商品詳細

  • シーエムシー出版
  • ¥3,960
  • 23MB
  • 2015/07/10

月刊バイオインダストリー 2015年7月号

シーエムシー出版

雑誌・定期刊行物

コンテンツの内容

  • ePub
  • PDF
シーエムシー出版の書籍一覧を見る

【特集】エラスチンの機能性―食品・美容・医療への応用―

-------------------------------------------------
弾性線維の形成過程
The Process of Elastic Fiber Formation
敦賀英知 (弘前大学)

 弾性線維は弾性系線維(elastic system fibers)に分類される。この系(システム)の理解は弾性線維の形成機構を理解することに他ならない。弾性系線維の構成要素は微細線維(ミクロフィブリル)とエラスチンで, 弾性線維は少量の微細線維と多量のエラスチンにより構成される。最初に足場となる微細線維が形成され, そこにエラスチンが沈着し弾性線維が成長していく。
【目次】
1. はじめに ―弾性系線維について―
2. 弾性系線維
2.1 弾性系線維の分類
2.2 弾性系線維の形態
3. 弾性系線維の構成要素
3.1 微細線維
3.2 エラスチン
4. 弾性線維の形成過程
5. おわりに

-------------------------------------------------
エラスチンの光老化と糖化
Photoaging and Glycation of Elastin
米井嘉一 (同志社大学)

 皮膚老化を増悪させる因子として光老化(酸化ストレス)と糖化ストレスが挙げられる。皮膚の弾性線維エラスチンに対する光老化と糖化ストレスの影響について概略を述べた。In vitro タンパク質糖化反応モデルを用いたエラスチン由来の糖化最終生成物(AGEs)に関する実験成績, 皮膚におけるAGEs蛍光強度と弾性力の臨床成績を示した。
【目次】
1. はじめに
2. 光老化とエラスチン
3. 糖化ストレス
4. 糖化ストレスの皮膚への影響
5. エラスチンの糖化
6. 皮膚AGEs蓄積量の加齢変化
7. 皮膚弾力性の年齢変化
8. おわりに

-------------------------------------------------
エラスチンペプチド摂取後のヒト血液からの食事由来ペプチド検出
Identification of Food-derived Peptide in Human Blood after Oral Ingestion of Elastin Hydrolysate
重村泰毅 (東京家政大学)

 エラスチンペプチドは健康食品素材として注目されている。一方で, 摂取後どのような形でペプチドが体内に吸収されるかは明らかにされていない。そこで筆者らは, ヒト血中から摂取物由来ペプチドの検索を行った。手法としては, プレカラム誘導化を導入したHPLCによって血中のペプチドを分離後, プロテインシーケンサーやMSによる配列同定を試みた。その結果, エラスチンペプチド摂取後のヒト血液から高濃度のPro-Glyが検出された。
【目次】
1. はじめに
2. コラーゲンペプチド摂取後のヒト血液からの食事由来ペプチド検出
3. PITC誘導化法を導入したエラスチンペプチド摂取後の血中食事由来ペプチドの検索
4. AccQ誘導化法を導入したLC-MS/MSによる血中食事由来エラスチンペプチドの検索検出法
5. 年齢別被験者の血中食事由来エラスチンペプチド動態
6. おわりに

-------------------------------------------------
カツオエラスチンの製造技術と機能性
Production Technique of‘ Bonito Elastin’ and Its Health Function
白土絵理 (林兼産業(株))

 エラスチンは組織・臓器へ弾性を与える重要なタンパク質であり, 基礎から応用まで様々な研究が進められている。しかし, 魚類由来エラスチンに関しては研究例が少ない。その中で我々は, カツオ動脈球から産業規模でのエラスチンペプチド「カツオエラスチン」の製造に成功し, 食品素材としての機能性を追求している。
【目次】
1. はじめに
2. 魚類エラスチンの探索と製造
3. カツオエラスチンの機能性
4. まとめ

-------------------------------------------------
エラスチン・エラスターゼに着目した抗シワ研究
Anti-wrinkle Study Focusing on the Regulation of Elastin and Elastase
塚原和枝 (花王(株))
笠松慎也 (花王(株))
武谷真由美 (花王(株))
八谷輝 (花王(株))

 加齢に伴い顔面皮膚に顕在化するシワは, グローバルでも共通の肌悩みであることが知られている。我々は真皮を構成する様々な因子の中でも, 存在量は非常に少ないものの, 皮膚の弾力性に最も関係があると考えられているエラスチンに着目し, 長年にわたって抗シワ技術の確立に取り組んできた。今回はその研究概要を紹介する。
【目次】
1. はじめに
2. 皮膚弾力性とエラスチン線維との関係
3. 線維芽細胞エラスターゼ(NEP)の阻害によるシワ形成抑制作用
4. NEP 阻害活性の増強によるシワ形成抑制作用
5. 光老化関連因子の探索
6. MFAP-4のエラスチン線維形成における役割
7. MFAP-4産生促進素材の探索
8. MFAP-4の産生促進によるシワ改善作用
9. おわりに

