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  • シーエムシー出版
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  • 2023/08/10

月刊バイオインダストリー 2023年8月号(電子版)

シーエムシー出版

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<著者一覧>

久保 明 東海大学
太田好次 藤田医科大学
馬 悦 東京医科歯科大学
影近弘之 東京医科歯科大学
中西憲幸 (一社)ソーシャルユニバーシティ
田井章博 徳島大学
津川尚子 神戸学院大学
小暮健太朗 徳島大学
阿部皓一 武蔵野大学
中川公恵 神戸学院大学
松永和久 福岡大学
瀨戸口修一 福岡大学
後藤将太朗 福岡大学
山川博文 福岡大学
佐藤俊郎 ㈱J-オイルミルズ

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【特集】ビタミンと健康増進の今

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ビタミンの臨床応用
Clinical Application of Vitamin

 ビタミン各種と臨床病態の関りは多方面から明らかにされてきた。今後はビタミン摂取群の層別化,投与ビタミンの種類,量などに関する検討が行われることで科学的な意義が明らかにされていくことと思われる。

【目次】
1 はじめに
2 マルチビタミンと疾病予防
3 2022年の勧告案とビタミンDほか
4 NMNニコチンアミドモノヌクレオチドなど
5 COVID-19とビタミン
6 うつ状態とビタミン
7 眼疾患とビタミン
8 ビタミン臨床研究の限界

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ビタミンと健康長寿の延伸
Vitamin and Extension of Healthy Life Expectancy

 ビタミンは正常な生理機能を営むために必要不可欠であるが,その必要量を体内で作れないので体外から取り入れなければならい有機化合物で,その必要量が微量である有機栄養素である。ストレス,免疫機能の低下,メタボリックシンドローム,生活習慣病,フレイル,サルコペニア,低栄養状態などは健康寿命を短縮させる要因となる。ビタミンはこれらの要因の軽減に重要な役割をしており,健康寿命の延伸に寄与している。しかし,ビタミンの摂取量が推奨量よりも少なく,ビタミン不足となっているビタミンがあるので,健康寿命の延伸には必要なビタミンを食餌,サプリメントなどで摂取することが重要である。

【目次】
1 ビタミンとは
2 健康寿命とは
3 健康寿命の延伸を妨げるビタミンが関係する要因
3.1 ストレス
3.2 免疫能の低下
3.3 メタボリックシンドローム
3.4 生活習慣病
3.5 認知症
3.6 フレイル・サルコペニア
3.7 低栄養
3.8 酸化ストレス

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ビタミンA 誘導体:レチノイドの構造,機能,医療応用
Structure, Function and Clinical Application of Retinoid

 これまでに,様々な構造や選択的な機能を持つレチノイド(ビタミンA 誘導体)が合成されてきた。タミバロテンは白血病治療薬として上市されたが,さらに様々な疾患に対する,新たなレチノイド療法への応用も検討されている。一方で,レチノイドの新たな機能としてnon?genomic 作用が見いだされ,注目されている。

【目次】
1 はじめに
2 レチノイド核内受容体選択的リガンドの創製
3 タミバロテン:白血病治療薬への応用と更なる医療展開
4 レチノイドのnon-genomic作用
5 おわりに

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CH3-B12(メコバラミン)の生理活性と臨床応用
Bioactivity and Clinical Application of CH3-B12(mecobalamin)

 ビタミンB12 は欠乏すると悪性貧血を呈するため,「貧血のビタミン」として知られ,結晶は赤色のため「赤いビタミン」とも呼ばれている。ビタミンB12 は人体では4 種類発見されており,うち2 種類に生理活性がある。最後に発見されたCH3-B12 は末梢性神経障害の治療薬として開発され,多くの疾患に汎用されている。CH3-B12 はリポジショニングとしてALS の治験に成功し,承認が待ち望まれている。

