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月刊バイオインダストリー 2022年5月号
¥2,200
<span style="color: red; font-size: 1.5em"><b>月刊バイオインダストリー5月号についてのお知らせ</b></span> <div>月刊バイオインダストリー5月号 P.52の図5を重複して</div> <div>掲載する誤植がございましたが、現在は修正済みです。</div> <div> </div> <div>修正前のデータをダウンロードしている方はお手数ではございますが</div> <div>再度、修正後のデータをダウンロードしてください。</div>
<著者一覧>
木曽良明 長浜バイオ大学
向井秀仁 長浜バイオ大学大学院
野村 渉 広島大学
玉村啓和 東京医科歯科大学
後藤佑樹 東京大学
道上雅孝 大阪公立大学
藤井郁雄 大阪公立大学
西澤直城 日産化学㈱
吉矢 拓 ㈱ペプチド研究所
相馬洋平 和歌山県立医科大学
小早川拓也 東京医科歯科大学
辻 耕平 東京医科歯科大学
黒原 祟 国立医薬品食品衛生研究所
三澤隆史 国立医薬品食品衛生研究所
出水庸介 国立医薬品食品衛生研究所
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【特集】ペプチド医薬の最新動向 ~広い観点からのペプチド創薬科学~
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特集にあたって
Introduction
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一群の自然免疫イニシエーションファクター,マイトクリプタイド
-効率的中和抗体獲得法の開発と炎症性疾患治療を目指したアプローチ-
Mitocryptides as a Novel Family of Innitiation Factors for Innate Immne Responses
マイトクリプタイドは,我々が世界に先駆けて発見した,好中球に対して高い誘引・活性化能を示す一群の新規生理活性ペプチドである。マイトクリプタイドは,ミトコンドリアタンパク質からプロテアーゼにより切断されることにより産生されるが,最近,それらが虚血や怪我,火傷などにより誘導される,非感染性の組織・臓器傷害ばかりでなく,微生物やウイルス感染を含む,広範な自然免疫応答をイニシエートする因子群である可能性が明らかになりつつある。
本稿では,解明されつつあるそれらマイトクリプタイドの生理的・病態生理学的機能について,それらの解明に向けた研究の経緯,特にマイトクリプタイドの生体機能解析において重要なツールである中和抗体の効率的取得法の開発を含めた研究を概説するとともに,それらをターゲットとした様々な炎症性疾患に対する創造的治療法の開発ならびに治療薬の創製について議論する。
【目次】
1 はじめに
2 クリプタイドおよびマイトクリプタイドとは
3 マイトクリプタイドの網羅的同定
4 マイトクリプタイド:自然免疫応答イニシエーションファクターとしての可能性
5 マイトクリプタイド:特異的中和抗体を用いた生理的・病態的存在意義の解明
6 おわりに
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HIV-1 阻害剤・腫瘍認識プローブとしてのケモカイン受容体リガンド
Chemokine Receptor Ligands as HIV-1 Inhibitors and Tumor Detection Probe
ケモカイン受容体CXCR4 はHIV-1 感染,がん転移,関節リウマチなどに関与しており,多様な創薬標的として注目されている。著者らはこれまでにペプチド性,非ペプチド性のCXCR4 アンタゴニストを創製してきた。また,CXCR4 の細胞膜上での多量体状態の解析のために多価型リガンドプローブ,CXCR4 リガンドのスクリーニング手法の開発などにも取り組んできた。本稿では一連の研究成果を概説する。
【目次】
1 はじめに
2 天然由来ペプチドを基にしたペプチド性CXCR4リガンドの開発
3 ポリプロリンリンカーを利用した二価型リガンドの開発
4 三価型リガンドによるCXCR4多量体化状態の検討
5 二価型リガンドによる抗細胞遊走効果
6 NanoBRETを利用したホモジニアスアッセイによるCXCR4結合評価法
7 おわりに
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改変翻訳系と翻訳後骨格変換による擬天然ペプチドの合成
In vitro Synthesis of Pseudo-natural Peptides by the Combination of Engineered Translation and Posttranslational Modification Strategies
我々は,望みの生物活性を発揮する擬天然ペプチドを開発し,創薬戦略に応用展開することを念頭に,試験管内翻訳系の改変を精力的に行ってきた。近年では,様々な翻訳後骨格変換反応と組み合わせることで,本来は翻訳反応で合成し得ない多種多様な非タンパク質性骨格を構築できることも実証している。本稿では,これら擬天然ペプチドの試験管内生産技術について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 遺伝暗号リプログラミングによる非タンパク質性残基の直接導入
3 翻訳後化学修飾による骨格変換
4 翻訳後酵素修飾による骨格変換
5 おわりに
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ポスト抗体医薬:進化分子工学によるVEGF 標的
ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)ペプチドの創出
Post-Antibody Drugs:Directed Evolution Generates VEGF-Targeting Helix-Loop-Helix Peptides
近年,ポスト抗体医薬として分子標的ペプチドが注目されている。筆者らは,新しい創薬モダリティーとしてde novo 設計したヘリックス・ループ・ヘリックス構造を有する分子標的ペプチド(約4 kDa)の開発を進めている。本稿では,血管内皮増殖因子A(VEGF)に対する分子標的ペプチドの創出およびその生物活性について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 抗体のダウンサイジング
3 立体構造規制HLHペプチドライブラリー
4 ファージ表層提示HLHペプチドライブラリーのスクリーニング
5 標的タンパク質:血管内皮増殖因子A(VEGF)
6 VEGF阻害HLHペプチドのスクリーニングと機能評価
7 VEGF非阻害HLHペプチドのスクリーニングと機能評価
8 終わりに
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新規収束型液相合成法SYNCSOLを用いたN-メチルアミノ酸含有環状ペプチドの合成
Synthesis of N-Methylamino Acid Containing Cyclic Peptide with SYNCSOL, a Novel Convergent Liquid Phase Synthesis platform.
ペプチド鎖を短いフラグメントに分割して合成し,結合することで全長ペプチドを構築する,収束型液相合成法は短~中鎖ペプチド製造に適した方法である。本稿では我々が開発した新規縮合法R-Couplingとシリル型保護基SIPSからなる新規ペプチド製造プラットホームSYNCSOLを用いた,N-メチルアミノ酸含有環状ペプチドの収束型液相合成法による製造例について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 新規アミノ酸縮合法R-Coupling
3 新規シリルエステル型カルボン酸保護基(SIPS)
4 SYNCSOLによる環状ペプチドの製造研究
5 まとめ
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ペプチド合成の現状と創薬への展望
Progress of Peptide Synthesis and its Application to Medicinal Research
ペプチド合成法の発展について紹介した後,化学合成の力を活かしたペプチド医薬品をいくつか紹介し,ペプチド性医薬品へのペプチド合成化学の貢献について概説する。
【目次】
1 ペプチドの合成
2 D体含有ペプチドの応用
3 ジスルフィド結合含有ペプチド
4 修飾ペプチド
5 展望
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アミロイドペプチドを光酸素化する化学触媒の開発と神経変性疾患治療への展開
Chemical Catalysts for Photooxygenation of Amyloid Peptides and Application for Treatment of Neurodegenerative Diseases
アゾベンゼンホウ素錯体(AZB)を母骨格とした化学触媒は,アミロイドに特有のクロスβシート構造に結合することによって活性化され,アミロイドを選択的に酸素化した。さらに,本触媒は,血液脳関門を通過できるため,末梢からの触媒投与と対外からの光照射という非侵襲的な処置によってマウス脳内のAβアミロイドを酸素化することができ,Aβの除去を促進することができた。
【目次】
1 はじめに
2 アミロイドを選択的に光酸素化する化学触媒
3 非侵襲的なマウス脳内での光酸素化反応
4 おわりに
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ペプチドミメティックを活用した中分子型創薬リードの創製
Development of Mid-size Drug Leads Using Peptidomimetics
高分子と低分子の中間に位置する中分子化合物が新しい創薬モダリティとして注目されている。この中分子に属するペプチドは魅力的な分子群である。我々はこのペプチドの欠点を補うべく,模倣体としてのペプチドミメティックの開発を行ってきた。そのひとつであるクロロアルケン型ペプチド結合等価体(CADI)の創出と応用について,最近新たに“収束的”にCADI 骨格を構築できる合成法も確立したので,併せて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ペプチドミメティック
3 クロロアルケン型ジペプチドイソスター(CADI)
3.1 CADIのデザイン
3.2 クロロアルケンの骨格構築
3.3 CADIの立体選択的合成
3.4 CADIの生理活性ペプチドへの応用
4 まとめと展望
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二次構造制御を基軸としたペプチド創薬研究
Peptide Foldamers in Drug Discovery
中分子ペプチドは,低分子と高分子双方の利点を活かすことができる創薬モダリティである。我々は,ペプチド二次構造制御を基軸とした創薬研究を行なってきた。本稿では,非天然型アミノ酸の合成と含有ペプチドの二次構造解析,PPI 阻害ペプチドの開発,抗菌ペプチドおよび細胞膜透過ペプチドの開発について,紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ヘリカル構造を制御できる非天然型アミノ酸の開発と含有ペプチドの二次構造
3 ヘリカル構造制御に基づく抗菌ペプチドの開発
4 ヘリカルテンプレートを利用したDDSキャリアペプチドの開発
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月刊バイオインダストリー 2022年4月号
¥2,200
<著者一覧>
吉見孔孝 ㈱ジェイテクト
山本圭治郎 ㈱パワーアシスト研究所
山田泰之 法政大学; ㈱ソラリス
八木栄一 和歌山大学ベンチャー パワーアシストインターナショナル㈱
中里裕一 日本工学大学
清水洋和 日本工学大学
滝田謙介 日本工学大学
樋口 勝 日本工学大学
林 正弘 QVIジャパン㈱
高瀬 鍛 日本工学大学
宮嵜哲郎 東京大学
曽我部舞奈 東京大学
川嶋健嗣 東京大学
川瀬利弘 東京電機大学
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【特集】パワーアシストスーツ
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作業負荷軽減を目的としたアクティブ型電動パワーアシストスーツの開発
Development of The Active Type Electric Power Assist Suit for Work Load Reduction
現在,少子高齢化に伴う労働人口減少が社会的課題である。また,作業者が腰痛リスクを抱えたまま作業に従事している実態があり,長期的には作業効率低下への影響が示唆されている。
当社では,作業者の用途に合わせ,作業を制約せず腰への負荷を軽減したアクティブ型電動パワーアシストスーツを開発し,その負荷軽減効果と作業効率の向上性を確認した。
【目次】
1 はじめに
2 パワーアシストスーツの分類
3 荷役・掘削作業向けパワーアシストスーツ(J-PAS LUMBUS)
3.1 特長と利点
3.2 基本構成と構造
3.3 作動原理
3.4 安全設計
3.5 効果検証
4 介護・介助作業向けパワーアシストスーツ(J-PAS fleairy)
4.1 特長と利点
4.2 基本構成と構造
4.3 作動原理
4.4 安全設計
4.5 効果検証
5 おわりに
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ベローズを利用したアクチュエータによるパワーアシストスーツの開発
Development of Power Assist Suit Employing Bellows Actuators
介護者用ウェアラブルパワーアシストスーツの実現を目指し,新たに腰関節おび股関節の伸展力をアシストする為のベローズ式ロータリーアクチュエータ,及び,脚を伸展させ臀部を押し上げる為のベローズ内蔵式エアシリンダアクチュエータを開発し,これらを利用した新方式のパワーアシストスーツを開発したので紹介する。
【目次】
1 緒言
2 ベローズアクチュエータによるパワーアシストスーツ
3 着用者の骨盤とスーツの腰ベルトとの固定
4 腰,股関節用ベローズロータリーアクチュエータ
5 ベローズ内臓エアシリンダアクチュエータ
6 膝関節の補助力増強
7 動作実験
8 結言
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必要最小限のアシスト力を多くの人に提供する:上向き作業補助装置TasKi の開発
Development of Overhead Work Assist Device TasKi:The Assistive Device with Minimum Necessary Assistive Force
上向き作業時アシスト装置TasKi は,“必要最小限のアシスト力を多くの人(リーズナブル)に提供する。”をコンセプトに,バッテリやモータを用いず,ばねを用いた機械式自重補償機構でアシスト力を発生する。その概要と特徴を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 バッテリの必要ない上向き作業アシスト装置TasKi
2.1 機械式自重補償装置による腕補助
2.2 圧縮ばねを用いた機械式自重補償機構
3 TasKiの自重補償力の設定
3.1 各被験者の上腕自重の確認
3.2 補助度合いの調査
3.3 上腕補助の筋電位計測による評価
4 結言
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農業向けパワーアシストスーツの実用化と展開
Development and Realization of the Power-Assisted Suit for Agriculture
日本の農業は後継者不足から高齢化が急速に進でいる。農業従事者は収穫物などの重い荷物を持ち上げて運搬することが多く,また露地栽培では長時間中腰作業が続くことにより,腰痛を患っている方が多い。このような状況のもとロボット技術を活用してスマート農業を実現する取り組みが進んでいる。今回スマート農業の一例として,全自動化する機械を用いることが難しい農作業に対して,装着して力を支援するロボットであるパワーアシストスーツを開発し,農作業を軽労化することによる生産性の向上について紹介する。今回農業分野での実用化とともに,建設・物流・工場内運搬・介護など他分野への展開についても報告する。
【目次】
1 はじめに
2 開発の経緯
3 開発したモーター式パワーアシストスーツ
4 モーター式パワーアシストスーツの効果検証
5 農業分野以外へのパワーアシストスーツの展開
6 モーター式パワーアシストスーツの普及活動
7 おわりに
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蛇腹を用いた水圧式リハビリテーション機器
Hydraulic Rehabilitation Equipment Using Bellows
手指を対象としたリハビリテーション装置を開発している。装置には小型・軽量かつ柔軟で,低騒音であることが求められることから,水圧駆動の蛇腹構造アクチュエータを採用した。本論文では提案したリハビリ装置を設計・製作し,試作機を用いて動作実験をおこない提案した機構の有効性を明らかとしたので報告する。
【目次】
1 はじめに
2 脳卒中患者に対するリハビリテーション
2.1 脳卒中の種類と後遺症
2.2 脳卒中患者のリハビリの現状
2.3 脳卒中患者のリハビリの方法
2.4 脳卒中患者のリハビリ装置の現状
3 開発コンセプトと目標可動範囲
4 蛇腹構造水圧駆動アクチュエータの提案
5 リハビリ装置の試作
6 動作実験
7 リハビリ実験
8 おわりに
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二関節筋構造を用いたパワーアシストスーツ
Power Assist Suit Using Bi-articular Muscle Structure
二関節筋構造をロボット機構に採用する場合,高い応答性だけでなく,発生力や動特性の等方性を容易に実現できる。本研究では軽量かつ安全な歩行補助を目的とした二関節筋構造を有するパワーアシストスーツを提案し,試作機によりその力学特性及び動力学特性における二関節筋構造の有効性を明らかとしたので報告する。
【目次】
1 はじめに
2 一関節筋と二関節筋について
3 装置の仕様
4 実験結果・考察
4.1 足先に発生する力の測定
4.2 応答性実験
5 おわりに
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人にやさしい空気圧駆動式パワーアシストスーツ
Pneumatic Driven Type Power Assist Suit with High Usability and Safeness
様々な場面で人の身体負荷を軽減することを目的として,多様なパワーアシストスーツが開発されている。その中で,著者らの研究グループでは,装着者の観点からユーザビリティを高めつつ安全安心に使用可能な空気圧駆動式パワーアシストスーツの開発を継続して行っている。本稿ではこれまでに得られた研究成果を説明する。
1 はじめに
2 空気圧駆動式パワーアシストスーツ
2.1 機構の設計
2.2 PAMの内圧変化を用いたアシストタイミングの検知
2.3 アシストスーツの性能検証実験
3 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2022年3月号
¥2,200
<著者一覧>
黒田章夫 広島大学
堀 克敏 名古屋大学
内田和希 九州大学
神谷典穂 九州大学
梅津光央 東北大学
中澤 光 東北大学
二井手哲平 大阪大学
大河内美奈 東京工業大学
隅田泰生 鹿児島大学
新地浩之 鹿児島大学
吉野知子 東京農工大学
鈴木智加良 東京農工大学
川久保雅友 信州大学
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【特集】固相へのバイオ分子の配向とその利用
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特集にあたって
Introduction
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鉱物にアフィニティーのあるタンパク質の利用
Application of Mineral-binding Proteins
特定の鉱物にアフィニティーのあるタンパク質を利用して鉱物を検査しようという試みは,現在のX 線を用いた分析法では判定が難しいものでも判定できる場合があることから,「環境検査」「医療診断」「鉱物学」の分野で将来有用な技術になると考えている。著者は,「固相へのバイオ分子の配向とその利用」から始まった「結晶のバイオセンシング」を一般化したいと考えている。
【目次】
1 はじめに:「固相へのバイオ分子の配向とその利用」から「結晶のバイオセンシング」へ
2 アスベストをバイオで検査するという試み
2.1 アスベスト結合タンパク質を使ったアスベスト検査
2.2 鉱物資源を安全に利用するための簡便なアスベスト検査
3 結晶のバイオセンシングへの展開
3.1 DksAの分子認識メカニズム
3.2 様々な結晶を特異的に認識する人工タンパク質を創成する技術
4 おわりに
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細菌接着タンパク質と微生物固定化への利用
Bacterial Adhesive Protein and Its Application to Microbial Immobilization
筆者らは,様々な材料表面に接着する細菌の細胞表層タンパク質AtaA を発見し,その性質,構造,接着機構の解明を進めてきた。さらに,AtaA を利用した画期的な微生物固定化法の開発と固定化微生物による革新的微生物プロセスの構築を手掛けてきた。本稿では,従来の微生物固定化法の概説後,AtaA について研究の進展について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 従来の微生物細胞固定化法
3 微生物接着タンパク質AtaA
4 微生物固定化技術への応用
5 将来展望
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脂質二分子膜へのタンパク質のアンカリング技術
Anchoring Proteins on Lipid-bilayer Membranes
細胞は脂質分子により構成される二重膜構造で区画化され,膜に局在するタンパク質を介した情報伝達やエネルギー変換を通して生命活動を営んでいる。本稿では,脂質分子の導入によるタンパク質への疎水性の付与と,人工脂質修飾タンパク質の合成二分子膜ならびに細胞膜表層へのアンカリング技術と応用例を紹介する。
【目次】
1 生体内におけるタンパク質の脂質修飾
2 合成脂質二分子膜へのタンパク質のアンカリング
3 細胞膜表層へのタンパク質のアンカリング
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材料表面を認識するペプチド・タンパク質から発想するハイブリッドナノアセンブリ
Hybrid Nanoassembly via Material-binding Peptides and Proteins
試験管の中で進化を模倣した進化分子工学は,分子集合体や無機材料表面などの非分子系材料をも分子認識対象とし材料表面に親和性のあるペプチド・タンパク質を創りだすことができる。本稿では,それらバイオ分子が様々な材料に対してハイブリッドな階層的複合構造を形成できるインターフェイス分子として利用できることを紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 材料結合性ペプチド
3 材料結合性抗体
4 天然に存在する材料結合性ドメイン:セルロース結合ドメイン
5 おわりに
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ナノデバイスへのペプチドの固定と利用
Peptide Functionalization and Utilization in Nanodevices
近年,ナノ粒子,ナノワイヤ,ナノシートなど比界面積の大きいナノ構造体を活用したバイオデバイスの開発が進んでいる。ペプチドは化学合成や化学修飾が容易であり,特定の材料表面への修飾や自己組織化が可能である他,構成されるアミノ酸の特性によりターゲットに対して優れた親和性を発揮する。本稿では,ペプチドを利用した分子認識界面の構築によるナノデバイスの開発について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 ペプチド修飾ナノワーヤデバイスによるエクソソーム回収
3 有害・危険物を迅速にセンシングする分子認識ペプチドプローブの開発
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糖鎖のナノ粒子への固定化と医薬・検査薬への応用
Immobilization of Sugar Chain onto Gold Nanoparticle and Medical / Diagnostic Application
糖鎖を金属へ効率よく固定化するオリジナルな方法を確立し,それを応用したナノ粒子のウイルス検査法,および免疫増強剤の開発研究について説明する。
【目次】
1 はじめに
2 糖鎖固定化ナノ粒子を用いたウイルス検査法の開発
2.1 ウイルス検査の重要性について
2.2 インフルエンザウイルスの実験
2.3 デング熱ウイルス
3 アジュバント(免疫増強剤)としてのToll様受容体7(TLR7)リガンド・糖鎖共固定化金ナノ粒子の開発
3.1 アジュバントとしてのTLRリガンド
3.2 1V209・糖鎖共固定化金ナノ粒子(1V209-SGNPs)の調製
3.3 1V209-SGNPsの免疫増強活性
4 おわりに
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単一細胞アレイ化技術と希少細胞解析への応用
Single-cell Array and Its Application to Rare Cell Analysis
生体内には疾病に関わる様々な希少細胞が存在しており,この様な希少細胞の解析により診断・治療や発症メカニズム解明が期待される。一方でこの様な希少細胞の解析には技術的な課題が多く残されており,十分なオミクス情報の取得には至っていない。本総説では希少細胞の解析に向けて,近年開発されている単一細胞アレイ化技術と希少細胞解析への応用に関して概説する。
【目次】
1 はじめに
2 希少細胞の種類と重要性
3 単一細胞アレイ化技術
3.1 ドロップレット
3.2 マイクロウェル
3.3 誘電泳動
3.4 マイクロフィルター
4 Microcavity array(MCA)の開発と希少細胞解析への応用
5 おわりに
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BIO REVIEW
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薬剤耐性ピロリ菌に除菌効果を有するコレステロール類似物質
Cholesterol Analogue Available for Antimicrobial Resistant Helicobacter Pylori
コレステリル-α-D-グルコピラノシド(CGL)は,ピロリ菌の細胞壁構成成分である。我々は,コレステロール類似物質であるコレステノンが,CGL生合成を阻害することでピロリ菌に抗菌活性を示すことを明らかにした。また抗菌作用はクラリスロマイシン耐性を有するピロリ菌にも有効であった。さらにコレステノンは,ピロリ菌感染マウスに投与し単剤で除菌することができた。
【目次】
1 ピロリ菌とは
2 ピロリ菌除菌治療の方法およびその効果と問題点
3 ピロリ菌がもつ特徴的な糖脂質
4 ピロリ菌に対するコレステノンの効果
5 抗生物質とコレステノンの相違
6 今後の展望
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月刊バイオインダストリー 2022年2月号
¥2,200
<著者一覧>
尾関健二 金沢工業大学
山田浩之 大関㈱
大浦友紀 大関㈱
幸田明生 大関㈱
渡辺敏郎 園田学園女子大学
北垣浩志 佐賀大学
西浦英樹 日本コルマー㈱
竹内愛子 九州大学
小山 遼 九州大学
善藤威史 九州大学
竹本拓矢 三省製薬㈱
外薗英樹 三和酒類㈱
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【特集】発酵美容成分の開発
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特集にあたって
Introduction
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日本酒成分α-EG の塗布による皮膚真皮層のコラーゲンスコアへの影響
Effect of Application of Sake Ingredient α-EG on Collagen Score of Skin Dermal Layer
日本酒の主要成分であるα-EG は真皮層の線維芽細胞を活性化しコラーゲン生産に大きく影響した。この現象は細胞実験だけでなく塗布試験でも証明でき,学生以上にコラーゲンが減少している年配層が効果的であることが分かった。さらに浸透剤とα-EG 濃度を組合せることよりコラーゲンを充実できる化粧料が開発できる。
1 はじめに
2 α-EGのヒト成人線維芽細胞に与える影響
3 α-EGのヒト塗布試験によるコラーゲンスコアに与える影響
3.1 ハンドクリームの塗布試験
3.2 乳液の塗布試験
4 おわりに
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日本酒と発酵の技術を活かした天然素材『J-プレミアエキス31』について
Natural Material “J-Premier Extract 31”Utilizing Sake and Fermentation Technology
古くから美肌効果が伝承されている日本酒。その美肌効果の主要成分として着目されているのが,エチル-α-D-グルコシド(α-EG)である。本稿ではα-EG の機能性について紹介し,さらに,α-EG を高含有するコメ発酵液と,アミノ酸を高含有する酒粕エキスの2 種類の素材をブレンドした天然素材『J-プレミアエキス31』の機能性について紹介する。
1 はじめに
2 α-EGについて
2.1 α-EGが線維芽細胞の生育に与える影響
2.2 RT-qPCRを用いたα-EGの遺伝子発現に対する効果の検証
2.3 α-EGがNHDFのコラーゲン産生に与える効果
3 コメ発酵液と酒粕エキスをブレンドしたJP31について
3.1 JP31の組成とNHDFの遺伝子発現およびコラーゲン・ヒアルロン酸産生に与える影響
3.2 JP31のヒト塗布試験による肌に与える影響
4 おわりに
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酒粕の機能性
Sake Lees as a Functional Material
酒粕は清酒製造の過程でもろみを圧搾した後に得られる搾り粕である。酒粕は,米由来の成分と麹菌や酵母の菌体成分,またこれらの菌が生産した代謝産物等が含まれており,栄養価も高く健康に良い食品素材として利用され,甘酒,粕漬け,粕汁等に用いられている。近年,酒粕は栄養のみならず機能性素材としても注目されている。ここでは,酒粕の機能性について,特に発酵酒粕素材とレジスタントプロテインを中心に解説する。
【目次】
1 レジスタントプロテイン
2 レジスタントプロテインを高含有させた酒粕素材
3 酒粕の油吸着効果
4 脂質代謝改善効果
5 コレステロール胆石形成抑制効果
6 内臓脂肪蓄積抑制効果
7 腸内環境改善効果
8 酒粕摂取による健康効果
9 酒粕甘酒が体温に及ぼす影響
10 酒粕の老化抑制および脳機能活性化
11 おわりに
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麹及びそれに含まれるグリコシルセラミドの皮膚への機能
The Function of Koji and Koji-realted Glycosylceramide on the Skin
麹はこれまで化粧品や保湿剤として経験的に使われてきたが,そのメカニズムは必ずしも明らかではなかった。そこで麹に含まれるグリコシルセラミドの培養ヒト皮膚細胞への影響を調べたところ,皮膚のバリア機能や脂質の輸送に関わる遺伝子の発現が増加していた。麹を皮膚の常在菌であるStaphylococcus epidermidis に加えたところ,乳酸の産生を促していた。これらの効果により,麹は皮膚に良い影響を与えていると考えられた。
【目次】
1 皮膚の構造について
2 スフィンゴ脂質について
3 アトピー性皮膚炎とスフィンゴ脂質について
4 麹のスフィンゴ脂質について
5 麹のスフィンゴ脂質の肌細胞への効果について
6 麹の皮膚常在菌の代謝への作用
7 おわりに
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分裂酵母エキス「AQUALIZERⅡ」の保湿効果とスキンケアへの応用
The Cosmetic Effect of AQUALIZERⅡ
我々は,日本だけでなく,世界的にも馴染み深い発酵原料の開発を目的とし,古くからパンやビール醸造に,また,細胞分裂の研究モデル生物としても利用されているSchizosaccharomyces pombe に着目し,オリジナルの化粧品原料「AQUALIZERⅡ」を開発した。その効果について簡単に紹介する。
1 分裂酵母エキス「AQUALIZERⅡ」
2 AQUALIZERⅡのアミノ酸分析結果
3 AQUALIZERⅡの真皮由来線維芽細胞賦活効果
4 AQUALIZERⅡの表皮バリア機能強化効果
4.1 三次元皮膚モデルLabCyte EPI-MODEL(6-day cultured model)を用いたセラミド産生促進効果
4.2 AQUALIZERⅡの角層形成への影響
4.3 AQUALIZERⅡの経表皮水分喪失量(TEWL)への影響
5 アトピー性皮膚炎の患者への利用の可能性
6 おわりに
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乳酸菌およびその類縁菌が生産するバクテリオシン
Bacteriocins Produced by Lactic Acid Bacteria and Related Bacteria
抗菌ペプチドであるバクテリオシンのうち,乳酸菌やその類縁菌が生産するものは,安全性の高い抗菌物質として食品保存をはじめとする様々な用途への利用が期待されている。これらの特性や実用化の例などについて解説するとともに,発酵美容成分としての応用に向けてバクテリオシンが秘める可能性を考察する。
1 はじめに
2 乳酸菌とその類縁菌が生産するバクテリオシン
2.1 バクテリオシンの特性
2.2 バクテリオシンの分類
2.3 バクテリオシンの生合成機構・作用機構
3 バクテリオシンの応用
3.1 乳酸菌バクテリオシンの応用
3.2 乳酸菌の類縁菌によって生産されるバクテリオシンの応用の可能性
4 バクテリオシンの強化および生産系の構築
5 おわりに
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豆乳乳酸菌発酵液のスキンケア効果
Skin Care Effect of Soymilk Lactobacillus Ferment Filtrate
長い間,日本人に親しまれてきた大豆と発酵の組み合わせに着目し,美容成分として豆乳の乳酸菌発酵液「豆乳発酵液(九州大豆)」を開発した。今回は,「豆乳発酵液(九州大豆)」のもつ幅広いスキンケア効果として,メラニン産生抑制作用,コラーゲン産生促進作用,そして近年注目されている美肌菌の増殖促進作用について紹介する。
1 はじめに
2 大豆と発酵
3 スキンケア効果のターゲット
4 豆乳発酵液(九州大豆)のスキンケア効果
4.1 メラニン産生抑制作用
4.2 コラーゲン産生促進作用
4.3 美肌菌の増殖促進作用
5 考察
6 おわりに
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γ-アミノ酪酸(GABA)
Gamma-aminobutyric acid (GABA)
GABA には様々な機能性があり,2021 年11 月現在,4700 件を超える機能性表示食品の中でも570 件以上の届出数があり,最も多く利用されている機能性関与成分である。中でも注目されている機能性が「肌の弾力維持」であり,美容訴求の新素材として期待されている。GABA のヒト経口摂取における肌への有効性とその作用機序について説明する。
1 はじめに
2 GABA 摂取が肌に与える影響(オープン試験による探索的評価)
2.1 方法
2.2 結果
3 GABA摂取が肌に与える影響(二重盲検並行群間比較試験)
3.1 方法
3.2 結果
4 作用機序
5 おわりに
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バイオマス分解酵素研究の最前線―セルラーゼ・ヘミセルラーゼを中心として―(普及版)
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2012年刊「バイオマス分解酵素研究の最前線」の普及版!バイオマス分解酵素を網羅的・体系的にまとめた貴重な一冊!バイオマス利用の低コスト化・省エネルギー化のカギとなる酵素改変・利用技術が満載!
(監修:近藤昭彦・天野良彦・田丸浩)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2012年当時のものを使用しております。br> 神田鷹久 信州大学
天野良彦 信州大学
蓮沼誠久 神戸大学
近藤昭彦 神戸大学
森川康 長岡技術科学大学
小笠原渉 長岡技術科学大学
志田洋介 長岡技術科学大学
川口剛司 大阪府立大学
荒井基夫 大阪府立大学
藤井達也 (独)産業技術総合研究所
澤山茂樹 京都大学
野功一 信州大学
小杉昭彦 (独)国際農林水産業研究センター
森隆 (独)国際農林水産業研究センター
三宅英雄 三重大学
田丸浩 三重大学
石川一彦 (独)産業技術総合研究所
金子哲 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
林清 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
小西照子 琉球大学
竹田匠 岩手生物工学研究センター
渡辺裕文 (独)農業生物資源研究所
高橋潤一 帯広畜産大学
谷村彩 京都大学
劉文 京都大学
山田京平 京都大学
豊原治彦 京都大学
井上潤一 (独)理化学研究所;シナプテック(株)
大熊盛也 (独)理化学研究所
渡辺隆司 京都大学
小林良則 (一財)バイオインダストリー協会
苅田修一 三重大学
高田理江 京都大学
五十嵐圭日子 東京大学
伏信進矢 東京大学
湯井敏文 宮崎大学
椎葉大偉 宮崎大学
堀川祥生 京都大学
杉山淳司 京都大学
田島健次 北海道大学
阪本龍司 大阪府立大学
粟冠和郎 三重大学
幸田勝典 (株)豊田中央研究所
今村千絵 (株)豊田中央研究所
池内暁紀 (株)豊田中央研究所
伊藤洋一郎 (株)豊田中央研究所
中西昭仁 京都大学
Bae Jungu 京都大学
黒田浩一 京都大学
植田充美 京都大学
梅津光央 東北大学
金渡明 東北大学
中澤光 東北大学
村島弘一郎 Meiji Seika ファルマ(株)
荒勝俊 花王(中国)研究開発中心有限公司
矢野伸一 (独)産業技術総合研究所
川出雄二郎 三重大学
杉浦純 王子製紙(株)
趙雅蘋 王子製紙(株)
水野正浩 信州大学
山田亮祐 神戸大学
林徳子 (独)森林総合研究所
朴龍洙 静岡大学
尾崎克也 花王(株)
社領正樹 ノボザイムズジャパン(株)
森茂治 天野エンザイム(株)
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<<目次>>
序章
1 セルラーゼ研究,古くから現在へ
1.1 はじめに
1.2 セルラーゼ研究の推移
1.3 セルラーゼ研究の流れの中で興味ある話題
1.3.1 Swelling factor (SF) などにみる酵素水解
1.3.2 酵素による水解曲線が寝てくる現象
1.3.3 セルロースミクロフィブリルと酵素作用
1.3.4 セルロースの酵素分解に対する研究の方向
1.4 おわりに
2 バイオマス分解酵素研究の新たな展開
2.1 はじめに―加速するバイオリファイナリー研究―
2.2 バイオリファイナリーに資するバイオマス分解酵素研究
2.3 プロセス統合化のためのバイオマス分解微生物の利用
2.4 おわりに
【第1編 多様なセルラーゼ・ヘミセルラーゼ】
第1章 糸状菌・担子菌の酵素
1 Trichoderma reesei
1.1 はじめに
1.2 T. reeseiセルラーゼの種類と機能
1.3 T. reeseiセルラーゼ遺伝子とその発現調節
1.4 バイオマス分解用高機能T. reeseiセルラーゼの創成
2 糸状菌Trichoderma reeseiにおけるセルラーゼ・へミセルラーゼ遺伝子発現機構
2.1 セルロース分解性糸状菌Trichoderma reesei
2.2 T. reeseiにおけるセルラーゼ・ヘミセルラーゼの生産機構
2.3 T. reeseiにおけるセルラーゼ・ヘミセルラーゼ遺伝子の転写調節因子
2.4 T. reeseiにおけるセルラーゼ・キシラナーゼ遺伝子の誘導発現モデル
3 Aspergillus aculeatus のセルラーゼ系
3.1 Aspergillus aculeatus のセルラーゼとその利用
3.2 Aspergillus aculeatusのセルラーゼ遺伝子
4 Acremonium cellulolyticus
4.1 はじめに
4.2 A. cellulolyticus糖化酵素による植物バイオマスの糖化特性
4.3 A. cellulolyticusのゲノム解析および遺伝子操作技術
4.4 おわりに
5 担子菌(Irpex lacteus)のセルラーゼ
5.1 バイオマス分解酵素生産菌としての魅力
5.2 CBHIタイプのセルラーゼ
5.3 CBHIIタイプのセルラーゼ
5.4 エンド型セルラーゼ
5.5 β-グルコシダーゼとセロビオース脱水素酵素
第2章 菌類の酵素
1 好熱嫌気性細菌Clostridium thermocellumが生産するセルロソーム-その特徴と高活性セルロソーム開発
1.1 はじめに
1.2 Clostridium thermocellumのセルロソームの特徴
1.3 高活性Clostridium thermocellum S14株の分離と特性
1.4 セルラーゼ酵素複合体を生産する好熱嫌気性好アルカリ性細菌の分離
1.5 おわりに
2 Clostridium属細菌(中温菌)
2.1 はじめに
2.2 セルロソーム
2.3 セルロソームとノンセルロソームの相乗効果
2.4 セルロソーム生産性中温菌Clostridium属のゲノム解析
2.5 おわりに
3 耐熱性菌―超耐熱性セルラーゼー
3.1 はじめに
3.2 超耐熱性セルラーゼ酵素の発見
3.3 超耐熱性エンド型セルラーゼの産業応用
3.4 超耐熱性セルラーゼの構造機能解析
3.5 今度の展開
4 放線菌
4.1 放線菌のセルロース分解酵素系
4.2 放線菌のヘミセルラーゼ
第3章 植物由来の細胞壁分解酵素
1 はじめに
2 植物細胞壁の構造
3 植物成長に関与する細胞壁分解酵素
4 セルロース生合成に関与する細胞壁分解酵素
5 防御応答に関与している細胞壁分解酵素
6 果実の熟成および軟化に関与する細胞壁分解酵素
7 セルロース系バイオマスの利用において
第4章 昆虫の酵素(ゴキブリ,シロアリ,カミキリムシなど)
1 はじめに
2 GH9エンドグルカナーゼ
2.1 昆虫由来GH9 EGのリコンビナント生産
3 昆虫由来GH5 EG
4 昆虫由来GH45 EG
5 GH48に属する昆虫由来酵素
6 GH28に属する昆虫由来酵素
7 β-グルコシダーゼ
7.1 昆虫由来GH1 BGL
7.2 昆虫由来GH3 酵素
7.3 昆虫由来 BGLのリコンビナント発現生産と特性
8 昆虫の消化性共生微生物のセルラーゼ
9 今後の昆虫セルラーゼ研究
第5章 動物の酵素
1 ルーメンからの酵素
1.1 ルーメンセルロース・ヘミセルロース分解菌
1.2 アンモニアストリッピングとR.flavefaciensによるセルロース・ヘミセルロースの分解モデル
2 水生生物のセルラーゼとヘミセルラーゼ
2.1 緒論
2.2 外源性と内源性のセルラーゼ
2.2.1水生生物とセルラーゼ保有微生物との共生
2.2.2 内源性セルラーゼを持つ水生生物
2.2.3 セルラーゼの起源
2.3 外源性と内源性のへミセルラーゼ
2.4 まとめ
第6章 環境遺伝子の網羅的解析と植物バイオマス分解酵素
1 はじめに
2 メタゲノム解析の方法
3 メタゲノム解析によって網羅的に取得された配列群
4 メタトランスクリプトーム解析-シロアリ共生微生物の解析例の紹介-
5 課題と展望
【第2編 関連酵素】
第7章 リグニン分解酵素
1 白色腐朽菌によるリグニン分解
2 リグニン分解酵素
2.1 リグニンペルオキシダーゼ
2.2 バーサタイルペルオキシダーゼ(VP)
2.3 マンガンペルオキシダーゼ
2.4 ラッカーゼ
3 リグニン分解に関与する担子菌の多様な酵素
第8章 セルロース膨潤タンパク質
1 植物細胞壁のゆるみを誘導するエクスパンシン
2 エクスパンシンの多様性
3 遺伝子情報を用いたエクスパンシンの探索
4 エクスパンシンによる細胞壁糖鎖の分解促進作用
5 糖化へのエクスパンシン利用
【第3編 セルラーゼの構造・機能】
第9章 セルラーゼ活性測定の標準化
1 はじめに
2 還元糖定量法の標準化
3 タンパク質の定量法
4 酵素活性・糖化能測定法
4.1 FPU活性測定法
4.2 CMCase活性測定法
4.3 β-Glucosidase活性測定法
4.3.1 pNPG法
4.3.2 Cellobiose法
4.4 Avicelase活性測定法
4.5 Xylanase活性測定法
4.6 β-Xylosidase活性測定法
4.7 バイオマス酵素糖化能測定法
5 おわりに
第10章 セルラーゼの立体構造と作用機作
1 セルラーゼの立体構造
1.1 GHファミリー5(GH5)
1.2 GHファミリー6(GH6)
1.3 GHファミリー7(GH7)
1.4 GHファミリー8(GH8)
1.5 GHファミリー9(GH9)
1.6 GHファミリー12(GH12)
1.7 GHファミリー44(GH44)
1.8 GHファミリー45(GH45)
1.9 GHファミリー48(GH48)
1.10 GHファミリー61(GH61)
1.11 GHファミリー124(GH124)
2 セルラーゼとリグノセルロースの分子間相互作用
2.1 はじめに
2.2 リグニンによるセルラーゼの阻害
2.3 リグニンへの吸着性を支配する酵素の構造
2.4 セルラーゼのリグノセルロースへの非生産的な吸着を軽減する添加剤
2.5 CBMの基質認識と前処理バイオマス表層糖鎖解析への応用
2.6 おわりに
3 セルラーゼのプロセッシブ性と構造の相関
3.1 はじめに
3.2 セロビオヒドロラーゼはなぜセルロースをセロビオースで切り出すのか?
