【特集】抗菌ペプチド利用の最前線
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特集にあたって
Introduction
相沢智康(北海道大学)
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未知の生理活性ペプチドの探索方法
Screening Methods for Discovering New Bioactive Peptides
尾崎司 (山形大学)
佐々木一樹 (国立循環器病研究センター研究所)
南野直人 (国立循環器病研究センター研究所)
生理活性ペプチドは, 前駆体タンパク質がプロセシングを受けて生成し, 機能を発揮する。近年の質量分析技術の向上, ゲノム情報の蓄積によって微量のペプチドを単離することなく同定できるようになった。本稿では, 生理活性ペプチドの探索方法について2種の新規抗菌ペプチドの発見を例に挙げて紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 生理活性ペプチド探索のために有効な手法 : セクレトペプチドーム解析
3. ペプチドーム解析の鍵となる質量分析計によるペプチド同定
4. 塩基性ペプチド画分からのAMP-IBP5の発見
5. 生物種間の保存性および既知の活性ペプチドの特徴を加味した候補ペプチドの選定
6. 生菌の還元活性を指標にした抗菌活性のスクリーニング
7. AMP-IBP5 およびVGF[554-577]-NH2の抗菌活性
8. まとめ
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抗菌ペプチドの食品添加物としての利用
Use of Antibiotic Peptides as Food Additives
小磯博昭 (三栄源エフ・エフ・アイ(株))
食品の腐敗防止に使われる抗菌ペプチド(リゾチーム, ε-ポリリジン, プロタミン, ナイシン)は, 少量で効果を示し優れた静菌剤であるが, ペプチドの種類により抗菌スペクトルや熱安定性などの性質が異なる。本稿では食品添加物として認められている抗菌ペプチドの特徴や食品での応用事例を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. リゾチーム
3. ε-ポリリジン, プロタミン
4. ナイシン
5. おわりに
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米由来抗菌ペプチドの有する多様な生体防御機能
Host Defense Multi-functions of Antimicrobial Peptides from Rice Proteins
谷口正之 (新潟大学)
抗菌ペプチドは, 従来の抗生物質に代わる感染防御剤として注目を集めている。米タンパク質由来の抗菌ペプチドを新規に同定し, それらのヒト病原微生物に対する抗菌活性とスペクトルについて解説した。また, 抗菌ペプチドの有するプロテアーゼ阻害活性, 抗炎症活性, 管腔形成促進作用などの多様な生体防御機能について紹介した。
【目次】
1. はじめに
2. 米由来抗菌ペプチドの特徴と抗菌活性
3. 抗菌ペプチドのプロテアーゼ阻害活性
4. 抗菌ペプチドの抗炎症活性
5. 抗菌ペプチドの管腔形成促進活性
6. 抗菌ペプチドの細胞毒性と溶血活性
7. まとめと今後の課題
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カブトムシディフェンシン由来抗菌ペプチドを用いた抗菌性繊維の開発
Development of Antimicrobial Fiber using Antimicrobial Peptides derived from Allomyrina dichotoma Defensin
石橋純 ((独)農業生物資源研究所)
中村允 (和歌山県工業技術センター)
薬剤耐性菌の蔓延の問題に対処するために, 新たな抗菌性素材の開発が急務である。薬剤耐性菌に対して効果を示し, 新たな耐性菌を生み出しにくいと考えられる抗菌タンパク質は, 抗菌剤として有望である。本稿ではカブトムシディフェンシン改変ペプチドを利用した抗菌繊維の開発について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. カブトムシディフェンシン改変ペプチドの開発
3. 抗菌ペプチドを共有結合させた抗菌性素材
3.1 ペプチド固定化技術の応用
3.2 綿生地の改質
3.3 改変ペプチド固定化繊維の作製
3.4 改変ペプチド固定化繊維の形態変化
3.5 抗菌活性試験
4. 抗菌ペプチドの加工剤化
4.1 改変ペプチドの高分子化
4.2 加工生地の抗菌活性評価
4.3 安全性試験
5. まとめ
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抗菌ペプチドによるバイオシリカ生産技術の開発
