・計測技術と手法、機器などを解説!!
(監修: 植田充美)
<a href="http://www.cmcbooks.co.jp/products/detail.php?product_id=5290"target=”_blank”>この本の紙版「食のバイオ計測の最前線 (普及版)」の販売ページを見る(別サイトへ移動)</a>
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
植田充美 京都大学
若山純一 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
杉山滋 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
民谷栄一 大阪大学
北川文彦 京都大学
川井隆之 京都大学
大塚浩二 京都大学
小西聡 立命館大学
小林大造 立命館大学
殿村渉 立命館大学
清水一憲 京都大学
重村泰毅 大阪夕陽丘学園短期大学
伊藤嘉浩 (独)理化学研究所
秋山真一 名古屋大学
田丸浩 三重大学
芝崎誠司 兵庫医療大学
野村聡 (株)堀場製作所
稲森和紀 東洋紡績(株)
境雅寿 (株)森永生科学研究所
高木陽子 京都電子工業(株)
遠藤真 日本エイドー(株)
山本佳宏 京都市産業技術研究所
谷敏夫 (株)バイオエックス
坂本智弥 京都大学
山口侑子 京都大学
高橋信之 京都大学
河田照雄 京都大学
津川裕司 大阪大学
小林志寿 大阪大学
馬場健史 大阪大学
福崎英一郎 大阪大学
木村美恵子 タケダライフサイエンスリサーチセンター
齊藤雄飛 京都府立大学
増村威宏 京都府立大学
山西倫太郎 徳島大学
柴田敏行 三重大学
廣岡青央 京都市産業技術研究所
羽鳥由信 日本新薬(株)
村越倫明 ライオン(株)
小野知二 ライオン(株)
森下聡 ライオン(株)
上林博明 ライオン(株)
鈴木則行 ライオン(株)
杉山圭吉 ライオン(株)
西野輔翼 立命館大学
高松清治 不二製油(株)
米谷俊 江崎グリコ(株)
丸勇史 サンヨーファイン(株)
山口信也 サンヨーファイン(株)
馬場嘉信 名古屋大学
木船信行 (財)日本食品分析センター
岡野敬一 (独)農林水産消費安全技術センター
矢野博 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
万年英之 神戸大学
笹崎晋史 神戸大学
末信一朗 福井大学
黒田浩一 京都大学
家戸敬太郎 近畿大学
中村伸 (株)島津製作所
大野克利 日清食品ホールディングス(株)
山田敏広 日清食品ホールディングス(株)
天野典英 サントリービジネスエキスパート(株)
橋爪克仁 タカラバイオ(株)
中筋愛 タカラバイオ(株)
谷岡隆 神鋼テクノ(株)
隈下祐一 サラヤ(株)
永井博 (株)堀場製作所
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序章 バイオ計測を用いた食の機能解析と安全・安心の向上
1 「バイオ計測」によるデジタル定量分析
2 革新的材料との融合による「バイオ計測」の飛躍
3 「バイオ計測」を推進する拠点事業の展開モデル
【計測開発編】
第1章 大学・研究機関の研究動向
1 SPMナノセンサーと食品応用
1.1 はじめに
1.2 従来のアレルゲン検出技術
1.3 AFMによるアレルゲン検出の原理
1.4 AFMによるアレルゲン検出の実際
1.4.1 基板への抗原の固定
1.4.2 探針上への抗体の固定
1.4.3 AFMによる抗体抗原反応の計測
1.4.4 測定溶液条件の検討とアレルゲンの検出
1.5 今後の展開
2 食品の安全性や機能を評価するPOC型バイオセンサーデバイスの開発
2.1 はじめに
2.2 印刷電極を用いたポータブル遺伝子センサー
2.3 新たな印刷電極型免疫センサーの開発
2.4 イムノクロマト検出キットと携帯電話通信技術との連携
2.5 おわりに
3 マイクロチップ電気泳動における糖鎖分析の高感度化
3.1 はじめに
3.2 PVA修飾チャネルにおけるLVSEPのイメージング
3.3 オリゴ糖のLVSEP-MCE分析
4 バイオセンサーデバイスにおけるサンプル前処理技術
4.1 はじめに
4.2 μTASを応用したパーティクル分離技術
4.2.1 膜フィルタ内蔵マイクロ流路チップを応用した分離技術
4.2.2 遠心マイクロ流路チップを応用した分離技術
4.3 μTASを応用した微量サンプル分注技術
4.4 マイクロデバイスを用いた単一細胞の位置制御技術
4.4.1 陰圧を用いた細胞群の位置制御
4.4.2 磁力を用いた細胞群の位置制御
4.5 おわりに
5 機能性ペプチド探索のための新しいアプローチ―ヒト血液中からの食事由来ペプチドの検出と同定―
5.1 はじめに
5.2 ペプチド経口摂取による健康状態改善効果
5.3 ペプチド摂取後の血液からの血球画分とタンパク質の除去
5.4 血漿中食事由来コラーゲンペプチド(ペプチド型Hyp)濃度の測定
5.5 HPLCによる血漿中食事由来ペプチドの同定
5.6 プレカラム誘導化によるペプチド同定1(PITC誘導化)
5.7 プレカラム誘導化によるペプチド同定2(AQC誘導化)
5.8 おわりに
6 食品関連マイクロアレイ技術
6.1 はじめに
6.2 食品の遺伝子分析
6.2.1 食品分析
6.2.2 育種への応用
6.3 食品の安全性・機能性評価
6.3.1 安全性評価
6.3.2 機能性食品の研究
6.4 食品アレルギー研究,診断
6.4.1 DNAマイクロアレイ
6.4.2 抗原マイクロアレイ
6.4.3 ペプチド・マイクロアレイ
6.5 おわりに
7 バイオ計測への魚類バイオテクノロジーの応用
7.1 はじめに
7.2 魚類によるバイオマテリアル生産技術の開発
7.2.1 バイオマテリアル生産における魚類のアドバンテージ
7.2.2 組換え体タンパク質生産
7.2.3 抗体生産
7.3 透明金魚を使った水質モニタリング
7.4 おわりに―新産業の創出を目指して―
8 特異的抗体の微生物生産と回収法の開発
8.1 はじめに
8.2 抗体の調製方法
8.3 分子ディスプレイ法
8.4 酵母分子ディスプレイ
8.5 Zドメインの分子ディスプレイと抗体の回収系
8.6 抗体以外の親和性タンパク質の調製
第2章 メーカー(企業)の開発動向
1 食の機能と安全評価に寄与するpH計測
1.1 はじめに
1.2 pH測定法の原理と電極のバリエーション
1.2.1 ガラス電極とISFETの原理
1.2.2 pH測定用電極のバリエーション
1.3 半固形・固形食品の測定例
1.4 pH測定電極のより効果的な活用法
1.4.1 連続モニタリングによる反応解析
1.4.2 電極の最適なメンテナンス
1.5 おわりに
2 SPRイメージングによるアレイ解析
2.1 はじめに
2.2 SPRイメージング解析によるペプチドアレイ上におけるリン酸化検出
2.2.1 プロテインキナーゼの網羅的解析の重要性
2.2.2 SPRイメージングによるOn-chipリン酸化の検出系
2.3 ペプチドの金表面への固定化に関する表面化学
2.4 SPRイメージングによる創薬スクリーニングへの展開の可能性
2.4.1 細胞溶解液中のPK活性のSPR測定
2.4.2 SPRイメージング解析によるPK阻害剤の評価
2.5 おわりに
3 ELISA法の原理と測定法―免疫反応の形式(サンドイッチ法,競合法)と測定反応(吸光法,蛍光法)ならびに測定時の注意点―
3.1 はじめに
3.2 ELISA法の分類
3.2.1 サンドイッチ法
3.2.2 競合法
3.2.3 吸光法
3.2.4 蛍光法
3.3 測定時の注意点
3.3.1 マイクロピペットの誤操作
3.3.2 反応時間の厳守
3.3.3 試薬温度
3.3.4 反応温度
3.3.5 プレートの乾燥
3.3.6 洗浄不良
3.3.7 プレート底面の汚れ
3.4 おわりに
4 低分子抗原用抗体およびイムノセンサの実用化
4.1 はじめに
4.2 低分子抗原用抗体の開発
4.3 イムノセンサの開発
4.4 イムノセンサの実用化
4.5 おわりに
5 電気泳動用高度分析試薬の開発
5.1 はじめに
5.2 抽出試薬キットの開発
5.3 機器と試薬の最適化
5.4 二次元電気泳動システムの検証と今後の展望
6 高感度信号累積型ISFETバイオセンサーの開発
6.1 はじめに
6.2 高感度半導体センサー開発の経過
6.3 ISFETセンサーの原理
6.4 高感度信号累積型ISFETプロトンセンサー(AMISセンサー)
6.5 AMISセンサーの特徴
6.6 おわりに
【機能解析編】
第3章 大学・研究機関の研究動向
1 食品成分の機能評価法:肥満・メタボリックシンドロームへのアプローチ
1.1 背景・概要
1.2 食品成分のスクリーニングとその機能解析
1.2.1 ルシフェラーゼアッセイ
1.2.2 抗炎症食品成分の機能解析
1.3 新たなスクリーニング系の構築
1.3.1 蛍光タンパク質レポーターを用いたスクリーニング系の構築
1.3.2 蛍光タンパク質レポーターの課題
1.4 まとめ
2 メタボリックフィンガープリンティングによる食品/生薬の品質評価
2.1 はじめに
2.2 食品/生薬研究におけるメタボロミクスの位置づけ
2.3 GC/MSメタボロミクス
2.4 データマイニングシステムの開発
2.5 データマイニングシステムの緑茶研究での検証
2.6 食品/生薬におけるメタボロミクス研究のこれから
3 栄養アセスメントのための計測技術の現状と発展
3.1 栄養アセスメント計測の現状
3.2 日本人の食事摂取基準と日本食品標準成分表
3.3 健康って何?
3.4 健康増進志向の中での個人の栄養アセスメントの現状と課題
3.5 栄養はバランスが最も重要
3.6 健康栄養インフォメーション
3.7 日常生活の見直し
3.8 栄養状態表示のための生化学検査
3.8.1 成分別測定の必要性
3.9 他の栄養素のアンバランスを招く
3.10 正確に栄養状態を反映する検査方法の開発と適正な栄養アセスメント
3.11 まとめ
4 新規半導体デバイス(積分型ISFET)の食・計測技術への展開
4.1 食品産業における計測技術の重要性
4.2 現在の分析技術の課題と解決のための技術開発
4.3 食品分析領域へのバイオセンサーの応用
4.4 測定用酵素反応機構の開発:食品管理項目の測定例
4.4.1 エタノールの測定
4.4.2 プロテアーゼ活性の測定
4.5 まとめ
5 米粒および米加工品におけるタンパク質の可視化技術の開発と利用
5.1 はじめに
5.2 米粒中のタンパク質分布の解析
5.3 米加工品中のタンパク質の分析例
5.4 おわりに
6 カロテノイドの抗アレルギー作用
6.1 免疫機能に対するカロテノイドの影響に関する研究報告の歴史
6.2 適応免疫系のTh1/Th2 バランスとアレルギー
6.3 抗体産生に対するβ-カロテンの影響
6.3.1 β-カロテン摂取とIgE抗体産生ならびにTh1/Th2バランス
6.3.2 β-カロテンと抗原提示細胞の抗酸化性
6.3.3 抗原呈示細胞内の酸化還元状態とTh1/Th2バランス
6.4 肥満細胞に対するカロテノイドの影響に関する研究報告
6.5 炎症の抑制とカロテノイド
7 海藻の抗酸化物質とその機能解析
7.1 はじめに
7.2 フロロタンニン類(海藻ポリフェノール類)
7.3 ブロモフェノール類
7.4 カロテノイド
7.5 おわりに
8 バイオ計測技術を応用した清酒酵母の分類と開発
8.1 タンパク質の二次元電気泳動法を用いた清酒酵母の発現解析
8.2 発現解析を応用した酵母の分類
8.3 泡なし酵母の解析と開発
8.4 吟醸酒製造用酵母の解析と開発
第4章 メーカー(企業)の開発動向
1 低分子ヒアルロン酸の開発
1.1 はじめに―ヒアルロン酸とは
1.2 ヒアルロン酸の機能
1.3 食品中のヒアルロン酸の分析
1.4 ヒアルロン酸の経口吸収性
1.5 ヒアルロン酸の体内動態
1.6 ヒアルロン酸の経口摂取による効果(ヒトでの効果の検証)
1.7 おわりに
2 ラクトフェリンの脂質代謝抑制作用について
2.1 背景
2.2 実験方法
2.2.1 肥満成人男女を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験
2.2.2 消化酵素によるラクトフェリンの分解試験
2.2.3 ラット腸間膜由来前駆脂肪細胞試験
2.3 結果
2.3.1 ヒト試験によるラクトフェリン腸溶錠の内臓脂肪低減効果
2.3.2 消化酵素によるラクトフェリンの分解挙動
2.3.3 ラクトフェリン,およびそのペプシン分解物,トリプシン分解物による脂肪蓄積抑制効果
2.4 考察
3 遺伝子発現から見た大豆たん白の生理機能
3.1 はじめに
3.2 遺伝子発現に着目した大豆たん白質の機能研究
3.3 網羅的遺伝子発現解析手法による大豆たん白質機能の解析
3.4 オリゴヌクレオチドDNAマイクロアレイを用いた研究例
3.5 おわりに
4 GABA高含有チョコレートのストレス緩和効果について
4.1 ストレス緩和の必要性
4.2 ストレスの測定について
4.3 γ-アミノ酪酸(GABA)について
4.4 GABA高含有チョコレートのストレス緩和効果
4.4.1 チョコレートとストレス緩和
4.4.2 GABA高含有チョコレートとストレス緩和
4.5 まとめ
5 シアル酸の機能性
5.1 はじめに
5.2 シアル酸の製造法
5.3 シアル酸の安全性
5.4 シアル酸の機能
5.4.1 抗ウイルス作用
5.4.2 学習能向上効果
5.4.3 育毛効果
5.5 おわりに
【安全・安心の計測編】
第5章 大学・研究機関の研究動向
1 食の安全・安心を計測するナノバイオ技術
1.1 はじめに
1.2 ナノバイオデバイスによる遺伝子解析
1.3 ナノバイオデバイスによるタンパク質解析
1.4 おわりに
2 食の安全・安心における分析者の役割
2.1 食の安全と安心
2.2 食品の安全性を揺るがした事件と分析の関わり
2.2.1 食品添加物
2.2.2 環境汚染(公害)問題と食品の安全性
2.2.3 輸入食品の問題
2.2.4 微生物(食中毒)の問題
2.3 現在の状況(国際的動向を中心に)
2.3.1 化学物質の評価
2.3.2 国際的な食品の安全性評価
2.3.3 Codex委員会における国際的な運用
2.3.4 現在議論されている化学物質
2.3.5 生活習慣病と食品栄養成分
2.4 分析機関の今後の対応
2.5 分析のコスト
2.6 フード・ファディズムについて
2.7 食の安心と食品分析の使命
3 DNA分析の手法などを用いた食品表示の真正性確認
3.1 食品表示と(独)農林水産消費安全技術センターの表示監視業務
3.2 分析対象の表示
3.3 FAMICが表示監視に利用する分析技術の概要
3.4 PCR法を用いたDNA分析
3.4.1 遺伝子組換え食品の表示確認分析
3.4.2 名称および原材料の表示確認分析
3.4.3 産地表示などの確認分析
3.5 元素組成を用いた分析
3.6 安定同位体比分析
3.6.1 炭素安定同位体比を利用した原材料の推定分析
3.6.2 その他の安定同位体比分析による原料推定
3.7 その他の表示監視のための技術と社会的検証
4 食品・農産物におけるDNA鑑定の実用化の現状と展望
4.1 はじめに
4.2 DNA鑑定とは
4.3 食品・農産物におけるDNA鑑定の現状
4.4 食品・農産物におけるDNA鑑定の実用化のあり方
4.5 おわりに
5 DNA鑑定を利用した牛肉偽装表示の防止
5.1 はじめに
5.2 家畜牛の系統・品種
5.3 偽装表示の背景
5.4 国産牛の鑑別技術の開発
5.5 輸入牛肉に対する鑑別技術の開発
5.6 まとめ
6 残留農薬を見逃さない検出・除去バイオ細胞センサー技術の開発
6.1 はじめに
6.2 OPHを用いた有機リン系農薬のバイオセンシング
6.3 酵母細胞表層工学を用いた有機リン検出用生体触媒
6.3.1 OPHとEGFPの細胞表層上への共発現系の構築
6.3.2 水ガラスに固定したOPH-EGFP共発現酵母での有機リン化合物に対する蛍光応答
6.4 おわりに
7 安全・安心な植物促進増産の新手法の開発とその機構解析
7.1 はじめに
7.2 糖アルコールとその性質
7.3 エリスリトールによる生育促進作用
7.4 トランスクリプトームによる生育促進機構の解析
7.5 おわりに
8 完全養殖クロマグロのブランド化とトレーサビリティ手法
8.1 完全養殖クロマグロ
8.2 ブランド化戦略
8.3 トレーサビリティ手法
第6章 メーカー(企業)の開発動向
1 DNA鑑定・食品検査システムの開発;核酸抽出,PCRから検出,判定まで
1.1 はじめに
1.2 定性PCR法の課題と新たな提案
1.3 定性PCR法にもとづくDNA鑑定システム
1.3.1 定性PCR法の流れとシステム構成
1.3.2 肉種鑑別への適用事例
1.3.3 マグロ属魚類の品種判別への適用事例
1.3.4 アレルギー物質を含む食品検査への適用事例
1.4 今後の課題と将来の展望
2 ヒト細胞を用いた新規遺伝毒性試験法 NESMAGET
2.1 はじめに
2.2 試験原理
2.3 試験方法
2.4 NESMAGETの特徴1:DNA損傷形式の異なる遺伝毒性物質の反応性
2.5 NESMAGETの特徴2:既存の遺伝毒性試験との比較
2.6 NESMAGETの特徴3:各細胞による反応性の差
2.7 おわりに
3 バイオ計測手法を活用した微生物の迅速検出・同定の試み
3.1 緒言
3.2 好気性有胞子細菌の菌種迅速同定用DNAマイクロアレイ
3.3 蛍光マイクロコロニー法による微生物迅速検出
3.4 結語
4 リアルタイムPCR法を活用した工程管理の迅速簡便化
4.1 はじめに
4.2 リアルタイムPCR法の原理
4.3 応用例の紹介
4.3.1 牛挽肉増菌培養液からのベロ毒素遺伝子(VT1/VT2遺伝子)の検出
4.3.2 ドライソーセージ原材料肉の判別
4.4 おわりに
5 直接電解オゾン水の食材洗浄への応用
5.1 はじめに
5.2 オゾン水と塩素系薬剤との洗浄比較
5.3 直接電解式オゾン水の生成
5.4 オゾン水による食材洗浄
5.4.1 オゾン水による食材の洗浄方法およびオゾン水供給方法
5.4.2 オゾン水による食材洗浄の最適化
5.4.3 オゾン水洗浄条件の検討
5.5 おわりに
6 ノロウイルス対策としての殺菌剤の有効利用
6.1 はじめに
6.2 ノロウイルスの特徴とその対策
6.3 各種殺菌剤・洗浄剤のノロウイルスに対する有効性
6.4 ノロウイルス対策としての消毒と手洗い
6.4.1 手洗い
6.4.2 モノ・環境
6.4.3 汚物処理
6.5 まとめ
7 おいしい野菜づくりを支えるコンパクト硝酸イオンメータの開発
7.1 はじめに
7.2 農業用コンパクト硝酸イオンメータの開発
7.3 硝酸イオンの測定方法
7.4 コンパクト硝酸イオンメータによる測定方法
7.4.1 作物体測定方法
7.4.2 土壌測定方法
7.5 イオンクロマトグラフとの相関
7.5.1 作物体測定
7.5.2 土壌測定
7.6 おわりに -
月刊バイオインダストリー 2022年1月号
¥2,200
<著者一覧>
川畑伊知郎 東北大学
福永浩司 東北大学
町原加代 高知大学
難波卓司 高知大学
建部陽嗣 量子科学技術研究開発機構
徳田隆彦 量子科学技術研究開発機構
伊藤-佐々木隆広 東北大学
伊藤健太郎 東北大学
山口皐平 群馬大学
栁澤理央 群馬大学
大木佑哉 群馬大学
酒井真理 群馬大学
松村彰彦 群馬大学
加田 渉 群馬大学
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BIO REVIEW
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レビー小体病を予防可能な新規中分子治療薬の開発
Development of Novel Medium-molecular Therapeutics for Lewy Body Disease
超高齢化社会の到来により,認知症や運動疾患の増加が社会問題である。本稿では,パーキンソン病やレビー小体型認知症の原因タンパク質αシヌクレインの神経細胞取り込みと凝集,細胞間伝播の新しい分子機序を解説する。また,その根本的予防が可能な低分子化合物,新規中分子治療薬の開発について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 脂肪酸結合タンパク質依存的なαシヌクレインの細胞内取り込み機構
3 ドパミン受容体とカベオラによるαシヌクレインの細胞内取り込み制御
4 αシヌクレインの凝集と伝播を予防する新たな治療薬開発
5 おわりに
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スピルリナによる新たな抗酸化作用の発見
Spirulina Ingredient Increases Antioxidant Capacity in Senescent Fibroblasts.
スピルリナの新たな作用として老化線維芽細胞で抗酸化タンパク質の発現を誘導することで抗酸化能力を上昇させて,低下していたミトコンドリアの機能を回復させること,及びコラーゲンの産生量を増加させることを見出した。これにより,スピルリナはアンチエイジング作用を期待した新規素材としての開発が期待される。
1 はじめに
2 細胞老化とミトコンドリア
3 スピルリナによる老化細胞ミトコンドリアの機能回復
4 スピルリナによる細胞の抗酸化作用の増強
5 おわりに
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認知症の血液診断法の開発
Development of Blood Diagnostic Method for Dementia
認知症の治療薬開発が進む中で,早期診断や病態評価のために血液バイオマーカーの必要性が高まっている。アルツハイマー病病理の構成成分であるAβやタウは,病態を反映するバイオマーカーとしてこれまで脳脊髄液で定量がおこなわれてきた。近年,これらのタンパクは血液中でも正確に定量できるようになってきた。今後は,多種多様な認知症性疾患の脳病理をより包括的に診断・層別化ができる次世代のバイオマーカーシステムの確立が進行している。バイオマーカー(BM)は,「病的過程あるいは薬理学的な反応などを客観的に測定して評価される特性」と定義される。これまで脳神経疾患の生化学的BMは,主に脳脊髄液BMが開発の主体であったが,採取の手間や,侵襲性の高さなどの問題があり,臨床で応用されるにはいたっていない。そのため,血液や尿といった身近なサンプルによるBMの開発が強く望まれてきた。その中でも,脳神経疾患の血液BMが強く希求されており,最近のイノベーションによって血液BMの臨床応用が夢ではなくなってきている。
【目次】
1 アルツハイマー病のコアBMとそれら血液BMへの応用
2 ADバイオマーカーとしての血液中リン酸化タウ(p-タウ)の有用性
3 “A” myloid, “N” eurodegenerationおよびその他の血液BM
4 今後の展望
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世界初のLAL試薬を使用しないエンドトキシン検出法の開発
Development of LAL-free Endotoxin Detection Methodll Adhesion and Desorption
Coulter-counter法を用いたエンドトキシンの連続モニタリング法を検討した。先端にナノポアを有するガラスナノピペットの内部にエンドトキシンを含む透析液を入れ,エンドトキシンフリー透析液のバルク溶液にピペット先端を浸した。ピペット内-バルク間で1 V印加して電流変化を観察した結果,エンドトキエンドトキシン濃度の上昇とともにパルス状の電流変化の現れる頻度が上昇した。本手法はこれまでに実現されていない透析や製薬工場のラインへの組込みができるエンドトキシン検出法としての応用が期待される。
【目次】
1 緒言
2 実験
2.1 試薬調製と電極作製
2.2 エンドトキシン定量
3 結果および考察
3.1 ナノピペットの評価
3.2 エンドトキシン定量
4 結言
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重粒子線がん治療場での臨床線量の評価を目的とした半導体線量計の開発
Development of Semiconductor-based Dosimeter for Evaluation of Clinical Dose in Carbon Beam Cancer Treatment Field
「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現を目指す上で,重粒子線がん治療技術は重要な役割を果たしている。治療高度化につれ,線エネルギー付与(LET)に代表される粒子線の特徴量の測定が必要となっている。本稿では,エネルギー分解能や放射線耐性に優れたワイドバンドギャップ半導体を用いた線量計の開発と実際の治療場での測定例を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 臨床線量計の開発
2.1 がん治療場での重粒子線照射
2.2 半導体線量計の開発
2.3 計測評価の流れ
3 実験結果
3.1 LETスペクトルの測定
3.2 今後の展開,LET解析とRBE推定
4 まとめ
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BIO BISINESS
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医薬品工業
世界の医薬品市場は2014 年に1 兆ドルを突破し,2020 年には1 兆1,800 億ドルを超え,今後も3~6%程度の成長が見込まれている。2019 年の国内医薬品の生産金額は,9 兆4,860 億円となり,前年比37.3%の伸びを示した。医療用医薬品,一般医薬品とも増加したが,配置用家庭薬は減少した。全体的にみると生産金額は年によりばらつきがあるが,製薬業界にとって厳しい状況が続いている。また,2019 年末から発生しているコロナウイルス(COVID-19)による肺炎に関して,IQVIA は,国内のコロナワクチンの市場規模は,21 年度2,250 億円,22 年度500 億円,23 年度1,150 億円,24 年度300 億円,25 年度900 億円と予測している。
1 医療用医薬品
1.1 生産動向
1.2 輸出入
1.3 世界市場
1.4 国内動向
2 一般用医薬品
2.1 生産動向
2.2 市場動向
2.3 企業動向
3 臨床検査薬
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≪BIO PRODUCTS≫
N-アシルグルタミン酸塩(N-Acylglutamate)
L-ロイシン (L-Leucine)
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電子部品用エポキシ樹脂の最新技術 II(普及版)
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2011年刊「電子部品用エポキシ樹脂の最新技術Ⅱ」の普及版!エポキシ樹脂と副資材、配合物の機能、応用分野の用途と要求物性などを網羅し、また新たな機能特性と注目分野への技術動向を詳述!!