【目次】
1 4 種類のビタミンB12 の生理活性と吸収
2 神経系とメコバラミン
3 末梢神経障害とメコバラミン
4 ビタミンB12のトピックス
4.1 メトホルミンの長期使用によるビタミンB12の欠乏
4.2 ホモシステインが動脈硬化のリスクファクター
5 メコバラミンのリポジショニング
5.1 男性不妊症
5.2 睡眠覚醒リズム障害
5.3 認知症
5.4 ALS(筋萎縮性側索硬化症)
6 おわりに

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アスコルビン酸(ビタミンC)誘導体
Ascorbic Acid(Vitamin C)Derivatives

 ビタミンC(アスコルビン酸)の多様な作用を効果的に発揮させるために,様々なアスコルビン酸誘導体の開発が行われている。また,天然にも様々なアスコルビン酸誘導体が存在している。ここでは,アスコルビン酸誘導体を水溶性誘導体,脂溶性誘導体,両親媒性誘導体およびその他誘導体に分けて紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 水溶性誘導体
3 脂溶性誘導体
4 両親媒性誘導体
5 その他誘導体
6 おわりに

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ビタミンD 不足・欠乏の現状と健康影響
Health Effects of Vitamin D Deficiency and Insufficiency

 ビタミンD の栄養状態には,「充足」「欠乏症」に加え,その間にある「不足・欠乏」の段階がある。ビタミンD の不足・欠乏は疾病リスクを潜在的に増大させ,骨代謝のみならず心血管系,免疫系,脂質代謝,COVID-19 重症化に関与すると報告されている。日本人のビタミンD 栄養状態はかつてに比べて低下しているため,栄養改善が必要である。


【目次】
1 はじめに
2 ビタミンD の供給・代謝・作用発現機構
3 ビタミンDの栄養状態
4 ビタミンDと骨
5 転倒予防におけるビタミンDの役割
6 ビタミンDの心血管系への影響
7 免疫・感染防御とビタミンD
8 ビタミンDとCOVID-19
9 おわりに

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ビタミンE エステル体の抗肥満薬としての可能性
Potential of Vitamin E Ester Derivatives as Anti-obesity Agents

 ビタミンE(VE,図1)は,代表的な脂溶性抗酸化物質として認知されており,食品等に抗酸化成分として添加されている。VE は,クロマン環構造中のフェノール性OH 基が抗酸化反応部位であることが知られており,脂質ペルオキシラジカルLOO・等を捕捉することで,活性酸素によって誘起される脂質過酸化連鎖反応を停止すると考えられている。臨床においてもVE は,抗酸化作用に基づいて,循環器疾患,脂質代謝障害,眼疾患,糖尿病,放射線障害,神経疾患,炎症性疾患,骨疾患,がん等の様々な疾患治療に用いられている。すなわち,VE の作用には,抗酸化反応部位であるクロマン環のフェノール性OH 基が重要であり,このOH 基をエステル結合によってマスクされたVE エステル体は抗酸化活性を失っているのであるが,本体のVE とは異なる多彩な作用を有することが知られている。本稿では,VE エステル体のうち,特にVE(α-トコフェロール)コハク酸(VES:図1)に焦点を絞り,その多彩な作用を紹介するとともに,最近筆者らが発見したVES の抗肥満薬としての可能性と構造活性相関に基づいた新たな誘導体開発について述べさせていただく。

【目次】
1 ビタミンEコハク酸(VES)の多彩な作用
2 VESによる脂肪蓄積抑制作用
3 新しいビタミンEエステル体の開発
4 VEジカルボン酸エステル体の作用メカニズムと炭素鎖長の関係
5 おわりに

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ビタミンE 誘導体
Vitamin E Derivatives

 ビタミンE は光と酸素により分解しやすいので,医薬品・サプリメントなどでは安定化したエステル誘導体を使用しているケースが多い。酢酸・コハク酸エステルは酵素によってフリー体となって体内に入りビタミンE の作用を発揮する。加えて,最近では,エステル誘導体そのものが抗がん作用,心臓保護作用などの機能を発揮して,注目されている。

