【創刊42周年記念特集】エレクトロニクス分野におけるエポキシ樹脂の活用
★エポキシ樹脂は,汎用性の高さから基板材料・封止材料・接着剤など,様々な電子材料に利用されています。また,5G技術の普及による無線通信の高周波化が進み,伝送損失の抑制といった材料開発への要求も高まっております。本特集では,電子材料として広く採用されているエポキシ樹脂の特長や,研究開発について掲載しております。
<著者一覧>
野村和宏 NBリサーチ
木田紀行 三菱ケミカル㈱
中村吉伸 大阪工業大学
平井智康 大阪工業大学
藤井秀司 大阪工業大学
田中祐介 住友ベークライト㈱
川野真太郎 (地独)大阪産業技術研究所
望月政嗣 元・京都工芸繊維大学
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【特集】エレクトロニクス分野におけるエポキシ樹脂の活用
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半導体封止材における高周波対応
Semiconductor Encapsulants Technology for High Frequency Application
基板や封止材には現在エポキシ樹脂が広く適用されており,この樹脂は環境耐性や電気特性において優れた性能を有しているのだが,高周波に対応するための低誘電特性は有していない。そこでエポキシ樹脂を高周波用途に使用するために硬化剤や添加剤,希釈剤などに対して新しい技術が開発されてきている。本稿では,そのいくつかを紹介する事とする。
【目次】
1 はじめに
2 高周波による伝送損失
3 化学構造と誘電特性
4 低誘電エポキシ樹脂のための材料技術
4.1 活性エステル
4.2 ポリフェニレンエーテル(PPE)の硬化剤としての可能性
4.3 低誘電エポキシモノマー
4.4 低誘電酸無水物
5 低誘電半導体封止材の開発
5.1 低誘電 NCF
5.2 低誘電封止材
6 まとめ
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高周波対応に向けたエポキシ樹脂の低誘電化技術
Low Dielectric Technology of Epoxy Resin for High-Frequency Applications
エポキシ樹脂は良好な機械物性とデバイスへの加工性を併せ持つため,プリント基板の素材として使われてきた。近年,通信および計算の高速大容量化により,電子機器の高周波対応(低伝送損失)が強く求められている。最も重視される特性が低誘電性であり,エポキシ樹脂が不得意な領域である。他方,エポキシ樹脂は設計自由度が広い材料でもあるため,筆者らは低誘電エポキシ樹脂の開発に取り組んでいる。本稿では,低誘電エポキシ樹脂の設計手法および開発事例を解説する。
【目次】
1 はじめに
2 低誘電エポキシ樹脂とその硬化物の設計
2.1 低誘電エポキシ樹脂の設計手法
2.2 エポキシ樹脂の低誘電硬化システム
3 低誘電エポキシ樹脂の実際の開発事例
3.1 低分子タイプ
3.1.1 フッ素原子含有エポキシ樹脂 YX7760
3.1.2 フッ素原子非含有エポキシ樹脂 YL9133
3.2 中分子タイプ
3.3 高分子タイプ
4 おわりに
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エポキシ樹脂のフィラーと界面の設計
Optimum Modification of Epoxy Composite Using Silane Coupling Agent
充てんエポキシ樹脂の強度向上や吸水率低減のためのシランカップリング剤変性について検討した。目的に対するシランカップリング剤の最適分子構造,添加方法の影響(前処理とインテグラルブレンド法),界面の接着とマトリックスの改質効果を比較した。インテグラルブレンド法やマトリックス改質の有用性が分かった。
【目次】
1 はじめに
2 充てんエポキシ樹脂の強度
3 熱膨張係数の低減
4 吸水率の低減
5 おわりに
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先端 PKG に対する半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の展開
Development of Epoxy Molding Compound for Advanced PKGs
次世代半導体素子のSiCや GaNを用いたパワーデバイスには高耐熱性などの特性が要求される。著者らは,パワーデバイス用エポキシ樹脂モールドコンパウンド(EMC)において,樹脂の分子運動の抑制によりHTRBなどの信頼性を向上させ,EMCとPKG部品のCTE 調整にて温度サイクル試験での剥離を防止させ,さらに,高Tgと高耐熱性を両立できる新型エポキシ樹脂と硬化剤を見出した。