3.3 セルラーゼの構造がプロセッシビティに与える影響
3.4 エンド型-エキソ型とプロセッシビティの違い
3.5 セルロース基質がエンド型-エキソ型,プロセッシビティに与える影響
3.6 おわりに
4 セルラーゼの反応機構
4.1 標準的な反応機構
4.2 GHファミリーと反応機構の対応
4.3 例外的な反応機構
4.4 基質の歪み
第11章 セロビオヒドロラーゼ糖結合性モジュールのドッキング解析椎葉大偉
1 はじめに
2 セルロース結晶面に対するCBMの結合様式
3 セルロース結晶表面認識に関わるアミノ酸残基
4 おわりに
第12章 セルラーゼによる分解程度を指標とした基質構造の
ハイスループット分析
1 はじめに
2 近赤外分光法と多変量解析
3 前処理残渣による検量モデルの構築
4 前処理濾液による検量モデルの構築
5 展望
第13章 セルロース合成における分解酵素の役割
1 はじめに
2 バクテリアにおけるセルロース合成酵素遺伝子と合成酵素複合体(TC)
3 バクテリア由来エンドグルカナーゼの立体構造
4 セルロース合成における分解酵素の機能
5 おわりに
【第4編 ヘミセルラーゼの構造・機能】
第14章 ヘミセルラーゼの立体構造
1 キシラナーゼの立体構造
2 α-L-アラビノフラノシダーゼの立体構造
3 α-グルクロニダーゼの立体構造
第15章 ヘミセルラーゼの作用機作
1 はじめに
2 キシランの構造
2.1 グルクロノキシラン(O-アセチル-4-O-メチルグルクロノキシラン)
2.2 アラビノグルクロノキシラン(アラビノ-4-O-メチルグルクロノキシラン)
2.3 アラビノキシラン
3 キシラン分解酵素
3.1 エンド-β-1,4-キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)
3.2 β-キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)
3.3 α-L-アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)
3.4 フェルラ酸エステラーゼ(EC 3.1.1.73)
3.5 α-D-グルクロニダーゼ(EC 3.2.1.139)
3.6 アセチルキシランエステラーゼ(EC 3.1.1.72)
4 キシログルカン(XG)の構造
5 XG分解酵素
5.1 XG特異的エンド-β-1,4-グルカナーゼ(キシログルカナーゼ;EC 3.2.1.151)
5.2 オリゴXG還元末端特異的セロビオヒドロラーゼ(EC 3.2.1.150)
5.3 オリゴXG特異的イソプリメベロース生成酵素(EC 3.2.1.120)
5.4 その他
6 マンナンの構造
6.1 直鎖マンナン
6.2 グルコマンナン
6.3 ガラクトマンナン
6.4 ガラクトグルコマンナン
7 マンナン分解酵素
7.1 エンド-β-1,4-マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)
7.2 β-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.25)
7.3 β-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)
7.4 α-ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22)
7.5 アセチル(ガラクト)グルコマンナンエステラーゼ(EC 3.1.1.6)
8 おわりに
【第5編 セルラーゼの高機能化】
第16章 人工セルロソームの構築と酵母での発現
1 はじめに ―人工セルロソーム構築のための分子生物学的基盤
2 人工セルロソームの構築
3 人工セルロソームの酵母への導入
3.1 Aga1-Aga2システムによる酵母表層上での骨格タンパク質の発現
3.2 酵母表層での骨格タンパク質と酵素の複合体形成
4 おわりに
第17章 無細胞合成系を用いたセルラーゼの高機能化
1 はじめに
2 無細胞系の最適化によるセルラーゼの活性型での生産
3 無細胞合成系によるセルラーゼの高機能化
3.1 改良型SIMPLEX法による分解活性の向上
3.2 アラニンスキャニングを利用した活性中心の最適化
3.3 有利変異の相加
4 おわりに
第18章 細胞表層工学を利用した最適なセルラーゼカクテルの構築
1 はじめに
2 バイオエタノールの現状
2.1 セルラーゼによるセルロースの分解
2.2 セルラーゼ提示酵母によるセルロースからの発酵
2.3 セルラーゼカクテルの選抜
3 おわりに
第19章 モジュール再編成によるセルラーゼの高機能化
1 はじめに
2 固相基質分解酵素の構造的特徴
3 モジュール単位での直接融合による組換え蛋白質設計
4 コヘシン―ドッケリン相互作用を利用したセルラーゼ連結
5 ビオチン―アビジン相互作用を利用したセルラーゼ連結
6 ナノ材を骨格としたセルラーゼ連結
7 おわりに
【第6編 セルラーゼ・ヘミセルラーゼの大量生産】
第20章 セルラーゼ高生産糸状菌Trichoderma reesei日本型系統菌株の開発
1 Trichoderma reesei日本型系統樹進化への転写調節因子の関与
1.1 日本型系統樹の比較ゲノム解析
1.1.1 カタボライトリプレッション部分的解除株
1.1.2 β-グルコシダーゼを正に調節する新規転写調節因子BglR
1.2 日本型系統樹の進化とは?
2 日本型系統菌株のさらなる進化
2.1 最適比率での酵素生産技術開発
2.2 日本独自の最適比率での酵素生産技術開発(マイナープロモーターの利用)
第21章 Acremonium cellulolyticus由来糖質分解酵素の工業化検討
1 はじめに
2 菌株育種による生産性向上検討
3 培地・培養条件の最適化による生産性向上について
第22章 Bacillus
1 はじめに
2 枯草菌ゲノムの改変技術
3 枯草菌宿主の改良
3.1 枯草菌遺伝子の機能性評価
3.2 宿主ゲノムの縮小化による酵素高生産化
4 枯草菌の酵素高生産化技術
4.1 アミノ酸代謝系の制御によるセルラーゼ高生産化
4.2 分泌装置の改良によるセルラーゼ高生産化
4.3 細胞膜・壁の人工改変によるセルラーゼ高生産化
5 ゲノム縮小株への技術統合による高機能化
【第7編 バイオマス利用分野への展開】
第23章 バイオマス酵素糖化反応の解析
1 はじめに
2 標準前処理標品の調製
3 市販セルラーゼの特性
4 前処理物の糖化パターン
5 成分酵素の糖化における役割
6 酵素コスト低減と頭打ち現象
7 おわりに
第24章 機械的前処理バイオマスの酵素分解
1 はじめに
2 微粉砕による前処理
3 前処理バイオマスの酵素糖化
4 おわりに
第25章 セルロソームの回収・再利用法の開発
1 はじめに
2 セルロソームについて
3 セルロソーム回収・再利用
3.1 回収することの優位性
3.2 セルロソームの回収
3.3 セルロソームの回収・再利用
4 まとめ・今後の展望
第26章 セルラーゼ回収・再利用によるエタノール発酵の高効率化
1 はじめに
2 バイオマスの糖化プロセス
3 まとめ
第27章 再生セルロースの酵素分解
1 はじめに
2 再生セルロースとは
3 セルラーゼによるセルロースIIの酵素分解特性
4 イオン液体処理により得られる再生セルロースの酵素分解
第28章 セルラーゼ細胞表層提示酵母を用いたバイオマス変換
1 はじめに
2 統合型バイオプロセスによるエタノール生産
3 統合型バイオエタノール生産を実現する細胞表層提示技術
4 セルラーゼ細胞表層提示酵母を用いたセルロースからの統合型バイオエタノール生産
5 セルラーゼ細胞表層提示割合最適化法の開発
6 おわりに
第29章 リグニン分解酵素表層提示酵母を用いたバイオマス変換
1 はじめに
2 細胞表層提示酵母を用いた前処理の利点と可能性
3 ラッカーゼI提示酵母を用いたバイオマスの前処理
3.1 ラッカーゼI提示酵母の構築
3.2 ラッカーゼI提示酵母による稲わらの前処理&セルラーゼ提示酵母による糖化・発酵
4 おわりに
第30章 セルラーゼによるセルロースのナノファイバー化
1 はじめに
2 従来のセルロースナノファイバー製造法
3 酵素加水分解によるセルロースの微細化
3.1 Trichoderma CBHI(Cel7A)の作用で見られる微細化
3.2 Trichoderma CBHI(Cel7A)のCBMの作用で見られる微細化
3.3 エンドグルカナーゼと物理的破壊の同時併用処理による微細化
第31章 ペーパースラッジを原料としたセルラーゼの生産とペーパースラッジのバイオエタノールへの変換
1 はじめに
2 PSとは
3 未処理PSを用いたセルラーゼの生産
4 PS由来のセルラーゼを用いたPSの糖化
5 PS由来のセルラーゼを用いたPSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産
5.1 PSのSHFによるエタノール生産
5.2 PSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産
5.3 PSの同時糖化・発酵によるエタノールの生産向上
6 おわりに
【第8編 修飾酵素としての応用展開】
第32章 洗剤への応用
1 はじめに
2 洗剤用アルカリセルラーゼの開発
3 高機能セルラーゼ開発と構造機能解析
4 洗剤用セルラーゼの状況と今後の展望
第33章 繊維業界でのセルラーゼの利用
1 はじめに
2 デニムの洗い加工へのセルラーゼの応用(バイオウォッシュ加工)
3 天然セルロース系繊維加工へのセルラーゼの応用
3.1 セルラーゼの精錬工程への応用(バイオ精錬)
3.2 セルラーゼの仕上げ加工への応用(バイオフィニッシュ加工)
第34章 紙パルプへの応用
1 はじめに
2 濾水性向上による,リサイクルパルプの乾燥費用削減
3 クラフトパルプの叩解エネルギー削減
4 脱インク
5 クラフトパルプの漂白促進
6 漂白ユーカリクラフトパルプの黄変防止
第35章 食品への応用
1 はじめに
2 醸造
2.1 ビール
2.2 ワイン
3 果汁・野菜加工
4 製パン
5 最近動向
5.1 高齢者・介護用食品製造
5.2 香気前駆体(配糖体)の分解による茶,ワインの香気増強とイソフラボンの効率的アグリコン化
5.3 農産物からの食品生産の効率化と食品廃棄物の減量化
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フッ素樹脂の最新動向(普及版)
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(監修:澤田英夫)
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<<著者一覧>>
執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
澤田英夫 弘前大学大学院
成田正 埼玉工業大学
吉田正人 島根大学
飯塚真理 島根大学
齋藤禎也 弘前大学大学院
井戸向さつき 弘前大学大学院
矢嶋尊 大陽日酸(株)
増田祥 旭硝子(株)
大島明博 大阪大学
稲木信介 東京工業大学
淵上寿雄 東京工業大学
白川大祐 旭硝子(株)
石関健二 旭硝子(株)
森田正道 ダイキン工業(株)
井田政宏 ニチアス(株)
中島陽司 旭硝子(株)
堀久男 神奈川大学
藤森厚裕 埼玉大学
清水道晃 日立電線(株)
佐久間充康 (株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン
三宅直人 旭化成イーマテリアルズ(株)
白鳥世明 慶應義塾大学
中西智昭 日本フッソ工業(株)
佐藤勝之 ユニマテック(株)
森澤義富 旭硝子(株)
大久保篤 中興化成工業(株)
道本忠憲 日東電工(株)
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<<目次>>
【開発動向】
第1章 重付加反応による新しいタイプのフッ素ポリマーの合成
1 はじめに
2 ラジカル重付加反応による新しいタイプのフッ素ポリマーの合成
3 アニオン重付加反応による新しいタイプのフッ素ポリマーの合成
4 おわりに
第2章 新規含フッ素テロマーの合成:フルオロアルキル基含有スチレンダイマー類の合成と性質
1 はじめに
2 フルオロアルキル基含有スチレンダイマー類の合成と性質
第3章 含フッ素オリゴマー/無機ナノコンポジット類の開発とその機能発現
1 はじめに
2 フルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジット類の調製と機能発現
3 フルオロアルキル基含有オリゴマー/炭酸カルシウムナノコンポジット類の調製と耐熱性
4 おわりに
第4章 高配向カーボンナノチューブを用いた導電性フッ素樹脂の作製技術
1 はじめに
2 樹脂添加材としての高配向CNTの特徴
3 導電性樹脂作製に適した加工法とは
4 導電性フッ素樹脂の作製プロセス(概略)
4.1 第1工程;CNT分散液作製工程
4.2 第2工程;溶媒のエタノール転換工程
4.3 第3工程;フッ素樹脂の添加・混合工程
4.4 第4工程;超臨界炭酸処理工程
4.5 第5工程;乾燥・粉末回収工程
5 CNT分散液作製(第1工程詳細)
6 溶媒のエタノール転換工程(第2,3工程詳細)
7 超臨界炭酸処理(第4,5工程詳細)
8 混合スラリーの乾燥・回収(第6工程詳細)
9 導電性フッ素樹脂の性能評価
10 導電性ICトレイの作製
11 まとめ
第5章 流れ性,塗膜物性を向上した粉体塗料用フッ素樹脂
1 はじめに
2 粉体塗料用樹脂に求められる特性
3 粉体塗料樹脂のレオロジー
4 熱硬化粉体塗料用フッ素樹脂の構造設計
5 初期開発熱硬化粉体塗料用フッ素樹脂と新規開発品について
第6章 量子ビームを用いた各種フッ素樹脂の微細加工
1 はじめに
2 放射光(SR光)によるマイクロスケール微細加工
3 イオンビームによるナノスケール微細加工
4 TRafプロセスによる微細加工
5 まとめと今後の展望
第7章 電解法による共役系高分子のフッ素化
1 はじめに
2 共役系高分子の電解フッ素化
2.1 選択的電解フッ素化
2.2 高分子電解反応
2.3 共役系高分子の電解フッ素化
3 CRS法によるポリアニリンのフッ素化
4 共役系高分子膜の傾斜的表面修飾
4.1 バイポーラ電気化学
4.2 バイポーラ電極上での傾斜的エレクトロクリック反応
5 おわりに
第8章 パーフルオロポリエーテルの合成と応用
1 パーフルオロポリエーテルとは
2 フッ素オイルの種類と特徴
3 パーフルオロポリエーテルの製造法
3.1 光酸化重合
3.2 開環重合
4 パーフルオロポリエーテルの問題点
5 パーフルオロポリエーテルの用途例
6 ハードディスクドライブにおける官能基含有PFPEの使用例
7 おわりに
第9章 フルオロアクリレートホモポリマーの動的撥液性
1 はじめに
2 撥液性の評価方法
3 転落角
4 転落速度(静置法)
5 転落速度(着弾法)
6 おわりに
第10章 架橋フッ素樹脂コーティング技術とその応用
1 はじめに
2 架橋フッ素系樹脂
3 架橋フッ素系樹脂コーティング
4 架橋フッ素樹脂コーティング技術の応用
5 おわりに
第11章 PFAライニング配管の寿命診断
1 はじめに
2 ライニングとは
3 PFAとは
4 PFAライニング配管の特徴・用途
5 PFAライニング配管の劣化・損傷形態
5.1 クラック・クレーズ
5.2 ブリスター
5.3 絶縁破壊・ピンホール
5.4 変形・座屈
5.5 その他
5.5.1 外装管腐食
5.5.2 ライニングフレアー面のキズ・亀裂・変形
5.5.3 異物堆積
5.5.4 磨耗減肉(エロージョン)
6 PFAライニングの調査手順
6.1 外観観察
6.2 気密試験・ピンホール検査
6.3 解体・観察
6.4 物性評価
6.5 総合評価
7 寿命診断への取組み
7.1 目的
7.2 寿命診断手順
7.3 寿命診断基準
8 透過
8.1 透過について
8.2 透過対策
9 まとめ
第12章 フッ素系ポリマーの分離分析技術
1 はじめに
2 フッ素系ポリマーの溶解
3 フッ素系溶媒のポリマー溶解性
4 フッ素系ポリマーの液体クロマトグラフィー
5 フッ素系ポリマーの質量分析
6 おわりに
第13章 機能性有機フッ素化合物の分解反応の開発
1 はじめに
2 鉄粉+熱水を用いたPFAS類の還元分解
3 ヘテロポリ酸を用いたPFCA類の光触媒分解
4 ペルオキソ二硫酸イオンを用いたPFCA類の光酸化分解
5 ペルオキソ二硫酸イオンを用いたPFCA類の温水分解
6 PFOA代替物質:H-PFCA類の分解
7 PFOS代替物質:PFAES類の分解
8 フッ素系イオン交換膜の分解・無機化反応
9 おわりに
【応用展開】
第14章 “結晶性”フッ素系共重合体による耐熱性透明材料の創製
1 はじめに
2 試料と測定方法
3 フッ素系共重合体光伝送材料の構造―機能相関
4 固定熱処理と自由収縮処理の影響
5 おわりに
第15章 ハイブリッド電気自動車に使用されるフッ素系材料
1 はじめに
2 HEVへの応用
2.1 オイルポンプ内配線材
2.2 モーター内部配線材
2.3 電源用ハーネス
3 おわりに
第16章 フッ化ビニリデン系樹脂の応用:リチウムイオン二次電池電極用バインダー
1 はじめに
2 リチウムイオン二次電池と電極用バインダーについて
2.1 リチウムイオン二次電池(LIB)
2.2 電極の構造
2.3 バインダーの役割
2.4 電池用バインダーの種類
3 「クレハKFポリマー」とバインダーグレードの概要
4 PVDFの性質〜バインダーとしての特徴〜
4.1 PVDFの構造
4.2 化学的性質
4.3 電気化学特性と分子軌道計算
5 PVDFバインダーのグレード種類と性能
5.1 標準バインダー
5.2 高接着バインダー?:超高分子量タイプ
5.3 高接着バインダー?:変性タイプ
5.4 柔軟性バインダー
5.4.1 VDF系コポリマー:W#7500
5.4.2 フッ素系ゴム(試作品)
5.4.3 コア・シェル型ポリマー(試作品)
6 バインダーの結着メカニズム
6.1 結着状態の観察
6.2 バインダー分布状態の観察
7 今後
第17章 フッ素系電解質材料の高性能化と高耐久化
1 固体高分子形燃料電池について
2 フッ素系電解質膜について
3 フッ素系電解質膜の課題
4 旭化成イーマテリアルズにおける取り組み
第18章 フッ素修飾ナノ粒子による超撥水・高撥油コーティング
1 はじめに
2 超撥水・撥油表面
3 コーティング溶液の作製方法
4 液体表面張力の調整
5 濡れ性の評価
5.1 水・エタノール混合溶液に対する接触角・転落角測定結果
5.2 油に対する濡れ性の評価
6 まとめ
第19章 フッ素樹脂焼き付けコーティングおよびライニング
1 はじめに
2 非粘着・離型用途のコーティング
2.1 用途
2.2 皮膜構成
2.3 コーティング方法
2.4 プライマー
3 耐食ライニング
3.1 耐食性とは
3.2 浸透現象
3.3 皮膜構成
3.4 用途
4 ロトライニング
5 高純度ライニング
6 帯電防止コーティング・ライニング
6.1 帯電防止の考え方
6.2 非粘着・離型性コーティングでの帯電性の確認
6.3 耐食ライニングでの帯電性の確認
6.4 静電気災害の予防
7 剥離帯電防止コーティング
7.1 剥離帯電防止の考え方
7.2 対策
7.3 効果
8 さいごに
第20章 生分解性フッ素テロマー化合物を用いた表面処理剤
1 フッ素テロマー
1.1 はじめに
1.2 フッ素テロマー合成
1.3 フッ素テロマーの環境への影響
2 生分解性フッ素テロマー化合物
2.1 設計と合成
2.2 従来テロマーとの物性比較
2.3 生分解性評価
3 表面処理剤への応用
3.1 繊維処理向け撥水撥油剤
3.2 防汚処理剤
3.3 固体表面処理向け撥水撥油剤
4 おわりに
第21章 環境発電のためのフッ素系ポリマーを用いた高性能エレクトレット膜
1 環境発電と材料
2 エレクトレットとその材料
3 エレクトレットを用いた振動発電
4 エレクトレット材料としてのCYTOPTM
5 まとめ
第22章 フッ素樹脂含浸ファブリック
1 はじめに
2 フッ素樹脂原料
2.1 PTFEディスパージョン
2.2 その他のディスパージョン
3 繊維織布材料
3.1 ガラス繊維織布
3.2 その他の織布
4 PTFE含浸ファブリックの加工工程
4.1 含浸
4.2 乾燥・焼結
4.3 織布のハンドリング
4.4 含浸工程
5 フッ素樹脂含浸ファブリックの用途
第23章 フッ素樹脂粘着テープ
1 概要
1.1 支持体フィルム
1.1.1 PTFE切削フィルム
1.1.2 PTFE圧延フィルム
1.1.3 PTFEコーティングフィルム
1.2 表面接着処理
1.3 粘着剤
2 フッ素樹脂粘着テープの用途
2.1 耐熱用途例―耐熱性,非粘着性利用
2.2 難接着性被着体への接着例―薄膜・滑り性・難燃性利用
2.3 その他シリコーン粘着剤以外の使用例―柔軟性・寸法安定性,シリコーンフリー利用
3 最近の動向
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大容量Liイオン電池の製造・コスト解析と安全性―製造・コスト・安全性・国際規格・市場展望―(普及版)
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2013年刊「大容量Liイオン電池の製造・コスト解析と安全性」の普及版。
製造工程とコストを設備投資と原材料費などで分析し、安全性とその測定規格は、産業用とEV用に区分、道路交通サイドの規制も詳説している。
(監修:佐藤登)
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<<著者一覧>>
執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
佐藤登 名古屋大学;エスペック(株)
菅原秀一 泉化研(株)
風間智英 (株)野村総合研究所
藤田誠人 (株)野村総合研究所
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<<目次>>
第1章 大型リチウムイオン電池の現状と展望
1 はじめに
2 EV法規発効から車載用二次電池開発の歴史を振り返る
3 EVからHEVへのシフトと電池開発
4 自動車各社の開発状況
5 車載用電池の信頼性確保と安全性の確立
第2章 原材料,部材の概要と生産総量(MWh)との関係
1 総括表と動向(1995年~2020年)
1.1 総括表の設定と背景
1.2 原材料別の特徴(1)
1.3 原材料別の特徴(2)
1.4 その他の原材料
1.5 集電箔
1.6 外装材と端子類
2 正負極材と導電剤
2.1 正負極材の投入量
2.2 正極と負極のバランス
2.3 導電剤
3 電解液と電解質
4 セパレータ
5 バインダー
6 集電箔と外装材
6.1 集電箔
6.2 ラミネート外装材
7 原材料,部材の“10年モデル”
7.1 1,000~10,000 MWh/年と材料の所用量
7.2 モデルとしてのHV車
7.3 累積販売台数
8 文献・資料一覧
第3章 大容量Liイオンセルの製造プロセス――前工程,中間工程および後工程――
1 製造業務の流れと区分
1.1 前半と後半,大きく異なる工場環境
1.2 原料から製品まで
1.3 業界としての問題解決
1.4 セルメーカーの二面性
1.5 セル内蔵する化学物質
1.6 化学物質規制とトレーサビリティー
1.7 消防法危険物としての電解液
1.8 セルの集積と電解液の数量
1.9 海外の規制との関連
1.10 REACHの“成形品”
1.11 製造以外の業務
2 製造品目の設定
2.1 製造へのセルの諸元
2.2 Ah容量と関連事項
2.3 Ah容量設定(1)電極板の欠陥
2.4 Ah容量設定(2)不良品対応
2.5 量産段階での問題解決
2.6 Ah容量の測定方法
2.7 市場製品におけるAh表示
2.8 Ah容量の製品事例(1)
2.9 Ah容量の製品事例(2)
2.10 Ah容量の製品事例(3)
2.11 自動車用のAh容量の設定
2.12 定置型の蓄電池の容量
3 製造プロセス全体の流れと生産速度
3.1 全工程の流れ
3.2 製造設備と付帯設備
3.3 原料,部材と製造装置の関係
3.4 工程の操業パターン
3.5 セルのロット管理
3.6 一貫生産と区分・分業スタイル
3.7 区分生産の活用(1)電極板購入
3.8 区分生産の活用(2)乾セル輸出
4 前工程(粉体加工とスラリー調製)
4.1 混合,混練の諸問題
4.2 導電性賦与
4.3 関連(1)導電助剤とバインダーの“機能阻害”
4.4 関連(2)導電剤の不可逆容量
4.5 関連(3)粒子のモルフォロジー
4.6 メカノケミカル(1)分散と混合
4.7 メカノケミカル(2)装置
4.8 粉体のスラリー化
4.9 スラリー媒体の影響
4.10 スラリーの脱泡
4.11 まとめ,混練から粉砕まで
5 中間工程(塗工,乾燥,電極板評価)
5.1 塗工パターンと目付量,充填率
5.1.1 塗工パターン
5.1.2 集電箔と表面
5.1.3 電極板の目付量
5.1.4 電極の断面と厚み
5.1.5 電極板の密度と空隙率
5.2 塗工機と塗工,乾燥過程と塗工速度
5.2.1 塗工機の機構
5.2.2 逐次片面塗工
5.2.3 塗工ヘッド
5.2.4 臨界顔料体積濃度
5.2.5 塗工直後の流れとレベリング
5.2.6 塗工スラリーの媒体
5.2.7 乾燥ステップ
5.2.8 塗工速度と目付量
5.2.9 電極板のアニール
5.3 電極の断面,表面と粒子の結着,接着
5.3.1 模式とイメージ
5.3.2 電極板の表面
5.4 電極板の評価
5.4.1 測定と評価項目
5.4.2 電解液への浸漬試験
5.4.3 セルとしての評価
5.4.4 試作評価のステップ
5.4.5 電極板の試作
6 後工程(プレス,スリット,組立,封止,初充電と検査)
6.1 後工程全体の流れ
6.2 スリットとプレス
6.2.1 スリットとカット
6.2.2 粉落ちとバリ
6.2.3 プレス機のイメージ
6.2.4 プレスの効果(1)
6.2.5 プレスの効果(2)
6.3 セル組立(積層/捲回,電極付,封止)
6.3.1 セルの構造と電極付け
6.3.2 電極板と端子の関係
6.3.3 電極板とセパレータの位置関係
6.3.4 外装材と封止
6.3.5 セルの組立装置(1)
6.3.6 セルの組立装置(2)
6.3.7 端子の接続と溶着
6.3.8 ラミネート外装材の封止
6.3.9 組立セルの最終乾燥
6.3.10 電解液の充填
6.3.11 電解液の取り扱いと安全
6.4 初充電と検査
6.4.1 CC定電流とCV定電圧充電
6.4.2 電流密度と充放電レート
6.4.3 初充電工程における設定とデータ
6.4.4 自己放電量とACR,DCR
6.4.5 生産計画と原材料調達
6.5 類似の蓄電デバイス
6.5.1 リチウムイオンキャパシタ(LIC)とポリマーリチウムイオン
6.5.2 ポリマーリチウムイオン電池
7 製造プロセスの機器とメーカー(転用と新規開発)
7.1 小型と大型の工程機器
7.2 工程機器の海外移転と影響
7.3 この分野への新規参入
7.4 機器ごとの特徴
7.5 付帯設備
7.6 転用と新規開発
第4章 大容量Liイオン電池の原材料コスト
1 タイプ別のセル設計と原材料の投入量および工程ロス
1.1 セルのタイプと原材料
1.2 原材料コスト要因
1.3 標準1Ahセルの体積と重量
1.4 1~100Ahセルの重量
1.5 原材料のコスト例
1.6 工程ロスと影響
1.7 不良ロスの原因
1.8 正常なロスの範囲
1.9 工程ロスの合計
1.10 工程ロスと産業廃棄物
1.11 正負極材の品質保証項目
2 原材料の構成(1) 正極材,負極材および導電剤
2.1 試算の過程
2.2 コストパフォーマンス
2.3 導電剤
3 原材料の構成(2) 電解液,セパレータ,集電箔,バインダー,外装材
3.1 電解液
3.2 セパレータ
3.3 銅とアルミ集電箔
3.4 ラミネート外装材
3.5 金属函体の外装
4 原材料の試算単価レベルの設定
4.1 単価の設定とコスト試算
4.2 高価格レベルの正極材
4.3 負極材のコスト試算
5 正・負極材のコストレベル
5.1 まとめ,正極+負極のコスト
5.2 EV電池に換算した材料コスト
第5章 大容量Liイオン電池の製造コスト, 設備投資と諸費用
1 コストの意味とコスト試算のベース
1.1 二次電池とコスト(容器と中身)
1.1.1 容器と中身
1.1.2 小型,中型のセル
1.1.3 自動車における燃費
1.1.4 系統電力における発電コスト
1.1.5 蓄電コスト
1.2 仮想工場の生産品目の設定とスケール
1.2.1 30Ahセルを100万個/年
1.2.2 市販車のkWh容量との対比
1.2.3 リチウムエナジージャパン㈱LEJの実例
1.2.4 セルの外装形式
2 本体設備
2.1 全体の問題点
2.2 本体製造設備
2.3 設備投資の総額
2.4 設備投資の参考事例
3 付帯設備
3.1 付帯設備の運転コスト
3.2 試験機器と測定
3.3 充放電装置の回生
4 セルの製造原価とコスト構成(原材料,設備償却,労務,用役ほか)
4.1 製造原価の試算
4.2 原材料コストの比率
5 販売価格と利益率
5.1 販売価格の想定
5.2 粗利で見た採算性
5.3 10年後の予測
6 コストダウンの可能性とシミュレーション
6.1 原材料費の影響
6.2 別の試算とシミュレーション
第6章 大容量Liイオン電池の規格と標準化
1 規格の定める内容と諸規格のマップ
1.1 規格の内容
1.2 規格などの拘束力
1.3 規格の対象と内容(1)
1.4 規格の対象と内容(2)
1.5 規格のマップ
1.6 自動車関連
1.7 自動車独自の問題
1.8 化学物質など広範囲の問題
1.9 輸送問題
1.10 試験コスト
2 充放電特性などの測定規格と実施条件
2.1 試験の性格,正常と破壊
2.2 規格などの存在
2.3 付加機器類のコスト
2.4 性能要求事項
2.5 単電池への要求事項(1)
2.6 単電池への要求事項(2)
2.7 単電池への要求事項(3)
2.8 充放電サイクル耐久性
2.9 性能要求事項の解説
3 規格の役割と効果
3.1 規格の役目と効果
3.2 単電池(セル)の規格
3.3 単電池の規格要求事項
3.4 組電池における規格要求事項
4 EU電池指令および海外の動向と国内の対応
4.1 EU指令などとの関連
4.2 日本国内の対応
4.3 電池への表示(マーキング)
5 規格における電圧,電流,充放電,充電率,サイクル特性(技術資料)
第7章 大容量Liイオン電池の安全性試験に関する規格
1 諸規格の一覧 ―電気的試験,機械的試験ほか―
1.1 安全性試験規格の一覧
1.2 アジアの安全性試験規格
1.3 安全性に関する経緯
1.4 ガイドラインとJISの制定
1.5 電気用品安全法
1.6 最新のJIS規格
1.7 試験条件などで一律に決め難い点
1.8 安全性規格の活用
1.9 電気的な安全性試験
1.10 外部短絡,内部短絡
1.11 過充電試験
1.12 セル,モジュール,ユニット
1.13 機械的・熱的な試験
1.14 セルの形状などの影響
2 製品の安全認証システムへの移行
2.1 90年代のISO化からの流れ
2.2 安全性の表示
2.3 TUVによる事例
3 JIS,電気用品安全法および諸規程
3.1 JIS C 8715-2 安全性試験の内容と特徴(1)
3.1.1 JIS制定の経緯
3.1.2 産業用リチウムイオン電池への適用
3.2 JIS C 8715-2 安全性試験の内容と特徴(2)
3.2.1 要求事項とは
3.2.2 試験の実施数
3.2.3 試験結果の扱い
3.3 JIS C 8715-2 安全性試験の内容と特徴(3)
3.3.1 試験前の電池の状態
3.3.2 JIS C 8715-1,2における充電
3.3.3 機能安全性試験における充電停止
3.3.4 試験の求める内容
3.3.5 電池の特性のバラツキ
3.4 関連する技術情報
3.5 電気用品安全性法
4 UL,UNの安全性試験規格と運用
4.1 ULの安全性試験規格
4.2 ULのEVへの拡大
4.3 UN国連危険物輸送基準勧告
4.4 UNの安全試験
4.5 UNクラス9の運用
5 その他の安全性試験規格とハザードレベル
5.1 高速道路などでのEV規制
5.2 中国のEV用安全性規格と釘刺試験
5.3 釘刺試験の実例
5.4 ハザードとリスク
5.5 セルのハザードレベル
6 安全性に関する原材料とセル設計の対応(資料)
第8章 定置用Liイオン蓄電池市場の動向と展望
1 定置用Li イオン蓄電池市場が注目される背景
2 定置用Li イオン蓄電池の市場展望
3 定置用Li イオン蓄電池市場の種類と特徴
3.1 「A;既存市場」
3.2 「B;新規市場」
4 定置用市場の変化
4.1 系統安定化のため発電所/送電網へ設置(B-1)
4.2 送電網への投資延期を目的として配電所へ設置(B-2)
4.3 非常時バックアップや電気代削減のための住宅・建物など電力需要家へ設置(B-3)
5 定置用Li イオン蓄電池市場の動向と予測
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2012年当時のものを使用しております。br> 奥居徳昌 東京工業大学
梅本晋 東京工業大学
山本隆 山口大学
櫻井伸一 京都工芸繊維大学
吉岡太陽 豊田工業大学
辻正樹 京都大学
金谷利治 京都大学
松葉豪 山形大学
野末佳伸 住友化学(株)
田實佳郎 関西大学
高和宏行 ユニオプト(株)
築地光雄 ユニオプト(株)
大越豊 信州大学
土岐重之 State University New York at Stony Brook,Department of Chemistry.New York 11794 USA
上原宏樹 群馬大学
撹上将規 埼玉大学
山延健 群馬大学
塩谷正俊 東京工業大学
久保山敬一 東京工業大学
扇澤敏明 東京工業大学
西田幸次 京都大学
辻秀人 豊橋技術科学大学
吉田博久 首都大学東京
浅井茂雄 東京工業大学
斎藤拓 東京農工大学
鞠谷雄士 東京工業大学
宝田亘 東京工業大学
木村将弘 東レ(株)
金井俊孝 出光興産(株)
船木章 出光興産(株)
村瀬浩貴 東洋紡績(株)
伊藤浩志 山形大学
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<<目次>>
【第1編】高分子結晶構造の基礎
第1章高分子の特徴と結晶化の基礎
1はじめに
2高分子単結晶
3結晶化速度
第2章分子シミュレーションによる結晶構造と高次構造の解明
1はじめに
2シミュレーション概観
3結晶構造の予測
4高分子結晶化のシミュレーション
4.1均一核形成
4.2折り畳み結晶の成長
4.3ガラスからの結晶化
4.4流動結晶化と繊維構造の発現
5大変形による結晶組織の変化
6おわりに
第3章共重合体の結晶構造
1緒言
2結晶性共重合体の構造形成の特徴
3非晶-非晶ジブロック共重合体のミクロ相分離の基礎
4構造解析法(結晶化の動力学解析も含む)
5各論
5.1結晶-非晶ブロック共重合体
5.2結晶-結晶ブロック共重合体
5.3結晶-液晶ブロック共重合体
6総括/将来展望
第4章透過型電子顕微鏡法による結晶性高分子固体の高次構造解析
1はじめに
2制限視野電子回折(Selected-area Electron Diffraction: SAED)
2.1光学特性の異なる三種類のPBT二次元球晶を与える構造的要因の解明
2.2電界紡糸ナノファイバー単繊維の配向解析
3暗視野観察(Dark-field Imaging)
3.1一軸配向PBT薄膜に形成されるシシカバブ構造の暗視野観察とその結晶学的構造
4おわりに
第5章中性子散乱によるポリエチレンのシシケバブ構造形成機構解析
1はじめに
2シシケバブ生成における高分子量成分の効果
3高分子量成分がシシを作ることの直接証明とシシの形態観察
4延伸過程におけるシシケバブ形成
5低分子量の役割
6おわりに
第6章中性子散乱を用いたアイソタクチックポリプロピレンのシシケバブ構造解析
1背景
1.1シシケバブ構造
1.2シシケバブ構造の発見とその物性
1.3コイル―ストレッチ転移
1.4流動誘起結晶化のその場観察と臨界絡み合い濃度
1.5シシケバブ構造形成過程のその場観察
2中性子散乱によるシシケバブ構造解析
2.1実験の目的
2.2中性子散乱
2.3試料調製
3実験結果と考察
3.1中性子散乱実験の結果
3.2シシケバブ構造形成機構の一般性について
4シシケバブ構造形成機構解明に向けた今後の展望
【第2編】結晶構造変化のその場計測による解析
第7章球晶構造形成過程のその場計測
1はじめに
2球晶内部構造の形成過程でのその場計測
2.1AFMによるラメラ構造の成長過程のその場計測
2.2放射光を用いたX線回折/散乱による球晶成長と2次結晶化のその場計測
2.3偏光顕微鏡下での球晶成長と内部構造変化のその場計測
3等温結晶化での球晶形成過程のその場計測
3.1全結晶化挙動と核発生挙動の影響
3.2負圧による球晶間でのキャビテーション発生
第8章複屈折のその場計測法
1はじめに
2複屈折
3複屈折の数学的表現
4複屈折の計測のその場観察
4.1セナルモン法
4.2回転検光子法
4.3高度な複屈折計測
5その場観察の複屈折における測定系
6まとめ
第9章繊維の一軸伸長過程での配向結晶化
1はじめに
2測定システム
3PET繊維の配向結晶化挙動
3.1連続延伸過程の特徴
3.2配向結晶化時の温度・直径プロフィール
3.3X線回折による配向結晶化過程の解析
4PTT, PBT, およびPEN繊維の配向結晶化挙動
5Nylon 6繊維の配向結晶化挙動
6PP, PVDF, およびPVA繊維の配向結晶化挙動
7まとめ
第10章ゴム一軸伸長下の結晶化挙動解析
1はじめに
2応力―歪関係と伸張結晶化の同時測定法
3天然ゴムと合成ポリイソプレン
3.1伸張結晶化と応力―歪関係
3.2結晶分率
3.3延伸結晶の開始歪
3.4結晶の大きさ
3.5結晶格子の大きさ
3.6応力緩和と結晶化
3.7定歪での結晶の融解と生成
4未加硫天然ゴムと未加硫合成ポリイソプレンゴム
5他の汎用加硫ゴム
6充填系加硫物
7まとめ
第11章超高分子量ポリエチレンの溶融超延伸過程におけるインプロセス計測とフィルム高性能化
1はじめに
2インプロセス計測システムの開発とそのインハウス化
3溶融延伸過程におけるインプロセス計測
4溶融延伸挙動に与える分子量特性の効果
5固体NMRによる絡み合い状態の定量化
6今後の展望
第12章一軸伸長過程における長周期構造及びボイドの変化
1はじめに
2繊維の長周期構造
2.1繊維の小角X線散乱パターン
2.2繊維の長周期構造モデル
3繊維・フィルムにおけるボイドの生成・成長挙動
3.1延性・脆性とボイドの生成・成長
3.2繊維の伸長過程におけるボイドの生成・成長挙動
3.3フィルムの伸長過程におけるボイドの生成・成長挙動
3.4ボイドの生成・成長挙動に及ぼすフィラー添加効果及び試験片形状の影響
4おわりに
【第3編】各種ポリマーの結晶化挙動の最新情報
第13章PTTの結晶構造と光学異方性
1はじめに
2結晶化温度とPTT結晶のモルホロジー
3PTT球晶の複屈折
3.1複屈折(リタデーション)の結晶化温度依存性
3.2単位格子の配向方向
3.3固有複屈折の計算
4まとめ
第14章アイソタクチックポリプロピレンのメゾ相形成とメゾ相からの結晶化
1はじめに
2結晶性高分子におけるメゾ相
3iPPのメゾ相のローカル構造
4iPPのメゾ相の形成機構
5iPPコポリマーのメゾ相
6放射光によるiPPのメゾ相形成過程のその場測定
7iPPのメゾ相の安定化エネルギー
8iPPのメゾ相からの速い昇温による結晶化
第15章PLAステレオコンプレックス結晶化
1はじめに
2ポリ乳酸のHMSC結晶化
3置換型ポリ乳酸のHMSC結晶化
4ポリ乳酸/置換型ポリ乳酸のHTSC結晶化
5核剤としての応用
6おわりに
【第4編】特殊条件下の結晶化
第16章超高速DSCによる融解・結晶化挙動解析
1示差走査熱量測定(DSC)
2高分子結晶の融解
3核生成と結晶成長
4高速冷却過程の結晶化
5高速冷却で得られた結晶の融解
6まとめ180
第17章高圧CO2によるPLLAの結晶高次構造と物性の制御
1はじめに
2高圧CO2処理について
3高圧CO2処理したPLLAの構造
3.1結晶化挙動及び結晶構造
3.2結晶高次構造
4高圧CO2処理したPLLAの物性
4.1フィルムの透明性
4.2力学的性質
4.3結晶高次構造と物性との関係
5おわりに
第18章超臨界CO2による結晶高次構造制御
1はじめに
2結晶高次構造
3結晶構造
4結晶化挙動
5結晶化中のCO2の排除と多孔化
6コンポジットにおける結晶核剤効果と高次構造
7部分融解と結晶化
8おわりに
【第5編】成形加工における結晶化制御
第19章成形加工における結晶化の基礎
1はじめに
2準静的な結晶化の考え方
3準静的とする仮定が成り立たない系
4流れ場の影響
4.1エントロピー低下が結晶化を加速する効果
4.2流動履歴が結晶化を加速する効果
4.3どちらの効果が支配的か?