【目次】
1 ビタミンE とは
2 ビタミンE誘導体の種類と生物活性
3 ビタミンE誘導体の物性
4 ビタミンE誘導体の体内吸収
5 注目される誘導体
5.1 ニコチン酸エステル
5.2 コハク酸エステル
5.3 リン酸エステル
5.4 ジメチルグリシン誘導体
5.5 グルコシド
5.6 その他の誘導体
6 おわりに

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ビタミンK 栄養と疾病予防
Vitamin K Nutrition in Disease Prevention

 我々は日々の食事からビタミンK を摂取しているが,ビタミンK は体内ではビタミンK サイクルと呼ばれる酸化還元サイクルで再利用されるために,極度の欠乏状態にならない限り,目立った生体機能異常を生じることはない。そのため,他のビタミンに比べ,不足や欠乏ということが意識されることは少ない。しかし,ビタミンK は血液凝固や骨形成のみならず,最近では様々な疾患において,その栄養的充足度が,疾病の発症や重症化の予防に寄与していることが明らかにされている。ここでは,ビタミンK の生理的機能と疾病予防および健康維持における重要性について概説する。

【目次】
1 はじめに
2 ビタミンKの体内分布
3 ビタミンKサイクル
4 ビタミンKの生理作用
4.1 血液凝固に対する作用
4.2 骨に対する作用
4.3 血管石灰化に対する作用
5 ビタミンKの生体内変換
6 ビタミンK摂取と疾病予防
6.1 新生児・乳児ビタミンK欠乏症
6.2 骨折・骨粗鬆症
6.3 心血管疾患
6.4 脳神経変性疾患
7 おわりに

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還元型ビタミンK プロドラッグの作用と臨床応用への期待
Menahydroquinone-4 Prodrugs:Effects and Potential for Clinical Applications

 ビタミンK の多様で有用な作用を効率的に発揮させるには,menaquinone-4 の還元型menahydroquinone-4(MKH)を作用部位へ送達することが重要である。生体内還元経路や変換経路に非依存的にMKH を送達できるMKH プロドラッグの作用と期待される臨床応用について紹介する。

1 はじめに
2 VKを基本骨格とした誘導体とその効果
3 UBIAD1によるMK-4への生体内変換とワルファリン非依存性還元酵素FSP1
4 MKHプロドラッグの肝細胞がんに対する抗腫瘍効果
5 MKHプロドラッグの急性骨髄性白血病に対する抗腫瘍効果
6 MKHプロドラッグのミトコンドリア機能障害抑制効果
7 MKHプロドラッグの光安定性と光毒性
8 おわりに

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ビタミンK2 とアンチエイジング
Vitamin K2 and Anti-aging

 ビタミンK は,ビタミンK 依存性タンパク質を活性化するのに必要なコファクターであり,血液凝固,骨代謝調節,血管石灰化抑制(動脈硬化抑制)などに寄与する。最近になって,ビタミンK の抗酸化機能にも注目が集まっている。これら2 つの機能発現メカニズムにおいて,ビタミンK のなかでもビタミンK2 が特に強力に作用することが知られている。

1 ビタミンK の構造
2 ビタミンK の機能
2.1 ビタミンK 依存性タンパク質の活性化:標準(canonical)ビタミンK サイクル系
2.2 抗酸化機能:非標準(non-canonical)ビタミンKサイクル系
2.3 ビタミンKサイクルによらない機能
3 ビタミンK同族体のバイオアベイラビリティの違い
4 ビタミンKと骨代謝
4.1 納豆摂取と骨密度・骨折率
4.2 ヒト介入試験におけるビタミンKの骨代謝に対する効果
5 ビタミンK2と冠状動脈疾患
6 安全性