<著者一覧>
境 慎司 大阪大学
小嶋 勝 大阪大学
岩永進太郎 富山大学
黒岡武俊 富山大学
中村真人 富山大学
南茂彩華 横浜国立大学大学院
景山達斗 横浜国立大学大学院
福田淳二 横浜国立大学大学院
伊野浩介 東北大学
宇田川喜信 東北大学
梨本裕司 東北大学
珠玖 仁 東北大学
花之内健仁 大阪産業大学
秋枝静香 (株)サイフューズ
木寺正晃 愛知産業(株)
渡辺紗由 愛知産業(株)
大嶋英司 (株)TKR
渡邉政樹 (国研)理化学研究所
辻村有紀 (国研)理化学研究所
山澤建二 (国研)理化学研究所
横田秀夫 (国研)理化学研究所
大山慎太郎 名古屋大学
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【特集】バイオプリンティング技術の開発動向
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特集にあたって
Introduction
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酵素反応をつかった3Dバイオプリンティング
Enzyme-mediated 3D Bioprinting
3Dバイオプリンティングは,3Dプリンタにデジタルデータを入力し,細胞を含む3次元構造物をプリントする技術であり,再生医療・組織工学分野の発展に寄与するものとして近年,多くの検討が行われている。本稿では,3D バイオプリンティングのなかでも,酵素反応をインクのゲル化に用いる研究の動向について解説する。
【目次】
1 はじめに
2 酵素反応
3 インクのゲル化に用いられる酵素反応
4 酵素反応をつかった3Dバイオプリンティング
4.1 連続押し出し方式:吐出前インク内での架橋形成
4.2 連続押し出し方式:吐出後インク内での架橋形成
4.3 インクジェット方式
5 おわりに
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光架橋反応を用いたバイオプリンティング技術
Bioprinting Using Photo-curing Technology
3Dプリンティング技術の発達に伴い,生きた細胞を含む3次元構造物を造形するバイオプリンティング技術が注目を集めている。この技術の発展には印刷手法,バイオインク双方の開発が不可欠であり,様々な手法が報告されている。本稿では,光架橋反応を応用したバイオプリンティングに関して,近年,著者らが開発した最新の手法を交えて解説する。
【目次】
1 はじめに
2 光架橋反応を用いたバイオプリティング手法
2.1 連続押出し式を用いたプリンティング
2.2 インクジェット式を用いたプリンティング
2.3 液槽を用いたプリンティング
3 光架橋反応を用いたバイオインクとバイオプリンティングの実例
3.1 紫外光照射による光架橋反応を用いたバイオプリンティング
3.2 可視光照射による光架橋反応を用いたバイオプリンティング
4 終わりに
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アルギン酸を用いた3D組織・臓器ファブリケーションへの展開
Development of 3D Tissue/Organ Fabrication Using Alginate Hydrogel
本稿では3次元的に組織を構築する方法として,印刷技術を応用した「バイオプリンティング」や,細胞からなる微小なパーツを組み立てて重厚組織を構築する「バイオアセンブリ」の技術について論じる。また,これらの技術を用いて組織構築をする際に有用なバイオマテリアルとしてアルギン酸の利用に関して紹介していく。
【目次】
1 はじめに
2 バイオプリンティング技術による立体組織の作製
2.1 インクジェット式3Dバイオプリンタを用いた組織構築の構想
2.2 アルギン酸ベースのバイオインクを用いた積層印刷による3D構造の作製
3 バイオアセンブリ技術による立体組織の作製
3.1 微小パーツの積み重ねによる組織構築の構想
3.2 中空アルギン酸ゲルの利用:バイオパーツとしてのファイバー状組織を用いた3D組織構築
4 おわりに
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3Dバイオプリンティングによる培養皮膚や毛包の再生技術
Skin and Hair Follicle Regeneration by 3D Bioprinting Technology
培養皮膚は,重度の熱傷に対する新しい治療法として,または薬剤評価のための動物実験代替法としてその利用が拡大してきている。本稿では,3Dバイオプリンタを用いて,より高度な培養皮膚を構築する手法,および著者らの取り組んでいる皮膚付属器である毛包を再生するための手法について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 3Dバイオプリンティング技術を利用した培養皮膚研究
2.1 培養皮膚の3Dバイオプリンティング
2.2 in situ skin bioprinting
3 3Dバイオプリンティング技術を利用した毛包原基の大量調製
3.1 毛包を再生するための従来のアプローチ
3.2 細胞けん引力を利用した毛包原基の作製
3.3 3Dバイオプリンタを用いた大量調製技術の確立
4 おわりに
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電気化学反応を使ったハイドロゲルのバイオファブリケーション
Biofabrication of Hydrogels Using Electrochemical Reactions
電気化学反応を駆動力にしたバイオファブリケーション技術が開発されている。近年,3次元的に形状をデザインしたハイドロゲルの作製とその細胞培養への応用に関する報告が増加している。そこで本稿では,バイオファブリケーションに使われている電気化学反応の種類や,電気化学デバイス・システムについて簡単に解説する。
【目次】
1 はじめに
2 電気化学ハイドロゲル作製
3 様々な形状の電極を用いたハイドロゲルの作製
4 電極移動による電気化学ハイドロゲル作製
5 電極アレイを用いたハイドロゲルファブリケーション
6 その他の電気化学システム
7 おわりに
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関節治療におけるバイオプリンティング技術への期待