【目次】
1 はじめに
2 先端半導体向け封止材料の開発コンセプト
2.1 半導体封止材料の高耐熱化
2.2 HTRB 耐性向上(High Temperature Reverse Bias:高温逆バイアス)
2.3 CTI(Comparative Tracking Index:耐トラッキング指数)特性向上
2.4 放熱性向上
2.5 半導体封止材料の耐温度サイクル性向上
3 半導体封止材料の高耐熱化技術
3.1 レジンの高耐熱化技術
3.2 新規高 Tg・低吸水レジンを用いた封止材料の開発
4 おわりに
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[Material Report-R&Dー]
シクロデキストリンと光機能性クマリンのホスト-ゲスト架橋ハイドロゲルの創出
Fabrication of Host-Guest Crosslinked Hydrogels Using Cyclodextrin and Photo-Functional Coumarin
アクチュエーターなどに応用可能な高分子ハイドロゲルは,柔軟性・高弾性に加え,メンテナンスフリーな機能が求められる。本稿では,ハイドロゲル架橋部位に,ホスト-ゲスト包接錯体として,光反応性のゲスト分子をホスト内に包接させた超分子構造を導入し,光・熱に応答した粘弾性の制御や自己修復が可能なハイドロゲルの創出事例について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ホスト-ゲスト超分子架橋系の導入例と光反応場の構築
3 1:2 包接錯体の化学量論と光機能性ゲスト分子の特性評価
4 1:2 三元系超分子架橋剤の in situ重合で得られるハイドロゲルの刺激
応答粘弾性制御
4.1 ハイドロゲルの作製と光応答性粘弾性制御
4.2 三元系超分子架橋ゲルの動的粘弾性測定による自己修復性評価
4.3 温度に応答した三元系架橋ハイドロゲルの粘弾性制御
5 おわりに
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ポリ乳酸の生分解機構から理解する長期使用耐久性と抗菌・防カビ性の発現
Long-term Durability and Anti-Bacterial/Fungal Activity of Polylactic Acid Understandable from Its Biodegradation Mechanism
微生物産生ポリエステルに代表される酵素分解型生分解性プラスチックは,生分解性と長期使用耐久性や抗菌・防カビ性はトレードオフの関係にあるのに対し,非酵素分解(加水分解)型のポリ乳酸は 2段階 2様式の特異的な生分解機構から,生分解性であるにもかかわらず長期使用耐久性や抗菌・防カビ性を両立させることが可能である。
【目次】
1 はじめに
2 生分解性プラスチックの生分解機構
3 ポリ乳酸の生分解機構
3.1 非酵素分解(加水分解)型…2段階 2様式の特異的な生分解機構
3.2 ポリ乳酸が内包する分解制御機構…生分解性と耐久性の両立
4 生分解性プラスチックの分解速度と製品寿命
4.1 生分解性プラスチックの理想像とは
4.2 ポリ乳酸の分解速度の制御と長期使用耐久性(10年以上)
5 ポリ乳酸が内包する抗菌・防カビ性と発現機序
5.1 プラスチックのカビ抵抗性試験(JIS Z-2911)
5.2 抗菌防臭加工新基準…繊維製品新機能性評価協議会
5.3 ポリ乳酸の抗菌・防カビ性発現機序
6 おわりに
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[Market Data]
石油製品添加剤工業の市場動向
石油製品添加剤の需要は,その用途先となる燃料油や潤滑油などの需要に大きく左右される。2008年秋からの世界同時不況の影響で自動車,機械,電気機器などが大幅減産となり,その影響で石油製品,石油製品添加剤需要も落ち込みが続いた。2010年に回復の兆しが見られたものの,東日本大震災や景気低迷,エネルギー政策の迷走等により,先行きは不透明なものとなり,その後も需要は長く横ばい状態が続いている。
【目次】
1 概要
2 需給動向
2.1 燃料油添加剤
2.2 潤滑油添加剤
3 添加剤メーカーの動向
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[Material Profile]
クロロメチルスチレン
酸化セリウム(IV)
酸化チタン(IV)