Development of Bio-silica Formation Technology Utilizing Antimicrobial Peptides
井上高康 (富士化学(株))
松田祐介 (関西学院大学)
ケイ酸固体化ペプチドは珪藻被殻 Silaffin などのように強い塩基性である。塩基性人工ペプチド, CDPFもやはり強いケイ酸固体化能を有する。塩基性は抗菌ペプチドと共通する特徴であるため, 抗菌性ペプチドとして知られるプロタミンのケイ酸固体化を試みた結果, 強い抗菌性は保持されたままで効果的なケイ酸固体化が確認された。
【目次】
1. はじめに
2. ペプチドによるシリカバイオミネラリゼーションについて
3. プロタミンのシリカ固体形成能と抗菌性
4. おわりに
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抗菌ペプチドをプローブとして利用した微生物検出法の開発
Development of Novel Assays using Antimicrobial Peptides for the Detection of Microbes
相沢智康 (北海道大学)
米北太郎 (日本ハム(株))
北條江里 (日本ハム(株))
抗菌ペプチドは微生物に結合する性質を持つことから, 幅広い微生物を検出するプローブとしての応用が期待できる。本稿では, 抗菌ペプチドをプローブとして用いた食中毒原因微生物の検出法の開発について紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. プローブに適した抗菌ペプチドのスクリーニング
3. 抗菌ペプチドの遺伝子組換え生産
4. ラテラルフロー法への応用
5. まとめ
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創傷治癒効果と抗菌効果を併せ持つペプチドの創生
Development of a Novel Multifunctional Peptide with Wound Healing and Antimicrobial Activities
天満昭子 (大阪大学)
冨岡英樹 (アンジェスMG (株))
中神啓徳 (大阪大学)
森下竜一 (大阪大学)
抗菌ペプチドとは広域の抗菌スペクトルを有し, 生体防御機構として生体を守る役割を担う自然免疫機能の一つである。抗菌ペプチドの中には, 抗菌活性に加えて多様な活性を示すものが存在するが, 筆者らは, 遺伝子機能スクリーニングの過程において, 創傷治癒効果と抗菌活性をもつ多機能ペプチドを見出したのでこれを紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. AG30 の最適化
3. SR-0379 の生物活性
3.1 SR-0379 の抗菌活性
3.2 SR-0379 の創傷治癒作用
4. SR-0379 の in vivo 創傷治癒作用
5. まとめ
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≪BIO R&D≫
クモ糸を紡ぐカイコの実用品種化に成功
Silk Produced by Transgenic Silkworm Expressing Spider Dragline Silk Protein
桑名芳彦 ((独)農業生物資源研究所)
小島桂 ((独)農業生物資源研究所)
カイコ実用品種に, オニグモの縦糸遺伝子を導入した遺伝子組換えカイコを作出した。そのカイコが作るシルク(クモ糸シルク)は, シルク本来の光沢やしなやかさを保ちつつも, 通常シルクより強くてよく伸び, 切れにくさが向上していた。実用品種カイコを使っているので糸質も良く, 機械によってベスト等を加工できた。今後はクモ糸成分を増やして, より高強度のシルクの作出を目指す。
【目次】
1. はじめに
2. クモ糸シルクとは
2.1 遺伝子組換えカイコの作出
2.2 クモ糸遺伝子の導入
2.3 カイコ実用品種の利用
3. クモ糸シルクの特徴
3.1 オニグモ縦糸タンパク質の確認
3.2 引張り物性
4. さいごに
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BIO BUSINESS
芳香・消臭・脱臭剤工業の市場
Market of Aromatic and Deodorant
2013年の消臭芳香剤の市場規模は約500億円となった。国内市場の成熟化に加え, プライベートブランド化による価格訴求の高まりから平均単価が下落したことが大きな要因と考えられており, 新規市場の開拓とともに価格の安定化が求められている。近年は20~30代の女性をターゲットにデザインを重視した商品開発が盛んで, 大きく売り上げを伸ばしている。その他にも高齢者, ペット飼育者向けに新たな製品投入を行うなど, 今後の市場拡大に期待がかかる。
【目次】
1. 概要
2. 種類・素材など
2.1 天然系
2.2 無機系
2.3 触媒系
2.4 オゾン系
3. 市場動向
3.1 室内用
3.2 トイレ用
3.3 衣料用
3.4 自動車用