-------------------------------------------------
高血圧性血管障害に対するエラスチンペプチドの予防効果
Prophylactic Effects of Elastin Peptide on Hypertensive Vascular Injury
伊藤浩行 (近畿大学)

 古くよりエラスチンペプチドには血管拡張や走化性などいくつかの生理活性が認められているが, in vivo におけるエビデンスは極わずかである。高血圧は動脈硬化症の最大のリスクファクターであることから, 高血圧性血管障害に及ぼす魚類由来エラスチンペプチドの影響を高血圧モデル動物を用いて検索したところ, 内皮細胞傷害の発生や血管拡張能の低下など高血圧に基因する動脈障害に対する抑制効果が認められた。これらの結果は, エラスチンペプチドが加齢に伴う高血圧や動脈硬化の発症に抑制的に作用する可能性を示唆している。
【目次】
1. はじめに
2. 高血圧性動脈病変の発生機序
2.1 大動脈におけるエラスチンの減少
2.2 動脈内皮細胞の傷害
3. 高血圧性動脈病変に及ぼすエラスチンペプチドの影響
3.1 カツオ動脈球由来エラスチンペプチドの影響
3.2 Prolyl glycine(PG) の影響
3.3 考察
4. おわりに

-------------------------------------------------
エラスチンの医療材料への応用
Application of Elastin-based Biomaterials
宮本啓一 (三重大学)

 血管や靭帯等の伸縮性組織ではエラスチン比率が高く, 組織内の細胞は一定方向に配向した状態で存在し, 血管では拍動運動, 膝靭帯ではねじり運動等の伸縮刺激を受ける。本稿では医療材料として, こうした動的刺激の中で細胞の配向や分化・脱分化をコントロールする組織工学用材料としてのエラスチンの応用について解説する。
【目次】
1. はじめに
2. 生体組織を形成する細胞外マトリックス素材
3. 細胞培養のための伸縮性足場材料への応用
4. 生体組織構造・機能を模倣する再生誘導型人工血管
5. 生体組織構造・機能を模倣する再生誘導型人工靭帯
6. おわりに

-------------------------------------------------
BIO R&D
ヒトI型コラーゲンタイプRCP,cellnest の開発,利用事例について
“cellnest” Recombinant Peptide based on Human Type I Collagen, Its Development and Application Examples
佐々木翼 (富士フイルム(株))

 我々は, 再生医療用のリコンビナントマトリックス素材cellnestを開発, 発売した。その構造はヒトI型コラーゲンをベースとし, 免疫原性低減, 細胞接着性向上を意図して, 独自にデザインしたものである。その開発の経緯, 実際に動物実験に使用した例を紹介する。
【目次】
1. 開発の経緯
2. ヒトI型コラーゲンタイプRCP, cellnestの構造, 特徴について
3. ヒトI型コラーゲンタイプRCPの利用事例について

3.1 頭蓋骨再生
3.2 セルザイク
4. おわりに

-------------------------------------------------
BIO BUSINESS
化粧品の市場動向
Market Trends of Cosmetics

 2013年の化粧品の出荷実績は出荷個数27億3,854万個(前年比100.9%), 出荷金額1兆4,270億円(前年比101.6%)となった。2011年の東日本大震災以降, 一時的に消費の冷え込みに陥った化粧品業界だが, 2012年, 2013年と景気の上向きから高価格帯商品を中心に需要の回復がみられ, 2年連続のプラス成長となった。  改正薬事法施行により製造のアウトソーシングが容易になったこと, 化学, 製薬, 食品メーカーといった異業種の新規参入が活発化していること, 新製品増加による化粧品ブランドの開発業務の外注化などの要因で, 化粧品受託製造市場が年々市場規模を拡大し, 受託製造メーカーは「下請け」から「パートナー」へと変貌を遂げている。  国内市場が成熟化する一方, 中国をはじめとするASEANなどアジア地域では中間所得層の拡大から市場が広がっている。「メイドインジャパン」をキーワードに中~高所得者を主要ターゲットとしてアジア進出を進めてきた日本の化粧品メーカーの前には現地法規制やマス市場開拓の遅れといった難題が降りかかり, アジア戦略の岐路に立たされている。
【目次】
1. 需給動向
2. 輸出入動向
3. 化粧品業界の動向
3.1 化粧品受託製造の市場拡大
3.2 UVA防止効果表示の変更
3.3 メーカーの開発動向
4. 岐路を迎えた海外戦略
4.1 中国市場の動向
4.2 日本メーカーの取り組み