4.4流動場の結晶化に対する核剤の効果
5結晶化の進展が成形加工における高次構造形成挙動に及ぼす影響
6結晶化と複屈折の関係
7延伸過程の結晶化
8今後の流動場の結晶化の研究
8.1溶融紡糸過程の低デボラ数化によるポリエステル繊維の高強度化
8.2ブレンド繊維の低温押出しにおける高融点成分の結晶化
8.3弾性材料の高速紡糸における配向結晶化挙動
9おわりに
第20章PETフィルム成形における結晶化挙動
1はじめに
2PETフィルムの製造プロセス
3フィルム延伸過程における結晶化挙動の解析
4一軸延伸過程におけるPETフィルムの結晶化挙動
5幅拘束一軸延伸におけるPETフィルムの結晶化挙動
6同時二軸延伸過程におけるPETフィルムの配向形成と結晶化挙動
7逐次二軸延伸過程における結晶化挙動
8二軸延伸PETフィルムにおける結晶配向
9おわりに
第21章PETフィルム形成過程における予備加熱効果
1はじめに
2PETの非晶構造制御技術
2.1PET非晶構造
2.2PET結晶構造
2.3拘束非晶構造制御
2.4易成形二軸配向PETフィルム
2.5表面機能化
3応用例
4おわりに
第22章PPシート・フィルム成形における透明性制御
1はじめに
2溶融樹脂膜の外部ヘーズに及ぼす押出スクリュー形状および内部ヘーズに及ぼすダイス内剪断応力の影響
2.1基本形状による予備評価
2.2スクリュー形状の最適化
2.3透明性に与えるダイ内剪断応力の影響
3高透明性PPシート製造に寄与する因子の解析9
3.1透明性に与える立体規則性の影響0
3.2透明性に与える分子量分布の影響
3.3透明性に与える透明改質剤としてのL-LDPE添加の影響
4おわりに
第23章ポリエチレン高強度繊維紡糸過程の構造形成
1はじめに
2紡糸直後の線維の内部構造
3シシケバブ構造の構造形成
4紡糸課程での構造形成の観察
第24章マイクロ射出成形加工における結晶化
1はじめに
2射出成形における結晶化挙動
3マイクロ射出成形による構造形成
3.1超薄肉成形品の構造形成
3.2微小成形品の構造形成
3.3マイクロ微細表面構造を有する成形品の構造形成
4おわりに
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微粒子分散・凝集ハンドブック(普及版)
¥2,695
2014年刊「微粒子分散・凝集ハンドブック」の普及版。
微粒子の分散・凝集技術について、基礎から工業、環境、先端ナノテクノロジーまで、各分野の詳細研究内容を徹底解説している。
(監修:川口春馬)
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<<著者一覧>>
執筆者の所属表記は、2014年発行当時のものを使用しております。
芝田隼次 関西大学
大坪泰文 千葉大学
大島広行 東京理科大学
森隆昌 法政大学
種谷真一 種谷技術士事務所
石井利博 アシザワ・ファインテック(株)
光石一太 倉敷ファッションセンター(株)
木俣光正 山形大学
山田保治 神奈川大学
前畑英雄 富士ゼロックス(株)
松村保雄 富士ゼロックス(株)
野口弘道 インクジェットコンサルタント
竹村泰彦 (公社)高分子学会;ゴム技術フォーラム ; 元JSR(株) ; 元(社)日本ゴム協会
坂井悦郎 東京工業大学
岩井和史 (株)レニアス
渡辺実 栗田工業(株)
三浦和彦 東京理科大学
小林大祐 東京理科大学
寺坂宏一 慶應義塾大学
野々村美宗 山形大学
那須昭夫 (株)資生堂
白木賢太郎 筑波大学
岩下和輝 筑波大学
角田裕三 (有)スミタ化学技術研究所
遠藤洋史 東京理科大学
河合武司 東京理科大学
倉島義博 日本ゼオン(株)
矢野浩之 京都大学
河崎雅行 日本製紙(株)
佐藤明弘 星光PMC(株)
伏見速雄 王子ホールディングス(株)
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<<目次>>
第1章 微粒子分散・凝集の工学
1 水系・非水系における分散・凝集制御
1.1 ゼータ電位と粒子間相互作用
1.1.1 粒子の荷電の原因
1.1.2 ゼータ電位とは
1.1.3 粒子間の距離と引力・反発力エネルギー
1.1.4 ゼータ電位による凝集・分散の制御
1.2 非水系での凝集・分散
1.2.1 無極性非水溶媒中の凝集・分散
1.2.2 極性のある非水溶媒中での凝集・分散
2 凝集分散系のレオロジー
2.1 はじめに
2.2 凝集分散系の基本的なレオロジー挙動
2.2.1 擬塑性流動と降伏応力
2.2.2 凝集分散系の動的粘弾性
2.3 凝集分散系におけるチクソトロピー挙動
2.3.1 粘度の時間依存性と履歴挙動
2.3.2 チクソトロピー挙動の測定
2.4 特異な粒子間相互作用の導入と分散系のレオロジーコントロール
2.4.1 高分子と界面活性剤の併用によるレオロジーコントロール
2.4.2 会合性高分子によるレオロジーコントロール
2.5 おわりに
3 凝集速度の制御
3.1 はじめに
3.2 自由拡散による凝集速度
3.3 粒子間の相互作用
3.4 相互作用場における凝集速度と安定度比
3.5 2次極小を考慮した凝集
3.6 おわりに
第2章 分散・凝集技術
1 分散・凝集の計測と評価 1.1 沈降による評価
1.2 沈降静水圧による評価
1.3 浸透圧による評価
1.4 顕微鏡による直接観察
1.5 分散・凝集評価において注意すべき点
1.5.1 粒子径分布との対応
1.5.2 粘度との対応
2 混合・分散装置
2.1 分散系の流動分散の理論的背景
2.1.1 変形と流動
2.1.2 軌道理論による凝集粒子の分散
2.2 普通撹拌機による分散
2.2.1 回転翼の長さ
2.2.2 粒子の浮遊限界撹拌速度式
2.3 粒子-液系における物質移動
2.4 高速撹拌機による分散
2.5 コロイドミルによる分散
2.6 メディア(媒体)式分散機
2.6.1 メディア式分散機の形態
2.6.2 運転方法
2.7 超音波分散機
3 ビーズミルでの分散技術
3.1 はじめに
3.2 ビーズミルの分散原理
3.3 ビーズミルの運転方法
3.4 ビーズミルの分散効率に影響を与える因子
3.4.1 ビーズ径
3.4.2 ビーズ充填率およびアジテータ周速
3.5 過分散とマイルド分散
3.5.1 過分散
3.5.2 マイルド分散
3.6 ナノ粒子分散大量生産用ビーズミル
3.7 おわりに
4 フィラー分散技術
4.1 はじめに
4.2 フィラーの表面処理技術
4.2.1 シラン剤
4.2.2 チタネート剤
4.2.3 その他のカップリング剤
4.3 フィラー形状が複合材料の特性に及ぼす影響
4.4 フィラーの表面処理手法
4.4.1 湿式加熱法
4.4.2 湿式濾過法
4.4.3 乾式撹拌法
4.4.4 インテグレルブレンド法
4.4.5 スプレードライ法
4.5 フィラーと樹脂の混練分散技術
4.5.1 樹脂とフィラーとの混練性
4.5.2 ナノフィラーを取扱う際の留意点
5 スラリーの調製・分散技術
5.1 はじめに
5.2 付着力
5.3 界面活性剤および水溶性高分子のスラリー分散効果
5.3.1 マグネタイト粒子への吸着
5.3.2 沈降試験
5.3.3 分散スラリーの調製
5.4 おわりに
6 シランカップリング剤の活用
6.1 はじめに
6.2 シランカップリング剤の構造と機能
6.2.1 なぜ有機-無機材料界面の制御が必要か
6.2.2 シランカップリング剤の構造
6.2.3 シランカップリング剤の反応
6.2.4 シランカップリング剤の作用機構
6.2.5 シランカップリング剤の処理効果
6.3 シランカップリング剤の使用・選択法
6.3.1 シランカップリング剤の使用法
6.3.2 シランカップリング剤の使用量
6.3.3 シランカップリング剤の選択基準
6.4 効果的なシランカップリング剤処理法
6.4.1 無機材料表面に薄層(単分子層)を形成させる
6.4.2 溶解度パラメーター(SP値)をそろえる
6.5 おわりに
第3章 工業における分散・凝集
1 トナーの製造における分散制御技術
1.1 はじめに
1.2 電子写真法とトナー製法の変遷
1.3 代表的なケミカルトナープロセスとその特徴
1.3.1 懸濁重合法
1.3.2 乳化重合凝集法
1.3.3 溶解懸濁法
1.3.4 エステル伸長重合法
1.4 ケミカルトナーの画質特性
1.5 おわりに
2 インクジェット(IJ)インクの分散と凝集の制御
2.1 インク機能の3要素
2.2 顔料分散
2.3 インクの調製
2.4 分散状態の測定
2.5 容器内及び装置上の安定性
3 ゴム・エラストマーにおけるフィラー分散制御
3.1 はじめに
3.2 工業的に行われている一般的なゴムへのフィラー分散技術
3.3 無機フィラーのゴム中へのナノ分散系
3.3.1 CB,シリカのナノ分散系
3.3.2 クレーのナノ分散系
3.3.3 カーボンナノチューブ(CNT)のナノ分散系
3.4 有機フィラーのゴム中へのナノ分散系
3.4.1 ゴム中でのin situ有機フィラー合成
3.4.2 セルロースナノファイバー(CNF)のナノ分散系
3.5 おわりに
4 セメントの分散制御とコンクリートの流動性制御
4.1 はじめに
4.2 化学混和剤
4.3 セメント系分散剤
4.4 分散剤によるセメントの分散機構
4.5 ポリカルボン酸系分散剤について
4.6 セメント系材料の粉体設計
4.7 おわりに
5 ハードコート材へのフィラー分散
5.1 はじめに
5.2 赤外線遮蔽ハードコートの設計コンセプト
5.3 赤外線遮蔽機能付与プライマーコートの検討
5.3.1 赤外線遮蔽機能付与プライマーコートの調製
5.3.2 赤外線遮蔽効果の最適化
5.3.3 塗料の保管における注意点
5.4 赤外線遮蔽ハードコートの性能
5.5 まとめ
第4章 環境と生活における分散・凝集
1 排水処理における凝集剤の利用法
1.1 はじめに
1.2 凝集処理の概要
1.3 無機凝結剤の種類と特徴
1.4 有機凝結剤の種類と特徴
1.5 排水処理用高分子凝集剤の種類と特徴
1.6 汚泥処理の概要と脱水用高分子凝集剤
1.7 排水処理の効果的なシステム
2 大気エアロゾル(PM2.5)の生成プロセス
2.1 大気エアロゾル
2.2 エアロゾル粒子の大きさ(粒径)
2.3 粒径分布
2.4 生成プロセス(1) 分散による生成
2.4.1 地表面から発生するエアロゾル粒子(土壌粒子)
2.4.2 海面から発生するエアロゾル粒子(海塩粒子)
2.5 生成プロセス(2) 気体の粒子化による生成
2.5.1 単成分単相粒子生成
2.5.2 多成分単相粒子生成
3 マイクロバブル群の超音波場における凝集と再分散
3.1 マイクロバブル
3.2 拡大視野下でのマイクロバブルの動的挙動の観察
3.2.1 実験装置
3.2.2 超音波照射がマイクロバブルの動的挙動におよぼす影響
3.3 超音波場でのマイクロバブルの凝集・合一
3.4 超音波によるマイクロバブルの急速脱泡
3.4.1 実験装置
3.4.2 超音波が脱泡速度におよぼす影響
3.5 おわりに
4 粉体化粧料における微粒子の分散・成型
4.1 はじめに
4.2 粉体化粧料に配合される微粒子とその役割
4.3 化粧料における微粒子の分散・成型技術
4.3.1 表面処理
4.3.2 界面活性剤の配合
4.3.3 粉体成型
4.4 おわりに
5 紫外線散乱剤の分散技術
5.1 はじめに
5.2 分散安定化の考え方
5.3 紫外線散乱剤分散系の評価方法
5.3.1 紫外線防御性に及ぼす分散状態の影響
5.3.2 レオロジー解析の妥当性および必要性
5.3.3 紫外線散乱剤サスペンションのレオロジー解析
5.3.4 紫外線防御性とレオロジー特性との相関性
5.4 おわりに
6 タンパク質の凝集:モデルと測定法
6.1 はじめに
6.2 タンパク質凝集のモデル
6.3 昇温にともなうタンパク質凝集
6.4 一定温度でのタンパク質の加熱凝集
6.5 タンパク質凝集の測定法
6.6 最後に
第5章 先端ナノテクノロジーにおける分散・凝集
1 カーボンナノチューブの液相および固相分散技術
1.1 はじめに
1.2 カーボンナノチューブの分散における留意点
1.2.1 CNTの観点から
1.2.2 マトリックス(分散媒)の観点から
1.2.3 濡れ剤と分散剤の観点から
1.2.4 分散機の観点から
1.2.5 分散終点の判定
1.3 カーボンナノチューブの分散事例
1.3.1 水中での液相分散
1.3.2 超臨界二酸化炭素を用いたポリカーボネート樹脂中でのCNT分散
1.3.3 亜臨界水を用いた熱可塑性樹脂中でのCNT分散(湿式亜臨界解砕法)
1.3.4 弾性混練法によるCNT/ゴムセルレーション複合材料
1.4 おわりに
2 グラフェンの樹脂分散技術
2.1 はじめに
2.2 グラフェンの特性
2.2.1 グラフェンの分子構造
2.2.2 グラフェンとCNTの比較
2.3 グラフェンおよび酸化グラフェンの製造
2.3.1 グラフェンおよび酸化グラフェンの合成方法
2.3.2 グラフェン類縁体の分類
2.4 グラフェンおよび酸化グラフェンの分散制御
2.4.1 両グラフェンの化学修飾
2.4.2 両グラフェンとポリマーの複合•分散化
2.4.3 ポリイオンコンプレックス形成を利用した酸化グラフェンの自在成形
2.5 おわりに
3 リチウムイオン二次電池のバインダー分散技術
3.1 はじめに
3.2 負極用バインダー
3.2.1 負極用バインダーの種類と特徴
3.2.2 スラリー作製上の留意点
3.2.3 乾燥工程上の留意点
3.3 正極用バインダー
3.3.1 正極用水系バインダー
3.3.2 水系バインダーの分散性
3.3.3 水系正極用バインダーを用いた電池の性能
3.4 まとめ
4 セルロースナノファイバーの製造と分散技術
4.1 はじめに
4.2 セルロースナノファイバーの構造と物性
4.3 セルロースナノファイバーおよびウィスカーの製造
4.4 セルロースナノファイバーおよびウィスカーによるラテックス補強
4.5 構造用セルロースナノファイバー強化材料
4.6 透明ナノコンポジット
4.7 セルロースナノファイバーの染色
4.8 おわりに
5 TEMPO酸化セルロースナノファイバーの分散性について
5.1 はじめに
5.2 CSNFの製造方法とナノ分散化のメカニズム
5.2.1 樹木の階層構造とセルロースミクロフィブリルのナノ分散
5.2.2 CSNFの製造方法
5.3 CSNFの水中における分散性
5.3.1 分散状態の評価法
5.3.2 カルボキシル基量の影響
5.3.3 樹種による影響
5.3.4 分散液中の塩濃度による影響
5.4 CSNFの特長と分散剤としての利用
5.4.1 CSNFの特長と主な用途
5.4.2 CSNFの粘弾性特性
5.4.3 CSNFの分散剤としての利用
5.5 おわりに
6 変性・改質によるセルロースナノファイバーの分散・凝集状態の制御と熱可塑性樹脂との複合化
6.1 はじめに
6.2 CNFの変性・改質について
6.3 静電相互作用を利用したCNFの変性・改質
6.4 変性CNF強化樹脂
6.5 おわりに
7 セルロースナノファイバーの製造と透明シート化技術
7.1 はじめに
7.2 CNF製造技術
7.2.1 酸化処理
7.2.2 エステル化
7.3 CNFの透明シート化技術とその物性
7.3.1 CNFの透明シート化技術
7.3.2 CNF透明シートの物性
7.4 CNF樹脂コンポジットの開発
7.5 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2022年1月号
¥2,200
<著者一覧>
川畑伊知郎 東北大学
福永浩司 東北大学
町原加代 高知大学
難波卓司 高知大学
建部陽嗣 量子科学技術研究開発機構
徳田隆彦 量子科学技術研究開発機構
伊藤-佐々木隆広 東北大学
伊藤健太郎 東北大学
山口皐平 群馬大学
栁澤理央 群馬大学
大木佑哉 群馬大学
酒井真理 群馬大学
松村彰彦 群馬大学
加田 渉 群馬大学
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BIO REVIEW
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レビー小体病を予防可能な新規中分子治療薬の開発
Development of Novel Medium-molecular Therapeutics for Lewy Body Disease
超高齢化社会の到来により,認知症や運動疾患の増加が社会問題である。本稿では,パーキンソン病やレビー小体型認知症の原因タンパク質αシヌクレインの神経細胞取り込みと凝集,細胞間伝播の新しい分子機序を解説する。また,その根本的予防が可能な低分子化合物,新規中分子治療薬の開発について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 脂肪酸結合タンパク質依存的なαシヌクレインの細胞内取り込み機構
3 ドパミン受容体とカベオラによるαシヌクレインの細胞内取り込み制御
4 αシヌクレインの凝集と伝播を予防する新たな治療薬開発
5 おわりに
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スピルリナによる新たな抗酸化作用の発見
Spirulina Ingredient Increases Antioxidant Capacity in Senescent Fibroblasts.
スピルリナの新たな作用として老化線維芽細胞で抗酸化タンパク質の発現を誘導することで抗酸化能力を上昇させて,低下していたミトコンドリアの機能を回復させること,及びコラーゲンの産生量を増加させることを見出した。これにより,スピルリナはアンチエイジング作用を期待した新規素材としての開発が期待される。
1 はじめに
2 細胞老化とミトコンドリア
3 スピルリナによる老化細胞ミトコンドリアの機能回復
4 スピルリナによる細胞の抗酸化作用の増強
5 おわりに
-------------------------------------------------------------------------
認知症の血液診断法の開発
Development of Blood Diagnostic Method for Dementia
認知症の治療薬開発が進む中で,早期診断や病態評価のために血液バイオマーカーの必要性が高まっている。アルツハイマー病病理の構成成分であるAβやタウは,病態を反映するバイオマーカーとしてこれまで脳脊髄液で定量がおこなわれてきた。近年,これらのタンパクは血液中でも正確に定量できるようになってきた。今後は,多種多様な認知症性疾患の脳病理をより包括的に診断・層別化ができる次世代のバイオマーカーシステムの確立が進行している。バイオマーカー(BM)は,「病的過程あるいは薬理学的な反応などを客観的に測定して評価される特性」と定義される。これまで脳神経疾患の生化学的BMは,主に脳脊髄液BMが開発の主体であったが,採取の手間や,侵襲性の高さなどの問題があり,臨床で応用されるにはいたっていない。そのため,血液や尿といった身近なサンプルによるBMの開発が強く望まれてきた。その中でも,脳神経疾患の血液BMが強く希求されており,最近のイノベーションによって血液BMの臨床応用が夢ではなくなってきている。
【目次】
1 アルツハイマー病のコアBMとそれら血液BMへの応用
2 ADバイオマーカーとしての血液中リン酸化タウ(p-タウ)の有用性
3 “A” myloid, “N” eurodegenerationおよびその他の血液BM
4 今後の展望
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世界初のLAL試薬を使用しないエンドトキシン検出法の開発
Development of LAL-free Endotoxin Detection Methodll Adhesion and Desorption
Coulter-counter法を用いたエンドトキシンの連続モニタリング法を検討した。先端にナノポアを有するガラスナノピペットの内部にエンドトキシンを含む透析液を入れ,エンドトキシンフリー透析液のバルク溶液にピペット先端を浸した。ピペット内-バルク間で1 V印加して電流変化を観察した結果,エンドトキエンドトキシン濃度の上昇とともにパルス状の電流変化の現れる頻度が上昇した。本手法はこれまでに実現されていない透析や製薬工場のラインへの組込みができるエンドトキシン検出法としての応用が期待される。
【目次】
1 緒言
2 実験
2.1 試薬調製と電極作製
2.2 エンドトキシン定量
3 結果および考察
3.1 ナノピペットの評価
3.2 エンドトキシン定量
4 結言
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重粒子線がん治療場での臨床線量の評価を目的とした半導体線量計の開発
Development of Semiconductor-based Dosimeter for Evaluation of Clinical Dose in Carbon Beam Cancer Treatment Field
「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現を目指す上で,重粒子線がん治療技術は重要な役割を果たしている。治療高度化につれ,線エネルギー付与(LET)に代表される粒子線の特徴量の測定が必要となっている。本稿では,エネルギー分解能や放射線耐性に優れたワイドバンドギャップ半導体を用いた線量計の開発と実際の治療場での測定例を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 臨床線量計の開発
2.1 がん治療場での重粒子線照射
2.2 半導体線量計の開発
2.3 計測評価の流れ
3 実験結果
3.1 LETスペクトルの測定
3.2 今後の展開,LET解析とRBE推定
4 まとめ
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BIO BISINESS
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医薬品工業
世界の医薬品市場は2014 年に1 兆ドルを突破し,2020 年には1 兆1,800 億ドルを超え,今後も3~6%程度の成長が見込まれている。2019 年の国内医薬品の生産金額は,9 兆4,860 億円となり,前年比37.3%の伸びを示した。医療用医薬品,一般医薬品とも増加したが,配置用家庭薬は減少した。全体的にみると生産金額は年によりばらつきがあるが,製薬業界にとって厳しい状況が続いている。また,2019 年末から発生しているコロナウイルス(COVID-19)による肺炎に関して,IQVIA は,国内のコロナワクチンの市場規模は,21 年度2,250 億円,22 年度500 億円,23 年度1,150 億円,24 年度300 億円,25 年度900 億円と予測している。
1 医療用医薬品
1.1 生産動向
1.2 輸出入
1.3 世界市場
1.4 国内動向
2 一般用医薬品
2.1 生産動向
2.2 市場動向
2.3 企業動向
3 臨床検査薬
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≪BIO PRODUCTS≫
N-アシルグルタミン酸塩(N-Acylglutamate)
L-ロイシン (L-Leucine)
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月刊バイオインダストリー 2021年12月号
¥2,200
<著者一覧>
高谷智英 信州大学
藤原良介 (国研)理化学研究所
野田修平 (国研)理化学研究所
田中 勉 神戸大学
上村靖司 長岡技術科学大学
杉原幸信 長岡技術科学大学
山口哲志 東京大学
嶋田和貴 京都大学
七夕高也 (公財)かずさ DNA研究所
磯部祥子 (公財)かずさ DNA研究所
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BIO REVIEW
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核酸医薬品シーズとしての微生物オリゴDNA
Bacterial Oligodeoxynucleotides as Nucleic Acid Drug Seeds
核酸医薬品は,抗体医薬品に続く次世代医薬品として注目されている。中でも,標的分子と特異的に結合するアプタマー(核酸抗体)は有望な創薬シーズである。筆者は最近,微生物のゲノム配列に由来するオリゴDNAが,アプタマーとして機能することを報告した。本稿では,創薬モダリティとしての微生物オリゴDNAについて解説する。
【目次】
1 核酸医薬品と微生物オリゴDNA
1.1 核酸医薬品の種類
1.2 微生物オリゴDNAの生理作用
2 筋形成型オリゴDNA
2.1 核酸医薬品のターゲットとしての幹細胞
2.2 乳酸菌ゲノム配列に由来する筋形成型オリゴDNA
2.3 抗ヌクレオリンアプタマーとしての筋形成型オリゴDNA
2.4 筋形成型オリゴDNAの応用展開
3 創薬モダリティとしての微生物オリゴDNA
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糖の使い分け技術・“代謝スパイス”を駆使した微生物発酵生産
Novel Bioproduction Technologies:Parallel Metabolic Pathway Engineering and Metabolic Spices
本稿では,微生物による物質生産に資する2つの技術を紹介する。複数の糖を使い分けるParallel Metabolic Pathway Engineering(PMPE)技術,及び,ごく少量を外から加えるだけで微生物の性能を最大限引き出す “代謝スパイス” 技術により,目的生産物の収率と生産量を大幅に向上させることが可能となる。
1 はじめに
2 糖を使い分ける技術:Parallel Metabolic Pathway Engineering
3 “代謝スパイス”の開発に向けたペリプラズムエンジニアリング
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美しく融けにくく飲料の味を変えない氷の製法
A Beautiful, Hard-to-melt Ice Making Methods for Beverages
見た目がきれいで融けにくく飲料の味を変えない「良い氷」とはどんなものなのか。それを作るにはどのような方法があって,それぞれの長所短所は何か。本稿では著者らが新たに開発した「放射製氷」と「連続引上げ製氷」の2つの技術について,その特徴,氷の品質,優位性,市場性について既存技術と比較しながら紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 良い氷の定義と製氷プロセスの理解
2.1 「良い氷」とは
2.2 品質の観点からの製氷プロセスの理解
3 製氷技術の種類
3.1 その場製造
3.2 バッチ製造
4 開発された新しい製氷技術
4.1 放射製氷(バッチ製造)
4.2 連続引上製氷(その場製造)
5 おわりに
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細胞の付着と脱離を光制御できる細胞培養基板
Cell Culture Substrates for Photo?Controlling Cell Adhesion and Desorption
細胞の解析や操作のために,細胞の基板表面への付着と脱離を遠隔操作する技術が求められている。我々は,細胞表層と相互作用する光応答性の合成分子を開発し,基板表面に修飾することによって,細胞の付着や脱離を光応答性に変換できる基板表面を創出してきた。本稿では,この光応答性表面の設計原理や性質と共に,応用研究についても紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 光照射によって細胞が付着しなくなる表面
3 光照射によって細胞付着性が可逆的に変化する表面
4 光応答性の細胞付着表面の応用
5 おわりに
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AIは緩和ケアの未来を拓く
AI is the Future of Palliative Care
現代ホスピス・緩和ケアは社会的ニーズを反映して世界に広まりつつあるが,その歴史はまだ若く,様々な課題を抱えている。特に大きな問題点として,人手不足,臨床における実践の困難さ,発展のための基盤的研究の困難さ,が挙げられる。これらの問題点に対して人工知能(Artificial Intelligence,以下AI)や機械学習(Machine Learning,以下ML)は抜本的解決策を提供できる可能性がある。読者にとって身近ではないと思われる緩和ケアの概要はAIやMLの応用を考える際に重要であるため,本稿では紙面を費やし説明する。
【目次】
1 緩和ケアの背景
1.1 世界と日本のホスピス・緩和ケアの歴史
1.2 実践
2 緩和ケアの課題
2.1 日本における緩和ケアの課題
2.2 地域における緩和ケアニーズの実地調査
2.3 緩和ケアになぜAIが必要か
3 緩和ケアにはどのようなAI研究が必要か
4 緩和ケアにおけるAI・ML研究の実際
4.1 自験例
4.2 緩和ケアにおけるAI・ML研究のポイント
5 AIやMLの臨床応用の見通し
6 まとめ
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個体ごとに植物の形質値と環境値を取得する技術開発
Development of Technologies to Obtain Phenotypic and Environmental Values for Individual Plants
近年,植物と植物を取り巻く環境値をより詳細に解析するための技術開発が行われ,多くの計測現場で利用が始まっている。我々は「個体ごとの形質値を非破壊かつ経時的に計測し,個体をとりまく全ての環境値を計測すること」を究極の理想として技術開発に取り組んでいる。本稿ではこれら技術開発の目的と現状について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 個体ごとの形質値と環境値の取得の必要性
3 個体ごとの評価を可能とする技術開発
3.1 形状計測
3.2 環境計測
3.3 個体やデバイス搬送の自動化
3.4 データベースと情報通信技術
4 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2021年11月号
¥2,200
<著者一覧>
森脇健司 弘前大学
川嶋大介 千葉大学
武居昌宏 千葉大学
鈴木宏和 鳥取大学
中後大輔 関西学院大学
大谷拓也 早稲田大学
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BIO R&D
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フレキシブルなフィルム型センサによる生体へ作用する力の評価
Development of Flexible Film-type Sensor for in Vitro Contact Force Measurement
細胞や生体分子のメカノバイオロジーや,医療機器の力学特性と治療効果や合併症リスクの関係など,幅広い範囲で生体と機器の界面に作用する力の理解への需要が年々増している。本稿では,筆者らが研究を進めてきたフレキシブルなフィルム型圧力センサの開発と生体医工学分野への応用例について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 フィルム型圧力センサ
3 バルーンカテーテル拡張時に血管に作用する力
4 引張力の測定と細胞組織評価への応用
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電気インピーダンストモグラフィ・スペクトロスコピーによる細胞の視える化技術
Electrical Impedance Tomography and Spectroscopy for Cell Visualization Technique
電気計測におけるコンピューテッド・トモグラフィ技術ならびに周波数解析手法である電気インピーダンストモグラフィ法および電気インピーダンススペクトロスコピー法は,簡便な非破壊検査手法として産業分野への応用が盛んに行われてきた。本稿では,これらを細胞インダストリーにおける新たな評価技術として応用するべく,著者がこれまで実施してきた細胞解析技術およびイメージング技術について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 電気計測概要
2.1 EIT法の計測原理
2.2 EIS法の解析法
3 細胞周りのイオン濃度の可視化計測
4 おわりに
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中等度好熱菌を利用してタンパク質をつくる
Production and Generation of Industrial Proteins in Moderate Thermophiles
Geobacillus属細菌は環境に広く分布した中等度好熱菌で,著者らは当該好熱菌の新たな利用法を模索している。本稿では,Geobacillus属細菌を用いて異種タンパク質を高生産させる(タンパク質を作る)研究と,同細菌を用いて耐熱化変異タンパク質を発生さらには選別する(タンパク質を創る)研究を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 Geobacillus属細菌の研究動向
3 Geobacillus属細菌でタンパク質を作る
4 温度によって代謝経路を制御する
5 Geobacillus属細菌で耐熱化変異タンパク質を創る
6 おわりに
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BIO ENGINEERING
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使用者の能動性を引き出す,人に寄り添う支援技術
Assistive Robotics Which Uses Its User’s Remaining Physical Strength According to Their Intention for Movement.
既存の支援装置の多くは機械が支援を行うため,使用者が自ら動作しようとする意志を弱め(依存心が生じる),さらに使用者が自らの力を使わないため身体の弱体化が進むという弊害がある。そのため,残存する個人の生体機能を最大限活用することが支援技術に求められる。本稿では,著者らが開発を進める起立支援装置,車椅子走行支援装置を例に,ロボット技術を応用した人に寄り添う支援技術の開発例を示す。
【目次】
1 家庭用起立支援機能付き歩行器
1.1 社会的な背景
1.2 開発した起立支援装置
1.3 起立支援装置の制御方法
1.4 今後の展望
2 サーボブレーキを用いたパッシブ型車椅子走行新装置
2.1 社会的な背景
2.2 開発したパッシブ型車椅子走行支援装置
2.3 使用者の意図推定とそれに基づく車輪制御法
2.4 今後の展望
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足裏反力再現による人型ロボット操縦システムの開発
Development of a Humanoid Robot Teleoperation System Using a Plantar Haptic Display
人間が自身の運動時に感じるのと同程度の圧力を提示可能な足裏感覚フィードバック装置を開発した。また,ロボットの重心変化による足裏荷重の変化を測定し,得られた荷重を被験者の足裏に再現した結果,小型人型ロボットの足裏反力を人間程度に拡大した場合,重心位置を高い精度で認識できることが確認できた。これにより,人型ロボットの安定性を認識できる可能性が示唆された。
【目次】
1 はじめに
2 足裏感覚フィードバック装置
3 人型ロボット操縦システムの開発
4 重心位置推定能力検証実験
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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口腔ケア用具・機器
【目次】
1 市場の概要
2 歯ブラシ
2.1 ライオン
2.2 サンスター
2.3 花王
3 電動歯ブラシ
3.1 パナソニック
3.2 フィリップス
3.3 P&G
3.4 サンスター
3.5 オムロンヘルスケア
3.6 ライオン
4 歯間洗浄品(歯間ブラシ/デンタルフロス/口腔洗浄器)
4.1 歯間ブラシ
4.2 デンタルフロス
4.3 口腔洗浄器
5 舌クリーナー
6 介護用口腔ウェットティッシュ
7 介護用口腔スポンジブラシ
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≪BIO PRODUCTS≫
L-スレオニン(L-Threonine)
ゼラチン(Gelatin)
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月刊バイオインダストリー 2021年10月号
¥2,200
<著者一覧>
境 慎司 大阪大学
小嶋 勝 大阪大学
岩永進太郎 富山大学
黒岡武俊 富山大学
中村真人 富山大学
南茂彩華 横浜国立大学大学院
景山達斗 横浜国立大学大学院
福田淳二 横浜国立大学大学院
伊野浩介 東北大学
宇田川喜信 東北大学
梨本裕司 東北大学
珠玖 仁 東北大学
花之内健仁 大阪産業大学
秋枝静香 (株)サイフューズ
木寺正晃 愛知産業(株)
渡辺紗由 愛知産業(株)
大嶋英司 (株)TKR
渡邉政樹 (国研)理化学研究所
辻村有紀 (国研)理化学研究所
山澤建二 (国研)理化学研究所
横田秀夫 (国研)理化学研究所
大山慎太郎 名古屋大学
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【特集】バイオプリンティング技術の開発動向
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特集にあたって
Introduction
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酵素反応をつかった3Dバイオプリンティング
Enzyme-mediated 3D Bioprinting
3Dバイオプリンティングは,3Dプリンタにデジタルデータを入力し,細胞を含む3次元構造物をプリントする技術であり,再生医療・組織工学分野の発展に寄与するものとして近年,多くの検討が行われている。本稿では,3D バイオプリンティングのなかでも,酵素反応をインクのゲル化に用いる研究の動向について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素反応
3 インクのゲル化に用いられる酵素反応
4 酵素反応をつかった3Dバイオプリンティング
4.1 連続押し出し方式:吐出前インク内での架橋形成
4.2 連続押し出し方式:吐出後インク内での架橋形成
4.3 インクジェット方式
5 おわりに
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光架橋反応を用いたバイオプリンティング技術
Bioprinting Using Photo-curing Technology
3Dプリンティング技術の発達に伴い,生きた細胞を含む3次元構造物を造形するバイオプリンティング技術が注目を集めている。この技術の発展には印刷手法,バイオインク双方の開発が不可欠であり,様々な手法が報告されている。本稿では,光架橋反応を応用したバイオプリンティングに関して,近年,著者らが開発した最新の手法を交えて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 光架橋反応を用いたバイオプリティング手法
2.1 連続押出し式を用いたプリンティング
2.2 インクジェット式を用いたプリンティング
2.3 液槽を用いたプリンティング
3 光架橋反応を用いたバイオインクとバイオプリンティングの実例
3.1 紫外光照射による光架橋反応を用いたバイオプリンティング
3.2 可視光照射による光架橋反応を用いたバイオプリンティング
4 終わりに
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アルギン酸を用いた3D組織・臓器ファブリケーションへの展開
Development of 3D Tissue/Organ Fabrication Using Alginate Hydrogel
本稿では3次元的に組織を構築する方法として,印刷技術を応用した「バイオプリンティング」や,細胞からなる微小なパーツを組み立てて重厚組織を構築する「バイオアセンブリ」の技術について論じる。また,これらの技術を用いて組織構築をする際に有用なバイオマテリアルとしてアルギン酸の利用に関して紹介していく。
【目次】
1 はじめに
2 バイオプリンティング技術による立体組織の作製
2.1 インクジェット式3Dバイオプリンタを用いた組織構築の構想
2.2 アルギン酸ベースのバイオインクを用いた積層印刷による3D構造の作製
3 バイオアセンブリ技術による立体組織の作製
3.1 微小パーツの積み重ねによる組織構築の構想
3.2 中空アルギン酸ゲルの利用:バイオパーツとしてのファイバー状組織を用いた3D組織構築
4 おわりに
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3Dバイオプリンティングによる培養皮膚や毛包の再生技術
Skin and Hair Follicle Regeneration by 3D Bioprinting Technology
培養皮膚は,重度の熱傷に対する新しい治療法として,または薬剤評価のための動物実験代替法としてその利用が拡大してきている。本稿では,3Dバイオプリンタを用いて,より高度な培養皮膚を構築する手法,および著者らの取り組んでいる皮膚付属器である毛包を再生するための手法について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 3Dバイオプリンティング技術を利用した培養皮膚研究
2.1 培養皮膚の3Dバイオプリンティング
2.2 in situ skin bioprinting
3 3Dバイオプリンティング技術を利用した毛包原基の大量調製
3.1 毛包を再生するための従来のアプローチ
3.2 細胞けん引力を利用した毛包原基の作製
3.3 3Dバイオプリンタを用いた大量調製技術の確立
4 おわりに
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電気化学反応を使ったハイドロゲルのバイオファブリケーション
Biofabrication of Hydrogels Using Electrochemical Reactions
電気化学反応を駆動力にしたバイオファブリケーション技術が開発されている。近年,3次元的に形状をデザインしたハイドロゲルの作製とその細胞培養への応用に関する報告が増加している。そこで本稿では,バイオファブリケーションに使われている電気化学反応の種類や,電気化学デバイス・システムについて簡単に解説する。
【目次】
1 はじめに
2 電気化学ハイドロゲル作製
3 様々な形状の電極を用いたハイドロゲルの作製
4 電極移動による電気化学ハイドロゲル作製
5 電極アレイを用いたハイドロゲルファブリケーション
6 その他の電気化学システム
7 おわりに
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関節治療におけるバイオプリンティング技術への期待
Expectations for Bioprinting Technology in Orthopaedic joint Therapy
およそ20年前に臨床医(整形外科医)としてのキャリアを開始した私は,一貫して骨と骨の間にある“関節”に対する診療に従事してきた(現在の本職は工学部教員だが,非常勤として活動を継続している)。その治療においてバイオプリンティング技術がどのように必要とされるかを説明し,現在までに経験したバイオプリンティングに関連した研究の紹介,および今後の期待について述べていきたい。
【目次】
1 関節治療とその延長にある再生医療
2 関節領域の再生医療のためのバイオプリンタ
3 バイオプリンタによるバイオインクの機械特性評価
4 3Dバイオプリンタを用いた超音波ゼリーのバイオインクとしての性能評価
5 バイオプリンタによる今後の期待
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スフェロイド積層によるスキャフォールドフリー3D細胞プリンティング技術の開発と臨床応用
Development and Clinical Application of Scaffold-free 3D Printing Technology using Spheroid
【目次】
1 はじめに
2 平面培養から三次元培養への変遷
3 三次元組織の構築
4 バイオ3Dプリンタ
5 サイフューズのバイオ3Dプリンタ
5.1 「regenova」(剣山(KINEZAN)方式のバイオ3Dプリンタ)
5.2 「S-PIKE」(串団子方式のバイオ3Dプリンタ)
6 バイオ3Dプリンタを用いた臨床開発事例
6.1 細胞製神経導管の開発事例
6.2 細胞製人工血管の開発事例
6.3 その他のパイプライン開発
6.4 創薬支援ツールへの応用
7 おわりに
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産業用金属3Dプリント技術の種類と技術概要
Metal Additive Manufacturing Technologies and Industrial Adaption.