(監修:越智光一・岸肇・福井太郎)
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※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
【監修】
越智光一 関西大学
岸肇 兵庫県立大学
福井太郎 パナソニック電工(株)
【著者】
越智光一 関西大学
中西政隆 日本化薬(株)
村田保幸 三菱化学(株) 機能化学本部
中村美香 大阪ガスケミカル(株)
奥村浩一 ダイセル化学工業(株)
吉田一浩 チッソ石油化学(株)
小椋一郎 DIC(株)
稲冨茂樹 旭有機材工業(株)
鈴木実 日立化成工業(株)
近岡里行 (株)ADEKA
有光晃二 東京理科大学
内田博 昭和電工(株)
永田員也 旭化成ケミカルズ(株)
岸肇 兵庫県立大学
中村吉伸 大阪工業大学 (吉の上は「土」)
佐藤千明 東京工業大学
高橋昭雄 横浜国立大学
久保内昌敏 東京工業大学
松田聡 兵庫県立大学
西川宏 大阪大学
上利泰幸 (地独)大阪市立工業研究所
原田美由紀 関西大学
今井隆浩 (株)東芝
古森清孝 パナソニック電工(株)
藤原弘明 パナソニック電工(株)
中村吉宏 日立化成工業(株)
米本神夫 パナソニック電工(株)
元部英次 パナソニック電工(株)
真子玄迅 味の素ファインテクノ(株)
宮川健志 電気化学工業(株)
大野浩正 ヘンケルエイブルスティックジャパン(株)
岩倉哲郎 日立化成工業(株)
小日向茂 住友金属鉱山(株)
矢野博之 新日鐵化学(株)
小高潔 ナミックス(株)
中村裕一 ハンツマン・ジャパン(株)
山口真史 積水化学工業(株)
浦崎直之 日立化成工業(株)
小谷勇人 日立化成工業(株)
三宅弘人 ダイセル化学工業(株)
後藤慶次 電気化学工業(株)
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【第1編 電子部品用エポキシ樹脂と副資材】
第1章 エポキシ樹脂
1. ノボラック型エポキシ樹脂
1.1 ナフタレン含有ノボラック型エポキシ樹脂
1.2 ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂
1.3 トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂
1.4 テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹種
1.5 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
1.6 フェノールアラルキル型エポキシ樹脂
2. ビフェニル型エポキシ樹脂
2.1 ビフェニル型エポキシ樹脂の構造と特徴
2.2 ビフェニル型エポキシ樹脂の種類
2.3 ビフェニル型エポキシ樹脂の封止材用としての特性
2.3.1 溶融粘度
2.3.2 成形性
2.3.3 吸湿性
2.3.4 低応力性
2.3.5 接着性
2.3.6 耐熱性
2.4 ビフェニル型エポキシ樹脂の展開
2.4.1 新しい半導体技術への対応
2.4.2 新規なビフェニル型エポキシ樹脂の開発
2.4.3 高分子量エポキシ樹脂への導入
2.5 まとめ
3. フルオレン型エポキシ樹脂
3.1 はじめに
3.2 フルオレン型エポキシ樹脂
3.3 合成方法
3.4 基本物性
3.5 硬化物物性
3.6 耐黄変性試験
3.7 分散性
3.8 おわりに
4. 脂環式エポキシ樹脂
4.1 はじめに
4.2 脂環式エポキシ樹脂の合成法
4.3 脂環式エポキシ樹脂の種類と性状
4.3.1 低分子脂環式エポキシ樹脂
4.3.2 オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂
4.3.3 新規な脂環式エポキシ樹脂
4.4 脂環式エポキシ樹脂の反応性と硬化物物性
4.4.1 脂環式エポキシ基の反応性
4.4.2 酸無水物硬化
4.4.3 UVカチオン硬化
4.4.4 熱カチオン硬化
4.4.5 アミン硬化
4.5 脂環式エポキシ樹脂の代表的な用途
4.5.1 LED封止材
4.5.2 インク・コーティング関係
4.5.3 電気・電子材料
4.5.4 添加剤・その他
4.6 おわりに
5. 無機骨格を有するエポキシ樹脂
5.1 はじめに
5.2 エポキシ変性シルセスキオキサン
5.2.1 ダブルデッカー型シルセスキオキサン
5.2.2 エポキシ変性ダブルデッカー型シルセスキオキサン
5.3 エポキシ変性シルセスキオキサンの特性
5.3.1 グリシジル変性ダブルデッカー型シルセスキオキサン
5.3.2 脂環エポキシ変性シルセスキオキサン
5.4 おわりに
6. 高機能エポキシ樹脂の分子設計と合成技術,および基礎物性
6.1 はじめに
6.2 高機能エポキシ樹脂の開発
6.2.1 速硬化性エポキシ樹脂
6.2.2 高耐熱性エポキシ樹脂
6.2.3 低熱膨脹性エポキシ樹脂
6.2.4 低吸湿性エポキシ樹脂
6.2.5 低誘電特性エポキシ樹脂
6.2.6 高難燃性エポキシ樹脂
6.2.7 柔軟強靭性エポキシ樹脂
6.3 おわりに
第2章 硬化剤
1. フェノール系エポキシ樹脂硬化剤
1.1 はじめに
1.2 フェノール樹脂の基礎
1.3 エポキシ樹脂とフェノール樹脂の反応
1.4 半導体封止材料エポキシ樹脂硬化剤
1.4.1 半導体封止材料の進歩
1.4.2 封止材用フェノール樹脂系エポキシ樹脂硬化剤の動向
1.5 まとめ
2. 酸無水物類
2.1 はじめに
2.2 酸無水物系硬化剤の種類
2.3 酸無水物系硬化剤の使用にあたって
2.3.1 配合に関して
2.3.2 吸湿,揮散に関して
2.3.3 安全性に関して
2.4 酸無水物系硬化剤の開発動向
2.5 おわりに
3. カチオン系開始剤
3.1 はじめに
3.2 光カチオン開始剤
3.2.1 メリット
3.2.2 デメリット
3.3 熱カチオン開始剤
3.4 おわりに
4. 光塩基発生剤および塩基増殖剤
4.1 はじめに
4.2 新規光塩基発生剤の開発
4.2.1 光環化型塩基発生剤
4.2.2 光脱炭酸型塩基発生剤
4.3 塩基増殖反応による高感度化
4.3.1 塩基増殖剤
4.3.2 分解挙動
4.3.3 アニオンUV硬化への応用
4.4 おわりに
第3章 添加剤
1. 強靱性,耐湿性付与剤
1.1 はじめに
1.2 CEAとα-オレフィンの共重合反応
1.3 共重合体の物性
1.4 共重合体の硬化物の物性値と強靭性・耐湿性付与効果
1.5 フッ素原子導入共重合体
1.6 おわりに
2. フィラー
2.1 フィラーの種類
2.2 フィラーの表面
2.2.1 金属酸化物,水酸化物フィラー
2.2.2 共有結合性フィラーおよび金属フィラー
2.3 フィラーの表面処理
2.3.1 シランカップリング剤
2.3.2 チタネートカップリング剤
2.3.3 脂肪酸,界面活性剤などのイオン結合性有機化合物
2.4 有機-無機ハイブリッド
【第2編 エポキシ樹脂配合物の機能化】
第4章 力学的機能
1. 強靱性
1.1 はじめに
1.2 ゴム添加によるエポキシ樹脂強靭化
1.3 ポリマー微粒子添加によるエポキシ樹脂強靭化
1.4 ポリマーアロイによるエポキシ樹脂の強靭化
1.5 おわりに
2. 低内部応力性
2.1 はじめに
2.2 内部応力とは
2.3 内部応力の低減
2.3.1 ゴム変性
2.3.2 無機粒子の充てん
2.4 強靭性の向上
2.4.1 ゴム変性
2.4.2 無機粒子の充てん
2.5 おわりに
3. 接着性
3.1 はじめに
3.2 接着性とは何か
3.2.1 接着性の定義
3.2.2 応力基準およびひずみ基準
3.2.3 破壊力学的基準
3.3 接着性を考慮した接合部の設計
3.3.1 ICチップと封入樹脂と界面強度
3.3.2 コヘッシブゾーンモデルを用いた接合部の強度予測
3.4 おわりに
第5章 耐久性・耐候性
1. エポキシ樹脂の耐熱性
1.1 はじめに
1.2 物理的耐熱性
1.3 化学的耐熱性
1.4 高耐熱化
2. 耐湿性
2.1 はじめに
2.2 吸水特性
2.2.1 Fickの理想拡散に基づく吸水特性
2.2.2 化学構造と吸水性
2.2.3 無機フィラーの効果
2.3 吸液後の乾燥と物性
2.4 浸入した水の分布と計測
2.5 電子部品の耐湿信頼性
2.5.1 PCT
2.5.2 樹脂の耐熱衝撃性に及ぼす水の影響
2.6 おわりに
3. エポキシ樹脂の疲労き裂伝ぱ特性
3.1 はじめに
3.2 耐疲労性の評価法
3.3 エポキシ樹脂の疲労き裂伝ぱ特性
3.4 おわりに
第6章 伝導的機能
1. 導電性
1.1 はじめに
1.2 導電メカニズム
1.3 導電フィラーの最新動向
1.3.1 導電フィラーの複合添加
1.3.2 導電フィラーに対する表面処理
1.4 おわりに
2. 熱伝導性―フィラー系高熱伝導性エポキシ樹脂
2.1 高熱伝導性高分子材料への期待
2.2 高分子材料の複合化による熱伝導率に及ぼす影響
2.2.1 粒子分散複合材料の有効熱伝導率に与える影響と予測式
2.2.2 熱伝導率に与える影響
2.3 応用分野と将来性
3. 熱伝導性―液晶性エポキシ樹脂系
3.1 はじめに
3.2 構造制御に用いられるメソゲン基と液晶性エポキシ樹脂の特徴
3.3 局所配列および巨視的構造を有する硬化物の創製と熱伝導性
3.4 局所配列構造の形成過程を利用した高熱伝導性コンポジットの創製
3.5 おわりに
第7章 光学的・電気的機能
1. エポキシ樹脂硬化物の屈折率制御
1.1 はじめに
1.2 屈折率に影響を及ぼす基本的な因子
1.3 分極率の異なる原子の導入による屈折率制御
1.4 充填密度の変化による屈折率制御
1.5 おわりに
2. 耐高電圧特性(耐絶縁破壊性)
2.1 はじめに
2.2 エポキシ樹脂の電気絶縁性と測定方法
2.3 絶縁破壊特性が受ける影響
2.4 絶縁破壊特性の向上
2.4.1 球状フィラー充填による絶縁破壊特性の向上
2.4.2 ナノフィラー分散による絶縁破壊特性の向上
2.5 おわりに
【第3編 電子部品用エポキシ樹脂の用途と要求物性】
第8章 基板材料
1. 高速通信用プリント配線板材料
1.1 はじめに
1.2 高速通信用PWB材料の要求特性
1.2.1 銅張積層板の材料構成
1.2.2 高速通信材料への要求物性
1.2.3 絶縁樹脂
1.2.4 ガラスクロス
1.2.5 銅箔
1.3 低誘電エポキシ樹脂銅張積層板
1.4 おわりに
2. 環境対応型プリント基板材料
2.1 はじめに
2.2 プリント基板に関係する法規制の動きと対応技術
2.3 鉛フリー対応技術について
2.4 ハロゲンフリー対応技術について
2.4.1 基板用エポキシ樹脂の難燃化技術の進歩
2.4.2 ハロゲンフリープリント基板材料の特性
2.5 おわりに
3. エポキシ樹脂を用いた最新PKG基板材料
3.1 はじめに
3.2 半導体パッケージの動向と半導体パッケージ基板材料に求められる特性
3.3 エポキシ樹脂の設計
3.3.1 高絶縁信頼性材料への対応
3.3.2 反り低減材料への対応
3.3.3 環境調和型材料への対応
3.4 実用事例
3.5 おわりに
4. ビルドアップ基板用層間絶縁材料
4.1 はじめに
4.2 半導体パッケージ基板用層間絶縁材に求められる特性
4.3 半導体パッケージ基板用層間絶縁フィルム
4.3.1 ABFを用いた多層基板の製造プロセス
4.3.2 ABFの構成
4.3.3 ABFの特徴
4.3.4 ABFの品種とそれぞれの特性
4.4 次世代の層間絶縁材料
4.4.1 次世代の層間絶縁材に要求される性能
4.4.2 次世代向けABF
4.5 ガラスクロスとの複合化材料
4.6 おわりに
5. 高放熱性金属ベース基板
5.1 放熱性基板
5.2 金属ベース基板の構造
5.3 絶縁層の高放熱材料設計
5.4 金属ベース基板の信頼性
5.5 まとめ
第9章 実装材料
1. ダイボンディングペースト
1.1 はじめに
1.2 ダイボンドペーストの分類
1.2.1 リードフレーム用ダイボンドペースト
1.2.2 有機基板用ダイボンドペースト
1.3 マーケットトレンドロードマップ
1.3.1 ダイボンドペーストのマーケットドライバー
1.3.2 ダイボンドペーストの要求特性
1.4 ダイボンドペーストロードマップ
2. ダイボンディングフィルム
2.1 はじめに
2.2 高密度実装の動向とダイボンディングフィルムの必要特性
2.3 エポキシ樹脂/アクリルポリマー系の特徴
2.4 エポキシ樹脂/アクリルポリマー系の補強
2.5 フィルムのダイボンディング用途への適用
2.6 おわりに
3. 導電性接着剤(ペースト)
3.1 はじめに
3.2 Agエポキシの組成概要
3.3 導電性に影響をおよぼす金属粉末の界面活性剤(解こう剤:Lubricant/有機物)
3.4 Agエポキシ硬化物の導電性
3.4.1 直流電気伝導測定
3.4.2 AFM観察
3.5 Agエポキシの電気伝導機構の検討
3.6 新しい導電性接着剤の試み
4 フリップチップ実装用NCP(Non Conductive Paste)
4.1 はじめに
4.2 NCPの要求特性
4.3 設計
4.3.1 硬化挙動
4.3.2 信頼性
4.3.3 材料設計
4.4 おわりに
5. アンダーフィル材―フリップチップ用,COF用,CSP補強用
5.1 はじめに
5.2 アンダーフィルの材料構成
5.2.1 樹脂組成
5.2.2 フィラーについて
5.2.3 その他の添加剤
5.3 アンダーフィルの要求特性と課題
5.3.1 流動特性
5.3.2 接続方式の変化とLow-Kの脆弱化
5.4 熱応力シミュレーション技術のアンダーフィル開発への応用
5.5 COF用アンダーフィル
5.6 2次実装用アンダーフィル
5.7 おわりに
第10章 注目用途へのエポキシ樹脂の展開
1. エネルギー用途―風力発電用FRP材料
1.1 はじめに
1.2 風力発電ブレードの大型化
1.3 風力発電ブレードの成形方法
1.3.1 レジンインフュージョン
1.3.2 構造接着プロセス
1.4 ブレードの製造プロセス
1.5 ブレード製造に用いられるエポキシ樹脂システムおよび構造接着剤
1.5.1 ブレード製造に用いられるインフュージョン用エポキシ樹脂
1.5.2 ブレード製造に用いられる構造用接着剤
1.6 おわりに
2. 液晶ディスプレー用シール剤
2.1 はじめに
2.2 UVシール剤の構成
2.2.1 構成
2.2.2 各成分の役割
2.2.3 各材料の特徴
2.3 UVシール剤の必要機能
2.3.1 UV硬化性
2.3.2 熱硬化性
2.3.3 低汚染性
2.3.4 ポットライフ/ディスペンス性
2.3.5 長期信頼性
2.3.6 接着力
3. 高輝度白色LED用途―白色リフレクタ材料
3.1 はじめに
3.2 表面実装型LED動向と白色反射モールド樹脂の必要特性
3.3 成形方法と白色反射モールド樹脂の設計
3.4 LED用白色反射モールド樹脂の事例
3.4.1 開発材の物性
3.4.2 開発材を用いたLEDパッケージの試作工程と結果
3.4.3 LEDパッケージの信頼性
3.4.4 開発材の寿命
3.4.5 まとめ
3.5 おわりに
4. ナノファブリケーション用途―光ナノインプリント材料へのエポキシ樹脂の応用
4.1 はじめに
4.2 ナノインプリント技術
4.2.1 ナノインプリントの種類
4.2.2 光ナノインプリント材料への適用性
4.3 カチオン硬化システムの特徴
4.3.1 カチオン硬化性化合物
4.3.2 硬化収縮について
4.3.3 硬化収縮のメカニズム
4.3.4 基材密着性とモールド離型性
4.4 まとめ
5. 光学部品用UV硬化型エポキシ接着剤
5.1 はじめに
5.2 光学部品用UV接着剤について
5.3 UV硬化型エポキシ接着剤の特徴
5.4 UV硬化型エポキシ接着剤の硬化機構
5.5 UV-LEDについて
5.5.1 分光分布
5.5.2 寿命
5.5.3 高安全性・低ランニングコスト
5.6 UV硬化型エポキシ接着剤の硬化特性
5.7 UV硬化型エポキシ接着剤「ハードロック UVX-Bシリーズ」
5.8 おわりに -
月刊バイオインダストリー 2016年2月号
¥3,960
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特集
細胞識別・選別技術の最前線―再生医療の安全性向上に向けて―
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特集にあたって
Introduction
紀ノ岡正博 (大阪大学)
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5-アミノレブリン酸を利用した残留未分化iPS細胞の選択的除去
5-Aminolevulinic Acid-induced Selective Elimination of Remaining Undifferentiated iPS Cells
伊東秀典 (SBI ファーマ㈱)
吉田俊介 (㈱リプロセル)
田中徹 (SBI ファーマ㈱)
5-アミノレブリン酸(ALA)を用いたがんの光線力学治療(ALA-PDT)は,ALA投与時にがん細胞選択的にプロトポルフィリンⅨ(PPⅨ)が蓄積することを利用している。筆者らはALA-PDTを応用した残留未分化iPS細胞の選択的除去法を開発したので紹介する。
【目次】
1. はじめに
1.1 5-アミノレブリン酸(ALA)とは
1.2 ALAの外的投与とその応用
2. ALAと光照射を組み合わせたiPS細胞の選択的除去
2.1 ALAを用いた光線力学診断(PDD),光線力学治療(PDT)
2.2 光線力学除去(PDE)によるiPS細胞特異的な細胞死の誘導
2.3 PDEによる分化細胞純化の特色
3. 応用展開:iPS細胞由来分化細胞の品質診断法としての可能性
4. 未分化iPS細胞のALA-PDEが示唆する未来のがん治療
5. おわりに
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多能性幹細胞の腫瘍化原因細胞をがん特異的制限増殖型アデノウイルスにより特異的に除去する新技術
A Novel Method using Conditionally Replicating Adenovirus for Specifically Abolishing Tumorigenic Cells in Pluripotent Stem Cells
三井薫 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
小戝健一郎 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
本稿では,我々が独自開発したがん治療薬の「多因子制御によるがん特異的増殖型アデノウイルスベクター(m-CRA)」技術を応用した,多能性幹細胞の中の腫瘍化原因細胞の新たな除去技術を紹介する。m-CRAは腫瘍化原因細胞中のみで増殖し,これらを直接・特異的に殺傷・除去できるため,再生医療における腫瘍化阻止の新たな技術として期待される。
【目次】
1. はじめに
2. 腫瘍化原因細胞を「直接」標的治療する3つのウイルスベクター技術
3. 革新的ながん治療薬としてのm-CRA技術の開発
4. m-CRA技術の再生医療への応用
5. 今後の展望
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ラマン散乱スペクトルによる細胞指紋法の提案
Cellular Fingerprinting using Raman Spectroscopy
渡邉朋信 (理化学研究所)
市村垂生 (生命システム研究センター)
藤田英明 (生命システム研究センター)
正常細胞とがん細胞との識別や良質な人工多能性幹細胞(iPS細胞)の選種など,細胞の種類や状態の判断を必要とする状況は,基礎医学分野,生命科学分野において多々ある。本稿では,我々が考案・開発してきた,ラマン散乱スペクトルを細胞の種類/状態を識別するための「指紋」として用いる方法を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 「細胞指紋」となり得る物理量
3. 細胞のラマンスペクトルの取得
4. 主成分分析を用いて様々な細胞株を識別する
5. ラマンスペクトルを用いた,細胞状態遷移の表現
6. おわりに
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培養細胞の自動評価と赤外線レーザーを用いた非接触式細胞選別法の必要性
Automated Evaluation and Laser-assisted Maintenance of Induced Pluripotent StemCells
寺村岳士 (近畿大学)
松田浩一 (シンフォニアテクノロジー㈱)
ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)が樹立されて以来,多能性幹細胞を用いた再生医療が注目されるようになった。iPS細胞を用いた再生医療を安全に実施するためには,細の品質を安定させることが必要である。本稿では,再生医療における画像診断・赤外線レーザーによる非接触式細胞除去技術の必要性と,iPS細胞の新たな管理法としての可性について紹介する。
【目次】
1. 従来の再生医療細胞施設と問題点
2. 全自動培養ロボットの意義
3. iPS細胞培養の特殊性
4. iPS細胞の普及,臨床応用に向けた試み
5. レーザーによる非接触操作の意義
6. iPS細胞培養のこれから
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無菌ソーティングを実現する使い捨て交換型流路チップを用いるセルソーター(On-chip Sort)
Disposable Microfluidic Chip Based Cell Sorter for Sterile Sorting
武田一男 (㈱オンチップ・バイオテクノロジーズ)
1. はじめに
2. 従来型のセルソーターの原理と限界
2.1 原理と長所
2.2 従来型セルソーターの欠点
2.2.1 ソーティングダメージ
2.2.2 大気中からのサンプルへの細菌汚染や大気へのエアロゾルによるサンプル拡散
2.2.3 サンプル間のコンタミネーション
3. 使い捨て交換型マイクロ流路チップ内のソーティング技術の開発
3.1 ソーティング原理の探索
3.2 マイクロ流路内パルス流ソーティングのための局所化技術
3.3 使い捨て交換型ソーティング流路チップとソーティング性能
3.4 ソーティングダメージ
3.5 セルソーターの光学系
4. 再生医療用向け分化細胞の純化(未分化細胞の完全除去)
5. あとがき
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生細胞の分取に適したダメージレスセルソーター
A Novel Damage-less Cell Sorter(PERFLOWⓇ Sort)Developed for Live Cells
徐杰 (古河電気工業㈱)
生細胞へのダメージレスソーティングを目的とする世界初のセルソーター(PERFLOWⓇSort)は,特にデリケートな細胞種であるヒトiPS細胞やヒトES細胞等のソーティングに最も適しており,これまでになく,66%という極めて高い成功率でシングルセル由来のモノクローンヒトiPS細胞の樹立に成功した。
【目次】
1. はじめに
2. 新しいコンセプトのセルソーター(PERFLOWⓇ Sort)
2.1 新しい解析情報
2.2 ダメージレスソーティング
2.3 濃縮ソーティング
3. 生細胞によるダメージレスソーティング評価
3.1 成熟巨核球細胞によるダメージレスソーティング評価
3.2 ヒトiPS細胞へのダメージレスソーティング評価
3.3 神経冠幹細胞候補へのダメージレスソーティング評価
3.4 三次元培養による結腸腺癌細胞塊へのダメージレスソーティング評価
4. おわりに
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BIO R&D
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抗体の小分子化とドラッグデリバリーへの展開
Fragment antibodies and their application in drug delivery systems
秋葉宏樹 (東京大学)
津本浩平 (東京大学)
次世代の抗体医薬の基盤として注目を集めているのが小分子化・融合技と,これらを応用したドラッグデリバリーシステム(DDS)である。小分子化技術,DDSにおける抗体の役割,近年発展しているプレターゲティングを概説し,生体内での二重特異性抗体成を利用した抗体DDSについての筆者らの取り組みについて紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 抗体の小分子化と融合抗体
3. DDSのためのコンジュゲート抗体
4. プレターゲティング
5. 新しいDDS抗体へ
6. おわりに
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BIO BUSINESS
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再生医療等に使用される細胞加工物の品質・安全性評価
―リスクベースアプローチの考え方―
Quality and Safety Assesment of Cell Processor for Regenerative Meicine
佐藤陽治 (国立医薬品食品衛生研究所)
【目次】
1. はじめに
2. 再生医療,細胞治療,細胞加工物
3. 細胞の「加工」について
4. 細胞加工物の品質・安全性評価の原則
5. リスクベースアプローチの具体的な考え方に関するEUのガイドライン
5.1 ATMPの規制における基本原則:リスクベースアプローチ
5.2 EMAのリスクベースアプローチ・ガイドライン
5.3 EMA/CAT/CPWP/686637/2011
5.3.1 EMAガイドラインの対象
5.3.2 リスクベースアプローチの方法論
5.3.3 リスク
5.3.4 リスク要因
5.3.5 リスクプロファイリング
5.3.6 販売承認申請書類への適用
6. 我が国の規制環境においてリスクベースアプローチをどう活用するか
7. おわりに -
月刊バイオインダストリー 2022年3月号
¥2,200
<著者一覧>
黒田章夫 広島大学
堀 克敏 名古屋大学
内田和希 九州大学
神谷典穂 九州大学
梅津光央 東北大学
中澤 光 東北大学
二井手哲平 大阪大学
大河内美奈 東京工業大学
隅田泰生 鹿児島大学
新地浩之 鹿児島大学
吉野知子 東京農工大学
鈴木智加良 東京農工大学
川久保雅友 信州大学
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【特集】固相へのバイオ分子の配向とその利用
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特集にあたって
Introduction
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鉱物にアフィニティーのあるタンパク質の利用
Application of Mineral-binding Proteins
特定の鉱物にアフィニティーのあるタンパク質を利用して鉱物を検査しようという試みは,現在のX 線を用いた分析法では判定が難しいものでも判定できる場合があることから,「環境検査」「医療診断」「鉱物学」の分野で将来有用な技術になると考えている。著者は,「固相へのバイオ分子の配向とその利用」から始まった「結晶のバイオセンシング」を一般化したいと考えている。
【目次】
1 はじめに:「固相へのバイオ分子の配向とその利用」から「結晶のバイオセンシング」へ
2 アスベストをバイオで検査するという試み
2.1 アスベスト結合タンパク質を使ったアスベスト検査
2.2 鉱物資源を安全に利用するための簡便なアスベスト検査
3 結晶のバイオセンシングへの展開
3.1 DksAの分子認識メカニズム
3.2 様々な結晶を特異的に認識する人工タンパク質を創成する技術
4 おわりに
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細菌接着タンパク質と微生物固定化への利用
Bacterial Adhesive Protein and Its Application to Microbial Immobilization
筆者らは,様々な材料表面に接着する細菌の細胞表層タンパク質AtaA を発見し,その性質,構造,接着機構の解明を進めてきた。さらに,AtaA を利用した画期的な微生物固定化法の開発と固定化微生物による革新的微生物プロセスの構築を手掛けてきた。本稿では,従来の微生物固定化法の概説後,AtaA について研究の進展について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 従来の微生物細胞固定化法
3 微生物接着タンパク質AtaA
4 微生物固定化技術への応用
5 将来展望
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脂質二分子膜へのタンパク質のアンカリング技術
Anchoring Proteins on Lipid-bilayer Membranes
細胞は脂質分子により構成される二重膜構造で区画化され,膜に局在するタンパク質を介した情報伝達やエネルギー変換を通して生命活動を営んでいる。本稿では,脂質分子の導入によるタンパク質への疎水性の付与と,人工脂質修飾タンパク質の合成二分子膜ならびに細胞膜表層へのアンカリング技術と応用例を紹介する。
【目次】
1 生体内におけるタンパク質の脂質修飾
2 合成脂質二分子膜へのタンパク質のアンカリング
3 細胞膜表層へのタンパク質のアンカリング
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材料表面を認識するペプチド・タンパク質から発想するハイブリッドナノアセンブリ
Hybrid Nanoassembly via Material-binding Peptides and Proteins
試験管の中で進化を模倣した進化分子工学は,分子集合体や無機材料表面などの非分子系材料をも分子認識対象とし材料表面に親和性のあるペプチド・タンパク質を創りだすことができる。本稿では,それらバイオ分子が様々な材料に対してハイブリッドな階層的複合構造を形成できるインターフェイス分子として利用できることを紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 材料結合性ペプチド
3 材料結合性抗体
4 天然に存在する材料結合性ドメイン:セルロース結合ドメイン
5 おわりに
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ナノデバイスへのペプチドの固定と利用
Peptide Functionalization and Utilization in Nanodevices
近年,ナノ粒子,ナノワイヤ,ナノシートなど比界面積の大きいナノ構造体を活用したバイオデバイスの開発が進んでいる。ペプチドは化学合成や化学修飾が容易であり,特定の材料表面への修飾や自己組織化が可能である他,構成されるアミノ酸の特性によりターゲットに対して優れた親和性を発揮する。本稿では,ペプチドを利用した分子認識界面の構築によるナノデバイスの開発について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 ペプチド修飾ナノワーヤデバイスによるエクソソーム回収
3 有害・危険物を迅速にセンシングする分子認識ペプチドプローブの開発
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糖鎖のナノ粒子への固定化と医薬・検査薬への応用
Immobilization of Sugar Chain onto Gold Nanoparticle and Medical / Diagnostic Application
糖鎖を金属へ効率よく固定化するオリジナルな方法を確立し,それを応用したナノ粒子のウイルス検査法,および免疫増強剤の開発研究について説明する。
【目次】
1 はじめに
2 糖鎖固定化ナノ粒子を用いたウイルス検査法の開発
2.1 ウイルス検査の重要性について
2.2 インフルエンザウイルスの実験
2.3 デング熱ウイルス
3 アジュバント(免疫増強剤)としてのToll様受容体7(TLR7)リガンド・糖鎖共固定化金ナノ粒子の開発
3.1 アジュバントとしてのTLRリガンド
3.2 1V209・糖鎖共固定化金ナノ粒子(1V209-SGNPs)の調製
3.3 1V209-SGNPsの免疫増強活性
4 おわりに
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単一細胞アレイ化技術と希少細胞解析への応用
Single-cell Array and Its Application to Rare Cell Analysis
