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  • シーエムシー出版
  • ¥4,950
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  • 2023/06/12

月刊バイオインダストリー 2023年6月号(電子版)

シーエムシー出版

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<著者一覧>
雑賀 高 工学院大学
湯田恵美 東北大学
杉浦元亮 東北大学
鳴瀧彩絵 名古屋大学
園木和典 弘前大学
樋口雄大 弘前大学
竹内大介 弘前大学
吉川琢也 帯広畜産大学
上村直史 長岡技術科学大学
政井英司 長岡技術科学大学


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BIO ENERGY

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エネルギーキャリアとしての尿素の可能性と研究開発の現状
Possibility of Urea as an Energy Carrier and the Current Status of Research and Development

 水素エネルギー社会の構築のためには,再生可能エネルギーから生成された水素を輸送・貯蔵する必要がある。そのための水素キャリアとしてアンモニアや尿素などが考えられる。アンモニア(NH3)は窒素と水素の化合物で,常温常圧では空気より軽く,無色で刺激臭の気体である。NH3の低発熱量は18.8 MJ/kgであり,メタノールやエタノールに近い値であるので,内燃機関や燃料電池用の代替燃料としての可能性を持っている。標準状態(25℃,101.3 kPa)における密度は0.7016 kg/m3であるが,25℃のもとで1 MPaまで加圧すれば603 kg/m3となり,あるいは101.3 kPaのもとで冷却すれば680 kg/m3となる。この時,純水素より非常に高いエネルギー密度を得ることができる1)。アンモニアが有毒であるのに対して,尿素((NH2)2CO)は毒性のない化学物質であり,安価な肥料として広く使用されているので,水素キャリアとしての利点をいくつか持っている。尿素はまた,排水およびヒト・動物の尿中の主要成分であり,高いエネルギー密度を持っている。尿素の密度は,70 MPaの圧縮水素の2倍あり,液体水素よりも約70%大きい。さらに,ディーゼルエンジンのNOx処理システムとして実用化されている尿素SCR(Selective catalytic reduction)には,32.5%の尿素水であるAdBlueが用いられ,既存のインフラを使用して,AdBlueは世界中で広く利用可能である。
 尿素をエネルギー源とした場合,尿素から水素を生成して,燃料電池やエンジンシステムを稼働するシステムが考えられる。図1に示すように,尿素水や尿などから直接的・間接的に発電や動力を得る方法について,現在の研究状況と今後の展望についてまとめる。

【目次】
1 尿素の概要
2 エネルギーキャリアとしての新たな尿素製造/回収方法
2.1 廃プラスチックを原料としたNH3による製造
2.2 人体・家畜などからの尿素の回収による尿素製造
2.3 下水道からの尿素およびNH3の回収
3 尿素からの水素生成
4 尿素エネルギーシステム
4.1 尿素の電気分解による水素生成
4.2 排水中の尿素からの水素生成
4.3 尿素エネルギー発電システム
4.4 直接尿素燃料電池システム
4.5 車両搭載用尿素燃料電池システム
5 エクセルギー解析を用いた燃料の検討
6 おわりに

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BIO REVIEW

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脳と心拍の交信:心拍変動解析を用いた脳の状態推定と計算可能性
Communication between Brain and Heart:Eestimation and Computability of Brain States Using Heart Rate Variability Analysis.

 脳と心臓は,神経伝達物質や生理学的な機序を介して互いに連絡を取り合うことでそれぞれの機能を調整している。ストレスや疲労,情動は脳から心臓に伝わり,心拍数や血圧が上昇する(生理的反応,physiological responses)。多くの場合,情報は神経系や内分泌系によって媒介され,特定の刺激に反応して生体中で変化を生じさせる。このメカニズムは生存や環境適応に不可欠であり,ストレスや危険を察知した際に生じる闘争・逃走反応は,生理的反応として知られている。心臓もまた,神経系を通じてさまざまな情報を脳に伝えている。脳は迷走神経を通じて心拍数に関する情報を受け取り,必要性に応じて心臓に必要な信号を送ることによって心拍を調整する。心臓が1分間に送り出す血液の量(心拍出量)の情報もまた,心臓から脳に伝送されている。この情報をもとに,脳は心拍数や血圧を調節して必要量を満たすように制御している。動脈(頸動脈洞)と大動脈(大動脈弓)に存在する圧受容器(baroreceptor)を通じて,血圧や血中酸素濃度に関する情報を受け取り,血流や呼吸の調節を行なっている。このように,脳は心臓から多くの情報を受け取り,生理的反応をコントロールすることで恒常性を維持している。そして,脳と心拍の交信は,ヒトの生理学的機能の維持に重要な役割を担っている。本稿では,脳と心拍の交信ついて,脳心臓軸 (heart-brain axis, HBA) とクロストーク,心拍変動 (heart rate variability, HRV)解析からの自律神経状態推定を中心に概説し,重要な情報伝達における脳と心拍の交信モデルについて考察する。

