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  • 2023/04/07

月刊機能材料2023年4月号(電子版)

シーエムシー出版

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【特集】熱電変換技術の開発と応用

★熱電変換は,熱エネルギーを電気エネルギーへ変換する技術であり,工場や自動車由来の廃熱を再資源化する技術として注目されています。また,長寿命,メンテナンスフリーなどのメリットからIoT機器への応用にも期待されており,それを構成する素子の開発も盛んに行われております。本特集では,性能の向上が進む熱電変換材料の研究開発動向を紹介しております。

<著者一覧>
太田裕道  北海道大学
森孝雄  (国研)物質・材料研究機構 
片瀬貴義  東京工業大学 
神谷利夫  東京工業大学
永岡章  宮崎大学 
山科雅裕  東京工業大学 
豊田真司  東京工業大学
上谷幸治郎  東京理科大学

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【特集】熱電変換技術の開発と応用

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Ba1/3CoO2 ―高温・空気中で安定した性能を示す実用的な熱電変換材料―
Ba1/3CoO2 ―A Practical Thermoelectric Material that Exhibits Reliable Properties at High-Temperatures in Air―

 層状コバルト酸化物は,1990 年代から高温熱電材料候補として期待されているが,カルコゲン化物と比較して性能指数ZTが小さく,高温空気中では不安定性という問題があった。本稿では,筆者らが見出した,空気中,600℃でZT=0.55を示し,かつ安定な層状コバルト酸化物Ba1/3CoO2について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 Ba1/3CoO2エピタキシャル薄膜の作製
3 Ba1/3CoO2エピタキシャル薄膜の熱的安定性
4 Ba1/3CoO2エピタキシャル薄膜の熱電特性
5 おわりに

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熱電発電・ペルチェ冷却の半世紀以上チャンピオンビスマステルルに匹敵・凌駕する Mg-Sb 系材料の開発
Development of Mg-Sb Materials for Thermoelectric Power Generation and Peltier Cooling which Rival and Exceed the Half Century Champion Bismuth Telluride

 界面制御および欠陥制御の新原理により,Mg-Sb系材料において電荷の輸送,すなわち電気伝導率,およびフォノンの輸送,すなわち格子が運ぶ熱伝導率を高度に制御することに成功して,熱伝導率の低い多結晶試料でありながら,単結晶並みの高移動度を実現し,熱電高性能化を達成した。熱電発電およびペルチェ冷却応用において,半世紀以上チャンピオンとして君臨したビスマステルルに初めて匹敵・凌駕する新規材料を開発した。

【目次】
1 はじめに
2 Mg3Sb2系の欠陥・界面の制御による高性能化,デバイス実証
3 Mg3(Bi,Sb)2系による室温近傍の高性能化,熱電発電およびペルチェ冷却デバイス実証
4 まとめ

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電気伝導度と熱起電力のトレードオフ解消による酸化物熱電変換材料の高性能化
Breaking the Trade-off Problem of Thermoelectric Materials to Improve Energy Conversion Efficiency
 
 無毒で資源量が豊富な酸化物熱電変換材料は熱的・化学的に安定であり,長期メンテナンスフリーの熱電変換素子への応用が期待されるが,熱電変換効率は未だ低いままである。本稿では,酸化物の人工構造を利用して,性能向上の妨げになっている電気伝導度と熱起電力(ゼーベック係数)のトレードオフを解消し,熱電特性を大きく高める新手法について紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 熱電変換性能を制限する電気伝導度と熱起電力のトレードオフ問題
3 酸化物に歪みを加えて電気伝導度とゼーベック係数のトレードオフを解消
4 圧縮歪みによってσとSのトレードオフが破れる起源
5 フォノンドラッグ効果:低温のゼーベック係数を増大させるアプローチ
6 金属と絶縁体を重ねてフォノンドラッグ効果を増強:ゼーベック係数を10倍に増大
7 おわりに

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廃熱を有効活用する環境調和型熱電変換デバイスの開発
Environmentally Friendly Thermoelectric Device for Waste Heat Recovery

 カーボンニュートラルを実現するためには今後ますます熱エネルギーの積極的な利用が求められる。特に身の回りの廃熱を電気エネルギーとして再利用する熱電発電が注目されている。本稿では有毒元素やレアメタルを使わずに高い熱電性能指数を示す環境調和型熱電材料をベースとしたデバイスの開発と本分野の現状について紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 身の回りの熱エネルギー
3 熱電材料の開発
4 環境調和型熱電デバイスの開発
5 今後の課題
6 まとめ

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[Material Report-R&Dー]

レアメタルを使わない巨大人工分子の新たな構築法
New Construction Method of Giant Artificial Molecules without Rare Metals

 レアメタルは有機分子同士の継ぎ手となることで,既存の有機合成では達成できないような巨大分子の構築を可能とする。一方著者らは,複数のピンセット形の有機分子に「互いをつかませる」ことで,直径約2ナノメートルの環状集合体が形成されることを見出した。また,この環状集合体をさらに集積させてウイルスを模した巨大な球状集合体の構築にも成功した。

【目次】
1 はじめに
2 モノマー分子設計と環状6量体の構築
3 環状6量体の選択性と物性評価
4 階層的自己組織化による巨大球状集合体の構築
5 おわりに

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熱拡散の面内指向性を制御した複合材料フィルムの開発
Development of Composite Films with Enhanced In-Plane Anisotropy of Thermal Diffusion

 柔軟な薄型電子デバイス(ペーパー・エレクトロニクス)の高密度実装に伴う排熱問題を解消するため,近接熱源間の熱干渉を避けつつ熱拡散が可能な,高い面内指向性を有した熱拡散フィルムが有望と考えられる。本稿では2次元フィルムの面内で熱拡散方向を制御した複合フィルムとその放熱性能について紹介する。

【目次】
1 はじめに
2 一軸配向フィルムの調製と機能
3 ELデバイスにおける放熱性能
4 近接熱源に対する放熱性
5 フィラーの抽出と再利用性
6 おわりに

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[Market Data]

電池用材料・ケミカルスの市場動向

 2021年の一次電池・二次電池の合計出荷数量は,前年比18%増の46億7,100万個となった。二次電池は,2010年の民生需要の回復,車載用リチウムイオン電池市場の立ち上がりなどにより,高い成長を達成していたが,2011年の東日本大震災の影響により,生産量が減少した。現在では環境負荷軽減の要請が高く,今後もHV,EV車需要の拡大とそれに伴う二次電池の需要増加が期待されている。一方,一次電池は環境負荷軽減や二酸化炭素排出削減対策として,二次電池へのシフトが起こっており,低い水準で推移している。電池用構成材料は,使用される電池の出荷数量にほぼ比例した推移となっており,ハイブリット自動車向けの需要拡大に加え,電気自動車向けの需要がより拡大しているリチウムイオン電池向けの構成材料に大きな期待が寄せられている。

1  電池市場の概要
 1.1 一次電池
 1.2 二次電池
2  開発動向と構成材料
 2.1 一次電池
 2.2 二次電池
3  二次電池構成材料の市場動向
 3.1 リチウムイオン電池構成材料の市場
  3.1.1 正極材
  3.1.2 負極材
  3.1.3 電解液
  3.1.4 セパレータ
 3.2 ニッケル水素電池構成材料の市場

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[Material Profile]

エチレンカーボネート
ジメチルカーボネート