生体内には疾病に関わる様々な希少細胞が存在しており,この様な希少細胞の解析により診断・治療や発症メカニズム解明が期待される。一方でこの様な希少細胞の解析には技術的な課題が多く残されており,十分なオミクス情報の取得には至っていない。本総説では希少細胞の解析に向けて,近年開発されている単一細胞アレイ化技術と希少細胞解析への応用に関して概説する。
【目次】
1 はじめに
2 希少細胞の種類と重要性
3 単一細胞アレイ化技術
3.1 ドロップレット
3.2 マイクロウェル
3.3 誘電泳動
3.4 マイクロフィルター
4 Microcavity array(MCA)の開発と希少細胞解析への応用
5 おわりに
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BIO REVIEW
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薬剤耐性ピロリ菌に除菌効果を有するコレステロール類似物質
Cholesterol Analogue Available for Antimicrobial Resistant Helicobacter Pylori
コレステリル-α-D-グルコピラノシド(CGL)は,ピロリ菌の細胞壁構成成分である。我々は,コレステロール類似物質であるコレステノンが,CGL生合成を阻害することでピロリ菌に抗菌活性を示すことを明らかにした。また抗菌作用はクラリスロマイシン耐性を有するピロリ菌にも有効であった。さらにコレステノンは,ピロリ菌感染マウスに投与し単剤で除菌することができた。
【目次】
1 ピロリ菌とは
2 ピロリ菌除菌治療の方法およびその効果と問題点
3 ピロリ菌がもつ特徴的な糖脂質
4 ピロリ菌に対するコレステノンの効果
5 抗生物質とコレステノンの相違
6 今後の展望
-
月刊バイオインダストリー 2019年12月号
¥4,950
<著者一覧>
笹内謙一 (株)PEO技術士事務所
菅野明芳 (株)森のエネルギー研究所
片岡直明 水ingエンジニアリング(株)
澤井正和 (株)テクノプラン
原田龍一 東北大学
盛戸貴裕 東北大学
谷内一彦 東北大学
梅津光央 東北大学
齋藤 裕 産業技術総合研究所
亀田倫史 産業技術総合研究所
津田宏治 東京大学
小沼泰子 (株)ニコン
清田泰次郎 (株)ニコン
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【特集】バイオマス発電の実際と今後
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木質バイオマス小規模発電
Small Scale Power Plant for Woody Biomass
小規模の木質バイオマス発電がFITの買取価格が40 円/kWh と再生可能エネルギーの中でも群を抜いて高いことや必要な燃料の量が比較的少ないことから注目を浴びている。中でもガス化発電は高効率であることからその導入が盛んである。ただしその技術の大半が欧州からの輸入であること,熱電併給の熱利用が活かせていないことから事業性の妨げとなっており,その留意点について述べる。
【目次】
1 はじめに
1.1 2,000 kW未満の発電所のメリットとデメリット
1.2 BTG発電
1.3 ORC発電
1.4 熱分解ガス化発電(ガス化CHP)
1.5 汎用ガス化CHPの留意点
1.6 熱電併給は必須
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バイオマス熱電併給・熱供給の最新動向
Latest Trends in Biomass Cogeneration and Heat Supply
「2050年にCO2排出量80%削減」達成には,日本のあらゆる企業や家庭が「CO2ゼロ」の実現に投資を行う必要がある。太陽光に比べバイオマス発電はコストが高止まりする短所がある一方で,工場での蒸気利用等の熱利用では他の再エネよりバイオマスが安価となる。民間企業や一般家庭から投資を呼び込む「バイオマス熱電併給・熱自給」のビジネス創出が胎動し始めた。
【目次】
1 はじめに
2 木質バイオマスの熱利用を伴う発電(熱電併給)・熱供給の現状
2.1 他の再エネ発電と,木質バイオマス発電の将来動向
2.2 木質バイオマスの熱利用の現況
2.3 民間事業者にとっての「儲かる木質バイオマスの熱利用事業」の定義
3 近年の特徴ある木質バイオマス熱電併給・熱利用の動向,導入事例について
4 結び
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バイオマスのメタン発酵技術の基礎と開発事例
Trends in Research & Development of Anaerobic Biological Treatment Technology for Biomass
メタン発酵(嫌気性処理)は,酸素のない嫌気環境下で生育する嫌気性菌の代謝作用により,有機物をメタンガスや炭酸ガスに分解する方法である。現在,低炭素社会に向けた未利用資源の活用技術として,生ごみや食品加工残渣,汚泥などのバイオマス向けメタン発酵が普及し始めており,その基礎と研究開発動向を紹介した。
【目次】
1 はじめに
1.1 メタン発酵技術の歴史
1.2 バイオマス活用の推進,循環型社会の形成,法制度の施行状況
1.3 バイオマスメタン発酵の技術開発
2 メタン発酵技術の基礎
2.1 メタン発酵処理の特徴
2.2 有機物の嫌気分解経路
2.3 バイオガス発生
2.4 バイオマス活用に向けたメタン発酵処理技術
3 食品廃棄物系メタン発酵技術の開発事例
3.1 システムフロー
3.2 食品製造残渣バイオガス化設備の運転結果
4 下水汚泥のメタン発酵技術の開発事例
4.1 高濃度汚泥消化システム
4.2 高濃度汚泥消化システムの評価(室内実験)
4.3 下水汚泥消化のバイオガス有効利用技術と課題
5 地域バイオマス利活用施設の事例
6 今後の展望
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メタン発酵発電事業の採算性と最適化および新技術
Profitability and Optimization of Methane Fermentation Power Generation Business and New Technology
本稿では,「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の支援を受けて開発したメタン発酵槽に関する新技術について紹介する。この技術は,真空装置とバイオマスの可溶化装置として機能する「蒸気エジェクター」を利用したメタン発酵促進技術で,この技術を利用した発電システムからの熱回収と消化率の効率化により,発電事業の採算性を従来システムと比較して飛躍的に改善する方法を解説する。
【目次】
1 はじめに
2 メタン発酵発電事業の事業性向上対策
2.1 メタン発酵発電事業に適したバイオマスと発電事業の状況
2.2 メタン発酵発電事業における利益率向上のための方策と課題
3 蒸気エジェクター式加温装置によるメタン発酵の効率化技術
3.1 蒸気エジェクター式加温装置の原理と機能
3.2 蒸気エジェクター式加温装置の性能
4 蒸気エジェクター式加温装置を利用したメタン発酵発電システム
4.1 蒸気エジェクター加温装置を利用した高温メタン発酵システム
4.2 温水加温発電システムとの事業性(投資利益率)比較
5 おわりに
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BIO R&D
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ポジトロン放出核種標識タンパク質の新規合成方法の開発
Development of New Methods for Protein Radiolabeling with Positron Emitting Radionuclides
バイオ医薬品のようなタンパク質製剤が治療薬に出てきてから,タンパク質型のPETプローブへの期待も高まってきている。本稿では,筆者らが取り組んできた炭素11とフッ素18標識高比放射能標識アミノ酸と無細胞タンパク質合成試薬を用いた,新しいポジトロン放出核種標識タンパク質PETプローブの合成技術について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 無細胞タンパク質合成試薬を用いたポジトロン放出核種標識タンパク質の合成
2.1 11C標識L-メチオニンを用いた11C標識タンパク質の合成
2.2 18F標識4-フルオロ-L-プロリンを用いた18F標識タンパク質の合成
2.3 部位特異的な18F標識タンパク質の合成
3 おわりに
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BIO R&D
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機械学習が道先案内するタンパク質の進化分子工学
Can Machine Learning Guide Directed Evolution of Functional Proteins ?
タンパク質の設計とは「20種類のアミノ酸をどのように配列させるか」であるが,アミノ酸の配列が生み出す「場合の数(配列空間)」は膨大である。タンパク質のデータベースから骨格タンパク質を選定した場合,タンパク質の設計は「どこの残基」を「何のアミノ酸」に変えるかという単純なものになる。しかし,タンパク質の大規模な変異体ライブラリーの作製技術やスクリーニング操作が発展してきているにも関わらず,未だ開発時間も創出確実性も読めない中で開発を進めざるを得ない現状がある。本稿では,進化分子工学における変異体ライブラリーの作製に人工知能技術の一つである機械学習による機能予測を導入することで,目的変異体を含む確率が飛躍的に向上している小規模な変異体群(スマートホットライブラリー)を構築する手法を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 進化分子工学の課題:配列空間問題
3 配列空間の道先案内人としての機械学習
4 学習データの質と量
5 アミノ酸の記述子
6 ベイズ最適化に基づく機械学習
7 酵素への利用
8 まとめ
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BIO ENGINEERING
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細胞培養向けライブセルイメージング
Live Cell Imaging for Cell Culture
ライブセルイメージングは基礎研究だけでなく,医療及び産業で利用される細胞品質管理や in vitro での創薬スクリーニングにおいても欠かせないツールとなっている。安定したライブセルイメージングを実現するための,細胞培養環境を維持する細胞培養観察装置と画像解析について述べる。
【目次】
1 培養細胞のライブセルイメージング
2 ライブセルイメージングを支える画像解析技術
3 接着細胞のコンフルエンシーの解析
4 ヒト多能性幹細胞コロニーの解析
5 神経細胞の解析
6 画像解析のための撮影条件設定
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BIO BUSINESS
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世界のバイオプラスチック市場
【目次】
1 世界市場
2 ブラジル
3 アジア
4 欧州
5 北アメリカ
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BIO BUSINESS
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特定保健用食品(トクホ)市場の動向
【目次】
1 はじめに
2 市場動向
3 用途別動向
4 販売チャネル別動向
5 将来動向
6 トクホ市場における食物繊維含有製品の動向
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月刊バイオインダストリー 2016年3月号
¥3,960
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【特集】共培養による“ものづくり”の発展
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特集にあたって
Introduction
尾仲宏康 (東京大学大学院)
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複合培養による放線菌抗生物質生産の覚醒
Combined-Culture:the New Method for Secondary Metabolism Activation in Actinomycetes
尾仲宏康 (東京大学大学院)
放線菌は抗生物質をはじめとした多様な二次代謝産物を作る有用な微生物として知られている。一放線菌株が有する二次代謝生合成遺伝子群は実に40種類にのぼるとゲノム解析結果は示しているが, 実際には一株当たり数種の二次代謝産物生産を確認するのみであり, 二次代謝を効率的に活性化する培養法が求められている。
【目次】
1. はじめに
2. 放線菌の二次代謝に刺激を与える微生物の取得
3. ミコール酸含有細菌には二次代謝誘導活性がある
4. ミコール酸含有細菌の直接接触が赤色色素生産を誘発している
5. 複合培養は多くの放線菌の二次代謝を活性化する
6. 複合培養を用いた新規二次代謝産物の探索
7. おわりに
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海綿共生微生物による生物活性物質の生産
Biosynthesis of Bioactive Compounds by Marine Sponge Symbiont Bacteria
江上蓉子 (北海道大学大学院)
脇本敏幸 (北海道大学大学院)
阿部郁朗 (東京大学大学院)
海綿動物からは, これまでに数多くの生物活性物質が単離報告されている。化学構造上の類似性から, これらは共生微生物によって生産されることが長年疑われてきた。本稿では, 生物活性物質の生産を担う海綿共生微生物の遺伝子レベルでの同定について概説する
【目次】
1. はじめに
2. 海綿動物と共生微生物
3. 海綿由来生物活性物質の生産者に関する研究
4. 海綿Discodermia calyx共生微生物の解析
5. Calyculin生合成遺伝子を用いた生産者の同定
6. 海綿-共生微生物系におけるcalyculin類の毒性制御機構
7. 今後の課題
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共培養の伝統的発酵への影響
Influence of Microbial Coculture on the Traditional Fermentation
酒谷真以 (佐賀大学)
北垣浩志 (佐賀大学)
伝統発酵食品の製造は開放発酵系であるため, 様々な微生物が入り込み, 多くの微生物間の相互作用で成り立っている。その相互作用のメカニズムとしては, 細胞間の接着や不飽和脂肪酸, エルゴステロール, グルコシルセラミドなどの脂質のやり取りが報告されている。
【目次】
1. 世界の伝統的発酵における微生物共生
2. 日本酒造りにおける微生物制御技術の発展
3. 日本酒造りにおける微生物共生
3.1 酵母と乳酸菌
3.2 麹菌と酵母の共生
4. 酢酸菌との共生によるお酢造り
5. 糠床における微生物の共生
6. おわりに
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異種微生物間で受け渡される基質と生育因子の解明
Interspecies Substrate and Growth Factor Transfer between Organisms
鎌形洋一 (産業技術総合研究所)
環境中では多様な微生物が集団で存在している。この複雑系の根幹をなすのは異種微生物間の競合・共存・共生でありそこには多様な物質の授受を介したネットワークシステムが存在しているはずである。ここでは異種微生物間で受け渡される物質や生育因子の解析を通してこうしたネットワークの一端を解説したい。
【目次】
1. 微生物は複雑系の中で存在し多くは実験室で純粋培養することができない
2. 複雑系における異種微生物間の基質の授受
3. 微量で環境中の微生物の生育を促進する因子とは
4. 二種の微生物の共培養によって発見された生育因子
5. おわりに
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微生物間相互作用を利用した複合系バイオフィルムの制御
Applying Cell-Cell Communication to Control Polymicrobial Communities
豊福雅典 (筑波大学)
尾花望 (筑波大学)
野村暢彦 (筑波大学)
自然界の微生物は複合系として存在する。多くの場合バイオフィルムのような塊を形成し, 相互に作用する。その制御は環境問題からヒトの健康問題に至るまで多くのニーズを抱えている。ここでは微生物間相互作用を利用した複合系バイオフィルムの試みと今後の展望について解説する。
【目次】
1. はじめに
2. バイオフィルムと微生物間相互作用
3. バイオフィルム中における微生物間相互作用
4. 細胞間コミュニケーションによる代謝の制御
5. 細胞間コミュニケーションによる複合系バイオフィルムの制御
6. 今後の展望
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共培養によるテバイン生産
Microbial Production of Thebaine by Co-Culture System
南博道 (石川県立大学)
近年, 生合成工学の進展により, 微生物発酵法による植物アルカロイド生産が可能となったが, 多段階の生合成経路において生産効率が低くなる問題があった。一菌体での生産が効率的だと考えられていたが, 生合成経路を複数の菌体に分割し, 共培養を行うことで効率的に生産できることが明らかとなった。本稿では, 共培養によるアルカロイドの微生物発酵生産について解説する。
【目次】
1. はじめに
2. 微生物によるレチクリン生産
3. レチクリンからのイソキノリンアルカロイド生産
4. 微生物によるケシアルカロイド生産
5. おわりに
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ヨーグルトにおける共生作用と酸素
Symbiosis and Oxygen in Yogurt
堀内啓史 (㈱明治)
ヨーグルトは, 2種類の乳酸菌Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricusとStreptococcus thermophilusの共生作用で作られるが, 酸素の存在はこの共生作用を阻害することがわかった。そこで, 酸素を低減した発酵を試みた結果, 発酵が促進されることがわかった。
【目次】
1. はじめに
2. 乳酸菌の共生作用とヨーグルト
3. 乳酸菌の共生作用と酸素
3.1 酸素に着目した研究
3.2 ヨーグルトの発酵と酸素
3.3 酸素を低減した発酵
4. 研究成果の商品への応用-酸素を低減して低温で発酵-
5. 酸素低減による発酵時間短縮メカニズム
5.1 単菌発酵に対する「脱酸素発酵法」の効果
5.2 溶存酸素濃度を固定した発酵
5.3 溶存酸素濃度を固定した発酵における蟻酸の生成
5.4 「脱酸素発酵法」と蟻酸の生成
6. おわりに
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BIO R&D
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植物由来フェノール(グリーンフェノール)の量産化技術
Mass production of bio-mass derived phenol“Green-phenol”
宮内啓行 (住友ベークライト㈱)
乾将行 (地球環境産業技術研究機構)
近年, 低炭素社会実現に向け植物資源からのプラスチックの生産に大きな注目が集まっている。フェノール樹脂は実用化されたプラスチックの中で最も古い歴史を持ち, 今もなお発展を続けているが, 工業生産がされているフェノール樹脂は石油由来の原料を用いて製造されているもののみである。本稿では, 世界で初めての植物由来フェノール(グリーンフェノール)の量産化技術について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. フェノール樹脂について
2.1 フェノール樹脂の歴史
2.2 フェノール樹脂とは
2.3 フェノール樹脂の市場動向
3.フェノール樹脂の利用分野と技術動向
3.1 工業用フェノール樹脂
3.2 成形材料
4. グリーンフェノールの量産化技術
4.1 フェノールの植物由来化の重要性
4.2 バイオプロセスの生産性向上
4.3 グリーンフェノール樹脂の特性
5. おわりに
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BIO BUSINESS
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乳酸菌関連製品の市場動向
Market Trend of Productics and Prebiotics
シーエムシー出版編集部
【目次】
1. 市場の動向
1.1 市場規模の推移
1.2 市場のトレンド
2. 個別市場の動向
2.1 発酵乳
2.2 乳製品乳酸菌飲料/乳酸菌飲料/乳酸菌入り清涼飲料
2.3 食品/健康食品(サプリメント)
3. 企業動向 -
月刊バイオインダストリー 2016年6月号
¥3,960
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【特集】バイオテクノロジーが育む頭髪の未来
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臨床発毛医学の現状と展望
Current State of Clinical Hair Growth Medicine and Future
松山淳 (国際抗老化再生医療学会;日本臨床医学発毛協会;松寿会)
健康長寿社会が進む現代社会において, アンチエイジングという概念も様々な分野で浸透し, 健康長寿はもちろん, 近年, 「見た目の若さ」も重要な要素となってきている。なかでも, 薄毛や脱毛は男女共通の悩みとして, 関心を集めている。本稿では脱毛症の基礎, 現在の治療法, 今後の治療の発展や可能性などについて臨床的観点から述べたい。
【目次】
1. はじめに
2. 男性型脱毛症(AGA)とは
3. 診断
4. 治療
5. 内服療法
6. 注射療法
7. 実際のHARG(R)治療
8. 効果的な治療介入の時期と治療効果の判定時期
9. 今後の展望
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5-アミノレブリン酸ALAの発毛促進作用
Promotion of Hair Regrowth with 5-Aminolevulinic Acid
松崎貴 (島根大学)
皮膚に適切な濃度の5-アミノレブリン酸(ALA)を塗布すると発毛が促される。本稿ではその作用機序が従来の発毛・育毛剤とは異なることを示すとともに, 投与されたALAがヘムに変換されてATP生成を促進している可能性, および毛周期調節機構に関わっている可能性について解説する。
【目次】
1. はじめに
2. 毛母細胞の細胞活性と毛周期の関係
3. 5-アミノレブリン酸(ALA)と細胞増殖
4. ALAの発毛促進効果
5. ALAの作用機序
6. ヘムタンパク質と毛周期
7. 今後の課題
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ガゴメ昆布由来フコイダンの育毛効果
Effect of Fucoidan from Kjellmaniella crassifolia on Hair Growth
大野木宏 (タカラバイオ(株))
海藻と毛髪に関する伝承は古くから存在するが, 科学的な検証が十分進んでいない。最近の研究において, 昆布に含まれるフコイダンが様々な増殖因子の産生を促進することで育毛効果を発揮することがわかってきた。本稿ではガゴメ昆布由来のフコイダンに関する基礎研究結果と製品応用例を紹介する。
【目次】
1. フコイダンと毛髪
2. ガゴメ昆布由来フコイダンのHGF産生促進作用
3. ガゴメ昆布由来フコイダンのFGF-7産生促進作用
4. ガゴメ昆布由来フコイダンの育毛領域での応用
5. 今後の展望
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フラーレンの持つ抗酸化作用と育毛効果
Effect of the Fullerene on Hair Growth
伊藤雅之 (ビタミンC60 バイオリサーチ(株))
乾重樹 (心斎橋いぬい皮フ科;大阪大学)
フラーレンは, 抗酸化成分としてスキンケア用途で使用されており, 昨年で発売から10年となった。主にシミ・ニキビ・毛穴目立ちなどの肌トラブルに対してフラーレンが用いられているが, 近年, 頭皮・頭髪への効果を期待する声が多くなっている。本稿では, フラーレンが毛成長促進に有効である事を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 化粧品原料としてのフラーレン
2.1 フラーレンの発見
2.2 フラーレンの抗酸化力
2.3 フラーレンの化粧品への応用
2.4 フラーレンによる活性酸素対策と美容効果
2.5 フラーレンの安全性
3. フラーレンの毛成長に対する効果
3.1 実験方法
3.2 結果
3.3 考察
4. おわりに
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AGAのメカニズムと治療
Mechanism and Treatment of AGA
乾重樹 (心斎橋いぬい皮フ科;大阪大学)
AGAのメカニズムについて, 近年の遺伝学的研究から得られる示唆と, アンドロゲンの基礎医学的研究から得られるアンドロゲンの関与の仕方の面から議論する。さらに日本皮膚科学会男性型脱毛症診療ガイドラインで強く勧められている治療である, フィナステリド内服とミノキシジル外用について臨床医学的な見地から概説する。
【目次】
1. はじめに
2. AGAの遺伝
3. AGAの病態メカニズム
3.1 毛器官の男性ホルモンに対する感受性の調節因子
3.1.1 5α-還元酵素(5α-reductase)
3.1.2 アンドロゲン受容体(AR)
3.1.3 アンドロゲン受容体共役因子(androgen receptor coregulator)
3.2 AGAの病態に関わるメディエーター
4. AGAの治療
4.1 フィナステリド内服薬
4.1.1 作用機序
4.1.2 用法・適応
4.1.3 効果
4.1.4 副作用
4.2 ミノキシジルローション
4.2.1 作用機序
4.2.2 効能・効果
4.2.3 副作用
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AGA治療におけるデュタステリド(ザガーロ(R)カプセル)の作用
Effects of Dutasteride(Zagallo(R)capsule)on AGA Treatment
畠中俊樹 (グラクソ・スミスクライン(株))
男性における男性型脱毛症(androgenetic alopecia;AGA)の主な原因要因として, ジヒドロテストステロン(DHT)が深く関与することが明らかとなっている。DHTは生体内において, テストステロンから5α-還元酵素により変換され, 生成される。5α-還元酵素阻害薬であるデュタステリドは, 毛髪の毛包部においてDHTの生成を抑制することでヘアサイクルにおける成長期を延長させ, AGAに対して有効性を示すと考えられる。本稿では, デュタステリド(ザガーロ(R)カプセル)の開発経緯とともに, その作用機序, 有効性および安全性に関する臨床試験成績, およびDHT濃度に対する影響を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. デュタステリドのAGA治療薬としての開発経緯
3. AGAのヘアサイクルとデュタステリドの作用機序
4. デュタステリドの臨床試験成績
4.1 第Ⅱ/Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)
4.2 国内臨床試験(長期投与試験)
4.3 海外第Ⅱ相試験
5. デュタステリドのDHT濃度に対する影響
6. おわりに
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α-リポ酸誘導体の抗がん剤誘発脱毛に対する抑制効果
Inhibitory Effect of α-Lipoic Acid Derivative on Chemotherapy-Induced Alopecia
平塚孝宏 (大分大学医学部附属病院;大分大学)
中嶋健太郎 (大分大学医学部附属病院;大分大学)
圓福真一朗 (大分大学医学部附属病院;大分大学)
河野洋平 (豊後大野市民病院)
麻生結子 (大分大学医学部附属病院;大分大学)
猪股雅史 (大分大学医学部附属病院;大分大学)
北野正剛 (大分大学)
抗がん剤誘発脱毛は抗がん剤による最も心的ダメージの大きな副作用であるにもかかわらずその効果的な治療法はいまだに存在しない。今回我々は新規抗酸化剤であるα-リポ酸誘導体が抗がん剤誘発脱毛抑制効果を有することを明らかにした。その詳細と臨床応用へ向けた取り組みについて解説する。
【目次】
1. はじめに
2. ラット抗がん剤誘発脱毛モデルを用いた基礎研究
3. 乳がん患者を対象とした臨床研究
4. 多施設共同臨床試験
5. おわりに
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発毛・育毛ビジネスの進展と未来
Progress and the Future of Hair Growth Business
伊藤憲男 ((株)アデランス)
現在は脱毛のメカニズムが解明されてきており, その対処方法も実に様々なものがある。医療機関での治療方法も数多く存在しているが, 一方で手術や医薬品の使用に抵抗のある, あるいはまだその段階ではないと考える人も少なくない。本稿ではそれらの人たちを対象に実践されている脱毛への対処を中心に, その周辺と将来の展望について考察する。
【目次】
1. 髪の悩み
2. 脱毛進行の分類と市場
3. 医療機関における対処法
3.1 内服薬または外用薬
3.2 植毛術(自毛植毛)
3.3 GF カクテル注入
3.4 HARG療法
4. 医療機関以外
4.1 育毛剤
4.2 ヘアケア・スカルプケア機器
4.3 スカルプケア系シャンプー類
4.4 スカルプケアサロン
5. 今後の展望
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BIO R&D
ウシ唾液はセルロース分解を促進する
Enhancement of Cellulose Degradation by Cattle Saliva
坂口謙吾 (東京理科大学)
金井良博 (東京理科大学発ベンチャー アクテイブ(株))
関泰隆 (東京理科大学)
草食動物の唾液は咀嚼や反すうの際に植物繊維を分解補助する。難分解性であるセルロースを効率的に酵素分解するため, ウシの唾液が及ぼす影響を調べた。その結果, 唾液によって分解が促進され, セルラーゼ使用量の低減ができる可能性が見出された。バイオマス資源の糖化技術において, 酵素コストは実用化を遅らせている主要因の一つであり, その部分への貢献が期待される。
【目次】
1. はじめに
2. 非生物系と生物系の素材の融合が必要な背景
3. 研究の概要と成果
4. 結論
5. まとめと展望
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TOPICS
環境DNA を用いて水中の生物相を知る
Aquatic species census using environmental DNA
源利文 (神戸大学)
近年, 環境中のDNA情報を用いて生物の分布情報を得る「環境DNA分析」と呼ばれる手法が発展している。本稿では主に, 環境水中のDNA情報を用いて魚類や両生類などの大型生物の分布情報を明らかにする取り組みについて, 研究開発の経緯を概説するとともに, 種特異的な検出法および環境DNAメタバーコーディング法の二つの手法について技術的なポイントを解説する。
【目次】
1. はじめに
2. 環境DNA分析の流れ
3. 種特異的な検出と定量
4. 環境DNAメタバーコーディング
5. 環境DNA分析手法の課題
6. 今後の展望
7. おわりに
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BIO PRODUCTS