金属のAM技術のうち金属粉末を材料とする技術から,Selective Laser Melting(SLM)方式,Laser Metal Deposit(LMD)方式,MoldJet-(MJ)方式,金属ワイヤを材料とする技術からElectron Bean Additive Manufacturing(EBAM)方式,Wire Ark Additive Manufacturing(WAAM)方式について,技術概要やその造形例を紹介するとともに,注目される周辺技術から小型で金属粉末を室内でアトマイズ可能な技術について紹介する。
【目次】
1 はじめに-金属積層造形技術の発展
2 SLM方式概要
3 LMD方式概要
4 バインダー方式概要
5 EBAM方式概要
6 WAAM方式概要
7 粉末材料について
8 まとめ
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直描露光装置としても光造形装置としても使える1台2役の高速/ 高精度な3Dプリンタ“SPACE ART”の開発
Development of “SPACE ART”, a High-speed / High-precision 3D Printer that can be used as both a Direct Imaging Exposure System and a Stereolithography Apparatus
SPACE ARTは一般財団法人素形材センターの2018年度「第34回素形材産業技術賞」で奨励賞を受賞,また2019年11月19 日~21 日に浜松で開催された「Future Technologies From Hamamatsu 2019」(電気学会,応用物理学会,日本機械学会や精密工学会など,日本の名立たる学会が参加している合同シンポジウム)では本装置の技術展示が最優秀技術展示賞を受賞するなど,本装置の機能/ 性能の高さや差別化技術が各種学会や業界に認められている。
現在は高精度なマイクロ流路,ラティス構造の造形や回路パターン形成との複合造形で超先端技術や創薬を研究している研究所や大学で採用され,絶大なる評価を得ている。また,直描露光装置(電子回路パターンやレジストパターンのマスクレス形成など)としてもウェアラブル用素材への回路パターン形成やMID/LDS(Molded InterconnectDevice/Laser Direct Structuring)的な使い方として曲面へのアンテナ回路形成など,各種の応用検討がされている。1 台2 役という他の3D プリンタには無い機能/ 性能により,バイオ用や医療用(デンタル)としても応用され始めている。
さらに,新しいビジネス用途を開拓するため,各種アプリケーションの開発や消耗材の開発も積極的に進めている。お陰様でモニタリング販売した各国立研究所や各大学などからの要望や改善点を取り込むことが出来,2021 年6 月から株式会社TKR で本格的に販売している。
【目次】
1 はじめに
2 SPACE ARTの特長
3 SPACE ARTの構造・仕様
3.1 直描露光装置(電子回路パターン/レジストパターン形成)仕様
3.2 光造形装置(3Dプリンタ)仕様
4 光学エンジンの構成
5 本装置の機能/性能
5.1 直描露光装置(電子回路パターンやレジスト形成)の機能/性能
5.2 光造形装置(3Dプリンタ)およびその他の機能/性能
6 おわりに(今後の展開)
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3D プリンタ向け新規人工骨材の開発
Development of α-TCP Scaffold Fabricated by Modified Binder Jetting Process
骨は力を受けることにより,密度やその内部構造を換えて,常に最適な形状に変化する。治療を必要とする患者に適した構造の人工骨を再現するためには,AM 技術が有望である。本論文では,骨内部の3 次元形状が反映できる新たな人工骨造形について,造形法,高精度・高強度化,生体適合性について紹介する。
【目次】
1 人工骨3Dプリンティングのための材料の特徴と開発
1.1 リン酸カルシウム系人工骨材料
1.2 αTCP粉末を用いたBJ法による人工骨の造形
2 新たな医療ニーズに即した高精度・高強度造形技術の確立
2.1 新規BJ法の開発
2.2 新規BJ法による造形材料の生体適合性評価
2.3 材料生体適応における課題と今後の展望
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月刊バイオインダストリー 2021年9月号
¥2,200
<著者一覧>
藤田智大 合同酒精(株)
塩田一磨 合同酒精(株)
青柳秀紀 筑波大学
中辻匡俊 大阪府立大学
乾 隆 大阪府立大学
渡邊雄二郎 法政大学
岩城光宏 大阪大学
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BIO R&D
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プロテアーゼ含有タンパク質試料の簡便な純度分析法の開発
Development of a Simple Method for Analyzing The Purity of Protease-containing Protein Samples
酵素などのタンパク質を医薬用途で使用する場合,純度を正しく分析する必要がある。一般的に,タンパク質の純度はSDS-PAGE法で分析されるが,試料がプロテアーゼを含む場合,目的タンパク質が分解し,純度が分析できない場合がある。本稿では,SDS-PAGE法で純度が測定できない具体例を示すと共に,簡便かつ正確な純度分析法について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 ゲルろ過クロマトフィーとSDS-PAGE法によるDプロテアーゼの分析
3 前処理時の阻害剤添加がDプロテアーゼのSDS-PAGE分析に及ぼす影響
4 前処理時の酸の添加がDプロテアーゼのSDS-PAGE分析に及ぼす影響7
5 前処理時の酸とEDTAの添加がDプロテアーゼのSDS-PAGE分析に及ぼす影響の比較
6 酸処理SDS-PAGE法とSDS-PAGE法の比較
7 酸処理SDS-PAGE法の応用と展望
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生体内輸送タンパク質による難水溶性薬剤の可溶化と経口投与
Solubilization of Poorly Water-soluble Drugs with Biocompatible Transport Proteins and Its Oral Administration
経口投与薬の開発において,候補化合物の溶解性と膜透過性は非常に重要な要素である。溶解性と膜透過性が十分に高い化合物は良好な経口吸収性を示し候補化合物となるが,膜透過性は高いが難水溶性である化合物は開発段階で脱落する。本稿では,生体内輸送タンパク質を難水溶性化合物の可溶化剤として用いた新規経口固形製剤の開発について紹介する。
【目次】
1 医薬品の溶解性と経口投与
2 Lipocalin-type prostaglandin D synthase (L-PGDS) の機能とドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用
3 L-PGDSを利用した経口固形製剤の作製
4 pH非依存的な薬物放出製剤の作製
5 終わりに
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ゼオライト複合体培地及びシートを使った葉物野菜の栽培技術
Cultivation Techniques of Leafy Vegetables Using Zeolite Composite Mediums and Sheets
ゼオライトに水酸アパタイト(HA)を複合化したゼオライト/HA複合体及びそのシートは,水を供給するのみで窒素(N),リン(P),カリウム(K)などの肥料成分を徐々に放出する過剰な施肥を必要としない低環境負荷型のスマート培地として利用できる。本研究ではゼオライト/HA複合体の製造法と肥料成分の徐放性,複合体及びそのシートを使ったゼオライト培地による葉物野菜の生育結果について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ゼオライト複合体及びシートの製造法
3 ゼオライト複合体及びシートからの肥料成分溶出挙動
4 複合体及びシートを用いた葉物野菜の生育
5 おわりに
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BIO ENGINEERING
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DNA を材料とした世界最小のコイル状バネの開発と利用方法
World’s Smallest Spring made from DNA and The Applications
生命科学や材料科学において,分子スケールでの機械的な力を可視化・制御する技術が求められている。筆者は,DNA を材料に,設計変更可能な分子サイズのバネ「ナノスプリング」の開発に世界に先駆けて成功した。世界最小のコイル状バネであり,本稿では,生命科学への応用を中心とした取り組みも含めて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ナノスプリングの設計
3 ナノスプリングの製造
4 生命科学研究への応用に向けて
5 生命科学研究での応用例
6 今後の展望
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BIO BUSINESS
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化粧品工業
2019 年の化粧品の出荷実績は出荷個数31 億7,716 万個( 前年比101.8 %), 出荷金額1 兆7,611 億円(前年比104.0%)となり,市場が拡大している。メーカー各社がシワ改善を訴求した薬用化粧品を投入し,中高年層だけでなく若年層にも高機能商品の需要が拡大した。薬用化粧品が好評を博していることから今後も機能性化粧品市場の拡大が見込まれる。2019 年1 月に中国で電子商取引法(中国EC 法)が施行されたことで,インバウンド市場の拡大幅は縮小した。海外に目を向けると,ASEAN 5ヵ国(インドネシア,タイ,フィリピン,ベトナム,マレーシア)では経済成長による個人消費の拡大により化粧品市場が拡大し続けている。日系化粧品メーカーも同市場で製品やブランドを根付かせていくために売り込みに力を入れている。
【目次】
1 需給動向
2 輸出入動向
3 化粧品受託製造市場の動向
4 日系メーカーの海外戦略
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再生医療
経済産業省の算出によると,再生医療の周辺産業まで含めた市場規模は,2012 年の260 億円から急速に拡大し,2030 年には1.6 兆円に達すると予測されている。2014 年には再生医療推進に向け新たな法律も施行され,早期承認への道筋がつけられたほか,これまでは医療機関に限られていた細胞培養加工等の外部委託が可能となり,周辺産業も含めた市の活性化が期待されている。
【目次】
1 概要
2 関連制度と体制
3 研究開発動向
4 メーカー動向
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主な脂肪酸の市場動向
【目次】
1 油脂原料(植物油)の生産動向
1.1 大豆油
1.2 菜種油
1.3 パーム油
1.4 パーム核油
2 国外の需給状況
3 国内の需給状況
3.1 植物油(植物油脂)
3.2 動物性油脂
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≪BIO PRODUCTS≫
コンドロイチン硫酸ナトリウム(Sodium chondroitin sulfate)
グアーガムグアーガム(Cyamoposis gum)
グルコアミラーゼ(Glucoamylase)
ゲラニオール(Geraniol)
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月刊バイオインダストリー 2021年8月号
¥2,200
<著者一覧>
戸嶋一敦 慶應義塾大学
高橋大介 慶應義塾大学
佐々木 要 東邦大学
植﨑菜々子 東邦大学
小西彬仁 大阪大学
角永悠一郎 大阪大学
真鍋良幸 大阪大学
深瀬浩一 大阪大学
安田 誠 大阪大学
眞鍋史乃 星薬科大学;東北大学
安藤弘宗 岐阜大学
小林祐輔 京都薬科大学
竹本佳司 京都大学
清水弘樹 (国研)産業技術総合研究所
梶 英輔 北里大学
牧野一石 北里大学
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【特集】第三の生命鎖「糖鎖」を構築する合成化学~グリコシル化の最前線~
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特集にあたって
Introduction
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ホウ素媒介アグリコン転移反応と病原菌糖鎖合成への応用
Boron-Mediated Aglycon Delivery and Its Application to the Synthesis of Pathogenic Bacterial Oligosaccharides
β-ラムノシドやβ-マンノシドなどの1,2-cis-β-グリコシドは,様々な病原菌の抗原糖鎖中に含まれており,これら抗原糖鎖の合成とワクチン開発への応用が期待されている。しかし,1,2-cis-β-グリコシドは,立体選択的な構築が最も困難な結合様式の一つであることから効率的な合成法の開発が急務である。このような背景の中,著者らは近年,新たな1,2-cis 立体選択的グリコシル化法として,ホウ素媒介アグリコン転移反応(BMAD)を開発し,本手法を用いた応用研究に取り組んでいる。本稿では,BMAD 法を用いたβ-ラムノシル化反応の開発と病原性大腸菌糖鎖合成を行った最近の報告例について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ボリン酸触媒を用いた立体選択的β-ラムノシル化反応の開発
3 ボロン酸触媒を用いた位置および立体選択的β-ラムノシル化反応の開発
4 病原性大腸菌O1由来五糖の合成と鳥類病原性大腸菌O1の抗原候補糖鎖の解明
5 おわりに
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異常配座糖を用いたグリコシル化
Glycosylations Using Donors Bearing Unusual Conformations
一般的なマンノシル化反応はSN1 反応が優勢となり,α-グリコシドを与える。一方,配座を捻った2,6-ラクトン糖供与体は,SN2 反応を優勢とするのみならず,SN1 反応でもβ-グリコシドを与える。そして,2,6-ラクトングリコシドは立体配置決定も容易である。立体配座に注目し,既往の反応と2,6-ラクトン法を解説する。
【目次】
1 はじめに
2 糖鎖の化学合成における古典問題
3 ピラノースの立体配座
4 既往のマンノシル化反応の反応機構と立体選択性
5 2,6-ラクトン糖供与体のデザインと合成
6 1,2-cis-β-立体選択的グリコシル化反応の実証
7 立体配置の決定
8 偶然の発見と展望
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カゴ型アルミニウム触媒を用いた立体選択的グリコシル化
Stereoselective Glycosylation Catalyzed by Cage-shaped Aluminum Complex
ルイス酸はグリコシル化反応における重要な反応試剤である。温和な条件下で進行する立体選択的グリコシル結合形成は,ルイス酸を用いた触媒的グリコシル化の大きな課題とされてきた。筆者らは13 族典型元素に注目し,そのルイス酸触媒の性状制御に取り組んできた。本稿では,独自の触媒系であるカゴ型アルミニウム錯体の合成と室温下におけるβ選択的グリコシル化について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 カゴ型アルミニウム錯体の合成
3 カゴ型アルミニウム錯体を用いた触媒的グリコシル化
4 カゴ型アルミニウム錯体のルイス酸性と糖供与体活性化の機構
5 まとめと展望
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有機光酸触媒を用いた光グリコシル化
Photo-induced Glycosylations Using Organophotoacids
生命現象を左右する生体機能分子として,また,次世代の機能材料として注目される糖質。現在,この実用的な合成技術の開発が強く望まれている。本稿では,いくつかの有機光酸触媒を用いた環境調和型のグリコシル化反応による配糖体の高効率かつ簡便な合成法について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 ナフトール誘導体を有機光酸触媒に用いたグリコシル化反応
3 芳香族チオウレアを有機光触媒に用いたグリコシル反応
4 おわりに
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糖環開裂反応を用いた立体選択的グリコシドの形成
Stereoselective Glycoside Formation via Endocyclic Cleavage Reaction
アノマー炭素と環内酸素の結合が切断される,エンド開裂反応の存在を中間体の鎖状カチオンを捕捉することで証明した。N-アセチル2,3-trans カーバーメート基を持つピラノシドがエンド開裂反応を容易におこすことを用いて,これまでの合成法では困難であったアミノ糖の高選択的1,2-cis グリコシドの合成を行うことができることを示した。
【目次】
1 はじめに
2 アミノ糖の1,2-cis選択的グリコシル化反応:2,3-transカーバメート基を持つ糖供与体とオリゴ糖合成
3 2,3-transカーバメート基を持つ糖のエンド開裂による異性化反応
3.1 異性化反応の観測
3.2 立体電子効果理論によるピラノシド加水分解反応機構の理解
3.3 エンド開裂反応を経た異性化反応の合成化学への展開
3.4 複数のアノマー位立体化学の一挙変換反応
4 グルコース,ガラクトースの異性化反応,および他グループからのエンド開裂反応
5 おわりに
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架橋糖のグリコシル化
Glycosylation with Cyclically Modified Glycosyl Donors
糖環を横切るようにして架橋した糖供与体によるグリコシル化反応は,特異な立体選択性を示すことが知られており,グリコシル化反応の新たな選択肢として注目されている。本稿では,近年我が国で確立された架橋糖を用いるグルコシル化反応について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 架橋グルコース
2.1 3,6-架橋糖による立体選択的グリコシル化
2.2 3,6-架橋糖のさらなる発展
3 架橋シアル酸供与体によるα選択的グリコシル化
3.1 シアル酸の架橋によるグリコシル化の立体制御
4 最後に
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アミドのグリコシル化
Glycosylation of Amide
独自に開発したハロゲン化アゾリウム塩を触媒として用いることでアミドのβ-N-グリコシル化,およびα-N-グリコシル化を達成した。また,その過程でアミドがC2 位水酸基のアシル保護基に導入された特異なN-アシルオルトアミドが得られることを見出した。さらに,開発したアゾリウム触媒はアミドの2-デオキシグリコシル化にも応用できることがわかった。開発した触媒の機能と構造の関係についても述べる。
【目次】
1 緒言
2 β-N-グリコシドの合成
3 α-N-グリコシドの合成
4 2-デオキシグリコシドの合成
5 おわりに
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マイクロ波を用いたグリコシル化
Microwave Application for Carbohydrate Chemistry
マイクロ波は,効率加熱法として多くの化学反応系に利用されている。一方,多くのグリコシル化反応は低温中で行われるため,グリコシル化反応にマイクロ波が利用された例は非常に少ない。本項では,糖鎖合成分野でマイクロ波の活用例と,マイクロ波効果考察の際の一助となるマイクロ波作用の電磁気学的な解釈と分子レベルでの挙動についても述べる。
【目次】
1 マイクロ波とグリコシル化の相性
2 n-ペンテニル糖供与体反応
3 金属試薬反応とマイクロ波
4 マイクロ波作用の指標である誘電率
5 複素誘電率,実部と虚部の解釈
6 マイクロ波効果と糖鎖合成への利用展望む
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ボロン酸保護基を用いたグリコシル化
Glycosylation Reaction by Using Phenylboronic Acid as a Protective Reagent
フェニルボロン酸は糖質と混合するのみで,ヘキサピラノシドの4 位および5位ヒドロキシ基間やcis-1,2-ジオールと環状ボロン酸エステルを位置選択的に形成することが知られている。通常,形成されたボロン酸エステルは容易に加水分解を受けやすいが,この性質を利用することで糖アクセプターのヒドロキシ基を環状ボロン酸エステルで一時的にマスキングし,位置選択的なグリコシル化反応を行うことが可能である。
【目次】
1 はじめに
2 糖質に対するフェニルボロン酸の特性と位置選択的グリコシル化反応への応用
3 フェニルボロン酸の分子認識能を利用した完全無保護糖の位置選択的グリコシル化反応
4 まとめ
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月刊バイオインダストリー 2021年7月号
¥2,200
<著者一覧>
池 道彦 大阪大学
森川正章 北海道大学
藤原 拓 京都大学
前田守弘 岡山大学
尾形有香 (国研)国立環境研究所
井上大介 大阪大学
井藤賀 操 (株)ジャパンモスファクトリー
渡邊亮栄 DOWA エコシステム(株)
森 一博 山梨大学
遠山 忠 山梨大学
田中周平 京都大学
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【特集】SDGs と植物利用環境技術
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特集にあたって
Introduction
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ウキクサホロビオントが開くグリーンサーキュラーエコノミーへの扉
Door to The Green Circular Economy Being Opened by Duckweed Holobiont
ウキクサ(英語名称 Duckweed)は,毎年春先になると田んぼや池に自然発生しそして知らぬ間に消えてゆく,また人知れず小さな花を咲かせている。そんなはかないライフスタイルをもつ浮遊性水生植物の一群であるが,極寒地を除いて地球上のほとんどの場所で生育可能なタフな植物でもある。これまで,なにげなく見過ごされてきたこのウキクサが,次世代バイオマスとしていま脚光を浴びつつある。
【目次】
1 ウキクサとは
2 タンパク源としてのウキクサ
3 デンプン源としてのウキクサ
4 ウキクサ成長促進細菌の発見と活用
5 グリーンサーキュラーエコノミー(循環型グリーン経済)実現への展望
6 SDGsへの貢献
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持続可能な施設園芸に寄与するクリーニングクロップ導入・活用技術の開発
Development of Catch Crop Systems Contributing to Sustainable Horticulture
筆者らは,持続可能な施設園芸に寄与する除塩技術として,湛水の前にクリーニングクロップを導入することにより除塩,窒素溶脱抑制,亜酸化窒素放出抑制を同時に実現するとともに,その収穫物を有効利用するシステムの研究を行ってきた。本稿では,筆者らの研究成果を紹介するとともに,今後の展望についてまとめた。
【目次】
1 はじめに
2 クリーニングクロップ導入による施設園芸土壌からの窒素溶脱の抑制
3 クリーニングクロップ収穫物の土壌還元消毒への活用技術の開発
4 おわりに
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人工湿地システムを活用した熱帯地域における埋立地浸出水の環境負荷低減─持続可能な埋立地浸出水管理に向けて─
Reducing The Environmental Load of Landfill Leachate in Tropical Regions by Constructed Wetland Systems-Toward Sustainable Management of Landfill Leachate-
熱帯地域の埋立地浸出水管理において,浸出水貯留池からの未処理浸出水の越流防止と環境負荷の低減は優占課題である。本稿では,タイの廃棄物埋立地で実施した現場実証試験の成果を紹介するとともに,人工湿地システム導入によるSDGsへの貢献を整理した。
【目次】
1 はじめに
2 浸出水管理を対象とした人工湿地の活用の可能性
3 タイの現場実証試験を通じた人工湿地の水量削減効果の評価
4 人工湿地による環境負荷の低減
5 浮遊型人工湿地の開発
6 人工湿地システム導入によるSDGsへの貢献
7 おわりに
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非常時リスクに対応する高機能型植栽環境浄化ユニットの開発
Unit-Type Constructed Wetland as a Versatile Pollutants Removal Technology Applicable to Unexpected Outflow of Hazardous Chemicals
自然災害などの発生時には,直接的な人的・経済的被害だけでなく,事業所等からの有害化学物質流出に伴う副次的リスクが懸念される。本稿では,災害等の非常時に想定される制約条件下における化学物質リスクの低減に有望と考えられる,人工湿地の原理を応用した“高機能型植栽環境浄化ユニット”について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 非常時の浄化技術に求められる要件
3 人工湿地システムを応用した非常時リスク対応技術
3.1 人工湿地
3.2 人工湿地における浄化機構
3.3 人工湿地の非常時リスク対応技術への応用
4 植栽浄化ユニットによる様々な化学物質の除去能
5 おわりに
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廃鉱山の管理をエコ化する植物利用型坑廃水浄化技術
To Turn into a Sustainable Closed Mine Management with a New Green Remediation Technology
近年,コケ植物ヒョウタンゴケの原糸体が水中の鉛イオンを高蓄積する生物機能や特性が明らかとなり,実坑廃水中の鉛イオンを原糸体で浄化する基礎研究が実施された。本稿では基礎研究成果を紹介するとともに,コケ植物を利用する植物利用型坑廃水浄化技術で廃鉱山の管理をエコ化するポイントについて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 植物利用型坑廃水浄化技術
2.1 コケ植物ヒョウタンゴケの原糸体
2.2 二酸化炭素ガス吹き込み効果
2.3 性質改善
2.4 コケ植物ヒョウタンゴケの原糸体の鉛の吸着機構と吸着特性
2.5 実坑廃水中の鉛を除去する連続吸着試験
2.6 鉛吸着材として成型・加工する試み
3 国の天然記念物にも指定された六合(くに)チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地
4 おわりに
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植物を活用した浄化法導入による下水処理でのエネルギー消費削減の可能性
Application of Aquatic Plants Cultivation System to The Sewage Treatment Process for The Reduciton of Electric Power Consumption
人口普及率はおよそ80%で,処理工程では高度処理も適用されつつある下水道が我が国の水環境の保全に果たす役割は極めて大きい。しかし,下水道の維持管理に係る温室効果ガス排出の主要な要因ともなっている下水処理過程の更なる機能向上は喫緊の課題といえる。ここで,水生植物による栄養塩除去とバイオマス生産を下水処理に組み合わせることにより,消費エネルギーの削減効果が期待される。本合の消費エネルギーの削減効果を検討した。
【目次】
1 はじめに
2 植物を活用した水質浄化法
2.1 植生浄化法の原理
2.2 余剰植物バイオマスの有効利用
3 ウキクサによる高度処理を下水処理に適用する場合のエネルギーバランスの試算
3.1 ウキクサについて
3.2 ウキクサによる各種汚水からの窒素除去とバイオマス生産
3.3 ウキクサバイオマスからのバイオガス生産
3.4 キクサ栽培を三次処理として導入した下水処理のエネルギー生産量
4 おわりに
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ヨシ原の管理・再生による琵琶湖の生物多様性保全
Conservation of Biodiversity on Lake Biwa Shore by Management and Restoration of Reed Communities
著者らは2008~2011 年に琵琶湖岸のヨシ群落165 群落において,単独測位携帯型GPS 植生調査および地盤高測量を行い,絶滅の恐れのある植物種の地域別・群落形状別の生育環境特性を検討してきた。主な成果としては,1)環境省レッドデータブック(RDB)記載13 種,滋賀県RDB 記載25 種を確認した。2)最も多く貴重植物が出現した群落は琵琶湖北湖西岸の針江の群落であり,5 種の貴重植物(ミズネコノオ,ナガバノウナギツカミ,ヒメナミキ,ハナムグラ,ウスゲチョウジタデ)を確認した。3)貴重植物種の出現群落の中心地盤高と地盤高高低差との関係を検討し,群落の地盤高高低差45 cm 以上で貴重植物評価値が高くなる傾向を示した。4)地域別・群落形状別に多様な生育環境に植物種が存在し,琵琶湖岸で絶滅の恐れがある植物種が多く生育する植物群落は,針江,延勝寺,小野,塩津浜であることが示された。
【目次】
1 はじめに
2 調査および解析の方法
3 琵琶湖岸の絶滅の恐れのある植物種の分布
4 自生群落・植栽群落別の植生構造の特徴
5 地域別・群落形状別の貴重植物の生育環境
6 おわりに
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BIO BUSINESS
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抗菌・防カビ剤工業
抗菌・防カビ剤や防腐剤,防虫剤,忌避剤,木材防カビ剤はバイオサイドと呼ばれ,身近な日常品から医療・衛生用品,工業製品まで幅広い分野で使用されている。1990 年代半ばに抗菌ブームが巻き起こった我が国では,抗菌加工製品の市場規模は1 兆円を超えている。国外に目を向けても,中国や米国等で関心が高まっており,特に新型コロナウイルス蔓延以降は非常に速いスピードでの市場成長が予想される。
【目次】
1 概要
2 抗菌剤の種類
3 用途
4 メーカー動向
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産業用酵素工業
産業用酵素は食品,洗剤,医薬,試薬など広範な分野で利用されている。その市場規模を正確に把握することは非常に難しいとされているが,2019 年の世界市場は推計で6,500 億円との調査結果がある。さらに2025 年には9,500 億円へと,年6.5%の成長が予測されている。このような市場環境の中,わが国でも遺伝子組換え技術によるGMO 酵素が,環境問題やバイオエタノール需要の増加などの流れを受けて市場は拡大を続けている。産業用酵素の利用分野では,エコロジー,エネルギー,ファインケミカル,食品・飲料分野などでの伸びが今後も期待され,洗剤用酵素も液体洗剤へのニーズの高まりから引き続き需要が増大するものと思われる。
【目次】
1 酵素の市場概況
2 産業用酵素の市場
3 メーカー動向
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≪BIO PRODUCTS≫
イヌリン (Inulin)
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月刊バイオインダストリー 2021年6月号
¥4,950
<著者一覧>
飯田禎弘 神戸大学
田村厚夫 神戸大学
佐藤一臣 玉川大学
今村 亨 星薬科大学
伍賀正典 福山大学
小林悠輝 大阪大学
小林 光 大阪大学
島田昌一 大阪大学
今村亮一 大阪大学
香月 純 北九州市立大学
ドアン ティ ホン ヴァン 北九州市立大学
藤井翔太 北九州市立大学
櫻井和朗 北九州市立大学
礒田隆聡 北九州市立大学
藤元政考 九州歯科大学
吉居慎二 九州歯科大学
北村知昭 九州歯科大学
奥田正浩 同志社大学
柳瀬雄輝 広島大学
小澤光一郎 広島大学
秀 道広 広島大学
桐山善守 工学院大学
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BIO R&D
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人工設計ペプチドによる脂肪分解
Lipolysis by Designed Peptides
近年,世界的に肥満人口が増えており,これに起因,関連する健康障害を引き起こす肥満症を未然に防ぐために,肥満を解消する方法が求められている。私たちは,脂肪を分解する機能を持ったペプチドを人工設計することで,その解決を目指した。本稿では,その設計手法と脂肪分解の作用機序について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 人工設計ペプチドの特徴
3 設計方法
4 エステル分解能
5 脂肪分解の作用機序
6 まとめと展望
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最近のメラニン生成制御剤研究
An Updated Review of Melanogenic Regulators
異常なメラニン生成の改善または抑制は医療および化粧品分野において重要な課題である。本稿では筆者らの研究および最近のメラニン生成制御剤研究の動向について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 メラニン生成機構について
3 NSAIDsとメラニン生成
4 最近のメラニン生成制御剤研究
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咳止めの既存薬が抗がん剤耐性のがん細胞を傷害-がん治療に新たな光-
Existing Cough Suppressant Drug Damages Anticancer Drug-resistant Cancer Cells-a New Light for Cancer Therapy-
日本国内での既承認薬化合物のライブラリーをスクリーニングした結果,咳止めの既存薬であるヒスタミンH1受容体拮抗薬が,抗がん剤シスプラチンに対する耐性を獲得したがん細胞を選択的に傷害することを見出した。この発見はドラッグリポジショニングによるがん治療の新たな光となる可能性があり,早期の治療応用が期待される。(本稿は東京工科大学で実施した研究成果の紹介である)
【目次】
1 はじめに
2 承認医薬品のスクリーニングとクロペラスチンの選択
3 クロペラスチンと他のヒスタミンH1受容体拮抗薬の示す活性
4 ヒスタミンH1受容体拮抗薬はFGF13高発現細胞に選択的である
5 ヒスタミンH2, H3, H4受容体拮抗薬の耐性細胞傷害性は弱い
6 シスプラチンとクロペラスチンの併用で全てのがん細胞を傷害できる
7 FGF13発現レベルとクロペラスチン感受性,シスプラチン耐性は正に相関する
8 ヒスタミンはHeLa cisR細胞の増殖を促進する
9 クロペラスチンはHeLa cisR細胞のアポトーシスを誘導する
10 がん治療薬としてのクロペラスチンの可能性
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透明柔軟樹脂を用いた光学式触覚センサ
An Optical Tactile Sensor using a Flexible Transparent Resin
近年,社会の様々なシーンへロボットを導入し,多様な作業を実現することが求められている。このような場面では,高機能なロボットハンドが必要とされ,それに実装される人間の皮膚のような柔軟性と高い性能を持つ触覚センサが注目されている。本稿では,我々が提案している光学式触覚センサを試作し,性能評価を行い,展望を述べる。
【目次】
1 はじめに
2 透明柔軟樹脂を用いた光学式触覚センサ
2.1 特徴・構造と設計
2.2 製作・製造の方法
3 性能評価試験
4 おわりに
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シリコン製剤による体内水素発生と酸化ストレス性疾患の予防・治療
Internal Hydrogen Generation by Si-based Agent and Prevention of Oxidative Stress-induced Diseases
シリコン製剤は,24時間以上持続的に体内で水素を多量に発生させる。したがって,体内で生成する活性酸素,特に最も酸化力が高いヒドロキシルラジカルを効果的に消滅して酸化ストレスが低減する。本稿では,シリコン製剤による水素発生のメカニズムと,酸化ストレスが大きな原因となって起こる種々の疾患に対する効果を解説する。
【目次】
1 はじめに
2 シリコン製剤による水素発生
3 シリコン製剤によるヒドロキシルラジカルの消滅機構
4 シリコン製剤による慢性腎不全の防止
5 シリコン製剤によるパーキンソン病の防止
6 さいごに
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疎水性薬剤を可溶化するシクロデキストリン系ナノ粒子
Cyclodextrin-based Nanoparticles for Solubilizing Hydrophobic Drugs
現在,癌の治療において腫瘍患部のみに薬剤を送達するドラッグデリバリーシステム(通称:DDS)の構築が急務となっている。私たちはこれまで,疎水性薬剤を可溶化するシクロデキストリン系ナノ粒子の調製を報告してきた。本稿では,私たちが行ったナノ粒子の調製およびその薬剤キャリアとしての機能性を解説する。
【目次】
1 シクロデキストリン
2 シクロデキストリン系ハイパーブランチポリマー
3 新しい抗がん剤:α-マンゴスチン
4 CDNPの構造解析
4.1 CDNPの調製
4.2 DLS,SEC-MALS測定
4.3 CDNPの物性評価(1)
4.4 CDNPの物性評価(2)
5 CDNPとα-MGSの複合体形成
6 CDNP及びCDNP/α-MGS複合体の毒性評価
7 CDNP/MGSのin vivoでの抗がん作用
8 おわりに
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電気化学センサによる食中毒細菌の迅速検査
Rapid Test of Food Poisoning Bacteria Using an Electrochemical Sensor
現状の食品衛生検査は試料を1日培養し,菌数をカウントする方法が主流であり,時間と労力が必要である。また国内では2021年より,全ての事業者に対して国際的な食品衛生管理手法(HACCP)の運用が義務化された1)。本稿では食品衛生指標である大腸菌検査の簡易化のため,電気化学センサによる迅速検査の開発事例を紹介する。
【目次】
1 はじめに
1.1 Withコロナ社会における簡易検査のニーズ
1.2 食品衛生試験の現状とセンサ測定のニーズ
2 電気化学センサによる大腸菌の測定
2.1 携帯型センサシステム
2.2 大腸菌測定の方法
2.3 センサの検出性能
3 実用化の課題点
4 おわりに
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歯科用内視鏡診断の普及に向けたレンズ付アダプターの開発
Development of Lens Attached Adapter for Spread Activity of Dental Endoscopic Diagnosis
歯内部で歯のシンケイ(歯髄)が存在する直径 2 mm以下の狭小な管腔構造を根管という。根管を肉眼で観察・治療することは困難であり,国内の多くの歯科医師は手指感覚と自身の臨床経験を頼りに治療を行っている。歯科用実体顕微鏡や歯科用CTによって診断・治療の精度は大きく向上したが,これらの機器は十分に普及しておらず,加えて根管深部の微細構造検出にも限界がある。我々は,歯・歯髄の保存率向上に役立つ高精度診断機器をより普及させることを目的として,これまでに研究を進めてきた小型内視鏡プローブをペン型カメラに組み合わせるシステムを開発した。本稿では我々が開発した歯科用内視鏡とペン型カメラによる微細構造観察システム,および本技術を応用して歯科用内視鏡画像を歯科用実体顕微鏡で観察するシステムについて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 歯科用内視鏡とペン型カメラの融合
3 歯科用内視鏡と歯科用マイクロスコープの融合
4 まとめ
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BIO ENGINEERING
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表面プラズモン共鳴イメージングセンサによるアレルギー・がん診断法の開発
Application of Surface Plasmon Resonance for Clinical Test of Allergy and Cancer
センサ上の屈折率変化を高感度に検出できる表面プラズモン共鳴(SPR)センサと,センサ上の屈折率分布を二次元的に可視化できるSPR イメージング(SPRI)を利用した生細胞応答解析と,即時型アレルギーやがん診断法としての応用について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 SPR/SPRI センサによる生細胞応答解析
3 SPR/SPRIセンサの即時型アレルギー診断への応用
3.1 患者末梢血好塩基球を利用したアレルギー診断
3.2 IgE受容体発現細胞株と患者血清を利用したアレルギー診断
4 SPR/SPRIセンサのがん診断への応用
5 SPRIセンサの高機能化
6 まとめ
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ペダリング動作時における左右殿部接触力の精密な評価システム
A Bilateral Split Sensor to Evaluate Precise Contact Forces on a Saddle Surface During Pedaling Motion
自転車のペダリング動作における動力学的な評価を精密に行うため,サドルと殿部の接触位置や接触力を正確に取得する左右分割式サドル反力計を開発した。この反力計では,接触部における荷重中心位置とサドル反力を3 次元的に計測することができる。このセンサを用いることで,動力学的な評価だけでなく左右対称性などについても評価することが可能になる。
【目次】
1 はじめに
2 左右分割式サドル反力計
2.1 左右分割式サドル反力計の寸法
2.2 サドル平面の着力点の計測原理
2.3 高さ方向の着力点の算出方法
2.4 計測システム
3 計測例
3.1 誤差の分布
3.2 着力点とサドル反力の変化
4 着力点とサドル反力の可視化
5 左右分割式サドル反力計の評価
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BIO BUSINESS
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バイオ医薬品
これまで多くのブロックバスターを生み出してきた低分子化合物を用いた新薬が頭打ちになってきており,抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の市場が拡大している。バイオ医薬品の5割以上を占める2018 年の抗体医薬品の国内市場は11,051 億円程度とみられ,がん領域を中心に現在も多くの臨床試験が進められていることから,今後も安定した成長が期待される。大型医薬品の特許切れが相次ぐ中,メーカー各社は研究機関との共同研究やバイオベンチャーの買収によって新薬の投入を急いでいる。
【目次】
1 概要
2 業界動向
3 バイオシミラー
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月刊バイオインダストリー 2021年5月号
¥4,950
<著者一覧>
冨永昌人 佐賀大学
加納健司 京都大学
北隅優希 京都大学
里村武範 福井大学
髙村映一郎 福井大学
末 信一朗 福井大学
中村暢文 東京農工大学
三宅丈雄 早稲田大学
高松泰輝 早稲田大学
井上(安田)久美 山梨大学
志和地弘信 東京農業大学
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【特集】酵素バイオ発電・酵素バイオセンサ
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特集にあたって
Introduction
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酵素機能電極反応の速度論的解析法
Kinetic Analysis of Redox Enzyme-Functional Electrode Reaction
酸化還元酵素と電極反応の共役系を酵素機能電極反応と呼ぶ。この共役系の概念を,酵素の基質特異性や電荷移動形態を基礎に概説する。その上で,メディエータ型と直接電子移動型の定常触媒電流に焦点をあて,その解析法について説明する。論文に多く見られる間違いについても指摘する。
【目次】
1 酸化還元酵素と酵素機能電極
2 MET型酵素機能電極反応におけるメディエータの選択
3 多孔質電極でのMET型酵素機能電極反応の定常触媒電流
4 均一配向におけるDET型酵素機能電極反応
5 ランダム配向におけるDET型酵素機能電極反応
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固定化酵素における電極界面電場の影響
Effect of Electric Field on the Adsorbed Enzymes at the Electrode Surface
酸化還元酵素反応と電極反応の共役系である直接電子移動(DET)型の酵素電極反応は電極表面に吸着した酵素の状態を敏感に反映するため,それを解析することで電極表面における酵素の吸着量や配向が議論可能である。電極表面に局在する極めて強い電場である電気二重層が電極表面に吸着した酵素に与える影響についてDET 型の酵素電極反応に基づき検討した結果を紹介する。
【目次】
1 電解質溶液中での静電相互作用
2 電極の形状と電気二重層
3 固定化酵素の活性と電場
4 固定化酵素の配向と電場
5 おわりに
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人工酵素多段階酸化代謝経路を介した好熱性酵素バイオ燃料電池用アノードの開発
Development of a Bioanode for Thermophilic Enzyme Biofuel Cell Through an ArtificialEnzyme Cascade Pathway
バイオ燃料電池研究において電池の耐久化,高出力化が近年の課題となっている。本稿では,筆者が進めている耐久性電極用酵素素子である好熱菌由来酵素を複数組み合わせて電極上に多段階酸化代謝経路を構築することにより高出力で長期連続稼働を可能にするバイオ燃料電池の開発について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 バイオ燃料電池を長期間連続稼働可能にする耐久性電極用素子の開発
3 人工多段階酵素反応を利用したバイオ燃料電池用電極の開発
4 おわりに
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改変酵素による高性能バイオカソードの構築
Construction of High-performance Biocathode by Modifying Enzyme
近年,ウェアラブルデバイスや体内埋め込み型デバイス用電源としてのバイオ電池の研究が活発になっている。本稿では,筆者の所属する研究グループにおいて進めてきた酵素固定化のための酵素改変および優れた電極触媒を取得するための酵素改変について,カソード側に焦点を当てて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 マルチ銅オキシダーゼ
3 電極に固定化されたMcoPの配向制御によるバイオカソードの電気化学特性の向上
3.1 McoP C及びMcoP N発現用プラスミドの構築および発現・精製
3.2 MWCNT-McoP複合体の作製及び電気化学的評価
4 McoPの酸化還元電位改変によるバイオ電池の電池電圧向上
4.1 470番目のメチオニン(野生型McoP)をロイシン(McoP M470L)もしくはフェニルアラニン(McoP M470F)へ置換したMcoP発現用プラスミドの構築
4.2 各McoPの酵素化学的性質
4.3 各McoPの熱,pH及び長期安定性
4.4 各変異体McoPの酸素の還元に対する電気化学的評価
5 まとめ
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尿中がんマーカーを検出するためのアンペロメトリック酵素センサ
An Amperometric Enzyme Sensor for Detecting a Cancer Marker in Urine
L-フコースは,悪性腫瘍患者の血清中および尿中で濃度上昇することが報告されているマーカーであり,現在では特に肝・胆・膵の腫瘍マーカーとしての有用性が示唆されている。本稿では,このL-フコースを基質とする酵素の電極との直接電子移動反応に関する研究とその酵素固定化電極を用いたL- フコースの電気化学的な定量法の開発について述べる。
【目次】
1 序論
2 CcPDHの直接電子移動反応
2.1 全長CcPDHの直接電子移動反応
2.2 PQQドメインの直接電子移動反応
3 妨害物質の影響を受けないセンサ
4 まとめ
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酵素修飾繊維を用いた医療用計測レンズの開発
Wearable Smart Contact Lens With Enzymatic Biosensing Fibers
近年,視力を補強するウェアラブルな高度医療機器“コンタクトレンズ”に電子素子を搭載させることで,新奇機能を実現可能なスマートコンタクトレンズの開発が盛んである。特に,①視覚拡張機器,②疾病治療機器,③生体情報計測機器といった新市場に向けた材料・デバイス・システム開発が目立つ。本稿では,これら次世代デバイスの開発動向とその将来性を述べると共に,筆者らが取り組む医療用計測レンズについて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素修飾繊維
3 無線給電素子
4 無線給電式バイオセンシングレンズ
5 おわりに
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バイポーラ電極を用いるバイオセンサの開発
Development of Biosensors Using Bipolar Electrode
バイポーラ電極とは,電解質溶液中に外部電源とつながらない状態で置かれたワイヤレスな電極であり,一対の駆動電極間に電位を印加するだけで,多数の電極を同時に動作させることができる。バイポーラ電極のバイオセンサ利用に向けた興味深い報告が数多くなされているので,その代表的なものを整理し,筆者らの研究とともに紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 バイポーラ電気化学とセンサへの応用
3 バイポーラ電極を用いるバイオセンサ
4 バイオイメージングデバイスへの展開
5 おわりに
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BIO R&D
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ヤムイモから発見された植物生育促進・窒素固定細菌の特性解明と農業革新
Characteristic Elucidation on Plant Growth Promoting and Nitrogen Fixing Bacteria from Yams for Agricultural Innovation
本研究はヤムイモ(Dioscorea spp.)から発見された植物生育促進・窒素固定細菌の能力や特性を明らかにして,作物生産における窒素固定細菌の利用を確立するとともに,農業生産への利用による窒素化学肥料に依存しない持続的な食糧生産技術の開発を目指したものである。
【目次】
1 はじめに
2 ヤムイモから分離された窒素固定細菌
3 窒素固定細菌の多様性
4 植物生育促進細菌の発見
5 メタ16S解析法による細菌叢の特定
6 バイオ資材として実用化に向けた研究
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BIO BUSINESS
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健康食品・機能性食品工業
2019 年の特定保健用食品(トクホ)市場規模は6,493 億円(前年比101.0%)と推定され,ほぼ横ばいに推移した。トクホ茶をはじめとする中性脂肪・体脂肪関連商品が市場をけん引した。乳酸菌ブームに一服感がみられたが,新型コロナウイルスへの警戒感から2020 年2 月以降,再び需要が伸び始めている。一方,機能性表示食品の市場規模は2,557 億円(前年度比128.3%)と推定され,市場は大きく拡大した。全体的な届出件数の増加に加え,茶系飲料の大型商品が新規投入され市場をけん引した。届出手続の簡素化・迅速化が図られ,また新規関与成分による届出が続々と認められており,トクホに代わり機能性表示食品を活用する動きがさらに加速している。
【目次】
1 健康食品と機能性食品
2 トクホ市場動向
3 機能性表示食品市場動向
4 健康食品の機能別市場動向
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《BIO PRODUCTS》
イソマルトオリゴ糖(Isomaltooligosaccharide)
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月刊バイオインダストリー 2021年4月号
¥4,950
<著者一覧>
槻木恵一 神奈川歯科大学
山本健吉 花王(株)
小林 香 花王(株)
生野千佳 花王(株)
森 卓也 花王(株)
横尾岳大 (株)明治
狩野 宏 (株)明治
物部真奈美 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構
宮﨑義之 九州大学
笹野高嗣 医療法人明徳会
猿田樹理 神奈川歯科大学
山本裕子 神奈川歯科大学
小池 萌 徳島大学
佐々木すみれ 徳島大学
瀬川博子 徳島大学
長谷川智之 三重県立看護大学
斎藤 真 三重県立看護大学
森田雅宗 産業技術総合研究所
野田尚宏 産業技術総合研究所
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【特集】唾液による健康効果の最前線;唾液腺健康医学という新たな領域での最新トピックス
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特集にあたって
Introduction
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唾液のシアル酸の抗インフルエンザウイルス作用に着目した研究開発
Research and Development Focusing on The Anti-influenza Virus Effect of Salivary Sialic Acid
上気道粘膜には,ウイルス感染から粘膜上皮細胞を効果的・持続的に防ぐ,上気道粘膜上皮バリア機能(唾液,粘液,線毛における一連の生理機能)が備わっている。本稿では,筆者らが研究開発を進めている,上気道粘膜上皮バリア機能の一つである唾液の抗ウイルス作用について,現在までの取り組みの一部を概説する
【目次】
1 はじめに
2 唾液の抗インフルエンザウイルス作用
2.1 唾液の抗インフルエンザウイルス活性に関する先行研究
2.2 唾液の抗インフルエンザウイルス活性の個人差とその規定因子
2.3 唾液の抗IAV活性に対するタンパク質結合型シアル酸の寄与
2.4 唾液の抗IAV活性と年代による変化
3 唾液の抗IAV活性を高める取り組み ~炭酸刺激の効果~
4 おわりに
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乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 の免疫活性化作用について-細胞性免疫と液性免疫の両面から-
Immunostimulatory Effects of Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 on Cellular and Humoral Immunity
近年,乳酸菌の様々な生理機能が見出されており,そのひとつに免疫活性化作用が挙げられる。Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 についてはnatural killer 細胞の活性化等,主に細胞性免疫への影響が知られていたが,最近では唾液中IgA の増加等の液性免疫への影響も確認されている。本稿では,L.delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 の免疫活性化作用について,これまでの知見を概説する。
【目次】
1 はじめに
2 1073R-1乳酸菌由来の多糖体について
3 1073R-1乳酸菌の免疫活性化作用-細胞性免疫-
4 1073R-1乳酸菌の免疫活性化作用-液性免疫-
5 1073R-1乳酸菌の免疫活性化作用の推定メカニズム
6 おわりに
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緑茶の抽出温度と唾液IgA の関係
Relationship Between The Brewing Temperature of Green Tea and Salivary IgA
熱湯で淹れて飲むと渋い緑茶には「良薬口に苦し」を期待する。緑茶の主要な生理活性成分としてこれまで苦渋味成分が注目されてきた。しかし最近,苦渋味成分を引き算することにより新たな生理活性が見出される可能性が出てきた。本稿では,緑茶を冷水で淹れた時に溶出される成分と唾液IgA の関係について考察する。
【目次】
1 はじめに
2 緑茶葉から溶出する成分と水温との関係
3 緑茶成分と活性
3.1 EGCとEGCG
3.2 一本鎖RNA
3.3 テアニンとカフェイン
4 水出し緑茶の飲用と唾液IgA
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高分子CUA フコイダン摂取による健常人の唾液IgA 産生増強
Immune Enhancing Effect of High-Molecular Weight Fucoidan-Agaricus Mix(CUA)on Secretory IgA Production into Saliva of Healthy Individuals
フコイダンは,褐藻類の“ぬめり”成分を構成する天然硫酸化多糖類である。免疫力の向上や抗ウイルス作用に関する基礎的な研究報告は多いものの,臨床学的な知見は未だ少ない。本稿では,唾液分泌型IgA(sIgA)を口腔内粘膜免疫の指標とする健常人を対象とした高分子フコイダン-アガリクスミックス(以下,CUA フコイダン)投与試験を紹介する。検討の結果,CUA フコイダンが粘膜免疫の増強に寄与する可能性が示され,口腔や上気道等における感染防御およびアレルギー疾患の病態緩和に貢献することが期待される。
【目次】
1 はじめに
2 粘膜免疫と分泌型IgAについて
3 フコイダンについて
4 健常人を対象としたフコイダン摂取試験
4.1 フコイダン-アガリクスミックスの唾液sIgA産生促進作用
4.2 フコイダン-アガリクスミックスの安全性
5 おわりに
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世界が注目する「うま味」を用いたドライマウス治療
Application of Umami Taste, Attracting Global Attention, to Remedy for Dry Mouth.
