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  • シーエムシー出版
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  • 2023/05/12

月刊バイオインダストリー 2023年5月号(電子版)

シーエムシー出版

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<著者一覧>


米代武司 東京大学;東北大学
斉藤昌之 北海道大学
浜岡隆文 東京医科大学
田中璃己 福岡大学
片岡直也 名古屋大学
保坂佳代子 カロリンスカ研究所
関 隆弘 カロリンスカ研究所;鹿児島大学
高橋春弥 京都大学
後藤 剛 京都大学
高橋宙大 東北大学
伊藤 亮 東北大学
松村欣宏 東北大学
稲垣 毅 群馬大学
酒井寿郎 東北大学;東京大学
小栗靖生 京都大学
池田賢司 東京医科歯科大学



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【特集】褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の多様な役割と制御機構

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特集にあたって
Introduction

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ヒト褐色脂肪組織の変動要因と肥満・メタボリックシンドローム
Regulation of Brown Adipose Tissue in Humans:Implication in Obesity and Metabolic Syndrome

 成人の褐色脂肪組織を陽電子放射断層撮影法により評価できるようになってから,ヒトでもこの熱産生組織が栄養素・エネルギー代謝を調節しており,その機能低下が肥満やメタボリックシンドロームの一因になることが明らかになってきた。ヒト褐色脂肪の活性と量は,年齢や性別,気温など様々な内的および外的要因によって影響を受け,個人差も大きいが,そのメカニズムについては未解明な点が多い。本稿ではこれらの現状について紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 褐色脂肪による非震え熱産生
3 褐色脂肪によるエネルギー消費と肥満
4 褐色脂肪の全身作用とメタボリックシンドローム
5 褐色脂肪の日内・年内変動と加齢に伴う減少
6 褐色脂肪に影響する遺伝要因
7 褐色脂肪に影響する生活環境要因
8 おわりに

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運動トレーニングが褐色脂肪様組織に与える影響
The Effect of Exercise Training on Brown-like Adipose Tissue

 著しい科学技術の進歩と社会情勢の変化に伴いオンライン環境が定着し,「身体を動かさない生活」に拍車がかかっている。近年,褐色脂肪様組織の多い人は,適応的なエネルギー消費が高く,肥満をはじめ生活習慣病の発症リスクが低いことが報告されており,運動療法と共に抗肥満戦略の一つになることが期待されている。本稿では運動および寒冷と褐色脂肪様組織との関連についての知見を紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 運動と褐色脂肪様組織
3 運動トレーニングと褐色脂肪様組織(縦断研究)
4 おわりに

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心理的ストレス性褐色脂肪熱発生の中枢回路機構
Central Circuit Mechanisms of BAT Thermogenesis to Psychological Stress

 人間関係などの心理ストレスは交感神経系を活性化し,「戦うか逃げるか」の状況下において,褐色脂肪熱産生や体温上昇を引き起こし,生命の危機的状況を有利に切り抜けることを可能にすると考えられる。本稿では心理ストレス性褐色脂肪熱産生を制御する中枢神経回路メカニズムを紹介する。

【目次】
1 ストレスとは何か?
2 ストレスによって起こる身体反応
3 体温調節に関わる褐色脂肪組織
4 褐色脂肪熱再生の制御は脳で行われる
5 心理ストレスは心因性発熱の原因となる
6 心理ストレスは延髄縫線核(rMR)の交感神経プレモーターニューロンを活性化する
7 DMH→rMR神経路の活性化は褐色脂肪熱産生を惹起する
8 腹側前頭前皮質の神経細胞群はストレス性褐色脂肪熱産生を惹起する
9 DP/DTT→DMH神経路の活性化はストレス性交感神経反応を惹起する
10 心理ストレスによる恒常的な交感神経活性化は様々な疾患を引き起こす

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がんにおける脂肪組織活性化の意義
Impact of Adipose Tissue Activation on Cancer

 脂肪組織の“活性化”とがんに関連する研究の進展は近年めざましい。がん悪液質では,がんが引きおこす白色脂肪組織の活性化がその褐色化をもたらし,亢進したエネルギー消費による脂肪の萎縮が進む。また寒冷刺激などによる褐色脂肪組織の活性化はグルコースの需要を脂肪組織で増加させ解糖優位ながんとの間でその競合を誘発し,結果として抗がん効果を引きおこす。

【目次】
1 はじめに
2 白色脂肪組織の褐色化とがん悪体液
2.1 白色脂肪組織の褐色化はがん悪液質の一病態
2.2 がん由来物質による白色脂肪組織の褐色化の促進
2.3 抗褐色化とがん悪液質改善
2.4 がん悪液質患者における脂肪の褐色化
2.5 まとめと課題
3 寒冷刺激による抗がん効果
3.1 寒冷刺激によるがん増殖の抑制
3.2 活性化褐色脂肪組織依存性のがん増殖の抑制
3.3 グルコースの競合によるがん増殖の抑制
3.4 がんにおける代謝の再プログラミング
3.5 がん患者における褐色脂肪組織の活性化
3.6 まとめと課題

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褐色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞の機能を制御する代謝経路
Metabolic Pathway Regulating the Function of Brown/Beige Adipocytes.