ポリL-乳酸
Poly-L-lactic Acid, PLLA
【目次】
1. 概要
2. 毒性
3. 製法
4. 生産
5. 需要
6. 価格・荷姿
7. 市場予測 -
月刊バイオインダストリー 2015年3月号
¥3,960
【特集】抗菌ペプチド利用の最前線
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特集にあたって
Introduction
相沢智康(北海道大学)
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未知の生理活性ペプチドの探索方法
Screening Methods for Discovering New Bioactive Peptides
尾崎司 (山形大学)
佐々木一樹 (国立循環器病研究センター研究所)
南野直人 (国立循環器病研究センター研究所)
生理活性ペプチドは, 前駆体タンパク質がプロセシングを受けて生成し, 機能を発揮する。近年の質量分析技術の向上, ゲノム情報の蓄積によって微量のペプチドを単離することなく同定できるようになった。本稿では, 生理活性ペプチドの探索方法について2種の新規抗菌ペプチドの発見を例に挙げて紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 生理活性ペプチド探索のために有効な手法 : セクレトペプチドーム解析
3. ペプチドーム解析の鍵となる質量分析計によるペプチド同定
4. 塩基性ペプチド画分からのAMP-IBP5の発見
5. 生物種間の保存性および既知の活性ペプチドの特徴を加味した候補ペプチドの選定
6. 生菌の還元活性を指標にした抗菌活性のスクリーニング
7. AMP-IBP5 およびVGF[554-577]-NH2の抗菌活性
8. まとめ
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抗菌ペプチドの食品添加物としての利用
Use of Antibiotic Peptides as Food Additives
小磯博昭 (三栄源エフ・エフ・アイ(株))
食品の腐敗防止に使われる抗菌ペプチド(リゾチーム, ε-ポリリジン, プロタミン, ナイシン)は, 少量で効果を示し優れた静菌剤であるが, ペプチドの種類により抗菌スペクトルや熱安定性などの性質が異なる。本稿では食品添加物として認められている抗菌ペプチドの特徴や食品での応用事例を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. リゾチーム
3. ε-ポリリジン, プロタミン
4. ナイシン
5. おわりに
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米由来抗菌ペプチドの有する多様な生体防御機能
Host Defense Multi-functions of Antimicrobial Peptides from Rice Proteins
谷口正之 (新潟大学)
抗菌ペプチドは, 従来の抗生物質に代わる感染防御剤として注目を集めている。米タンパク質由来の抗菌ペプチドを新規に同定し, それらのヒト病原微生物に対する抗菌活性とスペクトルについて解説した。また, 抗菌ペプチドの有するプロテアーゼ阻害活性, 抗炎症活性, 管腔形成促進作用などの多様な生体防御機能について紹介した。
【目次】
1. はじめに
2. 米由来抗菌ペプチドの特徴と抗菌活性
3. 抗菌ペプチドのプロテアーゼ阻害活性
4. 抗菌ペプチドの抗炎症活性
5. 抗菌ペプチドの管腔形成促進活性
6. 抗菌ペプチドの細胞毒性と溶血活性
7. まとめと今後の課題
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カブトムシディフェンシン由来抗菌ペプチドを用いた抗菌性繊維の開発
Development of Antimicrobial Fiber using Antimicrobial Peptides derived from Allomyrina dichotoma Defensin
石橋純 ((独)農業生物資源研究所)
中村允 (和歌山県工業技術センター)
薬剤耐性菌の蔓延の問題に対処するために, 新たな抗菌性素材の開発が急務である。薬剤耐性菌に対して効果を示し, 新たな耐性菌を生み出しにくいと考えられる抗菌タンパク質は, 抗菌剤として有望である。本稿ではカブトムシディフェンシン改変ペプチドを利用した抗菌繊維の開発について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. カブトムシディフェンシン改変ペプチドの開発
3. 抗菌ペプチドを共有結合させた抗菌性素材
3.1 ペプチド固定化技術の応用
3.2 綿生地の改質
3.3 改変ペプチド固定化繊維の作製
3.4 改変ペプチド固定化繊維の形態変化
3.5 抗菌活性試験
4. 抗菌ペプチドの加工剤化
4.1 改変ペプチドの高分子化
4.2 加工生地の抗菌活性評価
4.3 安全性試験
5. まとめ
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抗菌ペプチドによるバイオシリカ生産技術の開発
Development of Bio-silica Formation Technology Utilizing Antimicrobial Peptides
井上高康 (富士化学(株))
松田祐介 (関西学院大学)
ケイ酸固体化ペプチドは珪藻被殻 Silaffin などのように強い塩基性である。塩基性人工ペプチド, CDPFもやはり強いケイ酸固体化能を有する。塩基性は抗菌ペプチドと共通する特徴であるため, 抗菌性ペプチドとして知られるプロタミンのケイ酸固体化を試みた結果, 強い抗菌性は保持されたままで効果的なケイ酸固体化が確認された。
【目次】
1. はじめに
2. ペプチドによるシリカバイオミネラリゼーションについて
3. プロタミンのシリカ固体形成能と抗菌性
4. おわりに
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抗菌ペプチドをプローブとして利用した微生物検出法の開発
Development of Novel Assays using Antimicrobial Peptides for the Detection of Microbes
相沢智康 (北海道大学)
米北太郎 (日本ハム(株))
北條江里 (日本ハム(株))
抗菌ペプチドは微生物に結合する性質を持つことから, 幅広い微生物を検出するプローブとしての応用が期待できる。本稿では, 抗菌ペプチドをプローブとして用いた食中毒原因微生物の検出法の開発について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. プローブに適した抗菌ペプチドのスクリーニング
3. 抗菌ペプチドの遺伝子組換え生産
4. ラテラルフロー法への応用
5. まとめ
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創傷治癒効果と抗菌効果を併せ持つペプチドの創生
Development of a Novel Multifunctional Peptide with Wound Healing and Antimicrobial Activities
天満昭子 (大阪大学)
冨岡英樹 (アンジェスMG (株))
中神啓徳 (大阪大学)
森下竜一 (大阪大学)
抗菌ペプチドとは広域の抗菌スペクトルを有し, 生体防御機構として生体を守る役割を担う自然免疫機能の一つである。抗菌ペプチドの中には, 抗菌活性に加えて多様な活性を示すものが存在するが, 筆者らは, 遺伝子機能スクリーニングの過程において, 創傷治癒効果と抗菌活性をもつ多機能ペプチドを見出したのでこれを紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. AG30 の最適化
3. SR-0379 の生物活性
3.1 SR-0379 の抗菌活性
3.2 SR-0379 の創傷治癒作用
4. SR-0379 の in vivo 創傷治癒作用
5. まとめ
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≪BIO R&D≫
クモ糸を紡ぐカイコの実用品種化に成功
Silk Produced by Transgenic Silkworm Expressing Spider Dragline Silk Protein
桑名芳彦 ((独)農業生物資源研究所)
小島桂 ((独)農業生物資源研究所)
カイコ実用品種に, オニグモの縦糸遺伝子を導入した遺伝子組換えカイコを作出した。そのカイコが作るシルク(クモ糸シルク)は, シルク本来の光沢やしなやかさを保ちつつも, 通常シルクより強くてよく伸び, 切れにくさが向上していた。実用品種カイコを使っているので糸質も良く, 機械によってベスト等を加工できた。今後はクモ糸成分を増やして, より高強度のシルクの作出を目指す。
【目次】
1. はじめに
2. クモ糸シルクとは
2.1 遺伝子組換えカイコの作出
2.2 クモ糸遺伝子の導入
2.3 カイコ実用品種の利用
3. クモ糸シルクの特徴
3.1 オニグモ縦糸タンパク質の確認
3.2 引張り物性
4. さいごに
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BIO BUSINESS
芳香・消臭・脱臭剤工業の市場
Market of Aromatic and Deodorant
2013年の消臭芳香剤の市場規模は約500億円となった。国内市場の成熟化に加え, プライベートブランド化による価格訴求の高まりから平均単価が下落したことが大きな要因と考えられており, 新規市場の開拓とともに価格の安定化が求められている。近年は20~30代の女性をターゲットにデザインを重視した商品開発が盛んで, 大きく売り上げを伸ばしている。その他にも高齢者, ペット飼育者向けに新たな製品投入を行うなど, 今後の市場拡大に期待がかかる。
【目次】
1. 概要
2. 種類・素材など
2.1 天然系
2.2 無機系
2.3 触媒系
2.4 オゾン系
3. 市場動向
3.1 室内用
3.2 トイレ用
3.3 衣料用
3.4 自動車用 -
Hydrogen Energy Society 創刊号
¥2,200
創刊号
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第1章 現実となってきた水素社会
幾島賢治
愛媛大学;IHテクノロジー㈱
1 はじめに
2 水素社会のイメージ
3 水素の用途及び製造
4 水素社会に向けてのうねり
4.1 家庭用燃料電池
4.2 燃料電池自動車
4.2.1 自動車本体の概要
4.2.2 水素ステーション
4.2.3 水素火力発電所
5 まとめ
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第2章 天然ガスからの水素製造
朝倉隆晃、池田耕一郎、清水 翼、東 隆行
大阪ガス㈱、㈱KRI
1 はじめに
2 水素製造法
2.1 改質部門
2.1.1 脱硫
2.1.2 改質
2.1.3 CO変成
2.2 精製・分離部門
2.2.1 吸収法
2.2.2 深冷分離法
2.2.3 吸着法
2.2.4 膜分離法
3 最近の水素製造法の進歩
3.1 大型の合成ガス製造装置
3.1.1 無触媒部分酸化(POX)プロセス
3.1.2 自己熱改質(ATR)プロセス
3.1.3 自己熱改質(AATG)プロセス
3.2 オンサイト型小型水素製造技術
3.2.1 工業雰囲気ガス用
3.2.2 自動車用水素供給ステーション
4 新規水素製造技術の開発
4.1 膜分離型水素製造法
4.2 熱分解法
4.3 プラズマ分解法
4.4 ベンゼン併産法
4.5 CO2固定型
5 おわりに
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第3章 燃料電池の研究開発状況と自動車への応用
草川紀久
高分子環境情報研究所
1 燃料電池自動車の市販開始と「水素社会」の幕開け
2 燃料電池注目の背景~地球環境問題・エネルギー
3 政府の「次世代自動車戦略2010」と「エネルギー基本計画」
4 2014 年4 月11 日に閣議決定された新「エネルギー基本計画」
4.1 考えられているエネルギー源
4.1.1 非化石エネルギー
4.1.2 化石燃料
4.1.3 水素エネルギー
4.2 今後のエネルギー源のベストミックスのあり方
4.3 次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及
5 政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」
5.1 わが国の置かれている状況
5.2 水素の果たし得る役割
6 燃料電池の特徴と動作原理
6.1 燃料電池の特徴
6.2 燃料電池の動作原理
6.3 燃料としての水素
7 主な燃料電池の開発現況と用途
7.1 固体高分子形燃料電池(PEFC)
7.2 固体酸化物形燃料電池(SOFC)
8 燃料電池自動車とは
9 燃料電池自動車の主要部品
9.1 燃料電池システム
9.2 FC スタックと昇圧コンバーター
9.3 高圧水素タンク
10 燃料電池自動車の世界の技術開発競争
11 わが国の燃料電池自動車の市場投入に向けた取り組み
12 燃料電池(FC)と燃料電池自動車(FCV)の今後の応用展開と開発課題
12.1 PEFC の実用化・普及に向けての課題
12.2 SOFC の実用化・普及に向けての課題
13 まとめ
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第4章 水素事業の今後の展望とビジネスチャンス
加藤健太郎
㈱レノバ
1 はじめに
2 なぜ水素エネルギーか?
2.1 省エネ、低CO2
2.2 エネルギー自給率の向上
2.3 再生可能エネルギーを最大限に普及させるには水素技術が必須
3 水素エネルギー社会実現の見通し
3.1 第4次エネルギー基本計画
3.2 水素・燃料電池戦略ロードマップ
4 水素エネルギー社会のビジネスチャンス
4.1 8兆円の市場規模が立ち上がる
4.2 国内水素製造余力が拡大する
4.3 水素発電が火力発電と同等レベルの電源になりうる
5 水素事業のビジネス化の見通し(再エネ由来水素と水素発電)
5.1 再エネ由来の水素製造事業は、安い電源をいかに確保するかが課題
5.2 水素発電は将来的に十分にポテンシャルがある
6 今後の課題:業界の活性化
6.1 低コスト化
6.2 事業者、資金融資者の水素ビジネスへの参入促進 -
月刊バイオインダストリー 2021年5月号
¥4,950
<著者一覧>
冨永昌人 佐賀大学
加納健司 京都大学
北隅優希 京都大学
里村武範 福井大学
髙村映一郎 福井大学
末 信一朗 福井大学
中村暢文 東京農工大学
三宅丈雄 早稲田大学
高松泰輝 早稲田大学
井上(安田)久美 山梨大学
志和地弘信 東京農業大学
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【特集】酵素バイオ発電・酵素バイオセンサ
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特集にあたって
Introduction
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酵素機能電極反応の速度論的解析法
Kinetic Analysis of Redox Enzyme-Functional Electrode Reaction
酸化還元酵素と電極反応の共役系を酵素機能電極反応と呼ぶ。この共役系の概念を,酵素の基質特異性や電荷移動形態を基礎に概説する。その上で,メディエータ型と直接電子移動型の定常触媒電流に焦点をあて,その解析法について説明する。論文に多く見られる間違いについても指摘する。
【目次】
1 酸化還元酵素と酵素機能電極
2 MET型酵素機能電極反応におけるメディエータの選択
3 多孔質電極でのMET型酵素機能電極反応の定常触媒電流
4 均一配向におけるDET型酵素機能電極反応
5 ランダム配向におけるDET型酵素機能電極反応
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固定化酵素における電極界面電場の影響
Effect of Electric Field on the Adsorbed Enzymes at the Electrode Surface
酸化還元酵素反応と電極反応の共役系である直接電子移動(DET)型の酵素電極反応は電極表面に吸着した酵素の状態を敏感に反映するため,それを解析することで電極表面における酵素の吸着量や配向が議論可能である。電極表面に局在する極めて強い電場である電気二重層が電極表面に吸着した酵素に与える影響についてDET 型の酵素電極反応に基づき検討した結果を紹介する。
【目次】
1 電解質溶液中での静電相互作用
2 電極の形状と電気二重層
3 固定化酵素の活性と電場
4 固定化酵素の配向と電場
5 おわりに
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人工酵素多段階酸化代謝経路を介した好熱性酵素バイオ燃料電池用アノードの開発
Development of a Bioanode for Thermophilic Enzyme Biofuel Cell Through an ArtificialEnzyme Cascade Pathway
バイオ燃料電池研究において電池の耐久化,高出力化が近年の課題となっている。本稿では,筆者が進めている耐久性電極用酵素素子である好熱菌由来酵素を複数組み合わせて電極上に多段階酸化代謝経路を構築することにより高出力で長期連続稼働を可能にするバイオ燃料電池の開発について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 バイオ燃料電池を長期間連続稼働可能にする耐久性電極用素子の開発
3 人工多段階酵素反応を利用したバイオ燃料電池用電極の開発
4 おわりに
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改変酵素による高性能バイオカソードの構築
Construction of High-performance Biocathode by Modifying Enzyme
近年,ウェアラブルデバイスや体内埋め込み型デバイス用電源としてのバイオ電池の研究が活発になっている。本稿では,筆者の所属する研究グループにおいて進めてきた酵素固定化のための酵素改変および優れた電極触媒を取得するための酵素改変について,カソード側に焦点を当てて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 マルチ銅オキシダーゼ
3 電極に固定化されたMcoPの配向制御によるバイオカソードの電気化学特性の向上
3.1 McoP C及びMcoP N発現用プラスミドの構築および発現・精製
3.2 MWCNT-McoP複合体の作製及び電気化学的評価
4 McoPの酸化還元電位改変によるバイオ電池の電池電圧向上
4.1 470番目のメチオニン(野生型McoP)をロイシン(McoP M470L)もしくはフェニルアラニン(McoP M470F)へ置換したMcoP発現用プラスミドの構築
4.2 各McoPの酵素化学的性質
4.3 各McoPの熱,pH及び長期安定性
4.4 各変異体McoPの酸素の還元に対する電気化学的評価
5 まとめ
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尿中がんマーカーを検出するためのアンペロメトリック酵素センサ
An Amperometric Enzyme Sensor for Detecting a Cancer Marker in Urine
L-フコースは,悪性腫瘍患者の血清中および尿中で濃度上昇することが報告されているマーカーであり,現在では特に肝・胆・膵の腫瘍マーカーとしての有用性が示唆されている。本稿では,このL-フコースを基質とする酵素の電極との直接電子移動反応に関する研究とその酵素固定化電極を用いたL- フコースの電気化学的な定量法の開発について述べる。
【目次】
1 序論
2 CcPDHの直接電子移動反応
2.1 全長CcPDHの直接電子移動反応
2.2 PQQドメインの直接電子移動反応
3 妨害物質の影響を受けないセンサ
4 まとめ
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酵素修飾繊維を用いた医療用計測レンズの開発
Wearable Smart Contact Lens With Enzymatic Biosensing Fibers
近年,視力を補強するウェアラブルな高度医療機器“コンタクトレンズ”に電子素子を搭載させることで,新奇機能を実現可能なスマートコンタクトレンズの開発が盛んである。特に,①視覚拡張機器,②疾病治療機器,③生体情報計測機器といった新市場に向けた材料・デバイス・システム開発が目立つ。本稿では,これら次世代デバイスの開発動向とその将来性を述べると共に,筆者らが取り組む医療用計測レンズについて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素修飾繊維
3 無線給電素子
4 無線給電式バイオセンシングレンズ
5 おわりに
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バイポーラ電極を用いるバイオセンサの開発
Development of Biosensors Using Bipolar Electrode
バイポーラ電極とは,電解質溶液中に外部電源とつながらない状態で置かれたワイヤレスな電極であり,一対の駆動電極間に電位を印加するだけで,多数の電極を同時に動作させることができる。バイポーラ電極のバイオセンサ利用に向けた興味深い報告が数多くなされているので,その代表的なものを整理し,筆者らの研究とともに紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 バイポーラ電気化学とセンサへの応用
3 バイポーラ電極を用いるバイオセンサ
4 バイオイメージングデバイスへの展開
5 おわりに
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BIO R&D
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ヤムイモから発見された植物生育促進・窒素固定細菌の特性解明と農業革新
Characteristic Elucidation on Plant Growth Promoting and Nitrogen Fixing Bacteria from Yams for Agricultural Innovation
本研究はヤムイモ(Dioscorea spp.)から発見された植物生育促進・窒素固定細菌の能力や特性を明らかにして,作物生産における窒素固定細菌の利用を確立するとともに,農業生産への利用による窒素化学肥料に依存しない持続的な食糧生産技術の開発を目指したものである。
【目次】
1 はじめに
2 ヤムイモから分離された窒素固定細菌
3 窒素固定細菌の多様性
4 植物生育促進細菌の発見
5 メタ16S解析法による細菌叢の特定
6 バイオ資材として実用化に向けた研究
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BIO BUSINESS
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健康食品・機能性食品工業
2019 年の特定保健用食品(トクホ)市場規模は6,493 億円(前年比101.0%)と推定され,ほぼ横ばいに推移した。トクホ茶をはじめとする中性脂肪・体脂肪関連商品が市場をけん引した。乳酸菌ブームに一服感がみられたが,新型コロナウイルスへの警戒感から2020 年2 月以降,再び需要が伸び始めている。一方,機能性表示食品の市場規模は2,557 億円(前年度比128.3%)と推定され,市場は大きく拡大した。全体的な届出件数の増加に加え,茶系飲料の大型商品が新規投入され市場をけん引した。届出手続の簡素化・迅速化が図られ,また新規関与成分による届出が続々と認められており,トクホに代わり機能性表示食品を活用する動きがさらに加速している。
【目次】
1 健康食品と機能性食品
2 トクホ市場動向
3 機能性表示食品市場動向
4 健康食品の機能別市場動向
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《BIO PRODUCTS》
イソマルトオリゴ糖(Isomaltooligosaccharide)
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月刊バイオインダストリー 2015年10月号
¥3,960
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【特集】フードメタボロミクス最前線
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特集にあたって
Introduction
福崎英一郎 (大阪大学)
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GC/MSを用いたメタボローム解析に基づくチーズ品質評価技術の開発と応用
Development of Cheese Quality Evaluation Technology based on Metabolome Analysis using GC/MS and Its Application
越智 浩 (森永乳業(株))
世界的に嗜好されている乳製品であるチーズ。その複雑な官能的品質を捉えるために, GC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析)を用いたメタボローム解析に基づく親水性低分子量成分のプロファイリングを行い, 官能予測モデリングおよび熟成工程モニタリングへ応用した例について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. GC/MSを用いたチーズの官能予測モデリング
3. GC/FIDを用いたチーズの官能予測モデリング
4. チーズの熟成モニタリング
5. チーズの熟成マーカー
6. おわりに
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農業・食品産業現場におけるNMR メタボロミクスの利用と今後の展望
NMR-based Metabolomics in Agriculture and Food Industry:Applications and Future Perspectives
関山恭代 (農業・食品産業技術総合研究機構)
池田成志 (農業・食品産業技術総合研究機構)
冨田 理 (農業・食品産業技術総合研究機構)
近年,農業や食品産業の現場におけるメタボロミクス研究が大きく注目され始めている。今後は, 栽培現場から貯蔵, 流通, 加工, 調理, 喫食に至る過程の様々な環境要因を考慮した, 総合的な視野からのアプローチが必要になってくると考えられる。本稿では, 筆者らが実施したNMRメタボロミクスの例を含め当該研究分野の動向を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. NMR法を活用した農業研究・食品研究の動向
3. NMRの利点を活用した市販リンゴの成分プロファイリング
4. 農業メタボロミクスによる代謝マーカーの開発
5. 今後の課題と展望
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超臨界流体テクノロジーのフードメタボロミクスへの応用
Application of Supercritical Fluid Technology to Food Metabolomics
高橋政友 (大阪大学大学院)
和泉自泰 (九州大学)
馬場健史 (九州大学)
近年,代謝物総体の網羅的解析手法であるメタボロミクスの技術を食品分野に応用したフードメタボロミクス研究が盛んに行われている。疎水性代謝物の代表である脂質は, 食のおいしさに関係するだけでなく, 様々な生理機能を調節しているため大変注目されている。本稿では, メタボロミクスにおける超臨界流体テクノロジーの適用について概説するとともに, 脂質フードメタボロミクスへの応用例についても紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 超臨界流体とは
3. 超臨界流体抽出(SFE)について
3.1 SFEの特長について
3.2 SFEを利用した食品中に含まれる脂質の抽出について
4. 超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)について
4.1 SFCの特長について
4.2 SFCを利用した食品中に含まれる脂質の分離・分析について
5. おわりに
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フードメタボロミクスにおけるCE-MSの応用
Application of CE-MS on Food Metabolomics
及川 彰 (山形大学)
キャピラリー電気泳動質量分析装置(CE-MS)は, 食品において重要な成分であるアミノ酸や有機酸などのイオン性化合物の分離・検出に優れている。そのため, CE-MSはフードメタボロミクスにおいて有用なツールとなっている。本稿ではCE-MSの特徴について概説し, さらにCE-MSのフードメタボロミクスへの応用例を述べる。
【目次】
1. はじめに
2. CE-MS
3. フードメタボロミクスへの応用
4. 今後の課題
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GC/MSメタボロミクスによる農作物成分の変動要因の解析
GC/MS Profiling for Improvement in Quality of Agricultural Products
岡崎圭毅 (農業・食品産業技術総合研究機構)
田中福代 (農業・食品産業技術総合研究機構)
農産物の品質を決定するものはその含有成分と考えると, メタボロミクス手法は, 農産物の高品質化を目指す栽培管理技術の設計にぴったりフィットする解析手法である。農産物の成分組成を変動させる栽培上の要因をGC/MSプロファイリングにより解析した事例から, 同分野でのメタボロミクス展開方向の可能性を探る。
【目次】
1. はじめに
2. 窒素量および窒素形態がホウレンソウ成分に及ぼす影響
3. 直交表実験計画による要因試験
4. タマネギ成分に対する品種および栽培地域の影響
5. 環境ストレスが果物・野菜の香気成分に及ぼす影響-有機農産物の成分特性
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食品の質的評価に有用なフードメタボロミクスにおけるLC-MSの活用
Application of LC-MS for Food Metabolomics
飯島陽子 (神奈川工科大学)
食品に高付加価値を与えるものとしてその機能性が注目されている。そのほとんどは不揮発性成分が担っており, また, 食品によってその成分は多様である。液体クロマトグラフィ質量分析計(LC-MS)は, 不揮発性成分の網羅的検出が可能であり, メタボロミクスにおいて不可欠な分析機器となりつつある。ここでは, フードメタボロミクスにおけるLC-MSの活用について, 筆者らの研究を例に紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. LC-MS を用いたフードメタボロミクスに適した分析ストラテジー
3. フードメタボロミクスにおけるLC-MSの活用
3.1 食品加工における成分変化―茶の亜臨界抽出による新規化合物の生成
3.2 構造未知化合物の扱い-トマトの網羅的ステロイドグリコアルカロイド分析を利用した品種による特性評価
4. おわりに
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メタボロミクスの食品機能解析への応用
Application of Metabolomics to Food Function Analysis
福崎英一郎 (大阪大学)
食品に含まれる成分の網羅的解析データ(食品メタボロームデータ)を説明変数, 食品の二次機能(おいしさ等)の定量的分析官能データ(官能スコアデータ)を応答変数として多変量解析により, 食品機能の定量的な予測ならびに, 機能成分の推定が可能である。緑茶, 日本酒, 醤油を用いた研究を例にとり, 上記戦術の有用性を解説した。
【目次】
1. はじめに
2. なぜ食品機能解析にメタボロミクスが有用なのか?