ドライマウスとは,唾液分泌量が減少して口が渇く状態を言い,口腔乾燥症とほぼ同義に用いられる。高齢化に伴い,わが国のドライマウス患者は急増しているが,専門医が少なく,その診断と治療は普及していない。本稿では,うま味による味覚- 唾液反射を応用してドライマウスを改善する安心で安全な方法について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ドライマウスとは何か
2.1 ドライマウスの原因
2.2 唾液はどこから?
2.3 唾液のはたらき
2.4 唾液分泌の中枢機構
2.5 ドライマウスの症状
2.6 新しい知見 -ドライマウスは総唾液分泌量よりも小唾液腺分泌量と関連する-
3 ドライマウスを改善する新しいアイデア
3.1 小唾液腺における味覚?唾液分泌反射
3.2 うま味を用いたドライマウス治療
3.3 うま味とは?
4 おわりに
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唾液腺産生生理活性物質の全身への影響を解明する-脳-唾液腺ネットワークの視点から-
To Elucidate The Effect on The Whole Body from The Salivary Glands Producing Physiologically Active Substances-From The Perspective of The Brain-Salivary Gland Network-
新たな臓器間ネットワークは臨床的に注目されているが,唾液腺情報伝達物質の口腔以外の他臓器への役割については多くの未解明な点を残している。筆者らは,神経細胞の機能維持に重要な脳由来神経栄養因子brain-derived neurotrophicfactor(BDNF)が唾液腺で産生され,海馬において抗不安作用を有することを明らかにした。このBDNF がどのようなメカニズムで海馬神経細胞に発現するtyrosine receptor kinase B(TrkB:BDNF レセプター)に結合し機能発現するか等,いわゆる「BDNF を介した脳-唾液腺ネットワークの分子機構」は不明な点が多いが,脳の精神作用における唾液腺の有効性(新たな役割)は,医学分野における新たな医療の構築に貢献していくことが期待される。そこで本稿では,筆者らが世界に先駆けて研究を進めてきた,「唾液・唾液腺と全身との関連」について脳-唾液腺ネットワークの視点から解説する。
【目次】
1 唾液腺の存在意義
2 臓器間ネットワークとは
3 唾液腺と成長因子の関係
4 唾液腺産生物質から全身への移行
5 脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor(BDNF))の唾液腺での産生とその意義
5.1 BDNFとは
5.2 唾液腺BDNFの血中への影響
5.3 唾液BDNFのターゲット臓器の探索
5.4 BDNFと副腎との関連性
5.5 脳-唾液腺ネットワークの発見
6 in vivoイメージングを用いた脳?唾液腺ネットワークの検証
7 唾液腺健康医学の創生に向けて
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難消化性糖類摂取による唾液IgA の増加とそのメカニズム
Mechanism of Increase in Salivary IgA level with Ingestion of Indigestible Carbohydrates
上気道感染症予防に重要な役割を果たしている唾液中IgA は,難消化性糖類(繊維)摂取で増加すること,難消化性糖類摂取による唾液中IgA レベル増加は,腸管免疫賦活化の結果,大腸で産生された短鎖脂肪酸の効果であることが判明した。このメカニズムを社会に周知させることが,高齢者の健康寿命延伸につながる可能性がある。
【目次】
1 はじめに
2 唾液腺
3 唾液
4 唾液中IgA
5 難消化性糖類とその機能
6 難消化性糖類摂取が唾液中IgAレベルに与える影響
7 まとめ
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唾液腺のリン代謝における役割
Role of Salivary Glands in Phosphate Metabolism
リンは動物・植物を含めて全ての生物において必要であり,生体内でエネルギー代謝・細胞膜・骨の構成成分など生体機能維持を担っている。体内のリン濃度の恒常性は,主に腸管,腎臓,骨が様々な因子により調節を受けバランスが保たれている。唾液には,リンが多量に排出されるが,その調節機構等詳細は明らにされていない。唾液腺は,生体内リン代謝調節機構に関与する臓器であるのか? 本稿では,生体におけるリンの重要性と著者らが生体内リン代謝と唾液腺に発現するリン酸トランスポーター調節に焦点を当て明らかにした結果の一端を紹介する。
【目次】
1 生体に含まれるリン形態
2 生体におけるリンの役割
3 食事に含まれるリン
4 リン代謝調節機構とその破綻
5 リン酸トランスポーターファミリー
6 唾液中のリンの役割
7 唾液腺におけるリン酸輸送系
8 唾液腺におけるリン代謝調節機構の存在
9 さいごに
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BIO R&D
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誰でも簡単に使用できる手浴用容器の開発
Development of Hand Bath Bag That Anyone Can Easily Use
病院や介護施設等で勤務するスタッフの困り事として,「寝たきり患者さんの手をきれいに洗うことができない」という意見がある。本稿では,ビニール袋を活用し,患者の手と術者の手を直交することができる形状にすることで,ベッド上でも温湯を使用し患者の手を洗うことができる技術を開発したため解説する。
【目次】
1 はじめに
2 手浴用容器の製作,実験
2.1 手浴用容器の試作
2.2 手浴用容器を用いた実証実験
3 結果
3.1 実験1
4 今後の展望
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BIO ENGINEERING
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巨大リポソーム型微生物インキュベータ
Giant Liposome based Microbial Incubator
微生物は,工業,エネルギー,食品,医薬品,健康,環境など,我々の生活の身近に存在する重要なパートナーである。我々は,巨大リポソームという大きさが1 - 100μm の細胞サイズの人工カプセルに,微生物をシングルセルレベルで内包し,その内部で微生物を培養することに成功している。本稿では,巨大リポソームに微生物を内包し,微生物培養器(インキュベータ)として利用できることを実証した研究の紹介と微生物内包巨大リポソームの将来展望について紹介する。
【目次】
1 巨大リポソーム(Giant liposome,GL)と作り方
2 GL内での微生物培養
3 微生物内包GLの将来展望
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《BIO PRODUCTS》
キサンタンガム(Xanthan gum)
5-アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic Acid)
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月刊バイオインダストリー 2021年3月号
¥4,950
<著者一覧>
井上國世 京都大学名誉教授
菅原卓也 愛媛大学
酒井康行 東京大学
チェ・ヒョンジン 東京大学
ファド・ガンジー・トリザール 東京大学
堀口一樹 東京大学;大阪大学
西川昌輝 東京大学
藤田泰毅 (株)大塚製薬工場
西村益浩 (株)大塚製薬工場
小森奈月 (株)大塚製薬工場
上田忠佳 DS ファーマアニマルヘルス(株)
松村昌典 北見工業大学
吉原利忠 群馬大学
田上友季也 福岡大学
上原吉就 福岡大学;福岡大学病院
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【特集】動物細胞培養における培地および培養系の工夫
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特集にあたって
Introduction
本特集号では,動物細胞培養における培地,培養系,培養方法などのハード面における変遷と現状および解決すべき問題点を中心に,活発に研究されておられる先生方に執筆していただいた。ご多忙のところ,快く執筆してくださった先生方にあつく御礼申し上げる。動物細胞培養の研究においては,生産物の生理機能や応用性に関心が向くのは当然のこととしても,細胞を安全かつ簡便,安価に培養するための科学・技術にも,重要でかつ困難な課題が含まれている。本特集号の情報が,日々,細胞培養に取り組んでおられる研究者,学生諸氏にとり,タイムリーで有用なものであることを期待したい。
【目次】
1 バイオテクノロジー(BT)の要素技術には細胞融合・細胞培養が含まれる
2 BTは科学技術の延長線上で取り扱うことができる
3 石油ショック時代のBTから脱CO2時代のBTへ
4 半世紀にわたるNBTの進歩
5 動物細胞培養の流れ:ワクチン開発,モノクローナル抗体(MAb),多能性幹細胞
6 動物細胞培養と故・村上浩紀教授
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ハイブリドーマの培養に適した無タンパク質無ホルモン培地(PHFM)の開発と応用および多能性幹細胞用培地における最近の進展
Development of a Protein- and Hormone-free Medium(PHFM)Applicable to Hybridoma Culture and Recent Progress of Culture Media for Pluripotent Stem Cells.
モノクローナル抗体(MAb)は,各種生理活性物質の検出や分析,精製及び臨床診断や治療薬(抗体医薬)として広く用いられている。ハイブリドーマのinvitro 培養は,当初,ヒトMAb の生産を目的として,ヒト-ヒト(H-H)ハイブリドーマの培養に応用された。一方,マウスMAb についても,従来のマウス-マウス(M-M)ハイブリドーマをマウス腹水で培養する方法(腹水法)に代わり,invitro 培養での生産が広く行われている。本稿では,ハイブリドーマのin vitro 培養に向けた培地の開発の歴史を縦覧し,筆者らが開発に関わった無タンパク質無ホルモン培地(Protein- and hormone-free medium, PHFM)を紹介し,さらに本培地でのハイブリドーマ培養とMAb 生産について述べる。また,多能性幹細胞の無血清培養開発の最近の展開に関して概括し,ハイブリドーマ培養との関連を考察する。
【目次】
1 はじめに
2 動物細胞培養と合成培地
2.1 動物細胞培養黎明期
2.2 EarlのBSS,EagleのBMEとMEM,DulbeccoのDMEM
2.3 血清添加の問題点
3 無血清培地(Serum-free medium)と成長因子ITES
4 ハイブリドーマ無血清培養用基礎培地eRDFの開発
4.1 ITES添加eRDF培地の有用性
4.2 ITES添加eRDFによるハイブリドーマ培養
5 その他の成長因子の検索
5.1 ニワトリ卵黄リポタンパク質(Yolk lipoprotein, YLP)
5.2 ホスファチジン酸(phosphatidic acid, PA)
5.3 コラーゲン(Col)
5.4 ラクトフェリン(LF)
5.5 イムノグロブリン産生促進因子(IPSF)
6 無タンパク質無ホルモン培地(PHFM)の開発
6.1 PHFM開発の背景
6.2 PHFMの組成
6.3 PHFMでのハイブリドーマの培養
6.4 PHFM中でのハイブリドーマからのMAb生産
6.5 PHFMで培養したハイブリドーマ培養上清のSDS?PAGE
6.6 大量ハイブリドーマ培養によるMAb生産
7 ヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の培地
7.1 ゼノフリー・フィーダーフリー培養用の完全合成培地が望まれている
7.2 ヒトES/iPS細胞用無血清培地
7.3 FGF-2及びTGF-βに代わる増殖因子の探索
7.4 ES/iPS細胞の浮遊培養
8 おわりに
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動物細胞の生産性を向上する培地添加因子
Production Stimulating Factors for Animal Cell Culture
動物細胞が産生する物質は生物製剤,特に近年では抗体医薬として様々な疾病の治療に用いられている。動物細胞による物質生産の効率化には,大量培養や高密度培養などの培養工学的手法,強力なプロモーター遺伝子の導入などによる分子生物学的手法がある。また,生理学的手法による生産性向上として,本稿では,ハイブリドーマのモノクローナル抗体産生やマクロファージのサイトカイン産生を促進する因子を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 コラーゲンによる抗体生産性の改善
3 コラーゲンの作用機構
4 マクロファージに対するコラーゲンの促進効果
5 塩基性タンパク質の抗体産生促進効果
6 おわりに
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多能性幹細胞の大量培養法の現状と問題点および将来
Status and Future Perspectives of Large-scale Culture of Pluripotent Stem Cells
iPS 細胞などの多能性幹細胞をヒトの再生医療に用いるためには,細胞を移植に必要な数まで大量培養し,かつ必要な臓器細胞へと分化誘導することが必須である。このためには,バイオ医薬品製造のための細胞大量培養技術を基礎としながらも,多能性幹細胞培養の特有の課題を克服し,適切な手法を構築する必要がある。本稿では,多能性幹細胞の大量培養技術を概観した後,そこで課題となる細胞凝集現象の制御と,コストダウンのための高密度培養に対する筆者らの最近の研究成果を紹介し,将来を展望してみたい。
【目次】
1 はじめに
2 大量培養法
2.1 2つの培養形式
2.2 iPS細胞の凝集・増殖プロセス
2.3 iPS細胞の凝集体浮遊培養の種類
2.4 攪拌翼を用いる動的浮遊培養
2.5 容器振盪型の動的浮遊培養
3 凝集の制御
3.1 添加剤による凝集制御
3.2 容器形状による凝集制御
4 透析と高密度化
5 おわりに
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細胞懸濁保存液セルストアS 及び細胞洗浄保存液セルストアW によるヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の保存
Preservation of Human Adipose Tissue Derived Mesenchymal Stromal Cells with The Cell Suspension and Preservation Solution (Cellstor-S) and The Cell Wash and Preservation Solution (Cellstor-W)
抗炎症や免疫調節といった機能を有している間葉系幹細胞は,様々な疾患への適応が期待され,数多くの臨床研究が進められている。承認された間葉系幹細胞製品では,凍結保存や常温保存が選択されている。本稿では,筆者らが開発した細胞保存液によるヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の保存の実例について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 冷蔵保存及び常温保存条件での使用例
3 細胞濃度の均一性の維持
4 凍結保存液の基液としての使用例
5 セルストアS及びセルストアWの製造原料について
6 凍結解凍の影響について
7 結語
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動物細胞用培養液の基礎と特長
Basic and Features of Animal Cell Culture Medium
動物細胞の培養にとって培養液は必要不可欠なものであるが,培養液の特長や注意点などは意外と知られていない。そのため,本来,緩衝系に炭酸ガスを必要としない培養液を炭酸ガスインキュベータで使用するなど,誤った使用方法も増えつつある。そこで,本章では汎用されている動物細胞用培養液について,その特長と注意点等を解説したい。
【目次】
1 組織培養と培養液の歴史
2 培養液の基本的な組成
2.1 無機塩類
2.2 アミノ酸
2.3 ビタミン
2.4 糖など有機化合物
2.5 微量元素(Trace Element)
2.6 脂肪酸,脂質
2.7 ホルモン,タンパク質
3 主な基礎培養液
3.1 199
3.2 BME
3.3 Alpha-MEM
3.4 D-MEM
3.5 RPMI1640
3.6 F10
3.7 F12
3.8 L158
3.9 McCoy
3.10 MEM
3.11 DF12
3.12 MCDB
3.13 混合培養液
4 血清の役割と無血清培養液
5 無血清培養液
6 無血清培養液の分類
6.1 血清代替品添加培養液1
6.2 Defined培養液,Chemically Defined培養液
6.3 Xeno-Free培養液
6.4 Animal?Free培養液
7 培養液の今後について
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BIO R&D
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血管のようなヌルヌル柔軟弾性管と簡単・瞬時に着脱できるコネクタの開発
Development of Connectors that can Easily and Instantly ConnectFlexible and Elastic Tubes
生体管にカテーテルのようなチューブを接続するコネクタには,多くの課題がある。例えば,血管のような生体管は,ヌルヌルして滑りやすく,管壁が薄くて弾力があるため,カテーテルを確実かつ簡便で迅速に着脱することが難しく,しかもコネクタの装着が生体管に物理的損傷を与えることもある。本稿では,このような課題を解決するために開発されたコネクタを紹介する。
【目次】
1 開発経緯
2 ヌメリのある柔軟弾性管用コネクタに関する課題と技術的要求事項
3 バルーンカテーテルを応用したコネクタの開発
4 外筒内壁面形状と抜けにくさ
5 おわりに
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蛍光性脂質滴プローブを用いた細胞および組織内脂質滴のライブイメージング
Live Imaging of Intracellular and in vivo Lipid Droplet Using Lipid Droplet-specific Fluorescent Probe
脂質滴は,細胞内において脂質をエネルギー源とする代謝過程や,脂肪肝などの病態と深く関与している。本稿では,細胞から小動物臓器内の脂質滴のイメージングを可能とする蛍光性脂質滴イメージング試薬,およびそれを用いた細胞内脂質滴の形成過程やin vivoにおける脂質滴イメージングについて紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 脂質滴イメージングのための蛍光性試薬
3 蛍光性脂質滴プローブの光物理特性
4 PC6Sを用いた細胞内脂質滴イメージング
5 PC6Sを用いた脂質滴のin vivoイメージング
6 おわりに
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BIO ENGINEERING
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心拍の揺らぎに含まれる自律神経成分を活用した新たな運動強度判定法の試み
Novel Evaluation Method of Exercise Intensity Using Autonomic Nervus Components Contained in Heart Rate Variability
運動が健康増進に効果的であることはよく知られており,その効果を高めつつ安全に運動を実施するためには適切な運動強度の設定が重要である。本稿では,筆者らが研究を進めている心拍変動を活用した新たな運動強度判定法について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 心拍変動測定における運動中の自律神経評価
3 心拍変動を活用した新規の運動強度判定法
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月刊バイオインダストリー 2021年2月号
¥4,950
<著者一覧>
松原輝彦 慶応義塾大学
堀 克敏 名古屋大学
小澤祐市 東北大学
中野祥吾 静岡県立大学
小塚康平 静岡県立大学
南野優季 静岡県立大学
伊藤創平 静岡県立大学
駒崎友亮 (国研)産業技術総合研究所
木村賢一 岩手大学
鈴木 聡 (株)実正
神崎 浩 岡山大学
仁戸田照彦 岡山大学
畑生俊光 岡山大学
森 隆 埼玉医科大学
羅霄霖 (株)ジェヌインR&D
開 忍 (株)ジェヌインR&D
宮鍋征克 ㈱ジェヌインR&D
今井博之 甲南大学
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BIO R&D
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繊細な生体物質を触れずに操る無容器バイオフラスコ
Contactless Bioflask for Investigation of Sensitive Biological Samples
近年,定在波音波を利用して液滴を空気中で捕捉して浮揚させ,特殊な界面を利用した化学および生物反応を行う研究が始まっている。微小重力環境においてのみ可能な三次元の気-液界面を常温・常圧下,地球上で実装できる技術である。本稿では,この技術が次世代の無容器バイオフラスコとして利用できるかどうか,その可能性について解説する。
【目次】
1 はじめに
1.1 繊細な生体物質を扱う実験プロトコールの必要性
1.2 定在波捕捉による浮揚液滴
2 浮揚液滴内による生物有機合成反応
2.1 単軸超音波振動子による浮揚装置の構成
2.2 高分子重合反応
2.3 生体直交反応(クリック反応)
2.4 酵素による発色反応
2.5 制限酵素によるDNA切断反応
2.6 超音波による生体試料への影響
3 近年の研究動向
4 最後に
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微生物接着タンパク質AtaAの無限の可能性
Boundless Applicability of the Microbial Adhesive Protein AtaA
筆者らは,様々な材料表面に付着する細菌の細胞表層タンパク質AtaAを発見し,その性質,構造,接着機構の解明を進めてきた。さらに,AtaAを微生物固定化や接着分子材料へ利用する応用研究についても取り組んできた。本稿では,AtaA分子の特徴を説明するとともに,無限に拡がりつつある応用展開について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 微生物接着タンパク質AtaA
3 AtaAの微生物工学への応用
3.1 微生物固定化技術への応用
3.2 オン・ファイバーディスプレイ
4 AtaAの接着分子材料としての応用
4.1 リポソームのファイバーデコレーション
4.2 分子固定,表面機能化への利用
5 将来展望
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3次元情報を一挙に可視化するレーザー走査顕微鏡法
Laser Scanning Microscopy Acquiring Three-Dimensional Information from a Single Laser Scanning
レーザー走査型蛍光顕微鏡法は試料の3次元構造を詳細に可視化可能なイメージング法として生命科学分野を始めとして広く用いられているが,複数枚の2次元断層画像の重ね合わせから3次元化する従来法では,イメージングの高速化が容易ではなかった。本稿では,光の新しい特性を巧みに利用して深さ情報を一挙に可視化できるイメージング法について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 原理
2.1 長焦点ニードルスポット励起
2.2 蛍光信号に対するエアリービーム変換
3 ニードル顕微鏡システムによる3次元画像構築
3.1 顕微鏡システム
3.2 エアリービーム変換に基づく深さ情報の抽出
3.3 画像構築
4 おわりに
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配列解析を礎とした次世代蛋白質工学~難生産性L-アミノ酸酸化酵素の改良とD-アミノ酸動的光学分割法への応用を例に~
A Semi-rational Protein Engineering by Sequence-based Method and Development of Artificial L-amino Acid Oxidase.
40億年にわたる進化の過程において,生物は変異を遺伝子に蓄積することで,多様な機能を獲得してきた。遺伝子から転写・翻訳され生合成される酵素の進化を俯瞰すると,相同な立体構造を持ち類似の触媒反応を担う酵素であっても,分子全体に多数の変異が導入され,自在に基質特異性,生産性,安定性等の機能が改変されている。しかし,一つ一つの変異のほとんどは,生物の自然淘汰に対して有利でも不利でもない中立的な変異であり,蛋白質の機能においても中立的である。加えて分子進化による変異は極めて不規則であり,人間の目で変異による機能の変化を合理的に理解するのは極めて困難である。よって,実験科学的手法に依存したスクリーニング,構造生物学・分子進化工学的手法による合理的な改変が現在も主流となっている。しかし,これら手法に依存した技術開発や合理的改変のコストは総じて高く,バイオ技術の社会実装を阻む障壁にもなっている。我々は,拡大の一途を辿る遺伝子・配列データベースを,独自の機械学習型配列解析法により演繹的に解析,実験結果と照合することで,蛋白質・酵素機能のデザインが可能であるか検証してきた。本報では,次世代型の蛋白質工学技術の紹介と,適用例として難生産性L-アミノ酸酸化酵素の改良とD-アミノ酸動的光学分割法への応用を紹介する。
【目次】
1 次世代蛋白質工学とは?
2 人工L-アミノ酸酸化酵素の設計と動的光学分割
3 今後の展開
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高柔軟性シリコーン感湿材料の開発と状湿度センサへの応用
Hygroscopic Silicone Rubber Composite and Textile Based Humidity Sensor
近年,人が身に着けて使用する電子機器,「ウェアラブルデバイス」が話題を呼んでいる。本稿では,著者らが衣服型ウェアラブルデバイス向けに開発した布状湿度センサと,それを可能にした高柔軟性シリコーン吸湿材料について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 高柔軟性シリコーン感湿材料の開発
3 布状湿度センサの作製
4 おわりに
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久慈産琥珀に含まれる生物活性物質の多彩な化学構造と生物活性-メラニン産生抑制活性とコラーゲン産生促進活性の発見-
Diversity of Structures and Biological Activities of Bioprobes Isolated from Kuji Amber-Discovery of Inhibition of Melanin Production and Promotion of Collagen Production Activities in Kuji Amber-
久慈産琥珀の約5%を占めるアルコール可溶性画分には,他国産琥珀の場合とは大きく異なり,kujigamberolを中心に多数の新規構造を有する生物活性物質が含まれている。これまで,動物における高い抗アレルギー活性を報告してきたが,今般メラニン産生抑制とコラーゲン産生促進活性が細胞で新たに見出された。今後,それらの活性を有する新たな成分の発見とメカニズム解析,並びに抽出物を用いた多角的な商品化が期待される。
【目次】
1 はじめに
2 医薬品探索のための天然資源としての琥珀
3 久慈産琥珀の生物活性物質の構造
4 久慈産琥珀の抗アレルギー活性
5 久慈産琥珀のメラニン産生抑制活性
6 細胞外マトリックスとコラーゲン
7 久慈産琥珀抽出物の多角的な産業利用
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エノキタケ菌床抽出物の脂肪蓄積抑制効果とペット動物用サプリメントへの応用
Adipogenesis Suppression by Enokitake Mushroom Bed Extract and its Application to Pet Animal Supplements
エノキタケ栽培針葉樹菌床水抽出物が,脂肪蓄積抑制効果を示し,その抽出液を含む飲料を用いる飲水試験で,通常食給餌マウスに対して,体重増加抑制,血糖値抑制,脂肪蓄積抑制,腸内細菌叢改善効果等を示すことが判明した。食用キノコ生産で得られる菌床抽出物のペットサプリメント等への用途開発が期待される。
【目次】
1 はじめに
2 生物試験に供するキノコの培養とその抽出物の調製
3 エノキタケ栽培針葉樹材菌床抽出物の脂肪蓄積抑制効果
4 エノキタケ栽培針葉樹材菌床抽出物の血糖値上昇抑制効果
5 エノキタケ栽培針葉樹材菌床抽出物のマウス飲水試験
6 ペット用試作飲料の小型犬に対する試飲アンケート
7 終わりに
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没食子酸(α/β-セクレターゼ作用剤)はアルツハイマー病のマウスモデルの認知機能障害を改善しアルツハイマー様病態も軽減する
Gallic Acid is a Dual α/β-secretase Modulator that Reverses Cognitive Impairment and Remediates Alzheimer-like Pathology in the Alzheimer’s Disease Mouse Model
植物由来の没食子酸をアルツハイマー病のマウスモデルに6ヶ月間経口投与すると,認知機能障害が改善し,アルツハイマー様病態も軽減した。没食子酸がアミロイド前駆体蛋白質代謝を制御する2種類の切断酵素(α/β-セクレターゼ)に作用して,原因蛋白質の1つであるアミロイド-β蛋白質の産生を抑制することを明らかにした。
本稿では,没食子酸の概要,行動・認知機能障害の改善効果,脳アミロイド症の抑制効果,α/β-セクレターゼへの二重効果,抗炎症・抗酸化効果を紹介する。没食子酸は現行する処方薬との併用も可能であり,軽度認知障害の患者への適応も期待される。
【目次】
1 はじめに
2 没食子酸の概要
3 行動・認知機能障害の改善効果
4 脳アミロイド症の抑制効果
5 α/β-セクレターゼへの二重効果
6 没食子酸の抗炎症・抗酸化効果
7 まとめ
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食用キノコの自己消化反応を利用した植物からの遊離セラミドの生産
Free ceramide production from plants using enzymes prepared from mushrooms
セラミドは,化粧品やサプリメントの美容成分として一般消費者にも周知されてきた。その中でも注目されている角質層セラミドと同じ構造を持つヒト型セラミド(遊離セラミド)を,野菜や果物などの植物から作り出す研究を行った。植物にはグルコシルセラミドなどの糖セラミドはあるが,ヒト型セラミドは存在しない。この植物の糖セラミドを食用キノコの消化反応を利用して遊離セラミドに変え,機能性素材として展開する。
【目次】
1 はじめに
2 キノコの自己消化によるヒト型セラミド産生
2.1 植物スフィンゴ脂質
2.2 スフィンゴ脂質代謝経路生合成系と分解系
3 実験方法
3.1 キノコ自己消化後酵素液の調製
3.2 酵素反応
4 結果と考察
4.1 GIPC由来遊離セラミドの産生
4.2 GlcCer由来遊離セラミドの産生
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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医薬品工業
世界の医薬品市場は2014 年に1 兆ドルを突破し,2019 年には1 兆2,500 億ドルを超え,今後も3~6%程度の成長が見込まれている。2018 年の国内医薬品の生産金額は,6 兆9,077 億円となり,前年比2.8%の伸びを示した。医療用医薬品,一般医薬品とも増加したが,配置用家庭薬は減少した。全体的にみると生産金額は年によりばらつきがあるが,製薬業界にとって厳しい状況が続いている。また,2019 年末から発生しているコロナウイルス(COVID-19)による肺炎に関して,2020 年,政府はPCR 検査を幅広く行い,治療薬やワクチンの研究開発や生産体制の整備を行い,医療提供体制を強化することを発表している。今後,医薬品業界に大きな影響を及ぼすと思われる。
【目次】
1 医療用医薬品
2 一般用医薬品
3 臨床検査薬
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《BIO PRODUCTS》
α-アミラーゼ(α-Amylase)
β-アミラーゼ(β-Amylase)
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月刊バイオインダストリー 2021年1月号
¥4,950
<著者一覧>
矢澤一良 早稲田大学
孫 輔卿 東京大学
飯島勝矢 東京大学
葛谷雅文 名古屋大学
鈴木隆雄 桜美林大学
大澤俊彦 愛知学院大学
長竹貴広 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
國澤 純 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
山口浩平 東京医科歯科大学
戸原 玄 東京医科歯科大学
香川靖雄 女子栄養大学
功刀 浩 帝京大学
田中友規 東京大学
安藤 進 IMS グループ クローバーのさと
大渕修一 (地独)東京都健康長寿医療センター研究所
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【特集】抗フレイルと予防医学
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抗フレイルと予防医学~特集にあたって~
Anti-Frail for Preventive Medicine
1 はじめに
2 ロコモティブシンドロームからフレイルへ
3 ロコモ,フレイル対策としての運動系・抗疲労系機能性食品素材の有効活性
4 抗疲労系機能性食品と「筋肉・脳相関」
5 おわりに
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フレイル対策の実践
Combined Practces for Frailty Prevention
フレイルは健康状態と要介護状態の中間的な段階であり,可逆性があるため,適切なタイミングでの予防・対策により健康な状態に戻れる概念である。フレイル予防・介入には,「運動」「栄養・口腔」,「社会参加」の3 本柱が重要とされている。そのなか,「運動」と「栄養・口腔」は身体的フレイルの予防・介入の中核となる。加齢による骨格筋量の減少や食欲不振による慢性的な低栄養は相互に影響し,さらに悪循環となり,心身機能の低下を加速させることからもサルコペニアと低栄養に対する予防・介入はフレイル予防対策の大きな部分を占めている。現在,フレイルの予防・介入策は確立されているとは言い難いが,アジア太平洋のフレイル管理の診療ガイドラインでは,フレイル管理の原則として,「フレイルはサルコペニアと重複する。そのため管理の原則は両者間で同一になりうる」と述べられている。日本サルコペニア・フレイル学会の「サルコペニア診断ガイドライン2017 年版」においても,栄養と運動がサルコペニアの発症を予防・抑制できるかについて,強く推奨すると示している(表)。
実際,フレイル高齢者における運動や栄養の介入効果については多数報告されている。「運動」や「栄養」単独の効果だけではなく,組み合わせによる増大効果(augment effect)に関してもランダム化介入試験などによる検討が行われ,効果検証されるようになってきた。このような動向からも,フレイルの予防・介入策は「運動」,「栄養・口腔」,「社会参加」をどのように組み合わせて,相乗効果をもたらすか,また続けられる組み合わせはなにかが重要になっている。最近の知見をあげながら,その組み合わせの例を紹介する。
【目次】
1 運動:種類の組み合わせ効果
2 栄養:運動や口腔との組み合わせ効果
3 ウイズ・ポストコロナ社会における「社会参加」の創意工夫
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フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームの概念
The Concept of Frailty, Sarcopenia, and Locomotive Syndrome
フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームは昨今健康寿命延伸との関連性で良く聞かれるタームである。ただ,それぞれの正確な定義,診断法などは意外と周知されていない。本章ではそれぞれの概念,診断,相違点,地域高齢者の有病(症)率などについて言及する。
【目次】
1 はじめに
2 フレイルの概念
3 サルコペニア
4 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
5 フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームとの相互関係
6 さいごに
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フレイルと認知症
Frailty & Dementia
わが国の超高齢社会における高齢者の健康の大きな課題となっているフレイルと認知症について両者の概念,疫学的データを述べた。特に認知的フレイルの特徴や,認知症の前段階とも考えられる軽度認知障害(MCI)における認知症予防対策に関する科学的根拠の構築状況についても実験例を中心として紹介した。
【目次】
1 フレイルと予防対策
2 認知的フレイルについて
3 認知症予防としての軽度認知障害の重要性
4 BDNFと脳機能
5 わが国の地域在宅高齢者を対象としたBDNFに関する研究の紹介
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フレイルとフリーラジカル障害
Frailty and Free Radical Damage
高齢期では加齢に伴ない「フリーラジカル・活性酸素」の過剰な産生が「酸化ストレス障害」を生じ,「フレイル」の大きな原因となっている。本稿では,「酸化ストレス障害」のメカニズムを概説し,「植物エクオール」や「アスタキサンチン」,「レモンフラボノイド」などの「抗酸化物質」による「フレイル」予防の可能性を紹介する。
【目次】
1 「フレイル」と「サルコペニア」
2 「酸化ストレス障害」はなぜ生じるか?