【目次】
1 脳心臓軸(heart-brain axis, HBA)
2 心拍変動解析を用いた自律神経機能
3 マイクロニューログラフィによる神経活動記録
4 クロストークと計算可能性
5 おわりに

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小口径人工血管の創製に向けた組換エラスチンの開発
Development of Recombinant Elastin for Small-diameter Vascular Grafts

 エラスチンに見られるアミノ酸配列を単純化して作製した組換エラスチンGPGは,37℃の水中で自己集合してナノファイバーやハイドロゲルを形成する。我々は,小口径人工血管を人工材料から構築することを目指し,内皮細胞接着配列GREDVを付加した組換エラスチンGPG-REDVを作製した。GPG-REDVは,人工血管が満たすべき生物学的特性である抗血栓性,血管内皮細胞接着性および増殖性,血管平滑筋細胞の表現型維持と過増殖抑制を満足する新素材であることが示された。

【目次】
1 はじめに
2 組換エラスチン
3 小口径人工血管への応用を目指した組換エラスチンGPG-REDVの開発
4 おわりに

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化学とバイオが連携したリグニンからの芳香族ポリマー合成
Interdisciplinary Approach to the Synthesis of Poly(ethylene vanillate)from Sulfite Lign

 自然界に最も多く存在する芳香族化合物であるリグニンを芳香族ポリマーの合成原料として活用するためには,その剛直で不均一な構造に対応できる技術の創出が求められる。本稿では工業リグニンの1つであるサルファイトリグニンから芳香族ポリマー原料としての活用が提案されているバニリン酸(VA)を生産し,そしてそのリグニン由来のVAからpoly(ethylene terephthalate)の代替材料として注目されているpoly(ethylene vanillate)の合成を実験室レベルで実証した事例を紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 不均一触媒を用いたリグニンの化学分解
3 微生物反応を利用した均質化
4 リグニン由来のVAからのpoly(ethylene vanillate)の合成
5 おわりに

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BIO BUSINESS

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焼酎と泡盛の市場動向

【目次】
1 概要
2 本格焼酎の酒類と主な銘柄
3 生産需要動向
4 メーカー動向

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食品添加物工業

 高齢化や人口減少が進むわが国において,食品添加物市場は成熟化が進んでおり,近年横ばいに推移している。消費者の健康・安全への関心の高まりから一部の食品添加物に対しては忌避傾向がみられる一方,健康志向の高まり,高齢者や共働きの増加,日本食ブーム,インバウンド需要,アルコール離れ,災害用備蓄などの時勢の変化に対応した商品群は市場を拡大しており,これらに関連する食品添加物の需要は堅調に推移している。食品添加物公定書第9 版が2017 年11 月30 日に告示された。2007 年の第8 版発行から約10年ぶりの改定となり,この間に指定された89 品目が新たに収載された。2022 年6 月,指定添加物472 品目,既存添加物357 品目,天然香料612 品目が指定されている。

【目次】
1 概要
2 需給動向

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脂肪酸工業

 脂肪酸は脂質を構成するほか,生体内のエネルギー源にもなる。その工業面での用途はゴム工業,塩ビ安定剤,金属石けん,界面活性剤など多岐にわたっている。わが国の脂肪酸工業は2011 年に発生した東日本大震災やそれに続く原子力発電所の稼働停止,油糧種子生産国における異常気象の頻発,原油価格の高騰,欧州債務危機による世界経済への影響,長期にわたる円高などの要因により長く低迷していた。2013 年には立ち直りの兆しが見え,生産,販売実績ともに大幅な改善を示したが,それ以降は漸減傾向が続いている。

【目次】
1 需要概要
2 輸出入動向
3 原料動向
4 メーカー概要

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飼料・飼料添加物工業

 飼料の需要量は,飼養頭数に大きく左右される。畜産は飼養者の高齢化などによる廃業が進み,一戸あたりの飼養頭数は増加傾向にあるが,全体としては徐々に減少が続いている。配合飼料は,主原料であるトウモロコシが2021 年度,米国は豊作だったがブラジルは天候不順により生産量が少なくなり,アルゼンチン産のシェアが増加した。また,飼養頭数の増加による労働力不足と利便性により,円安などによる高騰にもかかわらず,輸入飼料原料に頼る傾向にある。畜産などの成長促進に不可欠な添加物の重要性は高まり,とくに飼料用アミノ酸は,動物の排泄物による汚染解決に貢献する添加物として市場が拡大している。また,安全な国産飼料供給のためエコフィード(食品循環資源利用飼料)認証制度により飼料自給率の上昇を期待されている。

【目次】
1 概要
2 需給動向
3 飼料原料の動向
4 飼料添加物の動向
5 飼料会社の動向

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BIO PRODUCTS

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アスタキサンチン(Astaxanthin)

SOD(Super oxide dismutase)

バイオポリエチレンテレフタレート(Biopolyethylene terephthalate)