3. メタボロミクス技術を用いた食品二次機能の定量的記述の概念
4. 清酒のメタボリックプロファイリング
5. 醤油に含まれるジペプチドの網羅的プロファイリングと官能特性との相関
6. おわりに
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BIO R&D
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ラミニンおよびそのE8フラグメントの再生医療応用への可能性
Laminin E8 Fragment as a Cell Substrate for iPS/ES Cell Culture
水野一乘 ((株)ニッピ)
藤田和将 ((株)ニッピ)
山本卓司 ((株)ニッピ)
服部俊治 ((株)ニッピ)
基底膜の主要構成成分タンパク質ラミニンは, α, β, γの3 種類のポリペプチド鎖からなるヘテロトライマー分子であり,16種類のアイソフォームがある。その一つ, ラミニン-511のC末端側約5分の1のE8断片は, インテグリン結合部位を含み, 様々な種類の細胞の培養基質として有用である。
【目次】
1. はじめに
2. ラミニンの発見
3. ラミニン分子構造とドメイン
4. ラミニンの分子種
5. ラミニンと他の分子との相互作用
6. iPS細胞培養基質としてのラミニン-511E8フラグメント
7. iMatrix-511の利用
8. 今後の展望
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酵母を用いた一貫バイオプロセス-デンプン系非可食原料からのバイオ燃料生産に向けて-
A Consolidated Bioprocessing of Biofuels from Non-food Starchy Biomass by Yeast
谷村あゆみ (京都大学)
小川 順 (京都大学)
島 純 (龍谷大学)
自然界から探索・分離した酵母を用い, デンプンからの1ステップ・バイオ燃料生産の可能性を示した。今回取得した酵母を用いることにより, デンプン糖化酵素処理が不要となるだけでなく, プロセスの簡素化も図れ, バイオ燃料の低コスト生産につながることが期待できる。
【目次】
1. はじめに
2. バイオプロセス:SSFとCBP
3. 原料としてのデンプン系廃棄物
4. デンプンからの油脂生産
5. デンプンからのバイオエタノール生産
6. 課題
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<TOPICS>
新しい出生前検査の現状と将来展望
Current Status and Future Prospective of Noninvasive Prenatal Diagnosis from Cell-free DNA in Maternal Plasma
関沢明彦 (昭和大学)
母体血胎児染色体検査の開始以降, 出生前遺伝学的検査についての関心が高まっている。背景には新しい技術の革新性と妊娠年齢の高年齢化に伴う児の染色体疾患のリスク上昇を心配する妊婦の増加がある。また, この検査は,技術的に染色体の数的異常の検出のみではなく, 微細変化をも検出可能という点において画期的である。この新技術によって妊婦の選択の幅は広まったと考えられる一方, いろいろな選択肢があることで妊婦の悩みが増幅したともいえる。妊婦が正確な情報にアクセスできるようにすること, また, 悩んだ場合に簡単に遺伝カウンセリングにアクセスできるようにすることが重要な課題である。
【目次】
1. 出生前遺伝学的検査とは
2. 妊婦への情報提供の在り方
3. 母体血胎児染色体検査
3.1 MPS法の原理
3.2 検査の精度
3.3 検査対象
3.4 母体血胎児染色体検査での遺伝カウンセリング
3.5 検査実施企業
3.6 検査の実施状況
4. 出生前遺伝学的検査を取り巻く社会的背景の国際比較
5. 我が国のNIPTについての取り組み
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月刊バイオインダストリー 2020年4月号
¥4,950
<著者一覧>
東 大志 熊本大学
有村源一郎 東京理科大学
宮永正斗 東京理科大学
八須匡和 東京理科大学
臼杵克之助 大阪市立大学
入江文子 日本カンタム・デザイン(株)
大澤匡弘 名古屋市立大学
宮本啓補 名古屋市立大学
芳賀洋一 東北大学
鶴岡典子 東北大学
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BIO R&D
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シクロデキストリンを含有するポリカテナンの調製と構造解析
~世界最多級の環状分子数を有する放射型ポリカテナンの構築~
Design of Cyclodextrin-based Radial Polycatenanes
近年,ポリロタキサンおよびポリカテナンなどのインターロック超分子が大変注目を集めている。ポリロタキサンを構築するにあたり,環状分子としてシクロデキストリン(CyD)が最も汎用されてきたが,CyDポリカテナンに関する知見は極めて少ない。本稿では,CyDポリカテナンの調製と構造解析を行った筆者らの最近の知見を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 戦略
2.1 どの状態で環化するか?
2.2 軸分子と環状分子は何を用いるか?
3 β-CyDポリカテナンの調製
4 β-CyDポリカテナンの構造解析
4.1 反応液中のチオール基含量
4.2 各種分析装置を用いた解析
4.3 化学量論
4.4 構造様式
5 還元環境におけるポリカテナンの物性変化とβ-CyDの放出性
6 まとめ
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植物香気成分とテルペン誘導体の免疫活性化機能
Immunostimulation Activity of Plant Volatiles and Terpene-derivatives in Plants and Humans
メントール等の植物香気成分は,生物間の情報伝達(生物間コミュニケーション),病害虫に対する防衛,環境適応ならびに,ヒト健康の機能性成分としての多彩な役割を担う。本稿では,植物の香りの機能と応用基盤を構築するための学術研究について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 植物の香りを介した植物間コミュニケーション
3 ミントをコンパニオンプランツとして利用した栽培技術の確立
4 香気成分の植物免疫促進機能
5 香気成分のヒトの健康における機能性
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放線菌に学ぶ:新規抗アレルギー剤の創出展望
Lessons from Streptomyces:Prospects for Creating New Anti-Allergic Agents
現在,乳幼児から高齢者に至るまで日本人の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有している。発症予防・重症化予防によって Quality of Life の改善をめざすプロジェクトがいくつも遂行されている。本稿では,筆者らがアンチマイシン系抗生物質の一種であるUK-2Aを構造上のモチーフとして創出した,アレルギー疾患克服に貢献する創薬シーズについて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 UK-2Aを構造上のモチーフとする創薬シーズ
2.1 アンチマイシン系抗生物質
2.2 誘導体の分子設計と生物活性評価
2.3 抗体医薬と低・中分子薬
3 おわりに
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BIO ENGNEERING
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ExoView を用いたエクソソーム同定,発現定量評価
Indentification and Quantitative Evaluation of Single Exosomes Using ExoView.
最近のニュース等で知られるようになったエクソソーム(細胞外小胞)は癌の罹患や転移に非常に重要な役目をしていることが解明されつつあり,注目を集めています。しかしながらエクソソームは,顕微鏡でその存在を捉えることのできない極めて小さなナノサイズである為,従来の技術では扱うことが不可能でした。本稿で紹介するNanoView 社の製品,ExoView は,このようなナノサイズのエクソソームの計数と同定が可能な専用のアレイチップを世界に先駆け開発し,より正確,簡単かつスピーディーにエクソソームの分析が可能となりました。
【目次】
1 はじめに
2 ExoViewについて
3 対象サンプル
4 単一粒子解析
4.1 測定フローと手順
5 粒子サイズ・個数計測の原理
6 標的マーカの蛍光評価
6.1 共局在の評価,内腔タンパク質の検出
7 HEK293由来エクソソームの評価例
8 まとめ
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慢性疼痛治療ターゲットとしてのアストロサイト-ニューロン乳酸シャトル
Astrocyte-neuron Lactate Shuttle as a Therapeutic Target for Chronic Pain
慢性疼痛は,超高齢社会を迎えた本邦だけでなく,全世界的に患者数が増大しており,その治療法の開発は喫緊の課題である。本稿では,これまでの視点とは異なる慢性疼痛発現の機序として,脊髄におけるアストロサイトのエネルギー供給の異常に焦点を当て,ニューロンへの乳酸供給過多の関与について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 脊髄アストロサイト選択的活性化モデルの作出
3 脊髄後角ANLSの慢性疼痛への関与
4 ANLSの慢性疼痛の治療標的への応用
5 ANLSの高次脳機能での役割
6 まとめとして
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マイクロシステムを用いたウェアラブルヘルスケア機器
Wearable Healthcare Devices Using Microsystem
体表に装着し連続計測,間欠的計測を実現するウェアラブルシステムを身体に装着しやすい形状と大きさを維持し高機能化,多機能化するには,集積回路技術,MEMS(微小電気機械システム)などを用いたマイクロシステムが役立つ。本稿ではマイクロシステムを用いたウェアラブルヘルスケア機器について,筆者らの開発事例を引用しながら解説する。
【目次】
1 はじめに
2 小型発汗計とストレス反応の計測
3 超音波血管径計測と血圧,血管緊張の計測
4 微小還流を用いた乳酸計測
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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化粧品工業
2018 年の化粧品の出荷実績は出荷個数31 億2,167 万個( 前年比106.2 %), 出荷金額1 兆 6,942 億円( 前年比105.2 %) となり, 市場が拡大している。洗顔料, 化粧水, 美容液,フェイスパックなどを中心とした訪日外国人観光客の需要取り込みの成功が市場の拡大に貢献した。またメーカー各社がシワ改善を訴求した薬用化粧品を投入し,中高年層だけでなく若年層にも需要が拡大した。薬用化粧品が好評を博していることから今後も機能性化粧品市場の拡大が見込まれる。海外に目を向けると,ASEAN 5ヵ国(インドネシア,タイ,フィリピン,ベトナム,マレーシア)では経済成長による個人消費の拡大により化粧品市場が拡大し続けている。日系化粧品メーカーも同市場で製品やブランドを根付かせていくために売り込みに力を入れている。
【目次】
1 需給動向
2 輸出入動向
3 化粧品受託製造市場の動向
4 日本メーカーの海外戦略
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健康食品・機能性食品工業
2018 年の特定保健用食品(トクホ)市場規模は6,432 億円(前年比97.7 %)と推定され,4年ぶりに減少に転じた。健康機能の認知度が高い乳酸菌やコレステロール関連のトクホが前年に引き続き市場をけん引した一方,近年好調であったトクホ飲料はブームに一服感がみられた。2015 年4 月より施行された機能性表示食品は,2018 年度は1,990 億円(前年度比108.7 %)規模の市場に成長したものと推定される。ガイドラインの第3 次改正により,届出手続の簡素化・迅速化が図られ,また糖質,糖類,植物エキスおよび分泌物についても新たに機能性関与成分として認められたことから,トクホに代わり機能性表示食品を活用する動きがさらに加速している。
【目次】
1 健康食品と機能性食品
2 トクホ市場動向
3 機能性表示食品市場動向
4 健康食品の機能別市場動向
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抗菌・防カビ剤工業
抗菌・防カビ剤や防腐剤,防虫剤,忌避剤,木材防カビ剤はバイオサイド(Biocide)と呼ばれ,身近な日常品から医療・衛生用品,工業製品まで幅広い分野で使用されている。抗菌ブームが巻き起こった我が国では,抗菌加工製品の市場規模は1 兆円を超えていると推定される。国外に目を向けても,中国や米国等で関心が高まっており,非常に速いスピードで市場が成長している。
【目次】
1 概要
2 抗菌剤の種類
3 用途
4 メーカー動向
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《BIO PRODUCTS》
L―システイン塩酸塩(l-Cysteine monohydrochloride monohydrate)
L-セリン(l-Serine)
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バイオマス分解酵素研究の最前線―セルラーゼ・ヘミセルラーゼを中心として―(普及版)
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(監修:近藤昭彦・天野良彦・田丸浩)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2012年当時のものを使用しております。br> 神田鷹久 信州大学
天野良彦 信州大学
蓮沼誠久 神戸大学
近藤昭彦 神戸大学
森川康 長岡技術科学大学
小笠原渉 長岡技術科学大学
志田洋介 長岡技術科学大学
川口剛司 大阪府立大学
荒井基夫 大阪府立大学
藤井達也 (独)産業技術総合研究所
澤山茂樹 京都大学
野功一 信州大学
小杉昭彦 (独)国際農林水産業研究センター
森隆 (独)国際農林水産業研究センター
三宅英雄 三重大学
田丸浩 三重大学
石川一彦 (独)産業技術総合研究所
金子哲 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
林清 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
小西照子 琉球大学
竹田匠 岩手生物工学研究センター
渡辺裕文 (独)農業生物資源研究所
高橋潤一 帯広畜産大学
谷村彩 京都大学
劉文 京都大学
山田京平 京都大学
豊原治彦 京都大学
井上潤一 (独)理化学研究所;シナプテック(株)
大熊盛也 (独)理化学研究所
渡辺隆司 京都大学
小林良則 (一財)バイオインダストリー協会
苅田修一 三重大学
高田理江 京都大学
五十嵐圭日子 東京大学
伏信進矢 東京大学
湯井敏文 宮崎大学
椎葉大偉 宮崎大学
堀川祥生 京都大学
杉山淳司 京都大学
田島健次 北海道大学
阪本龍司 大阪府立大学
粟冠和郎 三重大学
幸田勝典 (株)豊田中央研究所
今村千絵 (株)豊田中央研究所
池内暁紀 (株)豊田中央研究所
伊藤洋一郎 (株)豊田中央研究所
中西昭仁 京都大学
Bae Jungu 京都大学
黒田浩一 京都大学
植田充美 京都大学
梅津光央 東北大学
金渡明 東北大学
中澤光 東北大学
村島弘一郎 Meiji Seika ファルマ(株)
荒勝俊 花王(中国)研究開発中心有限公司
矢野伸一 (独)産業技術総合研究所
川出雄二郎 三重大学
杉浦純 王子製紙(株)
趙雅蘋 王子製紙(株)
水野正浩 信州大学
山田亮祐 神戸大学
林徳子 (独)森林総合研究所
朴龍洙 静岡大学
尾崎克也 花王(株)
社領正樹 ノボザイムズジャパン(株)
森茂治 天野エンザイム(株)
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<<目次>>
序章
1 セルラーゼ研究,古くから現在へ
1.1 はじめに
1.2 セルラーゼ研究の推移
1.3 セルラーゼ研究の流れの中で興味ある話題
1.3.1 Swelling factor (SF) などにみる酵素水解
1.3.2 酵素による水解曲線が寝てくる現象
1.3.3 セルロースミクロフィブリルと酵素作用
1.3.4 セルロースの酵素分解に対する研究の方向
1.4 おわりに
2 バイオマス分解酵素研究の新たな展開
2.1 はじめに―加速するバイオリファイナリー研究―
2.2 バイオリファイナリーに資するバイオマス分解酵素研究
2.3 プロセス統合化のためのバイオマス分解微生物の利用
2.4 おわりに
【第1編 多様なセルラーゼ・ヘミセルラーゼ】
第1章 糸状菌・担子菌の酵素
1 Trichoderma reesei
1.1 はじめに
1.2 T. reeseiセルラーゼの種類と機能
1.3 T. reeseiセルラーゼ遺伝子とその発現調節
1.4 バイオマス分解用高機能T. reeseiセルラーゼの創成
2 糸状菌Trichoderma reeseiにおけるセルラーゼ・へミセルラーゼ遺伝子発現機構
2.1 セルロース分解性糸状菌Trichoderma reesei
2.2 T. reeseiにおけるセルラーゼ・ヘミセルラーゼの生産機構
2.3 T. reeseiにおけるセルラーゼ・ヘミセルラーゼ遺伝子の転写調節因子
2.4 T. reeseiにおけるセルラーゼ・キシラナーゼ遺伝子の誘導発現モデル
3 Aspergillus aculeatus のセルラーゼ系
3.1 Aspergillus aculeatus のセルラーゼとその利用
3.2 Aspergillus aculeatusのセルラーゼ遺伝子
4 Acremonium cellulolyticus
4.1 はじめに
4.2 A. cellulolyticus糖化酵素による植物バイオマスの糖化特性
4.3 A. cellulolyticusのゲノム解析および遺伝子操作技術
4.4 おわりに
5 担子菌(Irpex lacteus)のセルラーゼ
5.1 バイオマス分解酵素生産菌としての魅力
5.2 CBHIタイプのセルラーゼ
5.3 CBHIIタイプのセルラーゼ
5.4 エンド型セルラーゼ
5.5 β-グルコシダーゼとセロビオース脱水素酵素
第2章 菌類の酵素
1 好熱嫌気性細菌Clostridium thermocellumが生産するセルロソーム-その特徴と高活性セルロソーム開発
1.1 はじめに
1.2 Clostridium thermocellumのセルロソームの特徴
1.3 高活性Clostridium thermocellum S14株の分離と特性
1.4 セルラーゼ酵素複合体を生産する好熱嫌気性好アルカリ性細菌の分離
1.5 おわりに
2 Clostridium属細菌(中温菌)
2.1 はじめに
2.2 セルロソーム
2.3 セルロソームとノンセルロソームの相乗効果
2.4 セルロソーム生産性中温菌Clostridium属のゲノム解析
2.5 おわりに
3 耐熱性菌―超耐熱性セルラーゼー
3.1 はじめに
3.2 超耐熱性セルラーゼ酵素の発見
3.3 超耐熱性エンド型セルラーゼの産業応用
3.4 超耐熱性セルラーゼの構造機能解析
3.5 今度の展開
4 放線菌
4.1 放線菌のセルロース分解酵素系
4.2 放線菌のヘミセルラーゼ
第3章 植物由来の細胞壁分解酵素
1 はじめに
2 植物細胞壁の構造
3 植物成長に関与する細胞壁分解酵素
4 セルロース生合成に関与する細胞壁分解酵素
5 防御応答に関与している細胞壁分解酵素
6 果実の熟成および軟化に関与する細胞壁分解酵素
7 セルロース系バイオマスの利用において
第4章 昆虫の酵素(ゴキブリ,シロアリ,カミキリムシなど)
1 はじめに
2 GH9エンドグルカナーゼ
2.1 昆虫由来GH9 EGのリコンビナント生産
3 昆虫由来GH5 EG
4 昆虫由来GH45 EG
5 GH48に属する昆虫由来酵素
6 GH28に属する昆虫由来酵素
7 β-グルコシダーゼ
7.1 昆虫由来GH1 BGL
7.2 昆虫由来GH3 酵素
7.3 昆虫由来 BGLのリコンビナント発現生産と特性
8 昆虫の消化性共生微生物のセルラーゼ
9 今後の昆虫セルラーゼ研究
第5章 動物の酵素
1 ルーメンからの酵素
1.1 ルーメンセルロース・ヘミセルロース分解菌
1.2 アンモニアストリッピングとR.flavefaciensによるセルロース・ヘミセルロースの分解モデル
2 水生生物のセルラーゼとヘミセルラーゼ
2.1 緒論
2.2 外源性と内源性のセルラーゼ
2.2.1水生生物とセルラーゼ保有微生物との共生
2.2.2 内源性セルラーゼを持つ水生生物
2.2.3 セルラーゼの起源
2.3 外源性と内源性のへミセルラーゼ
2.4 まとめ
第6章 環境遺伝子の網羅的解析と植物バイオマス分解酵素
1 はじめに
2 メタゲノム解析の方法
3 メタゲノム解析によって網羅的に取得された配列群
4 メタトランスクリプトーム解析-シロアリ共生微生物の解析例の紹介-
5 課題と展望
【第2編 関連酵素】
第7章 リグニン分解酵素
1 白色腐朽菌によるリグニン分解
2 リグニン分解酵素
2.1 リグニンペルオキシダーゼ
2.2 バーサタイルペルオキシダーゼ(VP)
2.3 マンガンペルオキシダーゼ
2.4 ラッカーゼ
3 リグニン分解に関与する担子菌の多様な酵素
第8章 セルロース膨潤タンパク質
1 植物細胞壁のゆるみを誘導するエクスパンシン
2 エクスパンシンの多様性
3 遺伝子情報を用いたエクスパンシンの探索
4 エクスパンシンによる細胞壁糖鎖の分解促進作用
5 糖化へのエクスパンシン利用
【第3編 セルラーゼの構造・機能】
第9章 セルラーゼ活性測定の標準化
1 はじめに
2 還元糖定量法の標準化
3 タンパク質の定量法
4 酵素活性・糖化能測定法
4.1 FPU活性測定法
4.2 CMCase活性測定法
4.3 β-Glucosidase活性測定法
4.3.1 pNPG法
4.3.2 Cellobiose法
4.4 Avicelase活性測定法
4.5 Xylanase活性測定法
4.6 β-Xylosidase活性測定法
4.7 バイオマス酵素糖化能測定法
5 おわりに
第10章 セルラーゼの立体構造と作用機作
1 セルラーゼの立体構造
1.1 GHファミリー5(GH5)
1.2 GHファミリー6(GH6)
1.3 GHファミリー7(GH7)
1.4 GHファミリー8(GH8)
1.5 GHファミリー9(GH9)
1.6 GHファミリー12(GH12)
1.7 GHファミリー44(GH44)
1.8 GHファミリー45(GH45)
1.9 GHファミリー48(GH48)
1.10 GHファミリー61(GH61)
1.11 GHファミリー124(GH124)
2 セルラーゼとリグノセルロースの分子間相互作用
2.1 はじめに
2.2 リグニンによるセルラーゼの阻害
2.3 リグニンへの吸着性を支配する酵素の構造
2.4 セルラーゼのリグノセルロースへの非生産的な吸着を軽減する添加剤
2.5 CBMの基質認識と前処理バイオマス表層糖鎖解析への応用
2.6 おわりに
3 セルラーゼのプロセッシブ性と構造の相関
3.1 はじめに
3.2 セロビオヒドロラーゼはなぜセルロースをセロビオースで切り出すのか?
3.3 セルラーゼの構造がプロセッシビティに与える影響
3.4 エンド型-エキソ型とプロセッシビティの違い
3.5 セルロース基質がエンド型-エキソ型,プロセッシビティに与える影響
3.6 おわりに
4 セルラーゼの反応機構
4.1 標準的な反応機構
4.2 GHファミリーと反応機構の対応
4.3 例外的な反応機構
4.4 基質の歪み
第11章 セロビオヒドロラーゼ糖結合性モジュールのドッキング解析椎葉大偉
1 はじめに
2 セルロース結晶面に対するCBMの結合様式
3 セルロース結晶表面認識に関わるアミノ酸残基
4 おわりに
第12章 セルラーゼによる分解程度を指標とした基質構造の
ハイスループット分析
1 はじめに
2 近赤外分光法と多変量解析
3 前処理残渣による検量モデルの構築
4 前処理濾液による検量モデルの構築
5 展望
第13章 セルロース合成における分解酵素の役割
1 はじめに
2 バクテリアにおけるセルロース合成酵素遺伝子と合成酵素複合体(TC)
3 バクテリア由来エンドグルカナーゼの立体構造
4 セルロース合成における分解酵素の機能
5 おわりに
【第4編 ヘミセルラーゼの構造・機能】
第14章 ヘミセルラーゼの立体構造
1 キシラナーゼの立体構造
2 α-L-アラビノフラノシダーゼの立体構造
3 α-グルクロニダーゼの立体構造
第15章 ヘミセルラーゼの作用機作
1 はじめに
2 キシランの構造
2.1 グルクロノキシラン(O-アセチル-4-O-メチルグルクロノキシラン)
2.2 アラビノグルクロノキシラン(アラビノ-4-O-メチルグルクロノキシラン)
2.3 アラビノキシラン
3 キシラン分解酵素
3.1 エンド-β-1,4-キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)
3.2 β-キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)
3.3 α-L-アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)
3.4 フェルラ酸エステラーゼ(EC 3.1.1.73)
3.5 α-D-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.139)
3.6 アセチルキシランエステラーゼ(EC 3.1.1.72)
4 キシログルカン(XG)の構造
5 XG分解酵素
5.1 XG特異的エンド-β-1,4-グルカナーゼ(キシログルカナーゼ;EC 3.2.1.151)
5.2 オリゴXG還元末端特異的セロビオヒドロラーゼ(EC 3.2.1.150)
5.3 オリゴXG特異的イソプリメベロース生成酵素(EC 3.2.1.120)
5.4 その他
6 マンナンの構造
6.1 直鎖マンナン
6.2 グルコマンナン
6.3 ガラクトマンナン
6.4 ガラクトグルコマンナン
7 マンナン分解酵素
7.1 エンド-β-1,4-マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)
7.2 β-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.25)
7.3 β-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)
7.4 α-ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22)
7.5 アセチル(ガラクト)グルコマンナンエステラーゼ(EC 3.1.1.6)
8 おわりに
【第5編 セルラーゼの高機能化】
第16章 人工セルロソームの構築と酵母での発現
1 はじめに ―人工セルロソーム構築のための分子生物学的基盤
2 人工セルロソームの構築
3 人工セルロソームの酵母への導入
3.1 Aga1-Aga2システムによる酵母表層上での骨格タンパク質の発現
3.2 酵母表層での骨格タンパク質と酵素の複合体形成
4 おわりに
第17章 無細胞合成系を用いたセルラーゼの高機能化
1 はじめに
2 無細胞系の最適化によるセルラーゼの活性型での生産
3 無細胞合成系によるセルラーゼの高機能化
3.1 改良型SIMPLEX法による分解活性の向上
3.2 アラニンスキャニングを利用した活性中心の最適化
3.3 有利変異の相加
4 おわりに
第18章 細胞表層工学を利用した最適なセルラーゼカクテルの構築
1 はじめに
2 バイオエタノールの現状
2.1 セルラーゼによるセルロースの分解
2.2 セルラーゼ提示酵母によるセルロースからの発酵
2.3 セルラーゼカクテルの選抜
3 おわりに
第19章 モジュール再編成によるセルラーゼの高機能化
1 はじめに
2 固相基質分解酵素の構造的特徴
3 モジュール単位での直接融合による組換え蛋白質設計
4 コヘシン―ドッケリン相互作用を利用したセルラーゼ連結
5 ビオチン―アビジン相互作用を利用したセルラーゼ連結
6 ナノ材を骨格としたセルラーゼ連結
7 おわりに
【第6編 セルラーゼ・ヘミセルラーゼの大量生産】
第20章 セルラーゼ高生産糸状菌Trichoderma reesei日本型系統菌株の開発
1 Trichoderma reesei日本型系統樹進化への転写調節因子の関与
1.1 日本型系統樹の比較ゲノム解析
1.1.1 カタボライトリプレッション部分的解除株
1.1.2 β-グルコシダーゼを正に調節する新規転写調節因子BglR
1.2 日本型系統樹の進化とは?