3 「フレイル」の予防における「酸化ストレス障害バイオマーカー」の開発への期待
4 「フレイル」予防における「抗酸化物質」への期待
5 抗酸化評価系のヒト臨床への応用
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加齢による免疫フレイル・炎症・脂質代謝
Frailty in Immune System:Ageing, Inflammation and Lipid Metabolism
加齢は感染症への罹患や重症化のリスク因子であり,その背景には免疫老化や炎症制御機構の破綻が考えられる。本項では,免疫老化におけるT 細胞の質的変容や,胸腺や二次リンパ組織の構造変化,ワクチン応答の差,また筆者らが最近見出した抗炎症性脂質代謝物に関する知見を交えて最近の話題を提供する。
【目次】
1 はじめに
2 加齢による胸腺の退縮とT細胞の変容
3 加齢による二次リンパ組織の変容とワクチン応答の減弱
4 炎症制御における脂質代謝の重要性
5 ω3脂肪酸代謝物による新たな炎症制御機構
6 おわりに
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口から始める,フレイル予防
Frail Measures Starting From the Oral Cavity
オーラルフレイルは,口腔機能の軽微な低下から心身の機能低下に至るまでの一連の現象および過程を指す。フレイルは健常と障害の中間に位置するため,適切な介入による予防効果は高い。口腔・嚥下機能向上には,口腔だけでなく,身体へのアプローチも重要である。フレイル対策には,口腔・嚥下,運動,栄養などが一体化したプログラムの構築が必須であり,同時に対象者を適切に動機付けすることも重要である。
【目次】
1 オーラルフレイルとは?
2 オーラルフレイル理解の第一歩,口腔機能って何??
2.1 口腔乾燥
2.2 口腔衛生環境
2.3 舌圧
2.4 咬合力
2.5 咀嚼能力
2.6 嚥下機能
3 オーラルフレイルの勘所 口腔と全身の関連について
4 オーラルフレイルを広げるために~高齢者のニーズを捉える~
5 まとめ ~オーラルフレイルからの抗フレイル~
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抗フレイルのための栄養学
Nutrition to Prevent Frail
フレイル予防の基本は全ての栄養素を揃える食品多様性である。特にサルコペニアを予防する蛋白質摂取量は1.2~1.5 g/ 体重kg/ 日を3 食に等しく分け,消化能と同化能の低下に半消化態蛋白質,ロイシン,HMB 等を使う。さらに炎症性老化を防ぐ食事炎症指数の低い食事とし,老化で拡大する個人差の原因である遺伝子多型に対応した食事が望ましい。
【目次】
1 フレイル検診
2 心身活動と食事多様性で予防
3 低栄養とサルコペニアの予防
3.1 三大栄養素の最適な割合
4 フレイル予防のビタミン・ミネラル
5 炎症性老化を防ぐ食事
6 フレイルからの回復運動
7 遺伝子対応抗老化栄養
8 おわりに
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フレイルと老年期の精神疾患:うつ病,認知症との関連を中心に
Frailty and Elderly Psychiatric Disorders:Focus on Depression and Neurocognitive Disorders
フレイルと関連する精神疾患として,老年期うつ病や認知症との関連がよく検討されている。うつ病はフレイルの危険性を高め,フレイルはうつ病の危険性を高める。認知症も同様であり,特に歩行速度の低下や筋力低下は認知症発症のリスクとなる。これらの3 病態は互いに関連しており,老年期の健康維持において極めて重要な要因となる。日常的な運動習慣は,これらの病態の予防に重要である。
【目次】
1 はじめに
2 うつ病とフレイル
3 認知機能障害とフレイル
4 抗フレイル対策
5 おわりに
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社会的フレイル
Social Frailty
フレイルの社会的側面(社会的フレイル)は,外出・生活範囲,社会的ネットワーク(人とのつながり),社会的サポート,社会的脆弱な状況(一般・医療資源へのアクセス,経済的困窮など)が絡み合うため,慎重に見極め,介入する必要がある。社会的フレイル対策は貧困対策や生活支援は全体に講じつつも,社会参加や人とのつながりの醸成には性差を加味することが留意点である。
【目次】
1 フレイルとは?
2 社会的フレイルとは?
3 社会的フレイル対策はなぜ必要か?
4 社会的フレイルに性差はあるのか?
5 社会的フレイル対策「人とのつながり」の重要性
6 さいごに
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後期高齢期に要介護にならないために
To Avoid The Requirement of Nursing Care in Late Old Age
後期高齢期に入ると健康上の不具合が多くなる。平均寿命に対して健康でいられる期間はおよそ10 年短いといわれる。介護保険の世話にならないためには第1 に認知症にならないことである。認知症予防を目指す臨床試験の現状を述べる。第2に高齢者は感染症に罹りやすい問題である。免疫力の低下に帰せられるが,特に感染阻止の自然免疫力を高める重要性を述べる。
【目次】
1 はじめに
2 認知症を回避する試み
2.1 中枢神経系の老化─シナプス老化から説明
2.2 中枢神経機能の改善─シナプス機能の改善から
2.3 高次脳機能を向上させる─脳可塑性の賦活によって
2.4 認知症のリスク要因─疫学研究からわかってきたこと
2.5 認知症予防─臨床試験の現状から
3 免疫系の賦活
3.1 免疫系の老化─高齢者の易感染性の理由
3.2 免疫力を高める方法─自然免疫力を高めるのがベターか
3.3 ビタミンD(VD)による感染症流行の抑え込み─有望な臨床効果
4 おわりに
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フレイルと高齢者スポーツ
Sports Participation Preventing Frailty Among Old Persons
超高齢社会に於いては,疾病の予防にくわえて加齢に伴う心身機能,並びに社会機能の低下を予防していく必要がある。この加齢に伴う心身機能や社会機能の低下のうち可逆的なものを日本老年医学会はフレイルと定義した。要介護状態となる原因は疾病よりフレイルが多い。高齢期の生活の質を高めるためにもフレイル予防が大切となる。
本稿では,このフレイル予防に有効と考えられる介入をレビューし,これらの要素を持つスポーツについて論じたい。
【目次】
1 はじめに
2 介入
3 スポーツ
3.1 運動機能低下
3.2 認知機能低下
3.3 口腔機能低下
4 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2020年12月号
¥4,950
<著者一覧>
川添嘉徳 佐賀大学
上村大輔 神奈川大学
池松真也 沖縄工業高等専門学校
石上友章 横浜市立大学
荒川健太郎 横浜市立大学
陳 琳 横浜市立大学
内田浩太郎 横浜市立大学
西郷紗絵 横浜市立大学
菅原拓哉 横浜市立大学
木野旅人 横浜市立大学
中島理恵 横浜市立大学
土肥宏志 横浜市立大学
安部開人 横浜市立大学
桑江明子 横浜市立大学
杉山美智子 横浜市立大学
鹿野耕平 旭川医科大学
川辺淳一 旭川医科大学
坂根郁夫 千葉大学
八尾 滋 福岡大学
杉山友康 東京工科大学
髙橋史樹 信州大学
片山礼司 久留米大学
櫻井謙三 聖マリアンナ医科大学
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BIO R&D
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抗肥満薬リードの開発
Drug Leads for Anti-obesit
近年,肥満人口は年々増加している。肥満は様々な生活習慣病のリスク因子であり,その解決は世界的にも喫緊の課題である。私たちはこれまで,肥満の治療に対して効果を示す天然物の取得に努めてきた。本稿では,私たちの取り組みによって見出した二種類の天然物について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 カワラタケより得られたテルナチン
3 海洋性藍藻から得られたヨシノンA
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“琉れん草”有効成分を活用したサプリメント開発(沖縄生物資源の産業利用)
The Supplement Development that Utilized the“Ryurensou”Grass Active Ingredient(The Industrial use of okinawa Bioresources)
「琉れん草」は沖縄県の名護市と恩納村の一部で栽培され,食されてきた葉物野菜である。本研究開発では,有効性を高めるためのサンプルの調製法を検討し,そのサンプルを用いて「免疫賦活作用」や「抗腫瘍活性」を検討した。しかし,これら作用は商品開発において訴求効果が弱いと考えられ,「抗肥満効果」の活性を検討した。その結果,「抗肥満作用」が確認された。
【目次】
1 はじめに
2 沖縄の自然環境に適した栽培状況
3 “琉れん草”の強みを探す
3.1 生理活性探索用サンプル調製
3.2 免疫賦活作用
3.3 抗腫瘍活性
4 やっと見つけたストロングポイント
4.1 沖縄県民における健康上の留意点
4.2 抗肥満活性探索
4.3 株化細胞を用いたin vitroアッセイ
4.4 マウスを用いたin vivoアッセイ
5 抗肥満作用検索結果考察
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腸管粘膜バリア機能に着目した,新たな動脈硬化治療
New Therapeutic Approaches For Atherosclerosis Targeting Intesitinal Mucosal Barrier Function
動脈硬化症は,国民の健康長寿を妨げる主要な疾患である。高血圧・動脈硬化症・脂質異常症といった,生活習慣病に共通する終末像であり,狭心症・心筋梗塞・脳梗塞の原因になる。重要臓器の虚血症状によって有症化するまで,自覚・他覚されることがないことから,動脈硬化症に対する医療は,カタストロフ的な病状に対する医療が展開されている。その結果,有症時にすでに,全身の動脈が侵されていることを経験することも,しばしばである。我々は,動脈硬化症の成因に迫り,初期の段階での病的な状態を診断し,特異的な手段によって解消することで,生存や健康を脅かす動脈硬化症の制圧の実現へ向けた研究を進めている。本稿では,その一部の成果についてご紹介したい。
【目次】
1 はじめに
2 無細胞タンパク質合成技術を応用した高感度ハイスループット・自己抗体アッセイによる,動脈硬化症患者の自己抗体解析
3 腸内細菌による脾臓B2細胞の活性化と,動脈硬化症の制御
4 腸管バリア機能の改善による,動脈硬化症の制圧
5 腸内共生微生物(Commensal Microbiota)と動脈硬化症(Atherosclerosis)-これまでと,これから
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EphA7陽性多能性周幹細胞の組織再生における役割と臨床応用にむけて
Role of EphA7+Multipotent Pericytes in Tissue Regeneration and its Clinical Appplication
組織の隅々に分布する毛細血管,その構成細胞である周細胞群の中から,多能性幹細胞の,EphA7をマーカーとして末梢組織から分離した。EphA7陽性周幹細胞(Capillary stem cells;CapSCs)は,血管細胞や骨格筋細胞を含む間葉系および神経系細胞への多分化能を有し,優れた組織再生能を示す。本稿では,多細胞生物が維持していく上での基盤細胞としてのCapSCsの役割や臨床応用への展望について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 微小血管内の多能性幹細胞
2.1 多能性周細胞(MPCs)は主要な体性幹細胞なのか?
2.2 不死化細胞を利用した新しいMPCsの識別
3 多細胞生物におけるEphA7 陽性PCsの役割
3.1 血管新生:「毛細血管」前駆細胞として機能するか?
3.2 神経再生:CapSCsは「神経血管伴走化」の中心的な役割を果たすか?
3.3 骨格筋再生:CapSCsは,持続的な筋芽細胞供給能があるか?
4 おわりに
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科学的根拠に基づいた継続が容易な2型糖尿病リスク低減食品・サプリメントの開発
Development of Risk Reduction Foods/supplements of Type 2 Diabetes that Have Scientific Evidence and is Easily Continued
2型糖尿病の症状改善のためには,継続的な日常の運動や味気ないエネルギー調整食の持続的摂取が必要であり,継続が難しい。我々は,従来注目されず盲点だったミリスチン酸に注目し,科学的根拠に基づいた,楽に血糖値を下げ且つ肥満を軽減する,継続が容易な2型糖尿病のリスク低減食品・サプリメントの製品化を目指している。
【目次】
1 はじめに
2 目指す製品
3 製品の分析と波及効果
3.1 新規性,優位性
3.2 市場性
3.3 波及効果
4 製品化・事業化へ向けて
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小口径・閉鎖系内表面の抗血栓性を可能にする新規バイオマテリアル創製技術
New Biomaterial Creation Technology that Enables Antithrombotic Properties on the Inner Surface of Small-diameter or Closed Systems
側鎖に長鎖アルカン鎖を持つ高分子はこのユニットで結晶化し,ポリエチレンなどの難改質性高分子表面と強い相互作用を示す。この特性を活かし,親水性などの機能を持つユニットを対に持たせたブロック共重合体は,PE表面を簡単に改質することができ,種々の用途に展開が可能である。本報では,この側鎖結晶性ブロック共重合体を用いた新たなバイオマテリアル創製技術について述べる。
【目次】
1 緒言
2 側鎖結晶性ブロック共重合体とその機能
3 抗血栓性機能について
4 終わりに
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がん幹細胞の形態を識別する人工知能の開発
Development of an Artificial Intelligence for the Segmentation of Cancer Stem Cells in Microscope Image
がん組織は少数のがん幹細胞によって維持,亢進される。したがって治療や診断法を開発する標的として注目されてきた。そのがん幹細胞は未分化かつ特徴的な形質・形態を持つことが知られる。一方,人工知能による画像識別技術が飛躍的に進歩している。我々は条件付き生成的敵対的ネットワークを使用して,その識別を試みた。
【目次】
1 はじめに
2 CSCの形態と画像認識技術
3 培養したCSCを深層学習したAIの作成
4 培養したCSCを認識するAIの改善策
5 腫瘍組織に存在するCSCを深層学習したAIの作成
6 おわりに
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電気化学発光による薬毒物の検出
Electrochemiluminescence for Primary Screening of Drugs and Poisons
法令などにより規制されている化学種である薬毒物を分析するため,ラボ分析に加えて,現場での予備的な試験が必要とされている。今回,電気化学発光原理に基づく薬毒物の分析方法について基礎および応用に関する知見の取得を行ったため,本稿で紹介する。市販の予備的な検査キットと合わせることで,分析結果の誤判定防止の一助として提案したものである。
【目次】
1 はじめに
2 電気化学発光を利用した薬毒物スクリーニングに向けた取り組み -覚醒剤の分析を中心に-
3 超音波照射条件下における新しいECL反応場を用いた分析
4 おわりに
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BIO ENGINEERING
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臓器外形3Dプリントモデルで触覚を再現するhybrid型VR
Tactile Sensing Hybrid Virtual Reality with Organ-shape 3D Printed Model
近年,virtual reality(VR)技術の医学・医療分野への応用が進んでおり,教育やトレーニングツールとしての期待が大きい。本稿で解説する「臓器外形3D プリントモデルで触覚を再現するhybrid 型VR」は,VR 技術の持つ大きな課題を補完するものであり,医療・医学・教育・産業などの広い分野での導入や応用が期待される。
【目次】
1 はじめに
2 医学・医療分野におけるVR の活用状況
3 VR解剖画像観察の特徴と課題
4 触知可能な既存の医療用ツール
5 VR環境での触覚再現技術
6 触覚を再現する補完的技術の開発
7 VR臓器画像と3Dプリントモデルの重畳・同期
8 本技術の特徴
9 臓器外形3Dプリントモデルの特徴
10 医学・医療分野での用途
10.1 診察
10.2 教育
10.3 研究
11 そのほかの応用可能な用途例
11.1 リハビリテーションへの組み込み
11.2 認知症予防ツールとしての活用
11.3 工業・産業への応用
12 おわりに
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近未来の脳卒中診療~脳卒中診療補助アプリケーションの開発~
Medical Treatment of Stroke in The Near Future
本邦において死因および介護を要する疾患として常に上位に位置する脳卒中における診療格差の均霑化は以前より大きな課題となっている。近年,IT 技術の発展と医療の融合は目覚ましく,脳卒中領域においても例外ではない。ここでは,2つの新たな脳卒中関連機器について,実臨床の課題も踏まえながら紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 脳卒中診療の均霑化
3 脳卒中診療補助アプリケーション;OneStroke
4 脳卒中CT画像自動読影アプリケーション;Abierto
5 近未来における脳卒中診療の可能性
6 さいごに
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月刊バイオインダストリー 2020年11月号
¥4,950
<著者一覧>
宮崎 均 筑波大学
浅野敦之 筑波大学
國府大智 筑波大学
安井貴之 筑波大学
中島 章 東京工業大学
砂田香矢乃 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
永井 武 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
石黒 斉 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所
高橋弘毅 関西医科大学附属病院
梶野健太郎 関西医科大学附属病院
佐々木健一 関西医科大学
鈴木啓章 山梨大学
川原敦雄 山梨大学
松岡浩司 埼玉大学
島村宗尚 大阪大学
中神啓徳 大阪大学
冨永昌人 佐賀大学
坂本憲児 九州工業大学
大野宏毅 産業医科大学
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BIO R&D
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機能性作物未利用部位の生殖障害改善への有効活用
Effective Utilization of Unused Parts of Functional Crops for Improving Rreproductive Failure
機能性作物は通常特定の部位のみが利用され残りは廃棄される。未利用部位を有効活用することは,農作物に新たな付加価値を与え儲かる農業に繋がるだけでなく,安価な原材料として,人だけでなく家畜への応用など様々な可能性を生み出す。本稿では,昨今問題となっている人や家畜のストレスによる生殖障害に焦点を当て,著者らが構築した生殖障害改善評価系を用いて明らかとなった未利用部位の有用性を紹介する。
【目次】
1 機能性作物の未利用部位の有効活用とは
2 人および家畜の生殖障害の現状
3 機能性作物の未利用部位を用いたストレス依存的な生殖障害改善の具体例
3.1 オリーブ葉の有効活用
3.2 アシタバの茎の有効活用
3.3 シャクヤクの葉の有効活用
3.4 コーヒーチェリー残渣の有効活用
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抗菌・抗ウイルス活性を有する撥水性複合酸化物
Hydrophobic Complex Oxides with Antiviral and Antibacterial Activities
昨年末に発生した新型コロナウイルスは,未だ世界中で猛威を振るっている。感染の「予防」や「拡大抑制」の技術や知識は「ワクチンや治療法の開発」と同様に,極めて重要である。本稿では最近筆者らが見出した,抗ウイルス作用を有する新しい撥水性無機複合酸化物についてその開発の経緯と作用について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 無機抗ウイルス材料
3 撥水性と抗ウイルス性
4 自己撥水性を有する希土類酸化物
5 撥水性と抗菌・抗ウイルス性を併せ持つモリブデン酸ランタン(LMO)
6 活性向上・機能性付与の試み
7 終わりに
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点滴開始までの時間短縮を可能とした新たな点滴キットの開発
A New Intravenous Drip Infusion Kit Shortening The Time for Preparation.
点滴を開始するまでに点滴セットを組み立てる必要があり,少なくとも数十秒から数分の時間を要する。医療現場では点滴開始までの時間短縮と労力の軽減が求められている。点滴開始までの時間を大幅に短縮し,労力不足の解消に繋がる新たな点滴キット開発について報告する
【目次】
1 はじめに
2 点滴の必要性
3 点滴の構造について
4 点滴の作成
5 現行の問題点
6 新たな点滴キットについて
7 期待できる用途や効果
8 終わりに
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ゲノム編集技術を活用した有害外来魚の戦略的な駆除
Strategic Extermination of Harmful Non-native Fish Using Genome Editing Technology
琵琶湖ではブルーギルやオオクチバスなどの外来魚による在来魚の食害が問題となっている。ゲノム編集技術はピンポイントでゲノム改変を誘導できる発生工学的手法であるが,生殖発生に関与する遺伝子をゲノム編集技術で破壊した有害外来魚を作製し,それらを湖沼に放流することで標的とした有害外来魚を選択的に駆除する戦略が考えられている。我々は,孵化腺に特異的な発現を示す遺伝子をゲノム編集技術で破壊したゼブラフィッシュが孵化不全を伴う胚性致死となることを見出したので,この知見が生殖発生の制御だけでなく孵化不全を誘導することで有害外来魚の個体数を制御できるのではないかと考えている。
【目次】
1 はじめに
2 klf17遺伝子破壊ゼブラフィッシュの孵化不全の表現型
3 klf17遺伝子破壊ゼブラフィッシュにおける孵化腺細胞の欠損
4 オオクチバスにおけるklf17遺伝子の破壊を基盤とする個体数の制御
5 おわりに
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糖-タンパク質相互作用解析への分子間FRETの活用
Intermolecular FRET can be applied for Evaluation of Carbohydrate-protein Interactions.
糖-タンパク質間の相互作用は弱いため,糖鎖クラスター効果を利用して親和力の向上を行った。また,本論文では,その解析法において,主として蛍光分光法の利用について述べる。糖鎖は蛍光発光しないため,レクチン由来の蛍光発光や蛍光発色団を導入した基質を合成するなど,種々の対応を行ってきたのでその一端を紹介する。
【目次】
1 研究背景
2 糖-タンパク質相互作用解析における最近の例
3 まとめ
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RANKL部分ペプチドMHP1による炎症性疾患の治療法開発
Development of Parial Peptide of RANKL, MHP1, for Treatment of Inflammatory Diseases
炎症制御は脳梗塞や乾癬,多発性硬化症などの様々な炎症に関連する疾患において重要な課題である。本稿では,TLR関連炎症を抑制する新たな機能性ペプチドであるRANKL部分ペプチドMHP1について,これらの疾患への治療応用の可能性について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 脳梗塞後炎症の制御に関わるRANKL/RANKシグナルの発見
3 破骨前駆細胞に作用しないRANKL部分ペプチドMHP1の開発
4 MHP1による脳梗塞治療
5 乾癬および多発性硬化症への応用可能性
6 MHP1の新たな作用機序と今後の課題
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酵素バイオ発電・酵素バイオセンサのための電極設計技術
Electrode Design Technology for Electricity Generation and Biosensors Utilizing Enzyme
近年,超低消費電力・低電圧で動作可能な超小型パッケージICが開発されたことにより,ポータブル血糖値センサに続く,酵素を用いたデバイス開発が新しいフェーズを迎えている。本校では,筆者が研究を進めてきた酵素バイオ発電開発のための電極設計について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素と電子コミュニケーション
3 酵素の配向制御
4 ウェアラブル型酵素バイオ発電
5 おわりに
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BIO ENGINEERING
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生活習慣病予防のための体液粘度測定装置
Body Fluid Viscosity Measuring Device for the Prevention of Lifestyle-related Diseases
体液粘度は,生活習慣病をはじめとする多くの疾患のマーカーとなる可能性が指摘されている。しかし現在,微量の体液粘度測定に特化した測定装置は存在しない。九州工業大学と産業医科大学は体液粘度測定を目指した粘度測定装置の共同開発を進めている。その内容について報告する。
【目次】
1 はじめに
2 マイクロ流体チップを用いた粘度測定手法
3 毛細管を用いた粘度測定手法
4 非ニュートン流体への適用
5 おわりに
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BIO BUSINESS
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保湿用化粧品に使われる生薬・薬用植物の市場
1 α-トコフェリルレチノエート
2 ベタイン
3 大豆タンパク分解物
4 デオキシリボ核酸(DNA)
5 ポリアスパラギン酸ナトリウム
6 納豆抽出物
7 大豆抽出物
8 水溶性コラーゲン
9 乳酸菌発酵代謝液
10 キトサンおよびその誘導体
11 ヒアルロン酸ナトリウム
12 トレハロース
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世界のバイオプラスチックの市場
1 市場規模
2 地域別動向
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月刊バイオインダストリー 2020年10月号
¥4,950
<著者一覧>
小川 順 京都大学
安藤晃規 京都大学
奥田知生 京都大学
菊川寛史 静岡県立大学
阪本鷹行 徳島大学
櫻谷英治 徳島大学
岸野重信 京都大学
藤原昂平 慶應義塾大学
磯部洋輔 (国研)理化学研究所
有田 誠 慶應義塾大学
竹田浩章 (国研)理化学研究所
和泉自泰 九州大学
馬場健史 九州大学
守口 徹 麻布大学
原馬明子 麻布大学
石田 渓 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
長竹貴広 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
國澤 純 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
小倉正恒 国立循環器病研究センター研究所
後藤 剛 京都大学
岩瀬麻里 京都大学
川原崎聡子 京都大学
高橋春弥 京都大学
野村 亘 京都大学
井上和生 京都大学
河田照雄 京都大学
河島 洋 サントリーグローバルイノベーションセンター㈱
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【特集】ω-3脂肪酸
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特集にあたって
-ω-3 脂肪酸をつくる・理解する・展開する-
Introduction -Producing, Understanding, Developing ω-3 Fatty Acids-
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油糧微生物による種々のω3 脂肪酸含有油脂の発酵生産
Production of Various ω3-polyunsaturated Fatty Acid-containing Lipids by Oleaginous Microorganisms
オメガ3 高度不飽和脂肪酸(ω3-PUFA)は近年多彩な生理機能や有効性が報告され,健康維持に欠かせない食品成分として認知されつつある。ω3-PUFA のうち,ドコサヘキサエン酸(DHA),エイコサペンタエン酸(EPA)などは,魚油が主要な供給源となっているが,今後の需要の増加への対応や安定供給のために代替供給源の開発が活発化している。本稿では,DHA やEPA に加え,天然では希少なω3-ドコサペンタエン酸(ω3-DPA),エイコサテトラエン酸(ETA)を含有する油脂の微生物生産を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 Crypthecodenium sp. D31株によるDHA高含有油脂の発酵生産
3 Aurantiochytrium sp. T7株によるω3-DPA高含有油脂の発酵生産
4 Mortierella alpinaの分子育種株によるEPA高含有油脂の発酵生産
5 Mortierella alpina S14の分子育種株によるETA高含有油脂の発酵生産
6 おわりに
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腸内細菌によるω3 脂肪酸代謝と代謝物の生理機能
Omega 3 Fatty Acid Metabolism in Gut Microorganisms and Metabolite Biofunction
食事由来の主なω3 脂肪酸,α-リノレン酸,EPA,DHA が,宿主の酸化的代謝により生理活性脂質メディエーター等へ変換されるのみならず,腸内細菌による還元的代謝をうけ,水酸化脂肪酸,共役脂肪酸などの多様な代謝物に変換されることが明らかになってきた。その腸内細菌代謝の詳細と代謝物の生理機能を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 水和化代謝
3 飽和化代謝
4 ω3脂肪酸の腸内細菌代謝物の生理機能
4.1 抗炎症作用
4.2 抗酸化作用
4.3 脂肪酸合成抑制効果
4.4 消化促進作用
5 おわりに
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ω3 脂肪酸から生じる脂質メディエーターの生理機能と代謝経路
Physiological Function and Metabolic Pathways of Lipid Mediators Derived from ω3 Fatty Acids
生体内には多様な脂肪酸分子種が存在し,それらは代謝されることで様々な生理機能をもった脂質メディエーターに変換される。特にω3 脂肪酸由来の脂質メディエーターは炎症の制御や組織恒常性維持に関与することが近年報告されている。本稿ではω3 脂肪酸由来の脂質メディエーターの生理機能とその代謝経路について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ω3脂肪酸由来の炎症収束性メディエーター(Specialized pro-resolving mediator;SPM)の生理機能
2.1 EPA由来の脂質メディエーター
2.2 DHA由来の脂質メディエーター
2.3 DPA由来の脂質メディエーター
3 ω3脂肪酸の機能性発現に関わる代謝経路
4 おわりに
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ω-3 脂肪酸含有脂質を識別する定量リピドーム解析技術
Quantitative Lipidome Analysis for Separating Lipids with ω-3 Fatty Acids
生体内には脂肪酸と極性基の組み合わせにより膨大な種類の脂質分子が存在し,脂肪酸側鎖が異なる構造異性体やその結合位置が異なる位置異性体など,個々の脂質分子の識別には高度な計測技術が必要となる。しかし,個々の脂質分子を高精度に識別かつ定量が可能な技術基盤は未だ十分に構築されていない。本稿では,こうした課題を克服するために取り組んできた超臨界流体クロマトグラフィー質量分析を用いた定量リピドーム解析技術について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 リピドーム解析の現状
3 超臨界流体クロマトグラフィーを用いた脂質クラスの分離
4 構造異性体を識別する質量分析計の選択
5 定量分析技術の開発と応用
5.1 三連四重極型質量分析計を用いた脂質分子の定量分析
5.2 荷電化粒子検出器を用いた脂質クラスの定量分析
5.3 生体試料への適用例
6 おわりに
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成長発達期における多価不飽和脂肪酸の相互作用
Interaction of Polyunsaturated Fatty Acids During Growth and Development Period
Δ6 不飽和化酵素欠損マウスの生後2 日齢から,人工哺乳法により多価不飽和脂肪酸のバランスを調整した人工乳を与え,成長発達期における各脂肪酸の機能性とその相互作用について検討した。 その結果,身体成長にはARA が,脳機能を含む身体の発達にはDHA が必須であることがわかった。
【目次】
1 脳神経組織の発達
2 早産児,正期産で出生しても体重の低い新生児
3 マウス,ラットの人工哺育法
4 多価不飽和脂肪酸の代謝とω3系脂肪酸の必要性
5 食餌性ω3系脂肪酸欠乏マウスの作製
6 Δ6不飽和化酵素欠損(D6D-KO)マウス
7 多価不飽和脂肪酸のそれぞれの働きについて
7.1 身体形成における多価不飽和脂肪酸の働き
7.2 脳機能における多価不飽和脂肪酸の働き
7.3 脳組織の多価不飽和脂肪酸組成
8 多価不飽和脂肪酸の摂取バランスについて
9 おわりに
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ω3 脂肪酸代謝物に見出された新たな抗炎症・抗アレルギー作用
Emerging Roles of ω3 Fatty Acid Metabolites in the Regulation of Allergic and Inflammatory Diseases
ω3 脂肪酸の抗炎症作用は古くより知られていたが,その作用機序についての全容は明らかではなかった。本稿では,ω3 脂肪酸の「代謝」に着目することで見えてきたω3 脂肪酸代謝物によるアレルギー・炎症性疾患に対する抑制作用とそのメカニズムについて概説する。
【目次】
1 はじめに
2 ω3脂肪酸の代謝
3 EPA代謝物17,18-EpETEに見出された食物アレルギー抑制効果
4 17,18-EpETEのアレルギー性皮膚炎に対する有効性と作用機序の解明
5 17,18-EpETEの立体異性体に着目した構造活性相関
6 EPA代謝物15-HEPEによるアレルギー性鼻炎抑制効果
7 ω3 DPA代謝物14-HDPAによる母乳を介した仔マウスの接触皮膚炎の軽減
8 おわりに
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ω3 脂肪酸と動脈硬化予防
Do Omega-3 Fatty Acids Prevent Atherosclerotic Cardiovascular Disease?
ω3 脂肪酸はω6 脂肪酸とは対照的に血中トリグリセリド値を低下させ,抗炎症または炎症収束的に働き,さらに血小板凝集抑制作用も有することから動脈硬化予防に有用と考えられてきた。しかし,ω3 脂肪酸を用いた臨床試験の結果は一定せず,メタ解析結果は否定的である。ω3 脂肪酸の動脈硬化予防効果について,その是非や今後の課題について概説した。
【目次】
1 はじめに
2 ω3 脂肪酸の脂質代謝への影響
2.1 血中脂質の量に及ぼす影響
2.2 血中リポタンパクの質に及ぼす影響
3 動脈硬化性疾患予防のエビデンス
3.1 魚食習慣と心血管イベント
3.2 心血管リスクマーカーとしてのEPA/AA比
3.3 介入試験による心血管イベント抑制効果
3.4 なぜω3脂肪酸と心血管イベントの関連は一定しないか?
3.5 ω3脂肪酸の腸内細菌代謝物の研究
4 おわりに
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脂肪酸および脂肪酸代謝物が褐色脂肪組織機能に及ぼす影響 ~ω-3 脂肪酸を中心に~
The Effects of Dietary Fatty Acids and Their Metabolites on The Function ofBrown Adipose Tissue ~Based around Omega-3 Fatty Acids~
褐色脂肪組織はミトコンドリア内膜中に存在する脱共役タンパク質1 の機能を介して高い熱産生能を有する組織である。褐色脂肪組織の活性は肥満や肥満に伴う代謝異常症の発症と逆相関し,肥満関連疾患の予防・改善における新たな標的組織として注目されている。いくつかの食品成分が褐色脂肪組織の活性化能を有することが示唆されており,その有効活用が期待されている。本稿では,ω -3 脂肪酸をはじめとする脂肪酸およびその代謝物による褐色脂肪組織機能制御に関する知見について,筆者らの研究結果を含めて紹介する。
【目次】
1 褐色脂肪組織の機能
2 ω-3脂肪酸・その代謝産物による褐色脂肪組織機能亢進とそのメカニズム
2.1 ω-3脂肪酸摂取による褐色脂肪組織機能の活性化
2.2 ω-3脂肪酸摂取時の褐色脂肪組織機能亢進のメカニズム
3 その他の脂肪酸・脂肪酸代謝産物による褐色脂肪組織機能調節
4 おわりに
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ω-3 脂肪酸の食品への応用
Application of Omega-3 Fatty Acids to Functional Foods
日本では2015 年から機能性表示食品制度が始まったが,ヒトにおける様々な機能性が知られているω-3 脂肪酸はその主役の一つである。ここでは,機能性表示食品を中心にω-3 脂肪酸を用いた食品について概観するとともに,ヒトにおけるエビデンスの最近の動向を紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ω-3 脂肪酸を用いた食品
2.1 DHA, EPA を用いた食品
2.2 α-リノレン酸を用いた食品
3 栄養素としてのω-3脂肪酸
3.1 摂取状況
3.2 目安量と目標量
4 ω-3脂肪酸と機能性表示食品制度
4.1 機能性表示食品制度の概要
4.2 DHA, EPAを機能性関与成分とする食品
4.3 α-リノレン酸を機能性関与成分とする食品
5 ω-3脂肪酸の機能性に関する最新の動向
5.1 機能性表示制度とω-3脂肪酸の機能性
5.2 循環器疾患リスクに関する最新情報
6 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2020年9月号
¥4,950
<著者一覧>
島村道代 (国研)海洋研究開発機構
中川慎太郎 東京大学
吉江尚子 東京大学
小関康雄 小関環境事務所
加茂 徹 (国研)産業技術総合研究所
内藤 航 (国研)産業技術総合研究所
大南英雄 花王株式会社
南部博美 花王株式会社
藤井健吉 花王株式会社
髙橋祐次 国立医薬品食品衛生研究所
赤渕芳宏 名古屋大学
椎葉 究 東京電機大学;日本バイオリファイナリー株式会社
平本 茂 日本バイオリファイナリー株式会社
大平辰朗 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
茂木精一郎 群馬大学
内田紀之 東京農工大学
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【特集】海洋プラスチック問題への対応策:環境流出を念頭としたLCAリスク・管理の考え方
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海洋プラスチック問題への新たな視点:プラスチックの多角的評価の必要性
A New Perspective on Plastic Pollution Issues:The Need for Multifaceted-Viewpoints Evaluation of Plastics
近年,環境中に流出した5 mm 以下のプラスチック,すなわち「マイクロプラスチック」の環境影響が注目されている。プラスチック自体は,毒性や危険性の低い,比較的安全な化学物質である。しかし,長期間にわたり安定で自然界の一般的分解プロセスを免れるプラスチックの特性のために,適切な廃棄物マネジメント・プロセスから外れ,大量に環境中へ漏れ出したプラスチックが環境中に留まり続け蓄積することによって新たな問題を引き起こしている。一方,海洋科学分野においてこの現象は,古くから認識されていたことだった。本稿では,海洋プラスチック問題を自然科学の観点から整理した上で,社会全体でこの問題とどのように付き合っていくべきなのか,考えてみたい。また本特集号全体を通じ,環境中へのプラスチック流出も想定した今後のライフサイクルアセスメント(LCA),リスク評価,リスク管理等について,各界の先生方に最新の知見をご提供いただき現状を俯瞰することで,新しいプラスチックとのつきあい方,代替マテリアル開発等の一助となることを期待する。
【目次】
1 海洋プラスチック問題
1.1 SDG14 と海洋汚染
1.2 海洋汚染物質としてのプラスチック:時間的・空間的汚染の広がり
1.3 海洋マイクロプラスチック問題
1.4 不適切なプラスチック廃棄物処理と未来予測
1.5 プラスチックの利用と深海ごみの関係
2 プラスチック環境問題と社会・経済・政策
2.1 欧州
2.2 日本
3 おわりに代えて
3.1 プラスチック問題は海洋だけに限られるのか? 明らかになり始めた地球規模環境汚染
3.2 社会としてこの問題といかに付き合うか? COVID-19による「コロナごみ」という新たな海洋MP源の出現とニュー・ノーマル
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動的結合に基づく力学機能性ポリマー材料の開発
Development of Mechanofunctional Polymeric Materials Based on Dynamic Bonds
ポリマー材料の利用にともなう環境負荷を低減するためには,材料の信頼性を高め寿命を伸ばすことが重要である。共有結合よりも弱く可逆的な「動的結合」は,ポリマー材料に強靭性や自己修復性などの優れた力学機能を与える。本稿では,筆者らの最近の研究を中心に,動的結合を用いた力学機能性ポリマー材料開発の最近の動向を解説する。
【目次】
1 緒言
2 動的結合による高分子材料の強靭化
2.1 動的結合ユニットの疎密に基づく強靭なポリマー
2.2 動的結合ユニットの配置制御による熱可塑性エラストマーの強靭化
3 動的結合に基づく自己修復性材料の開発
3.1 水で自己修復性がトリガーされるボロン酸エステル架橋ポリマー
3.2 アルコールで自己修復性がトリガーされるヘミケタール架橋ポリマー
3.3 エントロピー駆動型水素結合により強靭性と自己修復性を両立したポリマー
4 まとめと展望
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バイオプラスチックのライフサイクルアセスメント(LCA)~石油由来プラスチックとバイオマス由来プラスチックの比較~
Life Cycle Assessment(LCA)of Bio-plastics-Comparison Between Petroleum-derived Plastics and Biomass-derived Plastics-
近年,温暖化と資源枯渇の対策の観点からバイオプラスチックが注目されている,ライフサイクル全体の視点から環境負荷を評価するLCA 技法を用いて,バイオマスプラスチックのPE とPET 及び生分解性プラスチックのPLA を例に取り,石油系由来のプラスチック(PE, PET, ABS)と比較し,バイオプラスチックの特徴(利点・欠点)を明確にすると共に,今後のバイオプラスチックの普及のための開発ポイントと評価の考え方を提案した。
【目次】
1 はじめに
2 LCA とは
2.1 LCA の概要
2.2 ISO規格に基づくLCA実施手順
3 バイオプラスチックのLCA
3.1 LCA計算方法
3.2 LCA評価結果
4 LCAの観点からの今後のバイオプラスチックの普及のために
4.1 バイオマスプラスチック
4.2 生分解性プラスチック
4.3 両者共通
5 おわりに
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海洋プラスチック問題に対するリサイクルの役割
The Role of Plastic Recycling for the Marine Debris
海洋プラスチック問題を解決するため,廃プラスチックのリサイクルの実用化が期待されている。多様な廃プラスチックに対応するためには,マテリアルリサイクル,ケミカルリサイクル,およびエネルギー回収の3 つの手法の特徴を活かして組あわせて利用する必要がある。また,ライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減化させる社会システムの構築も重要である。
【目次】
1 はじめに
2 廃プラスチック問題とは
3 廃プラスチックのリサイクルの現状
4 なぜ廃プラスチックのリサイクルは難しいのか?
5 バイオプラスチックへの期待と課題
6 海洋プラスチック問題を解決するために
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海洋プラスチックの環境リスク評価の実施に向けてポイントと課題―マイクロプラスチックを中心に
―Challenges to Environmental Risk Assessment of Marine Plastics and Microplastics
海洋プラスチック,特に最近では「マイクロプラスチック」と呼ばれる微細なプラスチックによる海洋生態系への悪影響が懸念されている。本稿では,海洋プラスチック,特にマイクロプラスチックに着目して,合理的なリスク管理・対策に資する環境リスク評価の枠組み,重要ポイント,今後の課題と評価事例について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 マイクロプラスチックの環境リスク評価の枠組み
3 マイクロプラスチックの環境リスク評価のポイント・課題
3.1 評価の目的は何か? 何を評価の対象とするのか?