 白色脂肪細胞の褐色化は,肥満を基盤とする様々な病気の予防・改善につながる重要かつ有用な生体現象として認識される一方,その複雑な制御メカニズムについては不明確な点が多く残されている。我々は,低分子代謝物を悉皆的に解析することが可能なメタボローム解析技術を用いて,白色脂肪細胞の褐色化に関与する代謝経路の特定を行った。

【目次】
1 はじめに
2 脂肪組織の褐色化を制御する代謝経路の探索
2.1 脂肪細胞の褐色化亢進時のマウス生体内代謝変動解析
2.2 IMPDH制御による白色脂肪組織の褐色化機能解析
3 おわりに

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環境変化に伴うエピゲノム変化を介した脂肪細胞の運命決定機構
Mechanisms of Adipocyte Fate Determination Through Epigenetic Changes in Response to Environmental Fluctuations.

 生活習慣の欧米化にともない肥満・2 型糖尿病などの生活習慣病が蔓延しており,その予防・治療法の開発が喫緊の課題となっている。ヒトを含む恒温動物において,褐色およびベージュ脂肪細胞は活発にエネルギー消費し熱を産生することから,肥満症の新規治療・予防戦略のための創薬標的として注目されている。褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の2 種類の細胞は,熱産生能を有する点は共通しているものの,細胞の起源や機能制御機構は異なっている。急性の寒冷環境下では,褐色脂肪細胞が迅速に熱産生遺伝子を誘導し,熱産生機能を担うのに対し,慢性的な寒冷環境では皮下の白色脂肪組織(WAT)に,褐色脂肪細胞によく似たベージュ脂肪細胞が誘導され熱産生機能を増強し,寒冷環境に適応する。これらの熱産生脂肪細胞は活発にブドウ糖や脂肪を消費することから,これらの脂肪細胞を効率的に活性化・誘導することは肥満や代謝性疾患の予防・治療に役立つと期待されている。寒冷刺激による褐色・ベージュ脂肪細胞の熱産生機能の増強には,交感神経の活性化とβアドレナリン受容体を介した情報伝達と遺伝子発現調節が鍵になる。我々はこれまでの研究により,この活性化に不可欠なシグナル感知型エピゲノム酵素JMJD1A を同定し,その制御機構を解明してきた。本稿では,褐色・ベージュ脂肪細胞におけるエピゲノム機構について我々の最新知見を含めて概説する。

【目次】
1 褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞
2 エピゲノムによる遺伝子発現制御
3 体重とエネルギー代謝を制御するシグナル感知エピゲノム因子JMJD1A
4 JMJD1Aはシグナル感知タンパク質として環境ストレスへの急性応答を担う
5 ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aを介したベージュ化機構
6 リン酸化JMJD1Aの脱リン酸化酵素MYPT1-PP1βの同定-新規ベージュ脂肪細胞化制御因子の発見
6.1 YAP/TAZ転写共役因子
6.2 寒冷環境下でエピゲノムと転写カスケードを統合するMYPT1
6.3 PKAはMYPT1-PP1βに抑制的リン酸化を付加し,脱リン酸化活性を阻害する
6.4 脂肪細胞特異的なMYPT1欠損マウス
7 最後に

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ベージュ脂肪前駆細胞の制御機構
Regulatory Mechanisms of Beige Fat Progenitor Cells

 著者らは,一細胞RNA sequencing(RNA-seq)解析を用いることでベージュ脂肪細胞の前駆細胞を標識する新規分子マーカーを同定した。これにより,ベージュ脂肪前駆細胞の単離・解析が可能となり,同細胞の制御機構の一端を明らかにした。本稿では,著者らの研究成果を中心に最新の知見を概説する。

【目次】
1 はじめに
2 ベージュ脂肪細胞の役割と起源
3 一細胞解析を用いたベージュ脂肪前駆細胞の探索
4 CD81+前駆細胞の制御機構の解析
5 生体の恒常性維持におけるCD81の役割
6 ヒトにおけるCD81+前駆細胞の役割
7 おわりに

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熱産生脂肪細胞と老化の影響
Thermognic Fat in Aging

 熱産生脂肪細胞は熱産生を増加させ,全身の代謝を制御する脂肪細胞であることがこれまでの研究で明らかになっている。老化に伴い熱産生脂肪細胞が減少し,その誘導低下が全身の代謝疾患の発症率増加との関連が考えられている。最近の研究では,老化によって熱産生脂肪の細胞誘導,熱産生機能が障害される分子機構も徐々に明らかになりつつある。本稿では,熱産生脂肪細胞と老化の影響に関する概説と,最近我々が熱産生脂肪細胞の老化メカニズムとして報告したBola3 というミトコンドリアのリポイル化制御分子について解説し,治療開発への期待を考えたい。
 これまでの研究により褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の2 種類の熱産生脂肪細胞が,ヒトを含めた哺乳類に存在することが明らかとなっている。ベージュ脂肪細胞は寒冷刺激などの環境要因によって白色脂肪組織中に誘導される特徴を有している。現在, 褐色脂肪細胞/ ベージュ脂肪細胞はエネルギー消費を増加させる抗肥満治療の可能性に期待が集まっている。

【目次】
1 熱産生脂肪細胞
2 熱産生脂肪細胞の分化制御機構
3 熱産生脂肪細胞の維持機構
4 熱産生脂肪細胞の生理的機能
5 新規同定されたベージュ脂肪細胞のサブタイプ
6 熱産生機構について
7 熱産生脂肪細胞と老化
8 抗加齢治療の可能性について
9 老化ミトコンドリアの制御分子Bola3

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アクリルアミド(Acrylamide)

N-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)

ビタミンB3(ナイアシン) (Vitamine B3)