2 日本型系統菌株のさらなる進化
2.1 最適比率での酵素生産技術開発
2.2 日本独自の最適比率での酵素生産技術開発(マイナープロモーターの利用)
第21章 Acremonium cellulolyticus由来糖質分解酵素の工業化検討
1 はじめに
2 菌株育種による生産性向上検討
3 培地・培養条件の最適化による生産性向上について
第22章 Bacillus
1 はじめに
2 枯草菌ゲノムの改変技術
3 枯草菌宿主の改良
3.1 枯草菌遺伝子の機能性評価
3.2 宿主ゲノムの縮小化による酵素高生産化
4 枯草菌の酵素高生産化技術
4.1 アミノ酸代謝系の制御によるセルラーゼ高生産化
4.2 分泌装置の改良によるセルラーゼ高生産化
4.3 細胞膜・壁の人工改変によるセルラーゼ高生産化
5 ゲノム縮小株への技術統合による高機能化
【第7編 バイオマス利用分野への展開】
第23章 バイオマス酵素糖化反応の解析
1 はじめに
2 標準前処理標品の調製
3 市販セルラーゼの特性
4 前処理物の糖化パターン
5 成分酵素の糖化における役割
6 酵素コスト低減と頭打ち現象
7 おわりに
第24章 機械的前処理バイオマスの酵素分解
1 はじめに
2 微粉砕による前処理
3 前処理バイオマスの酵素糖化
4 おわりに
第25章 セルロソームの回収・再利用法の開発
1 はじめに
2 セルロソームについて
3 セルロソーム回収・再利用
3.1 回収することの優位性
3.2 セルロソームの回収
3.3 セルロソームの回収・再利用
4 まとめ・今後の展望
第26章 セルラーゼ回収・再利用によるエタノール発酵の高効率化
1 はじめに
2 バイオマスの糖化プロセス
3 まとめ
第27章 再生セルロースの酵素分解
1 はじめに
2 再生セルロースとは
3 セルラーゼによるセルロースIIの酵素分解特性
4 イオン液体処理により得られる再生セルロースの酵素分解
第28章 セルラーゼ細胞表層提示酵母を用いたバイオマス変換
1 はじめに
2 統合型バイオプロセスによるエタノール生産
3 統合型バイオエタノール生産を実現する細胞表層提示技術
4 セルラーゼ細胞表層提示酵母を用いたセルロースからの統合型バイオエタノール生産
5 セルラーゼ細胞表層提示割合最適化法の開発
6 おわりに
第29章 リグニン分解酵素表層提示酵母を用いたバイオマス変換
1 はじめに
2 細胞表層提示酵母を用いた前処理の利点と可能性
3 ラッカーゼI提示酵母を用いたバイオマスの前処理
3.1 ラッカーゼI提示酵母の構築
3.2 ラッカーゼI提示酵母による稲わらの前処理&セルラーゼ提示酵母による糖化・発酵
4 おわりに
第30章 セルラーゼによるセルロースのナノファイバー化
1 はじめに
2 従来のセルロースナノファイバー製造法
3 酵素加水分解によるセルロースの微細化
3.1 Trichoderma CBHI(Cel7A)の作用で見られる微細化
3.2 Trichoderma CBHI(Cel7A)のCBMの作用で見られる微細化
3.3 エンドグルカナーゼと物理的破壊の同時併用処理による微細化
第31章 ペーパースラッジを原料としたセルラーゼの生産とペーパースラッジのバイオエタノールへの変換
1 はじめに
2 PSとは
3 未処理PSを用いたセルラーゼの生産
4 PS由来のセルラーゼを用いたPSの糖化
5 PS由来のセルラーゼを用いたPSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産
5.1 PSのSHFによるエタノール生産
5.2 PSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産
5.3 PSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産向上
6 おわりに
【第8編 修飾酵素としての応用展開】
第32章 洗剤への応用
1 はじめに
2 洗剤用アルカリセルラーゼの開発
3 高機能セルラーゼ開発と構造機能解析
4 洗剤用セルラーゼの状況と今後の展望
第33章 繊維業界でのセルラーゼの利用
1 はじめに
2 デニムの洗い加工へのセルラーゼの応用(バイオウォッシュ加工)
3 天然セルロース系繊維加工へのセルラーゼの応用
3.1 セルラーゼの精錬工程への応用(バイオ精錬)
3.2 セルラーゼの仕上げ加工への応用(バイオフィニッシュ加工)
第34章 紙パルプへの応用
1 はじめに
2 濾水性向上による,リサイクルパルプの乾燥費用削減
3 クラフトパルプの叩解エネルギー削減
4 脱インク
5 クラフトパルプの漂白促進
6 漂白ユーカリクラフトパルプの黄変防止
第35章 食品への応用
1 はじめに
2 醸造
2.1 ビール
2.2 ワイン
3 果汁・野菜加工
4 製パン
5 最近動向
5.1 高齢者・介護用食品製造
5.2 香気前駆体(配糖体)の分解による茶,ワインの香気増強とイソフラボンの効率的アグリコン化
5.3 農産物からの食品生産の効率化と食品廃棄物の減量化
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月刊バイオインダストリー 2019年1月号
¥4,950
≪著者一覧≫
小坂彦二 豊田通商(株)
金高武志 トタルコービオンPLA b.v. 日本連絡事務所
宮保 淳 アルケマ(株)
山崎 聡 三井化学(株)
藤木哲也 (株)カネカ
宮内啓行 住友ベークライト(株)
乾 将行 (公財)地球環境産業技術研究機構
野村紘史 琉球大学
清水雄介 琉球大学
友利 新 琉球大学
角南 寛 琉球大学
河野広朗 京都大学
長谷川光一 京都大学
山田圭一 群馬大学
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【特集】バイオプラスチックの最新動向
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植物由来ポリエチレンの現状と今後の展望
bPE Current Situation and Future in Japan
植物由来ポリエチレン, 所謂バイオポリエチレンは石化由来の通常のポリエチレンと構造・性能とも同一。当社は2010年の商業生産開始当時から日本市場での販売を行ったパイオニアである。そのコストの高さ故, 日本での採用は限定的であったがここにきて大きく流れが変わろうとしている。
【目次】
1 はじめに
2 生産概要と用途
3 植物由来ポリエチレンの製造工程
4 温室効果ガス排出量の削減効果
5 食糧との競合・熱帯雨林への影響
6 今後の展望
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ポリ乳酸(PLA)
Poly Lactic Acid(PLA)
ポリ乳酸(PLA)はバイオマス由来かつ生分解性を有するバイオプラスチックである。近年では耐熱性, 機械的強度, 成形性に改善が見られ従来の石油由来プラスチックからの代替候補として大いに注目を集めている。本稿では当該樹脂の物性, 市場, バイオプラスチックとしてのポジションなどについて概論を述べた。
【目次】
1 ポリ乳酸概略
2 現在の市場
3 光学純度と物性
4 圧電高分子
5 ステレオコンプレックスポリ乳酸
6 抗菌性
7 耐衝撃性
8 バイオマスプラスチックとしてのポリ乳酸
9 バイオマスプラスチックを使用する意義
10 生分解性プラスチックとしてのポリ乳酸
11 生分解性樹脂を使用する意義
12 まとめ
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バイオポリアミド
Bio-Polyamide
バイオポリマーは天然物系, 化学合成系, 微生物合成系に大別できるが, 本稿で取り上げるバイオポリアミドは化学合成系に位置づけられる。詳細については後述するが, バイオポリアミドの特長は以下の通りである。
・商業化されて既に50 年以上が経過しているポリアミド11の功績により, エンジニアリングプラスチックとしての地位を築いており, 機能性部品に使用が可能である
・現在市販されているバイオポリアミドは全て非可食油脂であるヒマシ油を化学変換することによって得られるモノマーを使用している
・モノマーにジカルボン酸とジアミンを使用するため, 石油由来のモノマーと組み合わせることにより多彩な製品群が得られる
本稿では環境意識が高まった2000年以降に急速に多様化が進んでいるバイオポリアミドの現状および将来について解説する。
【目次】
1 ポリアミドとは
2 バイオポリアミドの基礎原料─ヒマシ油
3 ポリアミドの歴史と現在
4 バイオポリアミドの物性
5 バイオポリアミドの現状と課題
6 バイオポリアミドの将来─さらなる発展のためのキーポイント
6.1 バイオポリアミド間の製品特性の明確化
6.2 バイオポリアミド特有の製品開発アプローチ
6.3 石油由来成分のバイオソース化
6.4 ESG経営に基づくエンドユーザーによる調達先選別
7 おわりに
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バイオイソシアネートを用いた新規なポリウレタン
Novel Polyurethanes Based on Bio−Based Isocyanate
ポリイソシアネートは, ポリウレタンの物性を左右する重要な化学品である。これまでもいくつかのバイオイソシアネートが検討されてきたが, その実用的な物性を十分に満足することができなかった。本稿では, 市場ニーズに対応して, 当社が開発したバイオイソシアネート(STABiO(R)(スタビオ(R))PDI(R))およびそれを用いたポリウレタンへの展開について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 開発の背景およびコンセプト
3 STABiO(R)(スタビオ(R))PDI(R)および硬化剤の特徴
4 スタビオ(R)PDI(R)ウレタンシステムの用途
4.1 メガネレンズへの展開
4.2 ゲルへの展開
5 おわりに
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ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)
Polyhydroxyalkanoates(PHA)
ポリヒドロキシアルカン酸(Polyhydroxyalkanoates, 以下PHA)は, 多種類の微生物が炭素, およびエネルギー貯蔵物質としてその菌体内に蓄積する, R−3−ヒドロキシアルカン酸(R−3−hydroxyalkanoate) をモノマー成分とする単重合体, あるいは共重合体のポリエステルである。本稿では(株)カネカが事業化検討を進めているカネカ生分解性ポリマーPHBHTM, (以下, PHBH)を例としてPHAの製造方法, 特性等について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 PHAの生合成
3 PHBH生産菌株の育種
3.1 軟質PHBH生産系の開発
3.2 培養生産性の向上
3.3 更なる3HHxモル分率の向上
3.4 その他の生物による生産方法
4 PHAの精製
4.1 溶剤抽出法
4.2 水系精製法
5 PHAの特性
5.1 PHBHの生分解性
5.2 PHBHの一般物性
6 加工性・用途開発
7 今後の課題
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バイオマス由来フェノール樹脂の生産技術開発
Development of Production Technology for Biomass Derived Phenolic Resin
近年, 低炭素社会実現のためバイオマスからのプラスチックの生産に大きな注目が集まっている。フェノール樹脂は最も古い歴史を持つ実用化されたプラスチックであり, 今もなお発展を続けているが, 現在の工業生産品は石油由来原料から得られているもののみである。本稿では, 世界初のバイオマス由来フェノールの生産技術開発について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 フェノール樹脂について
2.1 フェノール樹脂の歴史
2.2 フェノール樹脂とは
2.3 フェノール樹脂の市場動向
3 フェノール樹脂の用途と技術動向
3.1 工業用フェノール樹脂
3.1.1 摩擦材用
3.1.2 断熱材用
3.2 成形材料
3.2.1 自動車部品用途
3.2.2 電子・電気機器用途
4 バイオマス由来フェノールの生産技術開発
4.1 フェノールのバイオマス由来化の重要性
4.2 バイオプロセスの生産性向上
4.2.1 高生産性RITEバイオプロセス
4.2.2 2段工程法
4.3 バイオマス由来フェノール樹脂の特性
5 おわりに
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BIO R&D
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脂肪組織由来幹細胞培養上清のスキンケア製品への応用
Skin Care Product using the Culture Supernatant of Adipose−derived Stem Cell
脂肪組織由来幹細胞は, 成長因子を豊富に分泌する体性幹細胞の一種である。その培養上清には成長因子が複数含まれ, ヒト由来細胞を用いた場合には生体が元来有するシグナル伝達経路を利用するため, スキンケアの原料成分として有望である。製造に際しては倫理的な取り扱いや関連法規の遵守, 厳密な細胞品質管理が重要となる。
【目次】
1 はじめに
2 脂肪組織由来幹細胞
3 培養上清と成長因子
4 培養上清の産業利用
5 終わりに
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多能性幹細胞を安価で安定供給を実現可能とする合成培地の開発
Development of Defined Culture Medium for Stable and Cost−Effective Human Pluripotent Stem Cell Supply
1981年のマウス胚性幹細胞樹立から26年, ヒトiPS細胞が樹立された。これを発端に, 多能性幹細胞を用いた再生医療・移植医療への取り組みが急加速した。同時に安全で安価な培養条件で培養された大量の多能性幹細胞供給が急務となった。本稿では, 筆者らが世界に先駆けて開発した成長因子と異種成分を完全に除去した合成培地について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 多能性幹細胞培養培地の歴史と課題
3 成長因子を含まない幹細胞培養用合成培地開発の試み
3.1 多能性幹細胞における成長因子非依存の自己複製シグナル経路
3.2 Wntタンパク質を代替可能な化合物の探索
3.3 増殖促進効果を持つ化合物の探索と新規合成培地
4 おわりに
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放射性ペプチド薬剤の標識合成と診断・治療への展開:現状と課題
Development of Radio−labeled Peptides for Diagnosis and Therapy:Present and Future
腫瘍に高発現するペプチド受容体を標的とした放射性薬剤は非侵襲的画像診断だけでなくRI内用療法(標的アイソトープ治療)においても有用な化合物群である。本稿では, 放射性ペプチド薬剤の分子設計に関する最新の知見を概説するとともに筆者らが進めている放射性ハロゲンを用いた標識合成について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 放射性ペプチド薬剤の分子設計
2.1 診断・治療に用いられる放射性核種
2.2 分子改変による動態制御
2.2.1 体内動態改善を志向した分子設計
2.2.2 受容体親和性の向上を志向した分子設計
2.3 ペプチド本来の薬物動態を反映した分子設計:放射性ハロゲンを用いた直接標識
3 まとめと展望
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《BIO PRODUCTS》
l−アルギニン(l−Arginine) -
月刊バイオインダストリー 2019年3月号
¥4,950
<著者一覧>
竹下 毅 (株)アルガルバイオ
河野重行 東京大学
小椋康裕 アスタリール(株)
高萩英邦 アスタリール(株)
吉田和敬 カゴメ(株)
下田博司 オリザ油化(株)
海貝尚史 理研ビタミン(株)
河合博成 アークレイグループ からだサポート研究所
松井英則 北里大学
岸野重信 京都大学
小川 順 京都大学
大社奈摘 同志社大学
剣持貴弘 同志社大学
吉川研一 同志社大学
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【特集】カロテノイドの最新動向
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カロテノイド市場の形成と展開
Formation and Development of Carotenoid Market
カロテノイドの世界市場の動向については, 昨年2018年10月に本誌でカロテノイド世界市場の動向を紹介したが, 今回は特集「カロテノイドの最新動向」が組まれるにあたって, 「カロテノイド市場の形成と展開」と題して, カロテノイド市場の地域, 種別, 用途, 製法, 販路などに加え, 代表的な世界企業についても異なる視点から紹介しよう。
【目次】
1 はじめに
2 カロテノイド市場
2.1 地域と年平均成長率
2.2 カロテノイドの用途の拡大
2.2.1 飼料
2.2.2 家禽
2.2.3 水産養殖
2.3 サプリメントと食品
2.3.1 食品
2.3.2 化粧品
2.3.3 医薬品
3 カロテノイド製造
3.1 化学合成
3.2 植物由来の抽出
3.3 発酵
3.4 微細藻類
4 おわりに
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アスタキサンチン
Natural Astaxanthin
アスタキサンチンは天然のカロテノイドの一種で, ヒトが古くから食生活の中で摂取してきた植物由来の微量栄養素である。自然界においては鮭が急流を遡上する際に必要な持久力を可能にするため, 食物連鎖を通じアスタキサンチンを摂取し自らの筋肉に蓄えていることが知られている。
アスタキサンチンはキサントフィル類に属するカロテノイドで, カロテノイドの中では最も多い13の共役二重結合と両末端環にケト基と水酸基を持っている。この独特の分子構造が赤血球や筋肉, ミトコンドリアなどの細胞膜を貫通する形で取り込まれ, ユニークな抗酸化・抗炎症機能を発揮すると考えられている。近年の研究によれば, それは骨格筋の機能やそれに関わる代謝の恒常性を維持・改善すると共に, 血流改善効果を示すことが明らかにされている。
【目次】
1 骨格筋機能の維持・改善
2 血流改善
3 作用機序
4 さらなる活用可能性
5 結論
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リコピンの機能~リコピンの基礎と応用研究~
The Function of Lycopene −Basic and Practical Research of Lycopene−
リコピンは, 主にトマトやトマト加工品に含まれる赤色のカロテノイドであり, 抗酸化作用をはじめとした多くの生理作用を有することが知られている。ここでは, リコピンの研究の最近の動向を紹介するとともに, そのエビデンスに基づいた機能性表示食品の展開について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 リコピンの基本情報(構造・摂取源)
3 リコピンの体内動態
3.1 リコピンの吸収
3.2 リコピンの代謝
4 リコピンの抗酸化作用
5 リコピンが疾病の予防, QOLの改善に与える影響
5.1 循環器系疾患に対する影響
5.1.1 血中脂質に対する影響
5.1.2 血圧に対する影響
5.2 循環器系疾患以外への影響
5.2.1 リコピンと男性不妊
5.2.2 リコピンと肌の健康
5.2.3 リコピンと骨の健康
5.2.4 リコピンと運動時の酸化ストレス
6 リコピン研究の機能性表示食品への活用
6.1 リコピンを機能性関与成分とした機能性表示食品
6.2 リコピンによる血中HDL−C増加作用に基づく機能性表示食品
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フコキサンチンの機能(抗肥満作用, 美容作用)と最近の動向
Anti−obesity and Beautifying Effects of Fucoxanthin and its Current Trend
フコキサンチンは, 昆布やワカメの褐藻類のみならず近年では微細藻類からも製造される。またフコキサンチンの生理活性に関する研究の報告数はここ10年で飛躍的に増えている。本稿ではその中から抗肥満作用と美容作用について, 最近の動向とともに概説する。
【目次】
1 はじめに
2 フコキサンチンの抗肥満作用
3 美容原料としてのフコキサンチン
4 微細藻類由来のフコキサンチン
5 おわりに
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クロセチン
Crocetin
カロテノイドは, 黄色, 橙色, 赤色を呈することから古くから食品の着色料として用いられてきた。その一方, 近年の研究によりカロテノイドの様々な生理作用が明らかとなり, 健康の維持増進を目的とした利用も進んでいる。クチナシ黄色素の主色素であるクロセチンも健康分野へと用途を広げてきたカロテノイドである。本稿ではクロセチンの健康機能について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 クロセチンの構造と性質
3 クロセチンの吸収
4 クロセチンの機能性
4.1 睡眠に対する作用
4.2 肌に対する作用
5 クロセチンの安全性
6 おわりに
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β-クリプトキサンチン
β−Cryptoxanthin
我々はうんしゅうみかん(Citrus unshiu Marc.)を原料として, β-クリプトキサンチンを高濃度に含む健康食品素材(商品名:クリプトベータ)を開発した。ペースト品は飲料やゼリーなどの嗜好品として, 乾燥品はカプセルなどのサプリメントとして広く応用されることが期待される。
これまでの研究からカロテノイドは体内に貯蔵されやすく, とりわけヒトにはβ-クリプトキサンチンが顕著であり, その健康効果が数多く報告されている。
【目次】
1 β−クリプトキサンチン(β−CRP)
1.1 うんしゅうみかんと疫学調査
1.2 機能性表示食品
1.3 介入試験
2 「うんしゅうみかんパルプ」(商品名:クリプトベータ)
2.1 クリプトベータ摂取によるβ−CRPの血中濃度
2.2 クリプトベータのヒト試験
2.3 クリプトベータD(乾燥タイプ)
3 おわりに
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BIO R&D
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腸内細菌が産生する機能性脂肪酸の抗ヘリコバクター属活性
Anti−Helicobacter Activity of a Functional Lipid Produced by Gut Microorganisms
食事脂質の腸内細菌代謝物に様々な生理機能が見いだされてきている。リノール酸の腸内細菌代謝物である10−ヒドロキシ−cis−12−オクタデセン酸(HYA)に, Helicobacter属が有する特殊なメナキノン生合成経路の特異的阻害剤としての活性が見いだされた。HYAの狭域スペクトルピロリ菌抗菌剤としてのポテンシャルを紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ピロリ菌の感染と除菌
3 フタロシン経路
4 脂肪酸のHelicobacter属特異的な抗菌活性
5 おわりに
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BIO ENGINEERING
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組織切片の張力伸展応答:がんの病理診断手法の創出
Nobel Method for Cancer Diagnosis: Characteristic Cracking Pattern on Tissue Slices Caused by External Extension
がんの病理診断では摘出した組織切片をスライドガラスに貼り付け, 光学顕微鏡で観察し診断することが一般的である。しかしながら, 顕微鏡像だけでは差異が少なく病理医間で診断が異なるといった問題がある。本研究では, 組織切片に張力を印加し生成する“ひび割れパターン”を定量的に解析することで, 正確な病理診断が可能となる。
【目次】
1 はじめに
2 組織切片伸展実験結果
3 定量的診断方法の提案(ひび割れパターン解析)
4 おわりに
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BIO BUSINESS
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機能性食品の市場動向
Market Trend of Functional Food
【目次】
1 はじめに
2 健康食品と機能性食品
3 トクホ市場動向
4 機能性表示食品市場動向
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全固体電池開発の最前線(普及版)
¥5,280
2011年刊「全固体電池開発の最前線」の普及版!全固体電池の開発の基礎から応用までを解説し、また「トヨタ自動車」をはじめとする企業6社の研究開発動向を網羅!!