3.2 暴露と有害性の単位の整合化
3.3 モデルによる暴露評価の重要性
4 MPの環境リスク評価事例
5 おわりに
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海洋プラスチックごみ問題の排出源プロファイルから考える解決志向性リスク管理
Solution-Focused Risk Management on the Marine Plastic Waste Problem Based on the Emission Source Profile Analysis
現在,海洋プラスチックごみ問題が地球規模で問題となっており,解決に向けた取組を世界全体で推進することが求められている。本論では海洋に排出されるプラスチックの排出源プロファイリング,環境影響の検証,海洋マイクロプラスチックの環境運命,定量的リスクアセスメントの考え方について概説したい。
【目次】
1 背景
2 海洋プラスチック排出源のプロファイリング
3 海洋プラスチックごみの海洋生物への影響評価
4 下水処理施設におけるMPの捕捉
5 海洋プラスチックごみ問題の解決志向性リスク管理の検討
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ナノサイズプラスチックの評価
Evaluation of Nano-sized Plastics
【目次】
1 はじめに
2 ナノ/ マイクロプラスチックの経口摂取影響
3 ナノ/マイクロプラスチックの吸入曝露影響
4 ナノ/マイクロプラスチックの評価
5 革新的な物質が引き起こした事故例
6 おわりに
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予防原則とリスク評価─若干の試論をかねて
A Sketch on Risk Assessment and the Precautionary Principle:From the Perspective of Environmental Jurisprudence
環境法研究者からみれば,予防原則は,〈環境法の基本原則〉の1 つに位置づけられる,環境法上の概念であるが,それは科学的な不確実性を伴うリスクを対象とするものであり,〈不確実性〉あるいは〈リスク〉といった概念が窓口となり,さまざまな学問分野での議論に開かれてもいる。本稿は,環境法学の観点から,予防原則および同原則とリスク評価とのかかわりにつき,若干の試論を交えて,概説する。
【目次】
1 はじめに
2 予防原則について
2.1 予防原則と予防的アプローチ
2.2 予防原則の定式化とその多様性
2.3 予防原則を構成する4つの要素
2.4 〈半具体化〉された予防原則と,予防原則の定義
3 予防原則の適用要件である「科学的不確実性」とリスク評価
3.1 2つの不確実性──「科学的不確実性」と「慎重なアプローチ」との区別
3.2 予防原則の適用要件である「科学的不確実性」──環境法学における分類の試み
4 おわりに
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BIO R&D
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「竹バイオリファイナリー」孟宗竹中の健康に資する成分と孟宗竹の総合利用について
“Bio-refinery Technology on Moso-bamboo” An Application of Bamboo Constituents as Health Materials
孟宗竹は,その堅固な細胞壁構造を崩壊することが難しかったために,その後の健康素材としての利用が困難となった経緯がある。ここでは,孟宗竹の竹稈から健康素材となりうるリグノヘミセルロース成分を抽出する方法,抽出した成分の組成と化学的な構造,生理活性と,竹成分の総合的な利用について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酸・塩基,有機溶媒を用いない健康に資する成分の抽出と分画方法
3 抽出した成分の組成と化学的な構造
4 抽出した成分の生理活性について
4.1 減圧マイクロ波処理により抽出した画分(BMW)の抗菌活性
4.2 蒸圧・酵素処理抽出成分(BOS)の抗酸化活性と局所光保護効果
4.3 BOSのコレステロール上昇抑制効果
4.4 免疫賦活活性
5 孟宗竹中の健康に資する成分と孟宗竹の総合利用について
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全身性強皮症に伴う末梢循環障害に対するボツリヌス毒素局所注入療法
Local Botulinum Toxin Injection Therapy for Peripheral Circulation Disorders Associated with Systemic Ssclerosis
全身性強皮症に伴うレイノー現象や手指潰瘍は難治であり有効な治療法が確立されていない。本稿では,筆者らが世界に先駆けて臨床研究を進めてきた「ボツリヌス毒素局所注入療法」の高い有効性と安全性について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 レイノー現象
3 末梢循環障害(レイノー現象,皮膚潰瘍)の治療
4 ボツリヌス毒素について
5 全身性強皮症に伴うレイノー現象や手指潰瘍に対するボツリヌス毒素局所注入療法について
6 ボツリヌス毒素局所注入療法のランダム化2重盲検試験(医師主導治験)
7 おわりに
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経皮浸透性リン脂質ナノシート
Skin Permeable Phospholipid Nanosheets
市販のアニオン性リン脂質をある条件下で水に分散させると,ナノサイズの厚みをもつナノシートが形成されることを見出した。このリン脂質ナノシートは高い生体適合性,簡便なサイズ制御性に加え,ナノシートの形状効果により皮膚組織の狭い間隙を通過し,皮膚組織内部へと浸透することができる。
【目次】
1 緒言
2 リン脂質ナノシート(バイセル)
3 生体親和性リン脂質ナノシートの発見
4 経皮DDSへの応用
5 構造色の発現と色材化粧品の可能性
6 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2020年8月号
¥4,950
<著者一覧>
酒井芳紀 大阪大学
奥田直樹 国立循環器病研究センター
宮川 繁 大阪大学
平田陽一郎 北里大学
佐田政隆 徳島大学
田邊克幸 岡山大学病院
小屋俊之 新潟大学
松本邦夫 金沢大学
中川敬也 国際医療福祉大学
奥野龍禎 大阪大学
白石直之 大阪大学
望月秀樹 大阪大学
櫨川 舞 福岡大学
内田享弘 武庫川女子大学
矢嶋真心 兵庫医科大学病院
金谷知潤 大阪大学
河村拓史 大阪大学
上野高義 大阪大学
戸田宏一 大阪大学
倉谷 徹 大阪大学
澤 芳樹 大阪大学
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【特集】再生誘導剤(セルフリーな再生医療)の展望
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再生誘導剤の開発展開
Development of Regenerative Inducer
我々は,「炎症とプロスタグランジンに関する自然治癒メカニズムの基礎的研究を通じて見出した体内再生因子誘導剤(再生誘導剤)は,単一物質で炎症,虚血,線維化等組織損傷を伴う多くの疾患を治癒する」との仮説の基に多くの専門家と共同研究を行い,多種疾患に対する効果の検討を行った。その結果,本再生誘導剤は,局所疾患部位では,血管新生作用,抗線維化作用,抗アポトーシス作用,及び抗炎症作用等を示し,広範囲損傷部位では,骨髄間葉系幹細胞(MSC)の動員・集積作用等を示すことにより,心臓,肺臓,腎臓,肝臓,膵臓,骨,血管閉塞,及び神経変性疾患等多種の疾患に対して傷害部位を治癒することを確認した。
各種体内再生因子誘導による自然治癒力を増強した再生誘導剤の開発は,細胞を用いた再生医療に比し,緊急性,経済性,安全性,汎用性等に優れており,「飲み薬で再生医療」をも可能とする細胞を用いない全く新しい再生医療に成り得ることが示唆された。
【目次】
1 はじめに
2 医薬品開発の変遷
3 自然治癒力を増強した再生誘導剤の開発
4 プロスタグランジンの体内再生因子誘導作用
5 再生医療(細胞・遺伝子治療)の問題点と再生誘導剤
6 現在上市されている細胞治療及び遺伝子治療
7 再生誘導剤の位置付け
8 YS-1301類開発の立ち位置
9 再生誘導剤の特徴と競争優位性
10 YS-1301の耐性抑制作用
11 IP受容体作動薬(ベラプロスト)とTXA2合成酵素阻害薬(オザグレル)
12 YS-1301は,体内再生因子誘導剤(再生誘導剤)
13 YS-1301類の各種疾患モデルへの効果
14 YS-1301の製剤改良
15 YS-1301の各種製剤の特性
16 開発パイプライン
17 謝辞
18 あとがき
19 再生誘導剤(YS化合物)に関する論文・学術発表,及び特許出願状況
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拡張型心筋症に対するONO-1301 を用いた再生治療
Regenerative Therapy Using ONO-1301 for Dilated Cardiomyopath
拡張型心筋症は治療抵抗性の難病で,根本的治療が心臓移植しか存在しないが,ドナー心不足により治療困難な患者が数多く存在する。そのため,心臓移植に代わる治療の開発が急務である。ONO- 1301 を拡張型心筋症早期から継続的に経口投与することで,心不全の進行を抑制するという,新たなアプローチによる再生治療の可能性を示す。
【目次】
1 ONO-1301 と心臓再生治療
2 拡張型心筋症における再生医療の位置づけ
3 拡張型心筋症モデルハムスターに対するONO-1301の長期経口投与の効果
4 おわりに
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YS-1402 皮下投与,および心筋投与における虚血性心筋症に対する効果の検討
Beneficial Effect of YS-1402 on Rat Ischemic-reperfusion Injury Model
我々は,プロスタサイクリン製剤であるYS-1402 をラット心筋虚血・再灌流モデルに皮下投与することにより,心機能低下と心筋リモデリングを抑制する作用を示した。日本人における重要な死因の一つである,虚血性心疾患およびその後の慢性心不全への臨床応用が期待される。
【目次】
1 はじめに
2 方法
3 結果
4 まとめ
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YS-1402 による慢性腎臓病の治療効果
Therapeutic Effects of YS-1402 on Chronic Kidney Disease
慢性腎臓病は,末期腎不全とともに心血管イベントのリスクとなるが,その進行を抑制する治療戦略は未だ不十分であり,特に糖尿病性腎症と腎硬化症に対する治療ニーズは高い。本項では,これらの病態とともに,YS-1402 による糖尿病性腎症及び腎線維化に対する動物実験での治療効果を検討し,慢性腎臓病に対する新たな治療薬となる可能性について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 腎臓とプロスタサイクリン
3 糖尿病性腎症の進展機序
4 糖尿病性腎症に対するYS-1402の治療効果
5 腎硬化症と線維化
6 腎線維化に対するYS-1402の治療効果
7 おわりに
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YS-1301 およびYS-1402 皮下投与におけるマウス喘息モデルに対する効果
Effects of Subcutaneous Administration of YS-1301 and YS-1402 on Murine Asthma Model
慢性気道炎症が主病態とされる気管支喘息において,吸入ステロイド薬(ICS)をはじめとする抗炎症薬は治療の柱である。一方で同時に存在する気道リモデリングも臨床的に重要で,症状に直結することも多い。気道狭窄に対して,気管支拡張剤が使用されるが,気道リモデリングに影響を与える薬剤が少ないのが現状である。YS-1301 またはYS-1402 はトロンボキサン合成酵素阻害作用を併せ持つ新規プロスタサイクリンアゴニストで,抗炎症および抗リモデリング効果を持つ数少ない薬剤であり,その効果についてマウス喘息モデルにおける解析結果を解説する。
【目次】
1 はじめに
2 YS-1301皮下投与における難治性喘息に対する効果
3 YS-1402皮下投与における難治性喘息に対する効果
4 おわりに
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増殖因子(HGF)パスウェイを介した肝傷害・肝線維化の抑制
Suppression of Hepatic Faimure and Fibrosis Through Growth Factor(HGF)Pathway
YS-1301 は,急性肝傷害に対して肝細胞死を阻止し,肝傷害を強く抑制する一方,慢性肝傷害による肝臓の線維化を改善した。YS-1301 はHGF の発現を強く促す活性をもち,YS-1301 の薬効はHGF の中和により減弱した。YS-1301 はHGF発現促進→MET 活性化を介して肝傷害阻止・線維化改善作用を発揮する。
【目次】
1 HGFとMET受容体
2 YS-1301によるHGF産生促進
3 YS-1301→HGF誘導を介した肝傷害抑制
4 YS-1301→HGF誘導を介した肝線維化抑制
5 MET受容体活性化による再生・治癒促進医薬の展望
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重症下肢虚血に対するYS-1402 投与による血管再生および骨格筋再生療法の構築
Administration of a Slow Release Synthetic Prostacyclin Agonist Promoted Angiogenesis and Skeletal Muscle Regeneration for Limb Ischemia
重症下肢虚血疾患(CLI)は,血管の途絶による虚血がメインの病態であるが,崩壊していく骨格筋をいかにして再生させるかも重要であり,血管新生および組織再生効果を併せ持つような新しい治療法の開発が期待されている。我々は,低分子合成化合物による各種体内再生因子誘導剤として,YS-1301 を新しく見出し,そのDDS(Drug Delivery System)製剤であるYS-1402 を作製した。これらの製剤はCLI に対し機能的な血管新生と骨格筋の再生を促進し,下肢虚血を改善する新しいCell Free 型再生誘導剤になり得る可能性がある。
【目次】
1 はじめに
2 YS-1402投与による血管再生
3 YS-1402投与による骨格筋再生
4 まとめ
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YS-1402 のALS に対する効果の検討
The Beneficial Effect of YS-1402 on ALS
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)は運動ニューロンが選択的に変性,脱落する致死的神経変性疾患であるが,病巣の低酸素およびHGF やVEGF といった体内再生因子の病態への関与が示唆されてきた。我々はこれらの病態を改善させ得る薬剤としてYS-1402 に注目し,ALS モデルマウスへの有効性を検討した。YS-1402 の単回皮下投与によりALS モデルの運動機能の改善および体重の増加が認められ,治療薬候補となりうることが示唆された。
【目次】
1 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)
2 ALSの病態,特に低酸素および血流障害との関連について
3 ALSモデルマウスに対するYS-1402の効果
4 おわりに
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YS-1301 の血管新生作用と実用化のための再生医療製剤の開発
The Angiogenic Effect of YS-1301 and Development of Practical Regenerative Medical Formulation
YS-1301 は,PGI2 誘導体の中から体内再生因子誘導剤として見出された新規低分子化合物である。本稿では,YS-1301 の有する血管新生作用に着目し,その実用化のために開発されたYS-1301 含有マイクロスフェア製剤のセルフリーな再生医療製剤としての有用性と今後の展望について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 YS-1301の血管新生作用の作用機序
3 YS-1301含有マイクロスフェア製剤の血管新生作用
4 セルフリーな血管新生作用を有する再生医療製剤の重要性とその展望
5 おわりに
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YS-1301 の脳保護作用とその徐放性製剤の脳梗塞治療薬としての有用性
The Neuroprotective Effects of YS1301 and Usefulness of YS-1301 Loaded PLGA Microspheres, as a Therapeutic Medicine for Cerebral Ischemia
プロスタグランジン誘導体YS-1301 は,体内再生因子誘導作用を有し,脳虚血後の学習障害に対し顕著な改善効果を発揮する。本稿では,脳虚血ラットモデルを用いたYS-1301 の学習障害・短期作業記憶障害の改善作用を紹介し,YS-1301 およびその徐放性製剤の脳梗塞治療薬としての有用性について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 MCAOモデルラットを用いたYS-1301原末の1日2回の反復経口投与の梗塞巣形成抑制効果と治療可能時間
3 4-VOモデルラットを用いたYS-1301原末反復経口投与の学習障害の改善効果
4 4-VOモデルラットを用いたYS-1301マイクロスフェア製剤単回皮下投与の短期作業記憶障害の改善効果
5 脳梗塞治療のための今日の再生医療の現状と将来の展望
6 おわりに
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心筋虚血再灌流障害に対する疾患局所集積性nanoparticle 製剤;YS-1603 の効果の検討
Prostacyclin Analogue-Loaded Nanoparticles(YS-1603)Attenuate Myocardial Ischemia/ Reperfusion Injury in Rats
YS-1603 は,ナノサイズ粒子であり,ポリエチレングリコールをその表面に持つ構造によりステルス性を高めている。その結果,虚血心筋組織に特異的に集積し,組織中薬物濃度が維持,延長され,疾患局所において有効に血管新生性効果,抗炎症性効果により心保護効果発揮を発揮する。
【目次】
1 はじめに
2 研究方法
3 研究結果
4 心筋虚血再灌流傷害に対するYS-1603の治療効果に関するメカニズム
5 結語
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肺高血圧症モデルに対するYS-1603 の効果の検討
Effect of YS-1603 for the Pulmonay Artery Hypertension Rat
ONO1301 はProstacyclin 作動作用であり,新規肺高血圧薬として期待されるが,全身の副作用が問題である。Nano 粒子に薬剤を封入し投与する事で,障害部位特異的に作用する事が期待される。今回,Sugen/hypoxia 誘導の肺高血圧ラットにおいて,ONO1301 ナノ製剤が肺高血圧肺に特異的に取り込まれ,肺高血圧を組織学的,血行動態的に改善させることを示した。
【目次】
1 はじめに
2 YS-1301内包リポソームナノスフェアー製剤(YS-1603)
3 YS-1301の肺高血圧薬としての作用
4 モノクロタリン誘発ラット肺高血圧症モデルの対する効果の検討
5 肺高血圧モデルラットの作成
6 肺高血圧モデルラットにおけるNano drugの組織分布
7 肺高血圧に対するYS-1603の効果
8 おわりに
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月刊バイオインダストリー 2020年7月号
¥4,950
<著者一覧>
高原茉莉 北九州工業高等専門学校
神谷典穂 九州大学
舘野浩章 (国研)産業技術総合研究所
堀北夏未 東海大学
酒井大輔 東海大学
上原 隆 金沢医科大学
倉知正佳 富山大学
近藤 隆 富山大学
阿部 仁 富山大学
鈴木道雄 富山大学
矢口俊之 東京電機大学
井上 聡 東京電機大学
大山慎太郎 名古屋大学医学部附属病院
岩月克之 名古屋大学
平田 仁 名古屋大学
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BIO R&D
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人工脂質化タンパク質の調製法
How to Prepare Artificial Lipid-protein Conjugates
生体系を構成するタンパク質のなかには,脂質が付加されることで新たな機能を獲得するものがある。本稿では,自然界における脂質化タンパク質の生合成機構と機能を概説した後,その機能を評価・活用するために開発された様々な人工脂質化タンパク質の調製法について,最近の展開を紹介する。
【目次】
1 脂質化タンパク質の機能性
2 脂質化タンパク質の化学合成
3 酵素反応を用いた脂質化タンパク質の合成
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膵がん表層糖鎖をレクチン?薬剤複合体で狙い撃ち
Targeting Cell Surface Glycans of Pancreatic Cancer Using a Lectin-durg Conjugate
膵がんの治る確率(5年生存率)は未だ10%未満であり,新たな抗がん剤の開発が切望されている。我々は膵がんに発現する新たな糖鎖マーカーと結合するレクチンを同定した。レクチン?薬剤複合体を創出し,膵がん移植マウスモデルに投与すると,劇的な抗がん作用を示した。本総説ではレクチンを用いた新たな膵がん治療の可能性について紹介する。
【目次】
1 背景
2 糖鎖とは
3 レクチンマイクロアレイ
4 糖鎖プロファイリングに用いるレクチン
5 膵がん細胞株の糖鎖プロファイリング
5.1 多能性幹細胞と膵がん細胞に共通して発現するHタイプ3構造
5.2 レクチン?薬剤複合体の膵がん細胞株への殺傷効果
5.3 膵がん移植マウスモデルにおけるrBC2LCN?PE38の治療効果
5.4 rBC2LCN?PE38の安全性
5.5 レクチンを抗がん剤として使う利点
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椎間板再生医療と産業化の課題
Commercialization Challenges of Regenerative Medicine for Intervertebral Discs
国内でも患者数の多い腰痛は,椎間板の変性によって発症するとも言われる。未だ抜本的な治療法が存在しない中,椎間板組織の再生を目指した再生医療等製品の開発が進められている。本稿では,椎間板変性症における再生医療の必要性と産業化の課題について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 椎間板組織の変性と腰痛
3 国内外の臨床研究
4 再生医療等製品の産業化における課題
5 開発が進む椎間板変性症に対する再生医療等製品
6 おわりに
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抗酸化機能を付与したハイブリッド型神経保護薬の創製
Nobel Hybrid Neuro-protectors with Anti-oxidant Activity
統合失調症は慢性の経過をたどる精神疾患である。罹患患者やその家族に多大な負担を強い,社会的コストから見てもその損失は大きい。しかしその病態生理は未だ不明な点が多く,したがって根治的な治療薬は開発されていない。近年その病態生理に酸化ストレスが関与しているエビデンスが蓄積されつつある。そこで我々は抗酸化作用を有するアポシニンと認知機能を改善し神経保護作用を持つタンドスピロンをリード化合物とした新規化合物を合成した。新規化合物はin vitroで抗酸化作用を示し,in vivoでも統合失調症モデル動物において抗酸化作用と神経保護作用を示した。このことから新規化合物が統合失調症の根治的治療薬になる可能性を秘めており,今後臨床応用に向けた開発が進むことが期待される。
【目次】
1 はじめに
1.1 統合失調症の薬物療法と現状
2 グルタミン酸仮説と酸化ストレス
3 リード化合物
3.1 アポシニン
3.2 タンドスピロン
3.3 新規化合物の構造
4 新規化合物の評価系とその結果
4.1 in vitro:抗酸化活性と抗アポトーシス効果
4.2 in vivo:NMDA受容体遮断薬投与ラットにおける効果
5 新規化合物の可能性(適応疾患など)と今後の課題
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BIO ENGINEERING
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水性二相系培養液を用いた細胞組織構築法
Developmental Study of Newly Method for Fabricating Cell Aggregate Using Aqueous Two Phase System
細胞凝集組織であるスフェロイドは再生医療分野や創薬分野で注目されている。本稿ではスフェロイド様細胞凝集塊の新たな細胞加工法として,水溶液でありながら“水と油”のように分離する性質を持つ水性二相系(Aqueous Two PhaseSystem, ATPS)法を応用した浮遊培養システムを提案し,その基礎検討と今後の展望について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 水性二相系(Aqueous Two Phase System)
2.1 水性二相系の特性
2.2 ATPSのバイオ領域への応用例
3 ATPS浮遊培養システム
3.1 浮遊培養の原理とシステム
3.2 浮遊培養の検討
4 おわりに
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機械学習を用いた複合性局所疼痛症候群(CRPS)の重症度評価技術の開発
Development of Machine-learning Based Objective Severity Assessment Model for Complex Regional Pain Syndrome( CRPS)
これまで疼痛の評価は主観的な質問票に頼る部分が大きく,客観的かつ定量的な検査が望まれてきた。近年,慢性疼痛における脳の可塑的変化が明らかになってきており,疼痛と密接な関連を持つと考えられている。本稿では慢性で強い疼痛が主症状である複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome, CRPS)の患者に対して,脳磁計による脳機能解析を行い,それらパラメータを入力変数,主観的疼痛指標を応答変数とするモデルを機械学習手法により確立,その妥当性を示すことができたのでこれを報告する。
【目次】
1 慢性疼痛と複合性局所疼痛症候群
2 脳機能に着目したCRPSの重症度評価方法の開発
3 検証方法
4 結果
5 まとめ
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BIO BUSINESS
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再生医療
経済産業省の算出によると,再生医療の周辺産業まで含めた市場規模は,2012年の260 億円から急速に拡大し,2030 年には1.6 兆円に達すると予測されている。2014 年には再生医療推進に向け新たな法律も施行され,早期承認への道筋がつけられたほか,これまでは医療機関に限られていた細胞培養加工等の外部委託が可能となり,周辺産業も含めた市場の活性化が期待されている。
【目次】
1 概要
2 関連制度と体制
3 研究開発動向
4 メーカー動向
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バイオ医薬品
これまで多くのブロックバスターを生み出してきた低分子化合物を用いた新薬が頭打ちになってきたことから,抗体医薬をはじめとしたバイオ医薬品の市場が拡大している。バイオ医薬品の5 割以上を占める2017 年の抗体医薬品の国内市場は9,695 億円程度とみられ,がん領域を中心に現在も多くの臨床試験が進められていることから,今後も安定した成長が期待される。大型医薬品の特許切れが相次ぐ中,メーカー各社は研究機関との共同研究やバイオベンチャーの買収によって新薬の投入を急いでいる。
【目次】
1 概要
2 業界動向
3 バイオシミラー
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《BIO PRODUCTS》
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl methyl cellulose)
乳酸ナトリウム(Sodium lactate)
ローカストビーンガム(Locust bean gum)
レブリン酸(Levulinic acid)
1,3―プロパンジオール(1,3-Propanediol)
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月刊バイオインダストリー 2020年6月号
¥4,950
<著者一覧>
大浦イッセイ 特定非営利活動法人 まもるをまもる
西垣孝行 森ノ宮医療大学
小栁智義 筑波大学
野口裕史 筑波大学
池野文昭 筑波大学
八木雅和 大阪大学
荒川義弘 筑波大学
原 正彦 (株)mediVR
小川晋平 AМI(株)
神尾 翼 AМI(株)
齊藤旬平 AМI(株)
髙木良輔 AМI(株)
加藤博史 神戸大学
安齊崇王 テルモ(株)
樋口高志 (株)カワニシホールディングス
本田佳範 (株)カワニシホールディングス
前島洋平 (株)カワニシホールディングス
西澤美幸 (株)タニタ
笠原靖弘 (株)タニタ
中村英治 (株)タニタ
蔦谷孝夫 (株)タニタ
Steven B Heymsfield Pennington Biomedical Research Center
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【特集】医工連携医療機器開発の最新動向
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デザインドリブンで行う医療機器開発
Medical Device Development with Desig-Driven Approach
ニーズドリブン,テクノロジードリブンでの開発ではなく,ニーズもテクノロジーも精査し,提供する価値を創造した上で,ソリューションとして社会実装できる,デザインドリブンで行う医療機器開発の一例を記す。
【目次】
1 はじめに
2 医療機器開発の最初に行うデザイン作業
3 医療機器開発に最も重要なデザイン作業
4 デザインドリブンで行う医療機器開発
5 おわりに
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医療機器開発における国の取り組みと医工デザイン融合
National Initiatives in Medical Device Development, Moreover Integration of DESIGN,Medicine and Industry
医療機器開発に関連する国の取り組みについて解説する。主に医工連携における開発支援策と日本におけるベンチャーエコシステムの現状を提示しながら,最新の動向を紹介する。また医療者と企業が新規事業を共創する社会を目指すための「医工デザイン融合」のコンセプトを解説し,著者らが開発した医療者の知的資産を守りながら企業と共創するプラットフォーム「evaGraphy」について情報提供を行う。
【目次】
1 はじめに
2 医療機器開発における国の取り組み
2.1 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)について
2.2 医工連携における開発支援策
2.3 日本の医療機器産業の課題
2.4 ベンチャーエコシステムにおける課題
2.5 J-Startupによる国主導のエコシステム
2.6 2040年の医療(ビジョナリーとバックキャスト)
3 医工デザイン融合
3.1 医工連携とデザイン
3.2 医療者の知的資産をまもるWEBプラットフォーム「evaGraphy」
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アカデミア発の医療機器開発支援?マーケットニーズと基礎技術のギャップを意識した開発人材育成
Creating Values Through the Matching of Clinical Needs and Technologies atthe University Hospital
アカデミアでは基礎医学,工学など,医療機器開発に結びつく可能性のある様々な研究が行われており,その成果の社会実装が大きな期待となっている。本稿ではまず大学の医療機器開発プロジェクトの特徴,日本の医療機器開発の潜在的な課題について,日本の国際競争力と医療機器開発の特徴をもとに考える。
ユーザーとしての臨床現場でありかつ臨床研究の現場である大学病院を舞台として様々な取り組みが進んでいるが,臨床現場の「ニーズ」を持つ医療者と,アカデミアの研究成果である「シーズ」を持つ研究者・技術者が共同して最終製品の開発に取り組まなければならない。そこで「デザイン思考」と「SPARK」という2 つのアプローチを元にし,筑波大学で行っている製品開発支援Program での挑戦について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 大学での医療機器開発に見られる特徴
3 日本のものづくりと医療機器開発体制の課題
4 デザイン思考とアカデミア発「シーズ」「ニーズ」の活用の可能性
5 筑波大学の医療関連製品事業化支援プラットフォーム
5.1 Research Studio powered by SPARK
5.2 クリニカルエクスポージャーと新たな取組
6 新型コロナウイルス対策プロジェクトで見えてきた課題
7 今後の展望
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医療機器イノベーション人材育成プログラム「バイオデザイン」の国内動向について
The Perspective of Biodesign Program to Make an Innnovation of Medical Ddevice in Japan
バイオデザイン・プログラムはStanford 大学で開発された医療機器イノベーション人材育成教育プログラムであり,同プログラムから多くの製品を創出するなど優れた成果も上げていることから世界的にも評価が高い。日本でも2015 年にジャパンバイオデザインが発足し,医療機器イノベーションのエコシステム創成が進められている。ジャパンバイオデザインのこれまでの取り組みとバイオデザインプロセスの特徴,ジャパンバイオデザインの課題及び今後の展望について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 国内におけるバイオデザインの沿革
3 バイオデザインプロセスの実際
3.1 医療機器開発プロセスを体系化し,製品化に至るまでのロードマップが示されていること
3.2 医療現場に求められる開発に即したニーズを探求すること
3.3 医療現場に求められる「ニーズ」の仕様を事前に定めた上で,その目標に従ってプロトタイプとして具現化すること
4 日本の医療機器産業の動向とバイオデザインが果たす役割
5 日本におけるバイオデザインのさらなる発展に向けて
6 今後の展望
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VR リハビリ機器開発を通した医工連携による事業化の考え方と実際
Conceptual Review of Commercialization Through Medical-engineering Alliance with a Practical Example of Virtual Reality-guided Rehabilitation Medical Device Development
株式会社mediVR では仮想現実技術を用いたリハビリテーション支援用医療機器の開発及び製造販売を行っている。本特集ではニーズの掘り起こしから開発理論,上市から臨床効果に至るまでの弊社の取り組みを紹介することによって,読者が医療機器開発の一連の流れを理解し,医工連携活動を行う際の一助となるような情報提供を行いたい。
【目次】
1 はじめに
2 医工連携総論
3 各論1 mediVRカグラ開発に至る背景
4 各論2 mediVRカグラ開発の医学的理論根拠
5 各論3 mediVRカグラガイド下治療の臨床効果
6 各論4 mediVR社の資金調達と出口戦略
7 各論5 mediVR社の知財戦略
8 おわりに
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超聴診器
Development of the Stethoscope with Automatic Assisted Diagnosis for Heart Disease
著者らは各種バイタルサイン計測機能搭載 心疾患自動診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器「超聴診器」を開発中である。心音と心電を同時計測し,心音を可視化することで聴診を定量的に解析することを可能にした。今後は,自動診断アシスト機能を搭載するために,2020 年夏には複数の大学病院と連携し,大規模臨床研究を実施予定である。
【目次】
1 超聴診器とは
1.1 開発の背景
1.2 自動診断アシスト機能の開発
1.3 今後のビジョン
2 遠隔聴診の実現
2.1 遠隔医療の必要性
2.2 遠隔聴診の問題点
2.3 スペクトログラムの有用性
3 遠隔医療システムの構築に向けて
3.1 予備健診の実施
3.2 企業との連携
4 急激な医療革新を起こすために
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医工連携の出口戦略について
Exit Strategy for Medical-engineering Collaboration
医工連携による医療機器等の開発においてニーズを探し,これを検証する入口の部分は非常に重要だと認識されている。あわせて,開発された製品を世に送り出す出口の部分も非常に重要なプロセスである。本稿では筆者がニーズ検証の際に実施している出口戦略について説明する。
【目次】
1 出口戦略とタイミング
2 顧客はだれなのか? 顧客のビジネスを理解せず製品は売れない
3 市場調査
4 忘れてはいけない経営者というステークホルダー
5 ビジネスモデル
6 エビデンス
7 おわりに
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心臓血管関連医療機器
Medical Device for Cardiovascular Disease
我々,医療機器メーカーの技術者にとっての医工連携とは,医療現場のニーズ,課題をとらえ,それらに対して自らの専門技術や知識を駆使し,さらには異分野,先端技術も積極的に学び,取り入れることで医療現場に変化を起こすことである。本稿においては,筆者自身が開発初期から関わった抗血栓性ポリマーコーティング技術,その抗血栓性メカニズム,未来の医療に向けた展望について述べる。
【目次】
1 医工連携のスピリッツ
2 心臓血管関連医療機器に価値を提供する高分子化学
3 人工心肺とコーティング
4 ポリ2メトキシエチルアクリレート(PMEA)
5 PMEAコーティング人工肺の有効性
6 他用途への展開
7 PMEAの抗血栓性メカニズム
8 血栓課題の克服に向けて
9 最後に
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医療機器販売商社による医工連携の実践事例
Implementation of the Medical Device Dealer-driven Medical-engineering Collaboration
本稿では,医療機器流通の現状と医療機器販売業が医工連携に果たしうる役割,および当社が目指している医工連携のあり方を論述する。また,当社の開発事例の紹介と説明を通じて,現在の医工連携においてしばしば起こりうる問題や克服すべき課題,それに対する当社の現在および将来の取り組みを論述する。
【目次】
1 はじめに
2 背景
2.1 医療機器の商流と医療機器販売業の機能
2.2 当社の目指す医工連携・医療機器開発
3 当社の開発事例より
3.1 医師の手の代わりに器械器具を保持するカッツェシリーズ
3.2 心臓カテーテルの操作を安定化させるためのカテーテルホルダー
3.3 女性医師の消化器内視鏡操作を補助するためのアタッチメント
4 これからの課題
5 まとめ
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BIA 体組成評価装置
BIA Body Composition Monitor
近年,健康診断や保健指導など様々な場面でBioelectrical Impedance Analysis(BIA)による体組成評価が活用されつつあるが,簡便に使用できる反面,この装置の詳細についてはあまり知られていない。ここではこのBIA を用いた体組成評価装置についての測定原理や臨床的有用性に触れつつ,最新の研究情報についても紹介する。
【目次】
1 メタボリックシンドローム診断における内臓脂肪型肥満スクリーニングの意義
2 健康情報としての「体組成評価」の有用性
3 体組成評価法の変遷と各方法の特徴,有効な利用法について
3.1 古くから実施されている体組成評価法
3.2 DXA:Dual energy X-ray Absorptiometryによる体組成分析
3.3 4C(4-Compartment-model)法
3.4 簡便で客観的な測定:BIAによる体組成評価
3.5 BIAの問題点と精度について
3.6 BIA体組成計の測定をできるだけ正確に実施するために
4 近年のBIA研究:加齢や鍛錬によって変化する筋肉の「質」を評価
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ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開(普及版)
¥3,190
2013年刊「ナノワイヤ最新技術の基礎と応用展開」の普及版。「ナノワイヤ」の基礎(成長、物性・理論)から、太陽電池をはじめ発光ダイオード、レーザー、センサー、光検出器など、デバイスへの応用を網羅!!
(監修:福井孝志)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
福井孝志 北海道大学
比留間健之 (株)日立製作所
竹田精治 大阪大学産業科学研究所
清水智弘 関西大学
小田俊理 東京工業大学
舘野功太 NTT物性科学基礎研究所
池尻圭太郎 北海道大学
山口雅史 名古屋大学
原真二郎 北海道大学
岡田龍雄 九州大学
中村大輔 九州大学
本久順一 北海道大学
深田直樹 (独)物質・材料研究機構
河口研一 (株)富士通研究所
荒川泰彦 東京大学
有田宗貴 東京大学
舘林 潤 東京大学
八井 崇 東京大学大学院
秋山 亨 三重大学
広瀬賢二 日本電気(株)
小林伸彦 筑波大学
岸野克巳 上智大学
和保孝夫 上智大学
冨岡克広 北海道大学量;(独)科学技術振興機構
柳田 剛 大阪大学
吉村正利 北海道大学
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<<目次>>
序章 ナノワイヤ研究の最新動向
【第I編 成長】
第1章 ナノワイヤ成長の概論
1 はじめに ―ナノワイヤのルーツ:ホイスカー ―
2 ホイスカーからナノワイヤへ
3 ナノワイヤの成長機構
3.1 中軸ラセン転位による成長
3.2 気相-液相-固相(Vapor-Liquid-Solid)成長
3.3 ナノワイヤの選択成長
3.4 ナノワイヤ成長における原料原子の表面拡散効果
3.5 異種材料接合におけるナノワイヤ成長
4 まとめ
第2章 VLSシリコンナノワイヤー成長
1 はじめに
2 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長を決める因子
3 VLS法によるシリコン・ナノワイヤー成長の実際
4 触媒となる金シリコンナノ液滴
5 シリコン・ナノワイヤーの核形成
6 シリコン・ナノワイヤー成長過程の解析
7 おわりに
第3章 テンプレート成長法について
1 はじめに
2 テンプレートについて
3 テンプレート中での成長方法について
4 自己組織形成テンプレートを用いたナノワイヤの成長
第4章 VLS Geナノワイヤ成長
1 はじめに
2 VLS成長
3 種々の触媒金属
4 垂直成長
5 Ge-NW成長の精密制御
6 Ge-NWの低温成長
7 デバイス応用
8 おわりに
第5章 VLS法によるIII-V族ナノワイヤ成長
1 はじめに
2 長波長帯発光ナノワイヤ
3 GaAs(311)B基板上横成長GaAsナノワイヤ
4 自己触媒VLS法によるInPナノワイヤ
5 InAsナノワイヤの超伝導量子デバイスへの応用展開
6 まとめ
第6章 選択成長法によるIII-V族化合物半導体ナノワイヤ
1 はじめに
2 MOVPE選択成長法によるナノワイヤ形成プロセス
3 選択成長によるナノワイヤの形状および結晶構造解析
3.1 選択成長におけるファセッティング成長(GaAs選択成長基板面方位依存性)
3.2 選択成長によるナノワイヤの成長特性
3.3 ナノワイヤの形状制御技術 成長の縦・横方向制御
3.4 ナノワイヤの結晶構造解析
4 ナノワイヤにおける結晶構造の変化
5 ナノワイヤの成長機構モデル
6 Si基板上のナノワイヤ選択成長
7 おわりに
第7章 III-Vナノワイヤon Si
1 はじめに
2 Si基板上無触媒(自己触媒)VLS法による化合物半導体ナノワイヤ
3 Ga供給量依存性
4 As供給量依存性
5 成長中断の効果
6 GaAs/AlxGa1-xAsのコア・シェルヘテロ構造
7 まとめ
第8章 強磁性体/半導体複合ナノワイヤ
1 はじめに
2 作製プロセス
3 強磁性体ナノクラスタの選択形成
4 強磁性体/半導体複合ナノワイヤの選択形成
5 電気特性
6 おわりに
第9章 ZnOナノワイヤ成長
1 はじめに
2 ZnOナノ結晶の成長
2.1 CVD
2.2 熱炭素CVD
2.3 パルスレーザー堆積法
2.4 水熱法
2.5 電着法
3 制御法
3.1 成長方向制御
3.2 結晶サイズの制御
3.3 密度制御
3.4 成長位置
4 導電性制御
5 まとめ
【第II編 物性・理論】
第1章 光物性
1 はじめに
2 ナノワイヤ光導波路と共振器効果
3 光学異方性
4 結晶構造転移と光学特性
5 ナノワイヤアレイにおける光吸収
6 ヘテロ構造半導体ナノワイヤの発光特性
7 光励起による誘導放出およびレーザ発振
8 ナノワイヤ発光素子
9 おわりに
第2章 ドーピング
1 はじめに
2 ドーピング方法
2.1 成長時ドーピング
2.2 イオン注入を利用したドーピング
3 ドーピング評価
3.1 結合・電子状態
3.2 不純物分布
3.3 不純物の挙動
4 まとめ
第3章 径方向量子井戸・量子ドットナノワイヤ構造と光学特性
1 はじめに
2 ナノワイヤに形成可能な量子ヘテロ構造
3 径方向量子井戸ナノワイヤの物性
4 径方向量子ドットナノワイヤの物性
5 まとめ
第4章 ナノワイヤ量子ドットの光学特性
1 はじめに
2 位置制御された単一GaN/AlGaNナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
3 InGaAs/GaAsナノワイヤ量子ドットの結晶成長と光学特性
4 InGaAs/GaAsナノワイヤ積層量子ドットの結晶成長と光学特性
5 おわりに
第5章 ZnOナノロッド量子井戸構造を用いたナノフォトニックデバイスの進展
1 まえがき
2 ZnOナノロッド量子井戸構造
3 近接場エネルギー移動の制御
4 近接場光の協調現象の観測
5 むすび
第6章 形成機構計算
1 はじめに
2 ナノワイヤの結晶構造
3 ナノワイヤにおける閃亜鉛鉱-ウルツ鉱構造相対的安定性
4 二次元核形成にもとづくナノワイヤ形成機構
5 エピタキシャル成長条件を考慮したナノワイヤ形成機構
6 ナノワイヤ形状の成長条件依存性
7 まとめ
第7章 熱伝導、熱電性能
1 ナノワイヤの熱伝導実験
2 ナノワイヤの熱伝導計算
3 低温での普遍的な熱伝導の振舞い
4 熱電エネルギー変換と熱電性能指数
4.1 熱電性能の物性・理論
4.2 ナノワイヤの熱電性能増大の可能性
4.3 シリコンナノワイヤの熱電性能実験
4.4 シリコンナノワイヤの熱電性能計算
5 まとめ
【第III編 デバイス】
第1章 GaN ナノコラム発光デバイス
1 はじめに
2 GaN 系発光デバイスの直面する課題
3 ナノコラムとナノ結晶効果
4 規則配列ナノコラムとナノコラムLED
5 発光色制御と集積型LED
6 まとめ
第2章 回路応用
1 はじめに
2 デジタル回路
3 アナログ回路
4 ナノワイヤの配置制御技術
5 むすび
第3章 ナノワイヤのトランジスタ応用
1 はじめに
2 ナノワイヤトランジスタの技術動向
3 Si基板上のIII-Vナノワイヤ選択成長
4 ナノワイヤ縦型トランジスタの作製
5 InGaAs/InP/InAlAs/InGaAsコアマルチシェルナノワイヤチャネル
6 まとめ
第4章 ナノワイヤを活用した不揮発性メモリ―ナノワイヤメモリスタ―
1 はじめに
2 自己組織化酸化物ナノワイヤを用いたプレーナー型メモリスタ素子
3 ナノワイヤメモリスタを用いた極微素子特性の解明
4 ナノワイヤメモリスタ素子を用いた動作起源の解明
5 おわりに
第5章 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池
1 はじめに
2 ナノワイヤの特長
2.1 光トラッピング
2.2 電子正孔対分離の改善
2.3 格子不整合の緩和
2.4 省資源化
3 III-V族化合物半導体ナノワイヤ太陽電池の動向
4 今後の展開
4.1 高効率化
4.2 低コスト化
5 まとめ -
発酵・醸造食品の最新技術と機能性II(普及版)
¥3,080
2011年刊「発酵・醸造食品の最新技術と機能性 II」の普及版!麹菌や酵母など微生物のゲノム情報を利用して展開された研究と、環境・エネルギー問題の解決に貢献する日本の伝統的な発酵醸造技術を紹介!!