Expectations for Bioprinting Technology in Orthopaedic joint Therapy
およそ20年前に臨床医(整形外科医)としてのキャリアを開始した私は,一貫して骨と骨の間にある“関節”に対する診療に従事してきた(現在の本職は工学部教員だが,非常勤として活動を継続している)。その治療においてバイオプリンティング技術がどのように必要とされるかを説明し,現在までに経験したバイオプリンティングに関連した研究の紹介,および今後の期待について述べていきたい。
【目次】
1 関節治療とその延長にある再生医療
2 関節領域の再生医療のためのバイオプリンタ
3 バイオプリンタによるバイオインクの機械特性評価
4 3Dバイオプリンタを用いた超音波ゼリーのバイオインクとしての性能評価
5 バイオプリンタによる今後の期待
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スフェロイド積層によるスキャフォールドフリー3D細胞プリンティング技術の開発と臨床応用
Development and Clinical Application of Scaffold-free 3D Printing Technology using Spheroid
【目次】
1 はじめに
2 平面培養から三次元培養への変遷
3 三次元組織の構築
4 バイオ3Dプリンタ
5 サイフューズのバイオ3Dプリンタ
5.1 「regenova」(剣山(KINEZAN)方式のバイオ3Dプリンタ)
5.2 「S-PIKE」(串団子方式のバイオ3Dプリンタ)
6 バイオ3Dプリンタを用いた臨床開発事例
6.1 細胞製神経導管の開発事例
6.2 細胞製人工血管の開発事例
6.3 その他のパイプライン開発
6.4 創薬支援ツールへの応用
7 おわりに
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産業用金属3Dプリント技術の種類と技術概要
Metal Additive Manufacturing Technologies and Industrial Adaption.
金属のAM技術のうち金属粉末を材料とする技術から,Selective Laser Melting(SLM)方式,Laser Metal Deposit(LMD)方式,MoldJet-(MJ)方式,金属ワイヤを材料とする技術からElectron Bean Additive Manufacturing(EBAM)方式,Wire Ark Additive Manufacturing(WAAM)方式について,技術概要やその造形例を紹介するとともに,注目される周辺技術から小型で金属粉末を室内でアトマイズ可能な技術について紹介する。
【目次】
1 はじめに-金属積層造形技術の発展
2 SLM方式概要
3 LMD方式概要
4 バインダー方式概要
5 EBAM方式概要
6 WAAM方式概要
7 粉末材料について
8 まとめ
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直描露光装置としても光造形装置としても使える1台2役の高速/ 高精度な3Dプリンタ“SPACE ART”の開発
Development of “SPACE ART”, a High-speed / High-precision 3D Printer that can be used as both a Direct Imaging Exposure System and a Stereolithography Apparatus
SPACE ARTは一般財団法人素形材センターの2018年度「第34回素形材産業技術賞」で奨励賞を受賞,また2019年11月19 日~21 日に浜松で開催された「Future Technologies From Hamamatsu 2019」(電気学会,応用物理学会,日本機械学会や精密工学会など,日本の名立たる学会が参加している合同シンポジウム)では本装置の技術展示が最優秀技術展示賞を受賞するなど,本装置の機能/ 性能の高さや差別化技術が各種学会や業界に認められている。
現在は高精度なマイクロ流路,ラティス構造の造形や回路パターン形成との複合造形で超先端技術や創薬を研究している研究所や大学で採用され,絶大なる評価を得ている。また,直描露光装置(電子回路パターンやレジストパターンのマスクレス形成など)としてもウェアラブル用素材への回路パターン形成やMID/LDS(Molded InterconnectDevice/Laser Direct Structuring)的な使い方として曲面へのアンテナ回路形成など,各種の応用検討がされている。1 台2 役という他の3D プリンタには無い機能/ 性能により,バイオ用や医療用(デンタル)としても応用され始めている。
さらに,新しいビジネス用途を開拓するため,各種アプリケーションの開発や消耗材の開発も積極的に進めている。お陰様でモニタリング販売した各国立研究所や各大学などからの要望や改善点を取り込むことが出来,2021 年6 月から株式会社TKR で本格的に販売している。
【目次】
1 はじめに
2 SPACE ARTの特長
3 SPACE ARTの構造・仕様
3.1 直描露光装置(電子回路パターン/レジストパターン形成)仕様
3.2 光造形装置(3Dプリンタ)仕様
4 光学エンジンの構成
5 本装置の機能/性能
5.1 直描露光装置(電子回路パターンやレジスト形成)の機能/性能
5.2 光造形装置(3Dプリンタ)およびその他の機能/性能
6 おわりに(今後の展開)
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3D プリンタ向け新規人工骨材の開発
Development of α-TCP Scaffold Fabricated by Modified Binder Jetting Process
骨は力を受けることにより,密度やその内部構造を換えて,常に最適な形状に変化する。治療を必要とする患者に適した構造の人工骨を再現するためには,AM 技術が有望である。本論文では,骨内部の3 次元形状が反映できる新たな人工骨造形について,造形法,高精度・高強度化,生体適合性について紹介する。
【目次】
1 人工骨3Dプリンティングのための材料の特徴と開発
1.1 リン酸カルシウム系人工骨材料
1.2 αTCP粉末を用いたBJ法による人工骨の造形
2 新たな医療ニーズに即した高精度・高強度造形技術の確立
2.1 新規BJ法の開発
2.2 新規BJ法による造形材料の生体適合性評価
2.3 材料生体適応における課題と今後の展望