(監修:辰巳砂昌弘)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
菅野了次 東京工業大学
佐藤峰夫 新潟大学
辰巳砂昌弘 大阪府立大学
林 晃敏 大阪府立大学
前川英己 東北大学
山本 仁 大阪大学
松本 一 (独)産業技術総合研究所
明渡 純 (独)産業技術総合研究所
小和田善之 兵庫教育大学
高田和典 (独)物質・材料研究機構
町田信也 甲南大学
岡田重人 九州大学
小林栄次 九州大学
金村聖志 首都大学東京
竹内友成 (独)産業技術総合研究所
蔭山博之 (独)産業技術総合研究所
中西康次 立命館大学
田渕光春 (独)産業技術総合研究所
栄部比夏里 (独)産業技術総合研究所
太田俊明 立命館大学
妹尾 博 (独)産業技術総合研究所
境 哲男 (独)産業技術総合研究所
辰巳国昭 (独)産業技術総合研究所
小林弘典 (独)産業技術総合研究所
今西誠之 三重大学
須賀健雄 早稲田大学
西出宏之 早稲田大学
桑田直明 東北大学
入山恭寿 静岡大学
嵯峨根史洋 静岡大学
内本喜晴 京都大学
折笠有基 京都大学
奥村豊旗 (独)産業技術総合研究所
山本和生 (財)ファインセラミックスセンター
濱 重規 トヨタ自動車(株)
川本浩二 トヨタ自動車(株)
清野美勝 出光興産(株)
上村 卓 住友電気工業(株)
小林直哉 (株)サムスン横浜研究所
印田 靖 (株)オハラ
坂本明彦 日本電気硝子(株)
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<<目次>>
【固体電解質の開発動向編】
第1章 無機固体電解質の開発動向と展望
1 はじめに
2 固体電解質探索の歴史と現状,様々な物質
3 イオン導電体の物質例―Li10GeP2S12
4 イオン導電体を用いたデバイス―アプリケーションから見たイオン導電体
5 全固体電池の実現に向けて
6 新しいイオン導電体発見への期待
第2章 酸化物系リチウムイオン伝導体
1 はじめに
2 Aサイト欠損ペロブスカイト型リチウムイオン伝導体
3 NASICON型リチウムイオン伝導体
4 β-Fe2(SO4)型リチウムイオン伝導体
5 ガーネット型リチウムイオン伝導体
6 薄膜型リチウムイオン伝導体
7 まとめ
第3章 無機ガラス系固体電解質
1 はじめに
2 ガラス電解質の作製方法
3 ガラス電解質の導電率
4 ガラスセラミック電解質の導電率
5 おわりに
第4章 錯体水素化物リチウムイオン伝導体群と全固体電池への応用
1 はじめに
2 既知の水素含有リチウムイオン伝導体
2.1 水素化α-Li3N
2.2 リチウムイミド(Li2NH)
3 リチウムボロハイドライド(LiBH4)
3.1 リチウムボロハイドライドのリチウムイオン伝導特性
3.2 リチウムボロハイドライドのリチウムイオン伝導相の室温安定化
4 その他の水素化物への展開
5 固体電池への応用展開
6 おわりに
第5章 低障壁高分子固体電解質の研究開発
1 緒言
2 低障壁高分子固体電解質の分子設計
3 低障壁高分子固体電解質の合成
4 低障壁高分子固体電解質のイオン伝導度評価
5 モデル錯体の構造解析によるリチウムイオン配位様式の推定
6 結言
第6章 プラスチッククリスタル電解質
1 はじめに
2 プラスチッククリスタルとは
3 プラスチッククリスタルの固体電解質への応用
3.1 分子系
3.2 オニウム塩
3.3 その他の塩
4 おわりに
第7章 エアロゾルデポジション(AD)法による常温セラミックスコーティングと全固体薄膜型リチウムイオン電池への応用
1 はじめに
2 エアロゾルデポジション法による常温衝撃固化現象
3 成膜条件の特徴
3.1 原料粉末の影響
4 常温衝撃固化と成膜メカニズムに関する検討
4.1 粒子衝突速度の測定
4.2 緻密膜形成の基本メカニズム
5 高硬度,高絶縁AD膜と実用化への試み
6 全固体・薄膜型リチウムイオン電池への応用
7 大面積コーティングへの挑戦
8 今後の技術展望
第8章 硫化物ガラス系固体電解質のイオン伝導性と計算科学
1 はじめに
2 Li2S-SiS2-MxSy系ガラス中のLi+イオンの化学結合
3 Li+イオン伝導性に対する添加物効果
4 超イオン伝導性Li7P3S11結晶
4.1 結晶構造とLiサイト
5 硫化物系固体電解質中のLi+イオンの伝導メカニズム
【全固体リチウム電池の開発と展望編】
第9章 硫化物固体電解質を用いたバルク型電池の開発と展望
1 はじめに
2 硫化物固体電解質のバルク型電池用電解質としての特質
3 硫化物固体電解質の開発とバルク型電池
4 硫化物固体電解質電池の展望
5 おわりに
第10章 バルク型全固体二次電池の高容量化
1 はじめに
2 硫化物固体電解質を用いたバルク型全固体電池の作製
3 高容量電極活物質の適用による電池の高容量化
3.1 硫黄正極活物質
3.2 リン負極活物質
4 電極-電解質固体界面制御による電池の高容量化
4.1 電極活物質の微粒子化
4.2 ガラス性液体の利用
4.3 電極活物質上への固体電解質薄膜コーティング
5 おわりに
第11章 全固体型リチウム電池用Li-Si合金の開発と応用
1 はじめに
2 メカニカルミリング(MM)法によるLi-Si合金の作製
3 メカニカルミリング(MM)法により合成されたLi-Si合金の全固体電池用負極材料特性
4 メカニカルミリング(MM)法により合成したLi-Si-Ge合金の特性
5 まとめ
第12章 オールナシコン型全固体電池
1 はじめに
2 リン酸ナシコン型全固体対称電池
2.1 全固体Li電池:Li3V2(PO4)3/Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3/Li3V2(PO4)3
2.2 全固体Na電池:Na3V2(PO4)3/Na3Zr2(SiO4)2PO4/Na3V2(PO4)3
3 おわりに
第13章 3次元電池
1 はじめに
2 3次元電池の構造
3 3次元電池用固体電解質
4 3次元規則配列多孔構造とホールアレイ構造の複合化
5 まとめ
第14章 通電焼結を用いた全固体電池の構築
1 はじめに
2 通電焼結法を用いた金属酸化物正極活物質―炭素複合体の作製
3 通電焼結法を用いた硫黄系正極活物質―炭素複合体の作製
4 通電焼結法を用いた正極/電解質/負極積層体の作製
第15章 全固体リチウムポリマー電池
1 はじめに
2 ポリマー電解質
3 ポリマー電解質用負極材料
4 ポリマー電解質用正極材料
5 まとめ
第16章 フレキシブルラジカルポリマー電池
1 はじめに
2 ラジカルポリマー電池の作動原理と特長
3 ラジカルポリマー電池の位置づけと将来展望
4 新しい有機系電極活物質(多電子系、導電性高分子など)での展開
第17章 全固体薄膜電池と界面構築
1 はじめに
2 全固体薄膜電池
2.1 薄膜電池の特徴
2.2 薄膜電池の構造
3 薄膜電池の作製方法
3.1 材料
3.2 薄膜作製方法
4 PLD法による薄膜電池の作製法
4.1 正極材料の薄膜化
4.2 固体電解質の薄膜化
4.3 負極の薄膜化
5 PLD法による薄膜電池の作製と界面特性
6 まとめ
第18章 リチウム二次電池の全固体化に向けた界面制御
1 はじめに
2 固体電解質/電極活物質界面で起こる電荷移動反応の熱力学的考察
2.1 活性化エネルギー(Ea)
2.2 前指数因子
2.2.1 Li+移動系
2.2.2 電子移動系(Li析出溶解反応)
3 まとめ
第19章 放射光を用いた全固体リチウム二次電池電極/電解質の界面評価
1 緒言
2 実験手法
3 電極/電解質界面の修飾
4 界面修飾による電気化学特性の変化
5 深さ分解X線吸収分光法(DR-XAFS)
6 おわりに
第20章 電子線ホログラフィーによる全固体電池反応のその場観察
1 はじめに
2 電子線ホログラフィーの原理
3 TEM観察用全固体リチウム電池の作製
4 電子線ホログラフィーによる電位分布のその場観察
5 まとめ
【企業における蓄電池の全固体化に向けた研究開発動向と展望編】
第21章 自動車用次世代型全固体電池の研究開発と展望
1 はじめに
2 全固体電池のメリットと課題
3 活物質の表面コーティングで界面制御
4 固体電解質の化学的安定性
5 界面抵抗と固体電解質の化学的安定性の関係
6 自動車用次世代型全固体電池の展望
第22章 硫化物系無機固体電解質を用いた全固体電池の開発
1 はじめに
2 硫化物系無機固体電解質の特徴
3 硫化物系無機固体電解質を用いた全固体リチウム電池
4 硫化物系無機固体電解質を用いた全固体リチウム電池の安全性
5 大型(ラミネート型)電池の作製
6 おわりに
第23章 硫化物固体電解質薄膜を用いた全固体リチウム電池の開発
1 緒言
2 薄膜全固体リチウム電池のデザイン,及び技術課題
3 硫化物固体電解質の薄膜化プロセス
3.1 成膜条件
3.2 Liイオン伝導特性
3.3 Li金属に対する固体電解質膜の化学安定性
4 Li金属の薄膜化プロセス
5 薄膜全固体リチウム電池試作,及び充放電評価
5.1 薄膜全固体リチウム電池試作
5.2 充放電試験結果
6 結言
第24章 バルク型全固体電池の特性向上
1 はじめに
2 固体電解質を用いた電池の課題
3 全固体電池の特性
3.1 出力&寿命特性
3.1.1 LiCoO2正極を用いた全固体電池の特性
3.1.2 正極/固体電解質界面での副生物抑制技術開発
3.2 安全性
3.3 エネルギー密度
3.4 温度特性
4 まとめ
第25章 全固体電池用酸化物ガラスセラミックス電解質の開発
1 はじめに
2 酸化物系固体電解質
3 酸化物系ガラスセラミックス電解質
4 固体電解質の新しい応用
5 新しいガラスセラミックス電解質
6 ガラスセラミックス電解質の全固体電池への応用
第26章 ガラス系電極材料の全固体電池への応用
1 はじめに
2 リン酸鉄リチウム系結晶化ガラス
3 LFP結晶化ガラスの製造プロセス
4 LFP結晶化ガラスの構造と電池特性
5 スズリン酸系ガラス
6 SnPガラスの電池特性
7 まとめ
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月刊バイオインダストリー 2017年5月号
¥4,950
作田庄平 東京大学
古川智宏 東京大学
飯村九林 東京大学
山本利義 東京大学
中野貴由 大阪大学
永瀬丈嗣 大阪大学
當代光陽 大阪大学
芝 健夫 山形大学
横澤晃二 山形大学
松井弘之 山形大学
時任静士 山形大学
岩井聡一 大阪大学
武岡真司 早稲田大学
柚木恵太 (株)サティス製薬
戒能智宏 島根大学
川向 誠 島根大学
十川佳奈子 (株)三井住友銀行
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BIO R&D
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食品添加物を用いたアフラトキシン汚染防除
Control of Afl atoxin Contamination with Food Additives
アフラトキシンはカビ毒(マイコトキシン)の中で最も深刻な農作物汚染被害を引起しているが,現在抜本的な汚染防除法は無い。アフラトキシンの汚染防除法として,アフラトキシン産生阻害物質の利用を考え,呼吸阻害剤が産生阻害活性を持つことを見出した。呼吸阻害活性を有する既存の食品添加物の汚染防除への応用が期待される。
【目次】
1 はじめに
2 アフラトキシンとその汚染対策
3 アフラトキシン産生阻害物質について
4 食品添加物のアフラトキシン汚染防除への利用
5 おわりに
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生体用高強度ハイエントロピー合金の開発
Development of High-strength High-entropy Alloys with Superior Biocompatibility
従来の合金とは,合金設計概念や,それに基づく合金組成が全く異なる新規な生体用金属材料である「生体用ハイエントロピー合金」の開発に成功した。ハイエントロピー合金は,5成分以上の元素の組み合わせからなる多成分系であり,混合のエントロピーを高めるため等原子組成に近い合金組成を持つように設計される。ハイエントロピー合金は,Severe lattice distortion 効果によって高強度であるが,High entropy 効果によって固溶体が得られるため基本的には脆くなく,鋳造状態でさえも優れた機械的強度発現が期待できることから新たなタイプの金属系構造部材として注目されている。新規開発の等原子組成比Ti20Nb20Ta20Zr20Mo20合金(数字は原子%)は,チタンと同程度の生体適合性を示す上,その機械的強度は使用頻度の高いTi-6Al-4V合金などに比べ圧倒的に高く,高い加工性を持ち合わせる。
鋳造状態でもその優れた生体適合性と機械的性質を示すことから,精密鋳造や三次元金属積層造形などへの応用も可能である大変優れた特性を兼ね備えた新材料である。
【目次】
1 ハイエントロピー合金とは
2 生体用ハイエントロピー合金の設計開発
3 生体用ハイエントロピー合金の特徴
4 生体用ハイエントロピー合金の可能性と今後の展開
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フレキシブルハイブリッド型常時計測体温センサの開発
Development of Flexible Hybrid Body-temperature Sensors for Real-time Monitoring
健康モニタリングによる質の高いQoL社会の実現に向けて,印刷製法で作製および実装する,有機集積回路とSi-LSIを融合したフレキシブルハイブリッドヘルスケアセンサの開発を行った。有機体温センサを例にとり,インクジェット印刷法を用いてハイブリッド型常時計測体温センサの試作と計測実験を行い,身体への装着状態での基本的な計測とデータ伝送に成功した。このハイブリッドセンサ技術は,将来のIoT社会におけるフレキシブルセンサとして応用展開が期待される。
【目次】
1 はじめに
1.1 健康モニタリングの重要性
1.2 フレキシブルハイブリッドデバイスの重要性
2 ハイブリッド化の開発動向
3 ヘルスケアセンサ応用
4 ハイブリッドセンサの構成
5 一体型ハイブリッドセンサの試作と計測実験
6 おわりに
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ハイドロキシアパタイトアガロースゲルを用いた骨再生医療
Bone Regenerative Medicine Using Hydroxyapatite Agarose Composite Gels
【目次】
1 はじめに
2 ハイドロキシアパタイトアガロースゲル
3 臨床研究の概要
4 結果
5 結論
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生体適合性高分子ナノシートの物性と医療応用
Physical Properties and Medical Applications of Biocompatible Polymer Nanosheets
【目次】
1 諸言
2 ナノシートの作製
2.1 交互積層法(LbL)
2.2 キャスト法
3 ナノシートの密着性
4 ナノシートの分子透過性
5 ナノシートの分解特性
6 多孔質ナノシートとマイクロディスク型ナノシートの構築
7 ナノシートの医療応用
7.1 創傷被覆材(ナノ絆創膏)として
7.2 薬物徐放材として
8 ナノ医療のプラットフォームとしての将来展望
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和栗の皮からの植物ヒト型セラミド高含有原料の開発
Development of Botanical Human-type Ceramide from Japanese Chestnut Shell
植物性グルコシルセラミドは,ヒト表皮角質層にある細胞間脂質のセラミドとは化学構造が大きく異なることが知られている。本稿では,和栗の加工廃棄物である栗皮に,化粧品原料として有効なヒト型セラミドAPが蓄積していること,さらにそのセラミドがC22からC28の超長鎖脂肪酸から構成されていることを明らかにしたので報告する。
【目次】
1 はじめに
2 植物スフィンゴ脂質の特徴
3 ヒト型セラミドの特徴
4 天然素材からのヒト型セラミド生産
5 和栗について
6 くりセラミドTMの特徴
7 超長鎖セラミドAPについて
8 おわりに
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《BIO ENGINEERING》
コエンザイムQ10増産技術の開発
Development of Technology for Higher Production of Coenzyme Q10
コエンザイムQ10(CoQ10)は食品サプリメントとして広く市場に出回っている脂溶性物質で,生体内でのATP生産に必要である。CoQ10は酸化型と還元型の2つの形をとることにより,抗酸化物質としても働く。CoQ10は主に微生物により生産されているが,CoQ10の生合成経路は完全には解明されていないのが現状である。
【目次】
1 コエンザイムQ(CoQ)とは
2 CoQの生合成
2.1 CoQの生合成研究の歴史
2.2 メバロン酸経路
2.3 イソプレノイド側鎖の合成
3 CoQの生産性向上の取り組み
3.1 Agrobacterium tumefaciensとRhodobacter sphaeroidesの育種
3.2 大腸菌を用いた遺伝子の高発現によるCoQ 生産性の向上
3.3 酵母を用いたCoQ生産性の向上
3.4 植物におけるCoQ10生産
3.5 さらなるCoQ10高生産に向けて
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《BIO BUSINESS》
再生医療ベンチャーの現況と課題
Trends and Issues of Regenerative Medicine Startups
【目次】
1 はじめに
2 再生医療分野の成長性
3 再生医療の実用化プロセスにおけるベンチャー企業の役割
4 再生医療分野における規制緩和とその影響
5 再生医療ベンチャーの課題
5.1 人材の確保
5.2 知財戦略
5.3 大企業との連携
6 三井住友銀行の取組
7 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2017年4月号
¥4,950
<<著者一覧>>
佐藤香枝 日本女子大学
太田庸介 京都府立医科大学
鈴木孝禎 京都府立医科大学
田澤 大 岡山大学大学院
大西哲平 岡山大学大学院
香川俊輔 岡山大学大学院
中村修治 (株)林原
藤原俊義 岡山大学大学院
松永行子 東京大学
野村広之進 みずほ証券(株)
前野一雄 NPO 法人「全世代」;地域医療機能推進機構(JCHO)
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BIO R&D
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遺伝子転写量および遺伝子変異の細胞内蛍光検出技術
Fluorescence Imaging for specifi c mRNA Detection in Cells
遺伝子転写量および遺伝子変異を細胞内で見る試みは, 近年, 高感度化や高性能化され発展を遂げている。細胞の形状を保ったまま分析することで, 組織内での遺伝子変異のある細胞の分布が明らかになり, がん診断などの場で役立つものと期待されている。RNAscope法は1980年代に開発されたFISH法を複数のプローブを組み合わせることで高感度にしたものであり, 一分子の検出も可能である。一塩基の違いを見分ける精度を持つ方法としては, Padlock probeを用いた方法が開発されている。一方, SmartFlare法という低侵襲で生きた細胞のmRNAの発現を蛍光で検出する革新的なプローブも開発されている。本稿では, 近年開発されたそれぞれの方法の原理と利点について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 ISH・FISH法
3 RNAscopeによる検出
4 Stellaris RNA FISH法による検出
5 in situ Padlock/RCA法による検出
6 マイクロデバイスを用いた細胞内遺伝子検出技術
7 SmartFlare RNA検出プローブ
8 まとめ
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LSD1阻害を引き金に抗がん剤を放出する小分子型DDSの開発
Development of a small molecule-based DDS:LSD1 inhibition-triggered release of anticancer agents
薬物の体内動態を制御する技術であるDDSは, 薬理作用の向上や副作用の低減が期待され, がん等をはじめ多くの疾患で応用されている。一方で, これまでのDDSは高分子を基にしたものであり, 投与方法が制限される等課題も残される。本稿では最近, 筆者らが開発したLSD1を利用した新規小分子型DDSについて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 LSD1を標的とした小分子型DDS
2.1 LSD1とLSD1阻害薬
2.2 LSD1阻害を引き金に薬物を放出するPCPA-薬物複合体
2.3 PCPA-タモキシフェン複合体
3 おわりに
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HOZOT 細胞を用いた腫瘍融解ウイルス製剤のDDS
Drug delivery system of oncolytic virus using HOZOT cells
新たながん治療法として腫瘍融解ウイルスを用いたウイルス療法が開発されている。腫瘍融解ウイルスはがん選択的に増殖してがん細胞を破壊するが, ウイルスのがん選択的な運搬技術の開発が大きな課題である。本稿では, 筆者らが開発した細胞内侵入能を有するHOZOT細胞を用いたウイルス運搬技術について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 テロメラーゼ依存的に増殖する腫瘍融解ウイルス製剤「Telomelysin」
3 テロメラーゼ依存的に増殖する蛍光発現腫瘍融解ウイルス製剤「TelomeScan」
4 腫瘍融解ウイルス製剤「Telomelysin」の臨床開発
5 腫瘍融解ウイルス製剤の全身投与における問題点
6 がん選択的な細胞内侵入能を有するHOZOT細胞
7 HOZOT細胞を用いたウイルス運搬技術の開発
8 まとめ
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血管の破綻および正常化のみえる化―in vitro三次元微小血管モデルを用いた血管透過性評価系の構築―
Visualization of vascular dysfunction and vascular normalization: Development of method to evaluate vascular permeability using an in vitro 3D microvessel model
血管は体中にネットワークを形成し, 各種臓器のおよび生体の恒常性を担っている。血管の内層を構成する内皮細胞間の接着の破綻による血管透過性の亢進は, 様々な疾患の発症と密接に関係している。このため, 血管透過性を抑制し血管の正常化を目的とした薬剤の開発と利用が注目されている。本稿では, in vitro三次元微小血管モデルを用いた, 血管透過性の評価系構築に関する筆者らの最近の取り組みについて述べる。
【目次】
1 血管新生阻害療法におけるin vitro血管モデルの必要性
2 血管のバリア機構
3 三次元微小血管モデルの基本構造と特徴
4 in vitro三次元微小血管モデルを用いた血管透過性評価法の構築
4.1 共焦点レーザー顕微鏡による蛍光透過性評価法
4.2 EDTA前処理がトロンビンによる透過性亢進を向上させる
4.3 007による血管透過性抑制の評価
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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日本と世界の再生・細胞医療産業化
Industrialization of Regenerative Medicine and Cell Therapy in Japan and the world
「再生・細胞医療」やその「産業化」というキーワードがにわかに注目されているが, 再生・細胞医療の初の製品が約30年前に誕生して以降, その産業化はほとんど失敗してきた事実は, あまりよく知られていない。足下の取り組みと過去の失敗は何が違うのか, 特に日本での産業化には何が必要かについて, 事例を交えつつ一定の見方を示したい。
【目次】
1 強い成長へのコンセンサス
2 足元の世界市場は一時的にやや縮小傾向
3 現在は再生・細胞ベンチャー企業も十分な収益を上げられていない
4 再生・細胞医療の歴史 ~産業化を阻んできた3つのハードル~
5 今後の再生・細胞医療はこれまでと何が違うか?
6 日本で再生・細胞医療が発展するために必要なこと
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産業用酵素の市場動向
Market trend of Industrial Enzymes
産業用酵素は, 食品やトイレタリーなどの身近な生活製品から, 繊維, タンパク, 油脂, 醸造, 異性化糖向けなどの各種加工製品において, 日常不可欠なものとなっている。こうした既存分野に対して新規の酵素を導入する動きも続いており, 高齢者用の食品加工など新たな技術応用も始まっている。このような市場環境の中, 遺伝子組換え技術によるGMO酵素が環境問題や原料高騰の流れを受けて市場展開の拡大を続けている。また, 産業用酵素の利用分野では, エコロジー分野, エネルギー分野, ファインケミカル分野に伸びが期待され, 洗剤用酵素は近年の液体洗剤へのニーズの高まりによって需要が増大している。エネルギー分野では, バイオエタノールの開発が依然として注目を集めているものの, やや落ち着いた動きとなっている。エネルギー産業への展開は, 国内の産業用酵素市場における飽和状態にインパクトを与える好材料であり, 今後はこうした高付加価値の機能向上品の用途開発を進めることにより, さらなる新規需要も期待される。
【目次】
1 酵素の分類と市場概況
2 産業用酵素の市場
3 メーカー動向
(1) ノボザイムズジャパン
(2) 天野エンザイム
(3) ナガセケムテックス
(4) 新日本化学工業
(5) ヤクルト薬品工業
(6) 三菱化学フーズ
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《BIO PRODUCTS》
ソーマチン(Thaumatin)
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《BIO POLICY PROPOSAL》
医療と保育のインテグレーション
~病院の職員の子ども達だけに利用されている全国2,700の病院内保育所を, 地域住民に開放するプロジェクト~
Integration of Medical Care and Child Care
先が読めない混沌とした時代。しかし不透明な現状を嘆くだけでは解決策は見つからない。主権者である国民はもっと発言する責任があり, 実際の政治, 行政に反映させていく社会的システムの構築が必要ではないか。一昨年9月発足したNPO法人「全世代」はいわば巷(ちまた)から未来の社会づくりに関わる参加型市井会議を目指している。
【目次】
1 はじめに
2 できることから力を合わせて解決していきたい
3 「待機児童」問題が解消できない理由
4 「病院内保育所」がもつ可能性
5 モデルケースで地域開放に向けた具体的流れをつくる
6 クラウドファンディングの実施
7 病院内保育所の地域開放に前向きな病院が多数ある
8 「子育て支援が日本を救う」
9 病院内保育所以外の取り組み -
月刊バイオインダストリー 2018年11月号
¥4,950
≪著者一覧≫
佐藤研一 福岡大学
高田昌彦 京都大学
樫村吉晃 日本電信電話(株)
東 恭平 東京理科大学
岡本悠佑 千葉大学
戸井田敏彦 千葉大学
村岡貴博 東京農工大学
千葉俊明 (株)フルステム
内田太郎 (株)フルステム
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BIO INDUSTRY
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竹の土系舗装への活用法
Application of Bamboo to Soil Pavement
近年の竹や筍の輸入量の増大や生産者の減少による竹林の放置は深刻な問題となっている。そこで, 竹をチップ状にした繊維材料に着目し, 竹チップを用いた土系舗装材料の開発を行っている。竹チップ土系舗装は, 歩行者の脚への負担軽減, ひび割れ防止, ヒートアイランド現象の抑制にも繋がる付加価値の高い舗装材料である。
【目次】
1 はじめに
2 竹チップ土系舗装の材料特性
2.1 実験に用いた試料
2.2 実験方法
2.3 実験条件
2.4 締固め特性
2.5 強度・変形特性
2.6 曲げ強度特性
3 竹チップ土系舗装材料の防草効果
4 竹チップ土系舗装の施工事例
4.1 あんずの里運動公園
4.2 @アトサキセブン
4.3 浜松市一般住宅
4.4 マフラーミュージアム
4.5 国土交通省九州地方整備局九州技術事務所構内
4.6 日田市県道法面
5 研究会の発足と今後の展望
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BIO REVIEW
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抗体治療による脊髄損傷からの機能回復
Recovery from Motor Impairments after Spinal Cord Injury by Antibody Therapy
サルを用いて脊髄損傷により傷ついた神経の再生を促し, 一度失われた霊長類の手指機能を回復促進させる抗体治療に成功した。これまで, 成熟した中枢神経においてひとたび損傷した神経が再びその軸索枝を伸ばすことは難しいとされていた。この成果は, 脊髄損傷や脳卒中などの中枢神経障害後の運動機能回復の治療につながると期待される。
【目次】
1 背景
2 研究の方法と成果
3 波及効果
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膜タンパク質の機能で動作するバイオデバイス
Biodevices that Operate with Membrane Protein Function
膜タンパク質などの生体分子とナノテクノロジを融合させたバイオデバイスが実現できれば, 生体機能の解明などの基礎研究分野だけではなく, 医療応用・創薬など様々な方面への応用が期待される。本稿では, 我々のグループで進めている, 膜タンパク質の機能で動作する, 生体環境を模倣したバイオデバイス作製の試みについて紹介する。
【目次】
1 生体分子の機能を利用したデバイス
2 人工脂質膜
3 人工脂質膜シールした微小井戸を用いたバイオデバイス
3.1 モデル細胞
3.2 微小井戸の人工脂質膜シール
3.3 膜タンパク質機能の確認
3.4 基板-脂質膜界面の影響
3.5 表面修飾によるイオンリーク低減
3.6 拡張DLVO理論による脂質膜-基板界面構造の検討
4 むすび
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BIO R&D
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スズキのヒレ, 骨, 眼球に含まれる機能性コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸混成鎖
Identification of Functional Chondroitin Sulfate/Dermatan Sulfate from Lateolabrax Japonicus
医薬品や健康食品の成分として流通するコンドロイチン硫酸の基原は, ブタの気管支軟骨, サケ鼻軟骨やサメ軟骨が知られている。しかしながら, コンドロイチン硫酸は動物の組織全般に含まれているため, 食品加工で生じた廃棄物などには有用な未利用資源が眠っていると考えられる。本稿では, スズキのヒレ, 骨および眼球に含まれる機能性コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸混成鎖について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 スズキ由来コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸混成鎖の構造と生物活性
2.1 CSの構造
2.2 スズキ由来CS/DS混成鎖とタンパク質リガンドとの親和性
3 スズキのヒレ, 骨および眼球からCS/DS混成鎖を調製するメリットとデメリット
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精密設計された低分子を用いるタンパク質安定化
Protein Stabilization by Small Synthetic Molecules
タンパク質の分子機能は, ポリペプチド鎖が適切に折りたたまれた立体構造(ネイティブ構造)を構築することで発現する。その立体構造安定化は, タンパク質を取り扱う上で有用である。筆者らが近年開発した精密設計された低分子を用いるタンパク質安定化技術について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 ポリエチレングリコールを基盤とするタンパク質凝集抑制剤
2.1 構造化ポリエチレングリコール類縁体
2.2 両親媒性ポリエチレングリコール
3 ウレアを基盤とするタンパク質酸化的フォールディング促進剤
4 おわりに
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BIO ENGINEERING
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次世代型自動培養装置の開発
The Next Generation of Automated Culture System for Stem Cells
幹細胞培養は, 経験に基づく目視による細胞管理を基本とし, 人手による培地交換等の作業を実施するのが長年の常識である。また, 再生医療が盛んに実施される現在においても, 人手による治療用の細胞培養加工がほとんどである。しかし, 安全性や有効性が確認された後の細胞加工物や再生医療等製品の大量生産および製造においては, 人手作業でまかなうことができない細胞量の製造が求められるため, 人手作業からの転換が, 今後の産業化における大きな課題となっている。まずは, 品質安定化を達成するため, ロボット制御による培養装置が開発されたが, 人手作業の安定的な模倣に主眼があるため, 処理量およびコスト面における問題の克服にはいまだ遠い状況である。弊社では, 治療に必要とされる1 億(10^8)個以上の幹細胞を自動培養でき, モニタリングによる培養状態の把握が可能であり, 低コストかつ省スペースで運用可能な次世代型培養装置を開発したので報告をする。
【目次】
1 はじめに
2 幹細胞培養装置について
2.1 ファーメンタ(スピナーフラスコ)
2.2 ロボット制御による2次元培養装置
2.3 その他の方式による培養装置
3 治療用の大量培養装置に必要な要件
3.1 必要細胞量について
3.2 細胞品質について
3.3 コストについて
4 次世代型培養装置について
4.1 開発コンセプト
4.2 不織布培養法
4.3 装置仕様
5 さいごに
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BIO BUSINESS
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プロバイオティクス食品メーカーの動向
【目次】
1 明治
2 森永乳業
3 雪印メグミルク
4 ヤクルト本社
5 アサヒ飲料
6 キリングループ
7 カゴメ
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主要乳酸菌素材の動向−Lactobacillus(ラクトバチルス)属−
【目次】
1 概要
2 研究開発動向
3 L.acidophilus(ラクトバチルスアシドフィルス)の動向
3.1 概要
3.2 業務用原料サプライヤーの動向
3.3 L.acidophilus 関連メーカーの動向
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《BIO PRODUCTS》
N−アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)
ビタミンD(Vitamin D) -
ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開(普及版)
¥3,190
2013年刊「ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開」の普及版。「ナノワイヤ」の基礎(成長、物性・理論)から、太陽電池をはじめ発光ダイオード、レーザー、センサー、光検出器など、デバイスへの応用を網羅!!