(監修:北本勝ひこ
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2011年当時のものを使用しております。
北本勝ひこ 東京大学大学院
北垣浩志 佐賀大学
磯谷敦子 (独)酒類総合研究所
鈴木康司 アサヒグループホールディングス(株)
吉田 聡 キリンホールディングス(株)
井沢真吾 京都工芸繊維大学大学院
高木博史 奈良先端科学技術大学院大学
小笠原博信 秋田県総合食品研究センター
岩下和裕 (独)酒類総合研究所
樋口裕次郎 University of Exeter School of Biosciences Associate
丸山潤一 東京大学大学院
竹内道雄 東京農工大学大学院
堀内裕之 東京大学大学院
板谷光泰 慶應義塾大学
外山博英 琉球大学
松下一信 山口大学
下飯 仁 (独)酒類総合研究所
渡辺大輔 (独)酒類総合研究所
塚原正俊 (株)バイオジェット
鼠尾まい子 (株)バイオジェット
小山泰二 (公財)野田産業科学研究所
小川真弘 (公財)野田産業科学研究所
小池英明 (独)産業技術総合研究所
町田雅之 (独)産業技術総合研究所
大島栄治 三省製薬(株)
比嘉良喬 三省製薬(株)
豊島快幸 ヤマサ醤油(株)
茂木喜信 ヤマサ醤油(株)
鳴海一成 (独)日本原子力研究開発機構
大浦 新 月桂冠(株)
渡辺敏郎 ヤヱガキ醗酵技研(株)
広常正人 大関(株)
竹中史人 辰馬本家酒造(株)
大澤一仁 カルピス(株)
大木浩司 カルピス(株)
木村啓太郎 (独)農業・食品産業技術総合研究機構
尹 載宇 韓国啓明大学校
有岡 学 東京大学大学院
秦 洋二 月桂冠(株)
小池謙造 花王(株)
幸田明生 大関(株)
坊垣隆之 大関(株)
佐々木真弓 旭硝子(株)
東田英毅 旭硝子(株)
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<<目次>>
第1編:発酵・醸造の基礎研究
第1章 ミトコンドリア輸送をターゲットとした低ピルビン酸清酒酵母の育種とその実用化
1 はじめに
2 ピルビン酸分子の物理化学的性質
3 酵母におけるピルビン酸の代謝
4 酒類醸造におけるピルビン酸・α-アセト乳酸の制御
5 ミトコンドリア輸送をターゲットとするという新たなピルビン酸低減育種手法
6 育種したピルビン酸低減清酒酵母の実地醸造実証試験
7 育種酵母を使った工場スケールの仕込ではエタノール生産能の低下なくピルビン酸及びα-アセト乳酸が顕著に低減している
8 育種したピルビン酸低減清酒酵母の醸造産業への技術移転
第2章 清酒の熟成に関与する香気成分
1 はじめに
2 清酒の貯蔵による香気成分の変化
3 老香と熟成香
4 DMTSの生成機構
5 おわりに
第3章 ビール産業における微生物管理技術の最近の進展
1 ビール混濁性乳酸菌(Lactobacillus属およびPediococcus属)
1.1 ビール混濁性乳酸菌の研究に関わる歴史
1.2 乳酸菌によるビールの変敗現象
1.3 乳酸菌のホップ耐性
1.3.1 細胞膜レベルでの耐性機構
1.3.2 細胞壁レベルにおける耐性機構
1.3.3 その他のホップ耐性機構
1.4 ホップ耐性遺伝子を指標としたビール混濁性判定法
1.5 検査培地で生育しないビール混濁性乳酸菌の検出法の開発
2 Pectinatus属およびMegasphaera属
2.1 Pectinatus属およびMegasphaera属に関わる研究の歴史
2.2 Pectinatus属およびMegasphaera属によるビールの混濁
2.3 Pectinatus属およびMegasphaera属の検査法
2.4 その他のPectinatus属およびMegasphaera属の特徴
3 おわりに
第4章 下面発酵酵母のメタボローム解析
1 はじめに
2 下面発酵酵母の硫黄系物質代謝の解析と亜硫酸高生産株の育種
3 下面発酵酵母の機能未知遺伝子の解析
4 各種酵母のメタボローム解析
5 おわりに
第5章 エタノールストレス応答および醸造過程における酵母mRNA動態とオルガネラ形態変化の解析
1 酵母とエタノールストレス
2 mRNA fluxに及ぼすエタノールストレスの影響
2.1 エタノールストレス応答時の選択的mRNA核外輸送
2.2 HSP mRNAのhyperdadenylationによる核内滞留
2.3 エタノールストレスによる翻訳抑制とP-body・ストレス顆粒
2.4 醸造過程におけるP-bodyの形成
2.5 エタノールストレスによる酵母ストレス顆粒の形成
2.6 エタノールストレス条件下や醸造過程後期での遺伝子発現制御
3 オルガネラに及ぼすエタノールストレスの影響
3.1 ミトコンドリア
3.2 液胞
4 まとめ
第6章 酵母の発酵環境ストレス耐性機構の解析と実用酵母の育種への応用
1 はじめに
2 プロリン
3 プロリン・アルギニン代謝(一酸化窒素生成)
4 ユビキチンシステム
5 おわりに
第7章 麹菌におけるトランスポゾン(Crawler)活性の発見と実用株育種への応用
1 はじめに
2 糸状菌および麹菌のトランスポゾン研究
3 麹菌のDNAトランスポゾンCrawlerの構造的特徴
4 Crawlerの活性化とトランスポゾン・トラッピング
5 様々なCrawler転移株の挿入位置
6 Crawlerの切り出し効率の計測による転移活性化条件の再検討
7 Crawlerの足跡配列(Footprint)
8 Crawlerの各種麹菌株における分布
9 Crawlerの実用株育種への応用
10 おわりに
第8章 糸状菌に特異な機能未知遺伝子を探る
1 はじめに
2 糸状菌のゲノム解析と機能未知遺伝子
3 糸状菌類に保存された機能未知遺伝子
4 糸状菌類に高度に保存され高発現する遺伝子の破壊
5 遺伝子破壊株の表現型
第9章 麹菌のタンパク質分泌経路とエンドサイトーシス
1 はじめに
2 麹菌のタンパク質分泌経路の解析
2.1 分泌タンパク質の可視化
2.2 タンパク質分泌機構の可視化
2.2.1 ERの可視化
2.2.2 SNAREの可視化
2.3 隔壁へのタンパク質分泌経路の解析
3 麹菌のエンドサイトーシスの解析
3.1 糸状菌におけるエンドサイトーシスのこれまでの研究
3.2 麹菌におけるエンドサイトーシスの可視化
3.3 麹菌の菌糸先端におけるエンドサイトーシスによるリサイクリング
4 まとめ
第10章 麹菌の隔壁孔を介した細胞間連絡―多細胞生物としての生育を支える分子メカニズム―
1 はじめに
2 麹菌では低浸透圧ショックにより菌糸先端が溶菌する
3 Woronin bodyは隔壁孔をふさぎ溶菌の伝播を防ぐ
4 Woronin bodyはペルオキシソームから分化する
5 ストレスに応答して隔壁孔に凝集するタンパク質
6 おわりに
第11章 ゲノム情報に基づく麹菌プロテアーゼ遺伝子とその産物の解析
1 はじめに
2 エキソ型プロテアーゼ
2.1 アミノペプチダーゼ
2.2 ジペプチジル―,トリペプチジルペプチダーゼ
2.3 カルボキシペプチダーゼ(CPase)
2.3.1 セリンタイプCPase
2.3.2 メタロCPase
2.4 ジペプチダーゼ
3 エンド型プロテアーゼ
3.1 セリンプロテアーゼ
3.2 システインプロテアーゼ
3.3 アスパルティックプロテアーゼ
3.4 金属プロテアーゼ
4 おわりに
第12章 麹菌とその近縁糸状菌のキチン合成酵素とキチナーゼ
1 はじめに
2 キチン合成酵素
2.1 クラスIとクラスIIに属するキチン合成酵素
2.2 クラスIIIに属するキチン合成酵素
2.3 クラスVとクラスVIに属するキチン合成酵素
2.4 クラスIV,VIIに属するキチン合成酵素
3 キチナーゼ
3.1 クラスIIIキチナーゼ
3.2 クラスVキチナーゼ
4 おわりに
第13章 納豆菌と枯草菌:ゲノムから眺める安全な菌の活用
1 はじめに
2 枯草菌ゲノムと納豆菌ゲノム解読
3 ゲノムから見えた納豆菌KEIO株
3.1 予想以上に多かったIS
3.2 納豆菌plasmids
4 枯草菌と納豆菌の有効活用
4.1 枯草菌168株ゲノムコンパクト化
4.2 枯草菌168株ゲノム活用
4.3 納豆菌のゲノム活用
5 おわりに
第14章 耐熱性酢酸菌を使った酸化発酵による有用物質生産系の開発
1 はじめに
2 酢酸菌と酸化発酵
3 耐熱性酢酸菌と耐熱化の機構について
4 耐熱性酢酸菌を使った酢酸発酵
5 耐熱性酢酸菌を使った有用物質生産
6 おわりに
第2編:醸造微生物の最新技術
第15章 清酒酵母と実験室酵母の交配による清酒醸造特性のQTL解析
1 はじめに
2 清酒酵母と他の酵母はどこが違うのか
3 清酒酵母の特性を決定する遺伝子の解析
4 質的形質と量的形質
5 QTL解析実験のデザイン
6 K7の一倍体の取得と醸造特性の解析
7 清酒酵母と実験室酵母の交雑によって得られた一倍体の醸造特性の解析
8 醸造特性のQTL解析
9 発酵力に関与するQTLの原因遺伝子の推定
10 細胞増殖速度のQTL解析
11 おわりに
第16章 ガス発生量計測システムを用いた清酒発酵プロファイルの定量的解析
1 はじめに
2 清酒醸造における発酵モニタリング
3 ガス発生量計測システムを用いた清酒発酵モニタリング
4 清酒発酵プロファイルの定量的解析
4.1 清酒もろみにおける発酵速度
4.2 発酵速度のピークに関する定量的解析
4.3 清酒発酵プロファイルのモデル化に向けて
5 おわりに
第17章 清酒酵母のストレス応答欠損と高エタノール発酵性
1 はじめに
2 実はストレスに弱い清酒酵母
3 清酒酵母におけるストレス応答欠損の分子メカニズム
3.1 清酒酵母のストレス応答欠損
3.2 清酒酵母に特異的なMSN4遺伝子の機能欠失変異
3.3 清酒酵母に特異的なHsf1pの恒常的高リン酸化
4 ストレス応答とエタノール発酵との新たな関係性
5 おわりに
第18章 次世代シーケンサSOLiDを用いた実用泡盛黒麹菌株の比較ゲノム解析
1 泡盛と黒麹菌株
2 実用泡盛黒麹菌株における比較ゲノム解析の意義
3 次世代シーケンサSOLiDによる黒麹菌の解析
4 黒麹菌遺伝子と泡盛風味の関係
5 今後の展望
第19章 麹菌における染色体工学と転写因子の網羅的解析
1 はじめに
2 遺伝子破壊株の作製
3 遺伝子破壊ライブラリーの作製
4 遺伝子破壊株の解析
5 染色体工学を用いた転写因子遺伝子の解析
6 まとめ
第20章 コウジ酸の生合成遺伝子,麹菌培養条件に応答した遺伝子発現機構
1 コウジ酸の産業利用
2 条件特異的な生合成
3 DNAマイクロアレイによる発現解析
4 得られた遺伝子クラスターの特徴
5 KA生産に関連した転写制御
6 まとめ
第21章 イオンビーム,ガンマ線照射が誘発する麹菌ゲノム変異の解析と麹菌育種への展開
1 はじめに
2 イオンビームおよびガンマ線照射について
3 麹菌へのイオンビームおよびガンマ線照射について
4 生存率の比較
5 変異率の比較
6 変異スペクトルの解析
6.1 点変異
6.2 染色体間組換え
6.3 大規模遺伝子欠損
7 おわりに
第3編:醸造食品の機能性
第22章 酒粕由来機能性ペプチド
1 はじめに
2 前回からの続報
3 「機能性データベース~清酒編」の更新
3.1 サンプル素材
3.2 アッセイ系
3.3 効果・効能
3.4 同定成分
4 乳酸発酵液化粕
4.1 抗健忘症作用
4.2 血圧降下作用
4.3 酒粕ペプチドとの組み合わせ効果
5 酒粕ペプチドの肝細胞保護効果
5.1 in vitro細胞試験
5.2 マウス肝機能保護試験
5.3 酒粕ペプチドの成分同定
6 今後の展望
第23章 酒粕レジスタントプロテイン
1 はじめに
2 レジスタントプロテイン
3 酒粕発酵物
4 酒粕発酵物の機能性
4.1 高コレステロール食における脂質代謝改善効果
4.2 コレステロール胆石形成抑制効果
4.3 油吸着効果
4.4 肥満抑制効果
4.5 腸内環境改善効果
5 おわりに
第24章 甘酒の栄養素と機能性
1 はじめに
2 甘酒の栄養素
3 甘酒の機能性
4 甘酒のヒトの健康への効果
5 おわりに
第25章 日本酒由来成分αGGの機能性
1 はじめに
2 清酒中のαGG
3 αGGの化学的特性
4 αGGの経口摂取による機能性
5 αGGの外用剤としての機能性
6 おわりに
第26章 酸乳の脳機能改善作用
1 はじめに
2 酸乳の脳機能改善作用
2.1 評価法
2.2 評価物質
2.3 酸乳の単回投与による記憶障害予防作用
2.4 酸乳の単回投与による学習記憶力向上作用
2.5 酸乳の長期投与による学習記憶力向上作用
3 おわりに
第27章 納豆の機能性
1 はじめに
2 1次機能(エネルギー・栄養補給機能)
3 2次機能(嗜好性,色,形,食感などにより食欲を左右する機能)
4 3次機能(生体の正常な機能を維持するための生体調節機能)
5 おわりに
第4編:醸造微生物による物質生産
第28章 有用タンパク質生産のための麹菌の育種
1 はじめに
2 pyrG選択マーカー遺伝子リサイクリング技術の確立
3 プロテアーゼ遺伝子多重破壊株による異種タンパク質の生産
4 液胞タンパク質ソーティングレセプター遺伝子破壊株による異種タンパク質の生産
5 おわりに
第29章 麹菌によるシロアリセルラーゼの生産
1 はじめに
2 セルロース系バイオマスの糖化
3 シロアリセルラーゼのバイオマス消化システム
4 麹菌を用いた異種タンパク質生産システム
5 麹菌を用いたシロアリおよび共生原生生物由来エンドグルカナーゼの生産
5.1 シロアリ由来GHF9エンドグルカナーゼ
5.2 共生原生生物由来GHF7エンドグルカナーゼ
5.3 共生原生生物由来GHF45エンドグルカナーゼ
5.4 シロアリ由来β-グルコシダーゼ
6 おわりに
第30章 麹菌チロシナーゼを用いた新規染毛料原料のバイオ生産
1 はじめに
2 固体培養で発現する麹菌チロシナーゼの発見
3 麹菌チロシナーゼを染毛料へ利用
4 メラニン前駆体のバイオ合成に向けたプロセス開発
5 メラニン前駆体・DHIの工業生産
6 メラニン前駆体による染毛技術の開発
7 おわりに
第31章 麹菌タンパク質高発現システムを用いた有用タンパク質の生産
1 はじめに
2 麹菌タンパク質高発現システムの構築
2.1 高発現プロモーターの開発
2.2 5'UTRの改変による翻訳の効率化
3 異種タンパク質の発現
3.1 野生型遺伝子の発現
3.2 遺伝子のデザイン
3.3 合成遺伝子を用いた発現
4 BDF生産用リパーゼの発現
4.1 開発の背景
4.2 各種リパーゼの高生産
4.3 放射線照射による変異導入
4.4 メタノリシス反応
5 おわりに
第32章 分裂酵母ミニマムゲノムファクトリーを用いた物質生産系の改良
1 はじめに
2 分裂酵母染色体縮小化株の構築
3 分裂酵母染色体縮小化株の増殖性能
4 分裂酵母染色体縮小化株における異種タンパク質生産性の向上
5 異種タンパク質生産性向上機構の解析
6 おわりに -
レアメタルフリー二次電池の最新技術動向(普及版)
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2013年刊「レアメタルフリー二次電池の最新技術動向」の普及版!豊富な資源を使い、低コストで、大容量化、長寿命化、高安全性を目指した次世代二次電池の開発動向を詳述!!
(監修:境 哲男)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
境 哲男 (独)産業技術総合研究所
岡田重人 九州大学
智原久仁子 九州大学
中根堅次 住友化学(株)
久世 智 住友化学(株)
藪内直明 東京理科大学
片岡理樹 (独)産業技術総合研究所
向井孝志 (独)産業技術総合研究所
稲澤信二 住友電気工業(株)
沼田昂真 住友電気工業(株)
井谷瑛子 住友電気工業(株)
福永篤史 住友電気工業(株)
酒井将一郎 住友電気工業(株)
新田耕司 住友電気工業(株)
野平俊之 京都大学大学院
萩原理加 京都大学大学院
小山 昇 エンネット(株)
幸 琢寛 (独)産業技術総合研究所
小島敏勝 (独)産業技術総合研究所
上町裕史 (株)ポリチオン
辰巳砂昌弘 大阪府立大学
長尾元寛 大阪府立大学
林 晃敏 大阪府立大学
森下正典 (独)産業技術総合研究所
江田祐介 (独)産業技術総合研究所
坂本太地 (独)産業技術総合研究所
小島 晶 神戸大学大学院
岩佐繁之 日本電気(株)
佐藤正春 (株)村田製作所
目代英久 (株)本田技術研究所
鋤柄 宜 (株)本田技術研究所
本間 格 東北大学
八尾 勝 (独)産業技術総合研究所
山縣雅紀 関西大学
石川正司 関西大学
永金知浩 日本電気硝子(株)
森田昌行 山口大学
吉本信子 山口大学
高﨑智昭 川崎重工業(株)
西村和也 川崎重工業(株)
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<<目次>>
第1章 ナトリウムイオン電池用材料の研究開発
1 材料開発1
1.1 ポストリチウムイオン二次電池の背景
1.2 ナトリウムイオン電池用正極候補
1.2.1 層状岩塩酸化物NaFeO2
1.2.2 層状硫化物TiS2
1.2.3 パイライト型硫化物FeS2
1.2.4 フッ素化ポリアニオン系Na3V2(PO4)2F3
1.2.5 有機系ロジゾン酸二ナトリウムNa2C6O6
1.3 ナトリウムイオン電池用負極候補
1.3.1 ナトリウム金属
1.3.2 金属系負極
1.3.3 炭素
1.4 ナトリウムイオン二次電池
1.5 まとめ
2 材料開発2
2.1 はじめに
2.2 材料設計における基本指針
2.3 層状酸化物
2.4 オキソ酸塩系材料
2.5 まとめ
3 材料開発と電池化
3.1 諸言
3.2 正極材料
3.3 負極材料
3.4 Na0.95Li0.15(Ni0.15Mn0.55Co0.1)O2/Sn-Sb硫化物系ナトリウムイオン電池の充放電特性と安全性評価
3.5 まとめ
4 FSA系溶融塩電解質電池
4.1 はじめに
4.2 MSBの現状
4.2.1 アルカリ金属ビス(フルオロスルフォニル)アミド塩の電池電解液への適用
4.2.2 充放電特性
4.2.3 フローティング充電特性
4.2.4 組電池の試作
4.3 電池の安全性に関する検討
4.4 まとめ
第2章 イオウ系材料の研究開発
1 イオウ系正極の開発状況 小山昇
1.1 はじめに
1.2 結合およびレドックス活性
1.3 単体硫黄のレドックス特性
1.4 硫黄化合物のレドックス電位による分類
1.4.1 第一グループの有機物
1.4.2 第二グループの有機物
1.4.3 第三グループの有機物
1.5 おわりに
2 有機硫黄系正極の研究開発
2.1 はじめに
2.2 硫黄系正極について
2.3 硫黄系正極の課題
2.4 硫黄変性ポリアクリロニトリル正極材料の合成と電極・電池を用いた評価の概要
2.5 硫黄変性ポリアクリロニトリル材料の合成
2.6 硫黄変性ポリアクリロニトリルの材料特性
2.7 電極およびセルの作製と充放電試験条件
2.7.1 塗工電極
2.7.2 カーボンペーパーを集電体に用いた電極
2.7.3 電池構成
2.8 電極性能
2.8.1 SPAN電極のサイクル寿命
2.8.2 SPAN電極の入出力特性
2.8.3 SPAN電極の体積変化
2.9 SPAN/SiO系フルセルの電池性能
2.9.1 フルセル用Liプリドープ設計
2.9.2 サイクル特性
2.9.3 出力特性
2.9.4 温度特性
2.9.5 大型電池
2.10 SPAN正極を用いたその他の電池
2.10.1 全固体電池
2.10.2 メタルフリー電池
2.10.3 バイポーラ型電池
2.10.4 ナトリウムイオン二次電池
2.10.5 その他の有機硫黄系正極
2.11 SPAN/SiO系電池の安全性試験
2.11.1 釘刺し試験
2.11.2 過充電試験と発生ガスの分析
2.12 まとめと展望
3 硫黄導電性高分子「ポリチオン」
3.1 はじめに
3.2 硫黄系材料および有機系正極材の開発動向
3.2.1 硫黄
3.2.2 有機ジスルフィド化合物
3.2.3 含硫黄ポリマー
3.2.4 正極材料の高容量化:有機系正極材
3.3 ポリチオンの有機硫黄ポリマー
3.3.1 コンセプト
3.3.2 有機硫黄ポリマーの展開
3.4 合成ならびに製造法の検討
3.4.1 合成指針
3.4.2 製造に向けた取組み
3.5 電池特性
3.6 化学構造と電子構造の評価
3.6.1 化学構造:結晶構造評価
3.6.2 電子構造XAFS評価
3.7 実用化製造検討
3.8 まとめと今後
4 硫化物無機固体電解質を用いた全固体硫黄系電池の開発 辰巳砂昌弘,長尾元寛,林晃敏
4.1 はじめに
4.2 硫化物ガラス系固体電解質を用いたバルク型全固体リチウム電池
4.3 硫黄系正極―銅複合体の全固体リチウム電池への応用
4.3.1 硫黄系正極材料を用いた全固体二次電池
4.3.2 単体硫黄―銅系複合体の作製と全固体Li/S電池
4.3.3 硫化リチウム―銅系複合体の作製と全固体Li/S電池
4.4 硫黄系正極―ナノカーボン複合体の作製と全固体リチウム電池への応用
4.4.1 単体硫黄―ナノカーボン複合体の作製と全固体Li/S電池
4.4.2 硫化リチウム―ナノカーボン複合体の作製と全固体Li/S電池
4.5 おわりに
第3章 シリコン系材料の研究開発
1 シリコン系負極材料
1.1 はじめに
1.2 Si負極を用いたセルの作製と評価
1.3 Si粉末の製造法について
1.4 各種Si負極の特性
1.5 Si負極の体積変化
1.6 LiFePO4正極/Si負極セル
1.6.1 入出力特性
1.6.2 高温・低温特性
1.7 高エネルギー密度形Li過剰正極/Si負極セル
1.7.1 初期特性とサイクル特性
1.7.2 釘刺し試験
1.8 おわりに
2 ケイ酸塩系正極材料の合成と電極特性
2.1 はじめに
2.2 リチウムシリケート系材料の開発経緯
2.2.1 リチウムシリケートの材料研究
2.2.2 リチウムシリケートの電極材料としての検討
2.2.3 リチウムシリケート正極の熱的安定性
2.2.4 リチウムシリケートの合成方法とカーボン付与方法
2.2.5 リチウムシリケート正極材料の構造の研究
2.2.6 リチウムシリケート正極材料の計算化学研究
2.2.7 リチウムシリケート正極材料の世界的研究動向
2.3 シリケート系正極材料の特性
2.3.1 溶融炭酸塩を用いたリチウムシリケート系正極の合成
2.3.2 シリケート系正極材料の特性評価
2.3.3 Li2FeSiO4を用いた実電池の作製と評価
2.4 シリケート系正極材料の今後
2.5 まとめ
第4章 有機系材料の研究開発
1 有機ラジカル正極
1.1 まえがき
1.2 ラジカルポリマー正極
1.3 PTMA有機ラジカル電池の特性
1.4 エネルギー密度の向上(n型ラジカル材料)
1.5 むすび
2 多電子系有機二次電池
2.1 はじめに
2.2 高エネルギー密度有機二次電池の開発戦略
2.3 有機二次電池と多電子反応
2.4 ルベアン酸を活物質とする多電子系有機二次電池
2.5 ルベアン酸誘導体
2.6 多電子系有機二次電池の可能性
3 有機全固体電池 本間格
3.1 はじめに
3.2 有機活物質の多電子反応容量
3.3 有機活物質の高エネルギー密度特性
3.4 準固体電解質
3.5 有機分子の電極特性
3.6 全固体電池デバイス
3.7 全固体電池のサイクル特性
3.8 まとめ
4 キノン系有機正極
4.1 レアメタルフリー正極としての有機正極
4.1.1 はじめに
4.1.2 有機正極の先行研究
4.2 結晶性低分子有機正極
4.2.1 ジメトキシベンゾキノン
4.2.2 環拡張型キノン
4.2.3 インディゴ
4.3 ナトリウム電池やマグネシウム電池への適用
4.4 課題と今後の展開
5 天然高分子を用いた蓄電デバイス用材料の研究開発
5.1 はじめに
5.2 天然高分子を用いたゲル電解質の開発
5.2.1 電気化学キャパシタ用ゲル電解質
5.2.2 リチウムイオン二次電池用ゲル電解質への展開
5.3 天然高分子を用いた複合電極の開発
5.3.1 電気化学キャパシタ用活性炭複合電極の開発とその高出力特性
5.3.2 リチウムイオン電池用複合電極に対する天然高分子バインダーの可能性
5.4 おわりに
第5章 ガラス結晶化法によるリン酸鉄正極材料の開発
1 はじめに
2 LFP結晶化ガラスの製造プロセス
3 LFP結晶化ガラスの構造
4 LFP結晶化ガラスの電池特性
5 まとめ
第6章 マグネシウム二次電池材料の研究開発
~現状と課題
1 はじめに
2 負極材料のための電解質設計
2.1 マグネシウムイオン電池用負極材料の電解質設計
2.2 マグネシウム金属負極の電解質設計
2.3 電解質の固体化
3 正極材料のための電解質設計
4 おわりに
第7章 ニッケル水素化物電池のレアメタルフリー化
1 諸言
2 産業用大型Ni-MH電池
3 合金負極のコバルトフリー化
4 ニッケル正極のコバルトフリー化
5 電極のファイバー化によるコバルトフリー化
6 おわりに -
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2013年刊「医薬品製剤化方略と新技術 II」の普及版!各メーカーの製剤技術とそれを支える医薬品添加剤、製剤機械の紹介と今後求められる「人に優しい製剤設計」の研究・開発を解説!!
(監修:竹内洋文)
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<<著者一覧>>
※執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
竹内洋文 岐阜薬科大学
砂田久一 名城大学
北川雅博 エーザイ(株)
沖本和人 東和薬品(株)
迫 和博 アステラス製薬(株)
吉田高之 アステラス製薬(株)
中川知哉 沢井製薬(株)
北村雅弘 沢井製薬(株)
槇野 正 京都薬品工業(株)
酒井 寛 京都薬品工業(株)
黒川真嗣 昭和大学
山下親正 東京理科大学
原田 努 エーザイ(株)
菱川慶裕 大蔵製薬(株)
丹羽敏幸 名城大学
濱浦健司 第一三共(株)
大野育正 第一三共(株)
太田琴恵 東レ(株)
高木 卓 東レ(株)
堀内保秀 東レ(株)
尾関有一 (株)三和化学研究所
安藤正樹 (株)三和化学研究所
菅野清彦 旭化成ファーマ(株)
岸潤一郎 BASFジャパン(株)
飯田園生 BASFジャパン(株)
土戸康平 エボニックデグサジャパン(株)
石井達弥 エボニックデグサジャパン(株)
森田貴之 エボニックデグサジャパン(株)
久保田清 第一三共(株)
川口恵美 わかもと製薬(株)
鵜野澤一臣 フロイント産業(株)
長谷川浩司 (株)パウレック
竹内淑子 岐阜薬科大学
永禮三四郎 (株)奈良機械製作所
山原 弘 沢井製薬(株)
横山 誠 エーザイ(株)
小澤崇浩 エーザイ(株)
羽原正秋 (株)インテリジェントセンサーテクノロジー
小林義和 (株)インテリジェントセンサーテクノロジー
池崎秀和 (株)インテリジェントセンサーテクノロジー
湯川十三 岡田精工(株)
大原三佳 岡田精工(株)
帆足洋平 ニプロ(株)
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<<目次>>
第 I 編 総論 現代の製剤開発に求められること
第1章 日本薬局方の改正、製剤技術の動向
1 日局16に規定される剤形
2 医薬品添加剤の活用のために
2.1 滑沢剤
2.2 崩壊剤
3 現代の製剤技術
第2章 高齢者・小児向けの製剤設計、服薬における課題と解決とPLCM
1 はじめに
2 口腔内崩壊錠
2.1 口腔内崩壊錠等の潮流
2.2 口腔内速崩壊錠として満たすべき条件
2.3 口腔内崩壊錠の成形技術
2.3.1 第一世代-鋳型錠
2.3.2 第二世代-湿製錠
2.3.3 第二世代-湿潤・乾燥錠
2.3.4 第三世代-通常の打錠法
2.3.5 第四世代-微粒子コーティング技術等
2.4 評価方法
2.4.1 錠剤強度
2.4.2 崩壊時間
2.4.3 官能試験
2.5 使用者による評価とメリット・デメリット
3 呑み易くした薬―口腔内崩壊フィルム
4 呑み難い薬を呑み易くする-嚥下補助ゼリーとGT剤
第3章 高齢者にやさしい口腔内崩壊錠の製剤設計
1 はじめに
2 OD錠の定義
3 OD錠の技術的な分類
4 EMP速崩錠の開発経緯
5 EMP速崩錠の開発
5.1 EMP速崩錠の処方検討
5.1.1 糖類の選定
5.1.2 結合剤の選定
5.1.3 薬物の影響
5.2 湿潤粉体打錠機(Eisai Molded Tableting Machine:EMT)の開発
5.2.1 加圧定量充填機構
5.2.2 フィルム介在打錠機構
6 EMP速崩錠の製品化事例
7 おわりに
第4章 ジェネリック医薬品の製剤開発-エルピナン?DS小児用1%「トーワ」の開発を例に-
1 はじめに
2 小児用ドライシロップの開発コンセプト
3 エルピナンDS小児用1%「トーワ」製剤設計
3.1 先発製剤の情報
3.2 苦味マスキング粒子設計
3.3 ドライシロップの設計
4 官能評価
4.1 味、服用感
4.2 飲食物との組み合わせ
5 安定性
5.1 加速試験結果
5.2 無包装状態における安定性試験結果
5.3 溶解後の安定性試験結果
5.4 他剤および飲食物との配合変化試験結果
6 生物学的同等性試験
6.1 溶出試験
6.2 ヒトでのBE試験
7 おわりに
第 II 編 新しく局方に入った剤形の設計戦略
〈口腔内崩壊錠〉
第1章 口腔内崩壊錠化のための塩析マスキングシステム
1 はじめに
2 塩析マスキングシステムの設計
3 薬物放出機構の推測
4 ベシケアOD錠の創製
第2章 セチリジン塩酸塩OD錠の開発コンセプトと製剤設計
1 はじめに
2 味覚設計
2.1 苦味マスキング
2.2 おいしさの設計
3 OD錠部の処方設計
4 製剤特性
5 生物学的同等性
6 おわりに
第3章 口腔内崩壊錠の苦味マスキング
-乳酸Caのマスキングと味覚センサによる評価-
1 はじめに
2 味覚センサについて
3 OD-mateについて
4 実験方法
4.1 ヒト官能試験と味覚センサによる苦味評価
4.2 苦味マスキングメカニズム推定の検討
4.3 ドネペジル塩酸塩OD錠の調製
5 結果および考察
5.1 ヒト官能試験と味覚センサによる苦味評価
5.2 乳酸Caの苦味マスキングメカニズムについて
5.3 ドネペジル塩酸塩含有OD錠のヒト官能試験および崩壊時間
6 まとめ
<吸入剤>
第4章 気管支喘息と吸入療法
1 はじめに
2 喘息予防・管理ガイドラインにおける気管支喘息の段階的薬物療法
3 吸入療法
3.1 薬理学的特徴
3.1.1 吸入ステロイド
3.1.2 ICS/LABA配合剤
3.1.3 短時間作用性吸入?刺激薬(SABA)
3.2 製剤としての特徴 デバイス/粒子径
3.2.1 ドライパウダー製剤(DPI)
3.2.2 加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)
3.2.3 ネブライザー
4 おわりに
第5章 吸入剤・吸入デバイス設計のための留意点
1 はじめに
2 吸入剤の特徴と課題
2.1 加圧式定量噴霧エアゾール剤(pMDI):吸入エアゾール剤
2.2 吸入液剤
2.3 粉末吸入剤(DPI)
3 粉末吸入システムの設計のための基礎知識
3.1 肺の構造と機能
3.2 肺分布に影響を及ぼす製剤学的要因
3.3 肺分布に影響を及ぼす生理学的要因
4 粉末吸入システムの設計の具体例:ODPIシステムの開発
4.1 ODPIシステムの特長
4.1.1 製造方法及び製剤の形態
4.1.2 デバイス
4.1.3 性能評価(吸入流量依存性の評価)
5 あとがき
<ゼリー剤>
第6章 アリセプト内服ゼリーの開発
1 はじめに
2 患者に求められる製剤の開発
2.1 医療者・介護者による剤形評価
2.2 リハビリテーション医師らによるゲル化剤の評価
2.3 高齢者におけるゼリーの嗜好調査
2.4 カップ形状の最適化
3 苦味および痺れのマスキングと味の評価
3.1 苦味・痺れマスキング剤の選定
3.2 味に関する安定性試験およびマスキング効果の検証
4 製剤の安定化
5 溶出プロファイル
6 市販後の医療現場における評価
第7章 経口ゼリー剤の製剤設計と開発
1 はじめに
2 国内における経口ゼリー剤の沿革
3 経口ゼリー剤の特徴
3.1 メリット
3.2 デメリット
4 製剤設計における主な留意点
5 一般用医薬品の小児用かぜ薬開発事例
5.1 コンセプト
5.2 製剤設計
5.2.1 製剤pH
5.2.2 ゲル化剤の選定
5.2.3 苦味マスキング
5.2.4 包装形態
5.2.5 微生物
5.3 製剤品質と安定性
6 おわりに
第 III 編 製剤化方略の最先端―今後の製剤を見据えて―
<固形製剤設計の新展開>
第1章 難溶性医薬品候補化合物の創薬研究~市販製剤化を支援するユニバーサル粉砕技術の開発
1 はじめに
2 開発のあらゆる段階に適用できる難溶性改善技術の必要性
3 湿式粉砕技術による溶解性の改善
3.1 創薬研究における湿式粉砕の利用
3.2 臨床製剤および市販製剤の開発へ向けた湿式粉砕法の適用
第2章 医療用配合剤の製剤設計の現状と展望
1 はじめに
2 医療用配合剤の製剤設計
2.1 原薬
2.2 配合剤開発における治験薬供給の特殊性
2.3 配合剤の製剤設計方針
3 医療用配合剤の製剤開発の実例 -レザルタス配合錠製剤開発-
3.1 複層錠でのコンタミネーション防止
3.2 服用性・取り扱い易さを考慮した製剤の形状選択
3.3 オルメサルタン メドキソミルのにおい低減、アゼルニジピンの光安定性向上のためのフィルムコート
4 医療用配合剤の生物学的同等性ガイドライン
5 医療用配合剤の展望
第3章 口腔錠用フィルムコーティング技術
1 開発の背景
2 フィルム処方設計の課題
3 フィルム処方の設計
4 実用化検討およびスケールアップ
5 まとめ
第4章 打錠技術としてのOSDrC(オスドラック)の付加価値製剤への応用
1 はじめに
2 OSDrC(オスドラック)技術とは?
3 製剤設計におけるOSDrC技術およびOSDrC錠の優位性
4 「2つの内核層を持ち、割錠後も有核錠であり続ける錠剤」への応用
5 「有核型オブロング錠」への応用
6 まとめ
第5章 経口吸収理論に基づいた製剤方略試論
1 はじめに
2 経口吸収の基礎理論
3 収経口吸の律速段階による分類
3.1 溶出速度律速と溶解度膜透過律速の判別方法
3.2 非攪拌水層律速と上皮細胞律速の判別方法
4 食事(胆汁ミセル)の影響の理論的予測
5 製剤方略の考察
6 製剤方略各論
6.1 ナノミル製剤
6.2 過飽和原薬および製剤
7 経口吸収シミュレーション研究の問題点 ~今後の発展のために
8 まとめ
<素材・包装材・デバイス開発>
第6章 新規医薬品添加剤の潮流
1 はじめに
2 新添加物の分類
2.1 新規の構造を有する
2.1.1 Soluplus(BASF自社規格)
2.2 構造(一般名)は同じだが、性状が異なる
2.2.1 結晶セルロース(日本薬局方収載品)
2.2.2 クロスポビドン(日本薬局方収載品)
2.3 既存品のプレミックス・コプロセス工程を有する
3 新添加物の使用に伴う薬事対応
3.1 新規の構造を有する
3.2 構造(一般名)は同じだが、性状は異なる
3.3 既存品のプレミックス・コプロセス工程を有する
3.4 一日最大量を超える
3.5 処方目的・経路が異なる
4 まとめ
第7章 生物学的製剤及びBCSクラスIII/IV薬物の経口製剤化
1 はじめに
2 概要
3 スタンダードモジュール
3.1 Gastrointestinal targeting(GIT)
3.2 Absorption Promoter(AP)
3.3 Enzymatic Protection(EP)
3.4 Muco compatibility(MC)
4 アドバンスドモジュール
5 In-vivo試験
6 結論
第8章 進歩する医薬品包装
1 はじめに
2 ハンディキャップを持った患者の服薬を支援する包装
2.1 手指機能に障害のある患者
2.2 視覚機能に障害のある患者
2.3 嚥下機能に障害のある患者
3 素材開発の未来
4 ハイブリッド化による技術の融合
4.1 服薬コンプライアンスと医療経済について
4.2 包装技術におけるソリューション
4.3 モニタリング包装の効果
5 おわりに
第9章 防腐剤フリーを可能にした点眼用NP容器の開発
1 はじめに -点眼剤と点眼容器-
2 点眼剤の防腐剤とその影響
3 NP容器 (None-Preservative Multi-dose Container) の開発
4 NP容器の微生物汚染に対する評価
4.1 実使用を想定した条件での評価
4.1.1 試験サンプルと評価条件
4.1.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.1.3 結果
4.2 菌液を吸引させた条件での評価
4.2.1 試験サンプルと評価条件
4.2.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.2.3 結果
4.3 ウサギ涙液を吸引させた条件での評価
4.3.1 試験サンプルと評価条件
4.3.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.3.3 結果
5 NP容器を使用した製品における微生物汚染の評価
5.1 評価方法
5.2 結果
5.3 結論
6 おわりに
第IV編 製剤設計と機器開発
第1章 錠剤コーティング装置の設計コンセプト
1 はじめに
2 錠剤コーティングの目的
3 錠剤コーターの変遷
3.1 傾斜型コーティングパン
3.2 垂直型コーティングパン
3.3 水平型コニカルパン
3.4 水平型ロングパン
4 錠剤コーティングの要素技術
4.1 フィルムコーティング
4.2 糖衣コーティング
5 ハイコーターFZ装置の開発
5.1 全周パンチング|