(監修:福井孝志)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
福井孝志 北海道大学
比留間健之 (株)日立製作所
竹田精治 大阪大学産業科学研究所
清水智弘 関西大学
小田俊理 東京工業大学
舘野功太 NTT物性科学基礎研究所
池尻圭太郎 北海道大学
山口雅史 名古屋大学
原真二郎 北海道大学
岡田龍雄 九州大学
中村大輔 九州大学
本久順一 北海道大学
深田直樹 (独)物質・材料研究機構
河口研一 (株)富士通研究所
荒川泰彦 東京大学
有田宗貴 東京大学
舘林 潤 東京大学
八井 崇 東京大学大学院
秋山 亨 三重大学
広瀬賢二 日本電気(株)
小林伸彦 筑波大学
岸野克巳 上智大学
和保孝夫 上智大学
冨岡克広 北海道大学量;(独)科学技術振興機構
柳田 剛 大阪大学
吉村正利 北海道大学
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<<目次>>
序章 ナノワイヤ研究の最新動向
【第I編 成長】
第1章 ナノワイヤ成長の概論
1 はじめに ―ナノワイヤのルーツ:ホイスカー ―
2 ホイスカーからナノワイヤへ
3 ナノワイヤの成長機構
3.1 中軸ラセン転位による成長
3.2 気相-液相-固相(Vapor-Liquid-Solid)成長
3.3 ナノワイヤの選択成長
3.4 ナノワイヤ成長における原料原子の表面拡散効果
3.5 異種材料接合におけるナノワイヤ成長
4 まとめ
第2章 VLSシリコンナノワイヤー成長
1 はじめに
2 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長を決める因子
3 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長の実際
4 触媒となる金シリコンナノ液滴
5 シリコン・ナノワイヤーの核形成
6 シリコン・ナノワイヤー成長過程の解析
7 おわりに
第3章 テンプレート成長法について
1 はじめに
2 テンプレートについて
3 テンプレート中での成長方法について
4 自己組織形成テンプレートを用いたナノワイヤの成長
第4章 VLS Geナノワイヤ成長
1 はじめに
2 VLS成長
3 種々の触媒金属
4 垂直成長
5 Ge-NW成長の精密制御
6 Ge-NWの低温成長
7 デバイス応用
8 おわりに
第5章 VLS法によるIII-V族ナノワイヤ成長
1 はじめに
2 長波長帯発光ナノワイヤ
3 GaAs(311)B基板上横成長GaAsナノワイヤ
4 自己触媒VLS法によるInPナノワイヤ
5 InAsナノワイヤの超伝導量子デバイスへの応用展開
6 まとめ
第6章 選択成長法によるIII-V族化合物半導体ナノワイヤ
1 はじめに
2 MOVPE選択成長法によるナノワイヤ形成プロセス
3 選択成長によるナノワイヤの形状および結晶構造解析
3.1 選択成長におけるファセッティング成長(GaAs選択成長基板面方位依存性)
3.2 選択成長によるナノワイヤの成長特性
3.3 ナノワイヤの形状制御技術 成長の縦・横方向制御
3.4 ナノワイヤの結晶構造解析
4 ナノワイヤにおける結晶構造の変化
5 ナノワイヤの成長機構モデル
6 Si基板上のナノワイヤ選択成長
7 おわりに
第7章 III-Vナノワイヤon Si
1 はじめに
2 Si基板上無触媒(自己触媒)VLS法による化合物半導体ナノワイヤ
3 Ga供給量依存性
4 As供給量依存性
5 成長中断の効果
6 GaAs/AlxGa1-xAsのコア・シェルヘテロ構造
7 まとめ
第8章 強磁性体/半導体複合ナノワイヤ
1 はじめに
2 作製プロセス
3 強磁性体ナノクラスタの選択形成
4 強磁性体/半導体複合ナノワイヤの選択形成
5 電気特性
6 おわりに
第9章 ZnOナノワイヤ成長
1 はじめに
2 ZnOナノ結晶の成長
2.1 CVD
2.2 熱炭素CVD
2.3 パルスレーザー堆積法
2.4 水熱法
2.5 電着法
3 制御法
3.1 成長方向制御
3.2 結晶サイズの制御
3.3 密度制御
3.4 成長位置
4 導電性制御
5 まとめ
【第II編 物性・理論】
第1章 光物性
1 はじめに
2 ナノワイヤ光導波路と共振器効果
3 光学異方性
4 結晶構造転移と光学特性
5 ナノワイヤアレイにおける光吸収
6 ヘテロ構造半導体ナノワイヤの発光特性
7 光励起による誘導放出およびレーザ発振
8 ナノワイヤ発光素子
9 おわりに
第2章 ドーピング
1 はじめに
2 ドーピング方法
2.1 成長時ドーピング
2.2 イオン注入を利用したドーピング
3 ドーピング評価
3.1 結合・電子状態
3.2 不純物分布
3.3 不純物の挙動
4 まとめ
第3章 径方向量子井戸・量子ドットナノワイヤ構造と光学特性
1 はじめに
2 ナノワイヤに形成可能な量子ヘテロ構造
3 径方向量子井戸ナノワイヤの物性
4 径方向量子ドットナノワイヤの物性
5 まとめ
第4章 ナノワイヤ量子ドットの光学特性
1 はじめに
2 位置制御された単一GaN/AlGaNナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
3 InGaAs/GaAsナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
4 InGaAs/GaAsナノワイヤ積層量子ドットの結晶成長と光学特性
5 おわりに
第5章 ZnOナノロッド量子井戸構造を用いたナノフォトニックデバイスの進展
1 まえがき
2 ZnOナノロッド量子井戸構造
3 近接場エネルギー移動の制御
4 近接場光の協調現象の観測
5 むすび
第6章 形成機構計算
1 はじめに
2 ナノワイヤの結晶構造
3 ナノワイヤにおける閃亜鉛鉱-ウルツ鉱構造相対的安定性
4 二次元核形成にもとづくナノワイヤ形成機構
5 エピタキシャル成長条件を考慮したナノワイヤ形成機構
6 ナノワイヤ形状の成長条件依存性
7 まとめ
第7章 熱伝導、熱電性能
1 ナノワイヤの熱伝導実験
2 ナノワイヤの熱伝導計算
3 低温での普遍的な熱伝導の振舞い
4 熱電エネルギー変換と熱電性能指数
4.1 熱電性能の物性・理論
4.2 ナノワイヤの熱電性能増大の可能性
4.3 シリコンナノワイヤの熱電性能実験
4.4 シリコンナノワイヤの熱電性能計算
5 まとめ
【第III編 デバイス】
第1章 GaN ナノコラム発光デバイス
1 はじめに
2 GaN 系発光デバイスの直面する課題
3 ナノコラムとナノ結晶効果
4 規則配列ナノコラムとナノコラムLED
5 発光色制御と集積型LED
6 まとめ
第2章 回路応用
1 はじめに
2 デジタル回路
3 アナログ回路
4 ナノワイヤの配置制御技術
5 むすび
第3章 ナノワイヤのトランジスタ応用
1 はじめに
2 ナノワイヤトランジスタの技術動向
3 Si基板上のIII-Vナノワイヤ選択成長
4 ナノワイヤ縦型トランジスタの作製
5 InGaAs/InP/InAlAs/InGaAsコアマルチシェルナノワイヤチャネル
6 まとめ
第4章 ナノワイヤを活用した不揮発性メモリ―ナノワイヤメモリスタ―
1 はじめに
2 自己組織化酸化物ナノワイヤを用いたプレーナー型メモリスタ素子
3 ナノワイヤメモリスタを用いた極微素子特性の解明
4 ナノワイヤメモリスタ素子を用いた動作起源の解明
5 おわりに
第5章 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池
1 はじめに
2 ナノワイヤの特長
2.1 光トラッピング
2.2 電子正孔対分離の改善
2.3 格子不整合の緩和
2.4 省資源化
3 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池の動向
4 今後の展開
4.1 高効率化
4.2 低コスト化
5 まとめ -
未来を動かすソフトアクチュエータ―高分子・生体材料を中心とした研究開発―(普及版)
¥7,480
2010年刊「未来を動かすソフトアクチュエータ―高分子・生体材料を中心とした研究開発―」の普及版!ロボット、医療、福祉など様々な分野で実用化が進んでいる高分子アクチュエータに加え、期待されるバイオアクチュエータの材料や応用、制御、市場動向を解説!!
(監修:長田義仁・田口隆久)
<a href="https://www.cmcbooks.co.jp/products/detail.php?product_id=5169"target=”_blank”>この本の紙版「未来を動かすソフトアクチュエータ―高分子・生体材料を中心とした研究開発―(普及版)」の販売ページを見る(別サイトへ移動)</a>
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は2010年当時のものです。
長田義仁 (独)理化学研究所
田口隆久 (独)産業技術総合研究所
三俣哲 山形大学
山内健 新潟大学
須丸公雄 (独)産業技術総合研究所
高木俊之 (独)産業技術総合研究所
杉浦慎治 (独)産業技術総合研究所
金森敏幸 (独)産業技術総合研究所
菊地邦友 和歌山大学
安積欣志 (独)産業技術総合研究所
土谷茂樹 和歌山大学
金藤敬一 九州工業大学
奥崎秀典 山梨大学
杉野卓司 (独)産業技術総合研究所
清原健司 (独)産業技術総合研究所
石橋雅義 (株)日立製作所
平井利博 信州大学
千葉正毅 SRIインターナショナル
田實佳郎 関西大学
渡辺敏行 東京農工大学
吉原直希 東京農工大学
草野大地 東京農工大学
甲斐昌一 九州大学大学院
立間徹 東京大学
山上達也 (株)コベルコ科研
都井裕 東京大学
高木賢太郎 名古屋大学
釜道紀浩 東京電機大学
佐野滋則 豊橋技術科学大学
大武美保子 東京大学
関谷毅 東京大学
加藤祐作 東京大学
福田憲二郎 東京大学
染谷隆夫 東京大学
向井利春 (独)理化学研究所
郭書祥 香川大学
伊原正 鈴鹿医療科学大学
渕脇正樹 九州工業大学
昆陽雅司 東北大学
和氣美紀夫 (株)HYPER DRIVE
森島圭祐 東京農工大学
藤里俊哉 大阪工業大学
角五彰 北海道大学
JianPing Gong 北海道大学
佐野健一 (独)理化学研究所
川村隆三 (独)理化学研究所
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【第1編 ソフトアクチュエータの開発状況と市場動向】
第1章 人工筋肉技術の開発状況と市場動向
1 概要
2 研究開発の状況
2.1 高分子材料を利用するアクチュエータ
2.2 形状記憶材料を利用するアクチュエータ
2.3 空気圧を利用するアクチュエータ
2.4 静電力を利用するアクチュエータ
3 市場・企業動向
【第2編 高分子アクチュエータの材料】
第2章 磁場駆動による磁性ゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 伸縮運動
3 回転運動
4 可変弾性ゲル
5 おわりに
第3章 熱, 電磁波駆動によるゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 発熱体としてのナノ・マイクロ材料
3 ナノ・マイクロ材料の複合化
4 おわりに
第4章 光駆動ゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 光応答収縮ゲルの構造と物性
3 ロッド状ゲルアクチュエータの光屈曲制御
4 シート状ゲルアクチュエータへの微小パターン照射による表面形状制御
5 マイクロ流路の光制御への応用
6 おわりに
第5章 イオン導電性高分子アクチュエータ
1 はじめに
2 イオン導電性高分子アクチュエータの作製・加工, 評価法
2.1 作製・加工法
2.2 評価法
3 水系イオン導電性高分子アクチュエータの特性,モデル
4 イオン液体系イオン導電性高分子アクチュエータの特性,モデル
5 まとめ
第6章 導電性高分子ソフトアクチュエータ
1 はじめに
2 導電性高分子の電解伸縮
3 電解伸縮の増大化
4 電解伸縮による伸縮率-応力曲線
5 ポリアニリンの過荷重下での電解伸縮の学習効果
6 電解伸縮のトレーニング効果と形状記憶
7 おわりに
第7章 空気中で電場駆動する導電性高分子アクチュエータ
1 緒言
2 実験
3 結果と考察
3.1 フィルムの比表面積
3.2 水蒸気吸着特性
3.3 電気収縮挙動
3.4 収縮応力と体積仕事容量
3.5 直動アクチュエータとポリマッスル
第8章 カーボンナノチューブ・イオン液体複合電極の伸縮現象を利用した高分子アクチュエータ
1 はじめに
2 アクチュエータの作成法と駆動メカニズム
3 アクチュエータの評価と性能改善
3.1 イオン液体の選択
3.2 電極膜への添加物の導入
3.3 ナノカーボン材料の影響
4 今後の展望
第9章 炭素ナノ微粒子(CNP)コンポジットアクチュエータ
1 はじめに
2 溶液中動作CNPコンポジットアクチュエータ
3 大気中動作CNPコンポジットアクチュエータ
第10章 誘電性ポリマーアクチュエータ―膨潤ゲルから結晶性ポリマーフィルムまで―
1 はじめに
2 電場で駆動する誘電性ポリマー柔軟材料の分類
3 誘電性ポリマーゲルの変形
3.1 誘電ポリマーゲルの電場駆動
4 低誘電率ポリマー柔軟材料の電場駆動
4.1 可塑化PVCの電場による可逆的なクリープ変形
4.2 ポリウレタン(PU)の電場による屈曲変形特性
4.3 ポリエチレンテレフタレート(PET)の振動運動など
5 まとめ
第11章 誘電エラストマートランスデューサー
1 はじめに
2 開発背景
3 EPAMアクチュエーターの原理
4 EPAMアクチュエーターの素材, 性能および開発動向
5 EPAMアクチュエーターの応用展開
6 EPAM発電の原理
7 革新的直流発電システムへの展開
8 EPAMアクチュエーターの将来
第12章 圧電ポリマーアクチュエータ
1 はじめに
2 圧電ポリマーの圧電性基礎
2.1 結晶の圧電性
2.2 圧電ポリマーフィルム
2.3 配向制御の実際
3 アクチュエータとしての圧電ポリマーの基本性能
4 実用化に近づけるアクチュエータ材料の開発例
4.1 Macro Fiber Composite
4.2 キラル圧電ポリマー繊維素子
4.3 セルフセンシングアクチュエータ
4.4 多孔性エレクトレット
4.5 配向制御
4.6 蒸着重合
4.7 分子制御
5 おわりに
第13章 光駆動高分子ゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 光応答性部位の設計
3 高分子ゲルとは
4 分子レベルの変形を如何にマクロな変形へとシンクロさせるか
5 光応答性高分子ゲルの光応答挙動
5.1 光応答性ポリアミド酸ゲルの合成
5.2 ポリアミド酸ゲルの光照射による吸光度変化
5.3 6FDA/DAA棒状ポリアミド酸ゲルの屈曲挙動
5.4 ゲルの調整時濃度依存性の測定
5.5 光応答速度の向上
6 おわりに
第14章 電界駆動型液晶エラストマーアクチュエータの物性と応用
1 はじめに
2 電界応答する液晶エラストマーの構造
2.1 基本構造
2.2 ポリドメインとモノドメイン
2.3 液晶エラストマーの熱物性
3 液晶エラストマーの電気力学効果
3.1 ネマチック液晶エラストマーの電界応答
3.2 膨潤した液晶エラストマーの電気光学効果
3.3 液晶エラストマーの磁気効果
4 膨潤液晶エラストマーの物性的特徴のまとめ
5 電界駆動型液晶エラストマーの応用
6 おわりに
第15章 高分子ゲルを用いた電気化学および光電気化学アクチュエータ
1 はじめに
2 高分子ゲルを用いた電気化学アクチュエータ
3 光触媒反応に基づくアクチュエータ
4 部分的な形状変化
5 プラズモン光電気化学反応の利用
6 Ag+を利用する光電気化学アクチュエータ
7 おわりに
【第3編 高分子アクチュエータのモデリング・制御】
第16章 高分子アクチュエータの分子論的メカニズム
1 序
2 現象論
3 分子論
4 まとめ
第17章 連続体的手法によるアクチュエータモデリング
1 はじめに
2 電気的な応力拡散結合モデル
2.1 基礎方程式
2.2 電気的な応力拡散結合モデル
3 高分子電解質ゲルのオンザガー係数
3.1 イオンサイズの効果
3.2 流動電位の実測値との比較
4 ゲルの曲げと緩和のメカニズム
4.1 基礎方程式
4.2 初期の曲げ
4.3 緩和時間
5 実験との比較
6 結論
第18章 高分子アクチュエータの材料モデリング
1 イオン導電性高分子アクチュエータ
2 イオン導電性高分子アクチュエータの電気化学応答の計算モデリング
2.1 前方運動
2.2 後方運動
3 イオン導電性高分子アクチュエータの三次元変形応答解析
4 導電性高分子アクチュエータ
5 導電性高分子アクチュエータの電気化学・多孔質弾性応答の計算モデリング
5.1 多孔質弾性体の剛性方程式
5.2 圧力に対するポアソン方程式
5.3 体積ひずみ速度の発展方程式
5.4 イオン輸送方程式
5.5 計算手順
6 固体電解質ポリピロールアクチュエータの電気化学・多孔質弾性応答解析
第19章 イオン導電性高分子アクチュエータの制御モデル
1 はじめに
2 高分子アクチュエータのモデリング
2.1 モデリングの手法
2.2 IPMCアクチュエータのモデリング
3 力制御のための伝達関数モデル
3.1 IPMCアクチュエータの力計測
3.2 電気系モデルおよび電気機械変換系モデル
3.3 力計測系全体のモデル
4 物理原理(電場応力拡散結合)に基づく状態方程式モデル
4.1 状態方程式とは
4.2 電場応力拡散結合モデルとその状態空間表現について
4.3 電気系
4.4 電気機械変換系
4.5 機械系
4.6 全体の系の状態方程式
4.7 シミュレーション
5 まとめ
第20章 イオン導電性高分子アクチュエータの制御手法
1 はじめに
2 変形量の制御
2.1 ハードウェア構成例
2.2 PID制御
2.3 ブラックボックスモデルを用いた2自由度制御系
3 IPMCセンサ統合系を用いたフィードバック制御
4 力制御のためのロバストなPIDフィードバック
4.1 IPMCアクチュエータの不確かさの表現と制御系設計手法
4.2 実験
5 まとめ
第21章 高分子ゲルアクチュエータの電場による制御
1 はじめに
2 イオン性高分子ゲルの変形モデル
2.1 高分子ゲルの基本モデル
2.2 吸着解離方程式に基づくイオン性高分子ゲルの変形モデル
3 一様電場によるイオン性ゲルの形状制御
3.1 一様電場におけるイオン性高分子ゲルの波形状パタン形成
3.2 極性反転によるイオン性高分子ゲルの形状制御
4 空間分布電場によるイオン性高分子ゲルの変形運動制御
4.1 一列に配置した電極により生成される電場によるイオン性高分子ゲルの屈曲反転運動制御
4.2 二次元配列状に配置した電極により生成される電場によるヒトデ型ゲルロボットの起き直り運動制御
5 まとめ
【第4編 高分子アクチュエータの応用】
第22章 有機アクチュエータと有機トランジスタを用いた点字ディスプレイの開発
1 はじめに
2 研究背景
2.1 有機トランジスタとエレクトロニクス
2.2 点字ディスプレイ
3 デバイス構造および作製プロセス
3.1 デバイス構造と動作原理
3.2 有機トランジスタの作製プロセス
3.3 イオン導電性高分子アクチュエータ
3.4 アクチュエータシートとトランジスタシートの集積化
4 電気特性
4.1 トランジスタ
4.2 イオン導電性高分子アクチュエータ
4.3 有機トランジスタと高分子アクチュエータを集積化しての素子特性
5 点字ディスプレイのデモンストレーション
6 課題
7 低電圧駆動の点字ディスプレイの開発状況
7.1 デバイス構成
7.2 3V駆動可能なドライバー用有機トランジスタおよび有機SRAMの作製プロセス
7.3 ドライバー有機トランジスタの電気特性と集積化
7.4 有機SRAMの特性
7.5 考察
8 今後の展望
第23章 高分子アクチュエータのソフトロボットへの応用
1 これからのロボットに求められる柔らかさ
2 表面電極分割によるIPMCの多自由度化
3 ソフトなヘビ型水中ロボット
4 双安定アクチュエータ構造
5 IPMCアクチュエータとセンサの同時使用
第24章 高分子アクチュエータのマイクロロボットへの応用
1 研究の背景
1.1 背景
1.2 開発目標
2 首振り型水中マイクロロボット
2.1 首振り型水中マイクロロボットの動作原理
2.2 首振り型水中マイクロロボットの特性評価
3 2PDLを用いた多自由度水中歩行ロボット
3.1 2PDLを用いた多自由度水中歩行ロボットの動作原理
3.2 2PDLを用いた多自由度水中歩行ロボットの特性評価
4 八足水中マイクロロボット
4.1 八足水中マイクロロボットの動作原理
4.2 八足水中マイクロロボットの特性評価
5 多機能水中ロボット
5.1 多機能水中ロボットの動作原理
5.2 多機能水中ロボットの特性評価
6 赤外線制御による水中マイクロロボット
6.1 赤外線制御による水中マイクロロボットの動作原理
6.2 赤外線制御による水中マイクロロボットの特性評価
7 まとめと今後の展望
第25章 高分子アクチュエータ/センサの医療応用
1 はじめに
2 アクチュエータ
2.1 カテーテル関連駆動機構としての高分子電解質膜
2.2 ポンプ駆動機構としての高分子電解質膜
2.3 運動機能補助・器具操作補助機能としての高分子電解質膜
2.4 その他の導電性高分子のアクチュエータ応用
3 センサ
3.1 動作用センサ
3.2 pHセンサ
3.3 SMITスマート生地
3.4 ガスセンサ
4 導電性媒体としての高分子電解質膜の医療応用
4.1 植込型生体用電極コーティング
5 生体適合性
第26章 高分子アクチュエータのマイクロポンプへの応用
1 緒言
2 実験装置および方法
3 結果および考察
3.1 開閉運動する導電性高分子ソフトアクチュエータ
3.2 導電性高分子ソフトアクチュエータを駆動源とするマイクロポンプ
4 マイクロポンプの基礎性能
5 まとめ
第27章 高分子アクチュエータの触覚ディスプレイへの応用
1 はじめに
2 イオン導電性高分子アクチュエータ
3 IPMCアクチュエータの触覚ディスプレイへの適用
4 布のような手触りを呈示する触感ディスプレイ
5 局所滑り覚呈示による把持力調整反射の誘発
6 おわりに
第28章 誘電エラストマートランスデューサーの様々な応用
1 はじめに
2 開発背景
3 アクチュエーター,センサーとしての誘電エラストマー
3.1 ロボット, 介護, リハビリ用アクチュエーター, センサー
3.2 音響機器等への応用
3.3 その他のアプリケーション
4 EPAM発電デバイスへの応用
4.1 EPAM波力発電
4.2 EPAM水車発電
4.3 持ち運び可能な小型発電機の開発
4.4 ウエアラブル発電
4.5 人工筋肉発電の将来
5 今後の展開
【第5編 次世代のソフトアクチュエータ―バイオアクチュータ―】
第29章 3次元細胞ビルドアップ型バイオアクチュエータの創製
1 はじめに
2 細胞外基質を用いた心筋細胞の3次元培養方法の確立
3 心筋細胞ゲルのマイクロ化
4 マイクロ心筋細胞ゲルの性能評価
4.1 変位,周波数測定
4.2 収縮力測定
4.3 寿命評価
4.4 ゲル組織切片の構造観察
4.5 まとめ
5 マイクロ心筋細胞ゲルの制御方法の検討
5.1 電気パルス刺激に対する応答性の評価
5.2 化学刺激に対する応答性の評価
6 バイオアクチュエータへの応用
6.1 マイクロピラーアクチュエータ
6.2 チューブ型マイクロポンプ
7 結言と今後の展望
第30章 組織工学技術を用いたバイオアクチュエータの開発
1 はじめに
2 筋細胞を用いたバイオアクチュエータ
3 我々の骨格筋細胞を用いたバイオアクチュエータ
4 組織学および分子生物学的評価
5 収縮力
6 バイオアクチュエータによる物体の駆動
7 おわりに
第31章 ATP駆動型ソフトバイオマシンの創製
1 はじめに
2 分子モーターの受動的自己組織化
3 分子モーターの能動的自己組織化
4 自己組織化の時空間制御
5 分子モーター集合体における自発的秩序構造形成
6 おわりに
第32章 バイオアクチュエータとしての細胞骨格トレッドミルマシン
1 はじめに
2 トレッドミルとは?
3 トレッドミルマシン研究の現状
4 細胞骨格タンパク質で創る超高分子階層性ゲルとトレッドミルアクチュエータの可能性
5 おわりに